2017年6月22日 (木)

国会が終わり、世論調査も出そろった、忘れてはいけない!

政治への不信、安倍政権への憤りから、ともかく二つの一覧を作成してみた。政権は、国会が終わりさえすれば、共謀罪も、森友・加計問題も、国民は忘れてしまうだろうと、タカをくくっている。本当にそれでいいのか。

メデイア各社の6月の世論調査が出そろった。結果は以下の通りで、毎日新聞とテレビ朝日の結果で、安倍内閣支持率が逆転した。他の各社も軒並み内閣支持率は急落している。かつて安保関連法案を強行採決した時も、支持率は急落したが、徐々に戻っていたわけだ。だから、政府は、国民はすぐ忘れるもんだと、見守る構え。しかし、今回、私は内閣支持率と「テロ等準備罪」「加計問題」の結果も拾いあげてみた。

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「テロ等準備罪」について、新設自体の賛否で見れば、賛成が4割以上で反対を上回るのは、FNN産経、読売、日経東京テレビの三社の結果であり、他の五社は反対が上回る。質問の仕方・選択肢や調査方法・対象が若干異なるとは言うものの、いわゆる保守・政権よりのメディアが賛成多数となった。しかし、その「テロ等準備罪」の政府の説明や手続きが十分であったか否かについては、「不十分」とする回答が圧倒的に多くなり、64~80%を占める。また、「加計問題」も同様で、政府の説明に納得せず・不十分との回答が66~84.8%を占める、という状況であった。「テロ等準備罪」は成立しても、これから十分議論し、説明がなされるべきだし、それでも不十分ということになれば、廃案への手立ても考える必要がある。「加計問題」について納得できないという国民は、まずは国会を通じて、安倍首相がいう「丁寧な説明」を、臨時国会開催、証人喚問によって果たすべきだし、さらに内部文書の調査には第三者が入る必要も出てくるだろう。

つぎに、今日も、自民党の豊田真由子議員の秘書暴行・暴言事件が報じられ、明るみに出たが、除名とか、離党で処理する問題ではない。こうした事件が続く一方、今国会では、大臣や党要職の暴言放言事件が続いた。一覧表にしてみたが、まだまだ続くだろうし、私が失念しているものもあるかもしれない。教えていただければありがたい。ただただ、この表が膨れ上がらないことを願うばかりだ。「失言」とかミステークの問題ではなく、本音や隠蔽のなせる業で、政治家としての資質が問われる発言であって、その責任は重いはずで、大臣や要職に就いている場合ではないはずである。

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加計問題の行方、これでいいのか~はぐらかしの安倍首相答弁、文科省に責任を振る、二転三転の菅官房長官答弁(4)

「ワーキンググループのヒアリング」「分科会」っていうけれど

安倍首相は、加計問題に一切関与してないとの説明の中で、参院のどの委員会であったか、「分科会、分科会では、議員はご存じないかも知れないが、ご存じないでしょ」と得意げに前置きをして「分科会には、獣医学の専門の方二人からも意見を聞いて、十分議論をしてもらっているし、私が関与する余地などない」という趣旨の発言をしていた。国家戦略特別区域諮問会議のなかに、区域会議があることは知っていたが、今治市の「分科会」で、何が検討されたかは確認してなかった。早速調べてみると、2016921日、2017112日の2回開催されている。

今治市分科会http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/hiroshimaken_imabarishi/imabari.html        

  

 

回数

 
 

開催日

 
 

会議関係資料

 

2 

平成29112

議事次第(PDF形式:50KB                                                     
配布資料
議事要旨(PDF形式:284KB  
 

 

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平成28921

 
 議事次第(PDF形式:95KB     
 
配布資料
 
議事要旨(PDF形式:334KB     
 

 

 

 

上記の議事要旨をみればわかることなのだが、首相が、胸を張って民間有識者が参加して議論したというが、その内実は、すでに、事業者が加計学園に決定した後の第2回の分科会で、「民間有識者」2名が、意見というか質問を投げかけている場面があるだけなのである。その2名の有識者は、獣医師養成現場から、加計学園の新設獣医学部のカリキュラムについて、次のような疑問を呈していただけなのである。

 植田富貴子教授(日本獣医生命科学大学獣医学部)は「1点だけ教えていただきたいのですが」として、「56年でアドバンスト(選択)科目をやることになるということは、14年でコア・カリキュラムを全部終わらせることになる。コアからの出題が多い国家試験には、どう対応するのか」の主旨であった。加計側からは、臨床実習前の共用試験後も掛け持ちのスタッフもあるかもしれないが対応できる指導体制をとる、という心もとない答弁であった。

猪熊壽教授(帯広畜産大学畜産学部)は、「今日の御説明にはなかったけれども」との前置きで「1年生のときから獣医師のいろいろな職域について教える、体験させるという取り組みについて、必須科目ということになると、160人という学生を具体的にどういうところで参加型臨床実習をさせるのか具体的には述べられていない、就職先についても、ライフサイエンス、公務員獣医師産業動物獣医師などへの対応にも不安がある、との発言がなされていた。その答弁といえば

「カリキュラムを組みながらなら、なかなか難しいところ」「参加型実習は、難問で」とか、就職先は広域的に ということらしいが、回答にはほど遠い。 

 

  獣医学専門の民間有識者の発言は、それぞれこの1回きりである。安倍首相は、専門家からのお墨付きをもらったかのような口ぶりだったが、すでに、応募事業者が加計学園だけであることが確定した17111日の翌日に開催された今治市分科会でのやり取りだったわけである。


質問した野党は、首相の答弁に「おかしいじゃないですか」とクレームをつけるだけでなく、問題の核心に迫る「事実」を突き付けて、切り返さないといけない。例えば、諮問会議の議長たる首相が任命する民間有識者のたった一度の発言、それも、上記のような疑問を持っていたことを指摘するべきではなかったか。内閣府のHPを検索すればすぐ出てくる資料だ。首相に「知らないでしょ!」と言わせる手はなかった。

そもそも、分科会設置の根拠は?

 そもそも、「分科会」設置の根拠はどこにあるのか。自分で調べたり、内閣府や今治市に問い合わせたりしているのだが、いっこうにラチがあかない。明文での根拠がないのだ。今治市分科会のみならず、各分科会の第1回で、運営規則の細則は提示されるが、分科会自体が何を根拠に立ち上げられるのかは不明のままである。

その後、今治市の担当者からは、回答があって「たしかに明文の根拠はないが、第1回の区域会議で了承されている」というのだ。もう一度検索してみる。

2016年3月30日の第1回の区域会議の議事要旨によれば、「資料3」を提示して「『今治市分科会』の設置について」として、「今治市固有の具体的な事業、今治市で御活用いただける可能性のある項目につきまして、新たな制度改革、規制改革について重点的、集中的に取り組む仕組みを、こういった分科会という形で議論いただくという趣旨で、その成果を区域会議に提案をしていただく」とあった(12頁)。

その「資料3」「今治市 分科会の設置について」では、趣旨として「広島県・今治市国家戦略特別区域の区域方針の早期実現に向け、今治市において、区域会議の下に「今治市分科会」を設置し、区域方針に記載している7つの項目に資する、新たな制度改革・規制改革について重点的・集中的に検討し、その成果を区域会議に提案する」とある。その7つの項目の一つが「国際教育拠点の整備(獣医師系(ライフサイエンスなどの新たに対応すべき分野)であったわけである。その構成員としては、基本的に、国(内閣府)、自治体(今治市)及び民間事業者の三者によるものとするが、必要に応じ、オブザーバーを参画させることができることとする、としている。

1回の今治市分科会について、上記の「議事要旨」を見ると、その出席者は、以下の通りで、国会審議の参考人としてしばしば登場した、会議の進行役の藤原豊内閣府地方創生推進事務局審議官や佐々木基内閣府地方創生推進事務局長の名もある。*

 

* 第1回今治市分科会出席者
<国> 山本 幸三 内閣府特命担当大臣(地方創生、規制改革)

佐々木  内閣府地方創生推進事務局長

<自治体>  良二 今治市長

<民間事業者> 加戸守行 今治商工会議所特別顧問

<民間有識者> 八田達夫 アジア成長研究所所長 大阪大学社会経済研究所招聘教授

<オブザーバー> 浅野敦行 文部科学省高等教育局専門教育課長

 政彦 農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課調査官

山下一行 愛媛県地域振興局長

渡部 浩忠 越智今治農業協同組合代表理事専務

西原孝太郎 公益社団法人今治青年会議所理事長

<事務局>藤原豊 内閣府地方創生推進事務局審議官

 

  上記、菅市長、加戸元愛媛県知事はじめ地元の人たちと八田(民間有識者)特区議員の「獣医学部新設の要望」の熱意は伝わってくるものの、それを裏付ける獣医学・医学・薬学的などの具体的な提案がなく、創薬、危機管理人材育成、獣医師の偏在、教育カリキュラムの特色などに言及するものの、それまでの1~2頁程度の提案書をなぞる程度のものであった。

アドバイザーとして参加している文科省の浅野専門教育課長は、当日配布資料の2015630日の閣議決定、いわゆる「石破4条件」の要件が満たされるかが重要だと述べた。

*獣医師養成系大学・学部の新設に関する検討 ・現在の提案主体による既存の獣医師養成でない構想が具体化し、ライフサ イエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が 明らかになり、かつ、既存の大学・学部では対応が困難な場合には、近年 の獣医師の需要の動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う。

農水省林調査官は、獣医学部の新設は、学校教育法に基づく文科省の告示により規制されている中、引き続き獣医師の需給に関する情報等を収集・整理して、必要に応じて文科省等に提供する、と述べた。

前回の「加計問題の行方、これでいいのか(3)」(619日)の末尾の「加計学園獣医学部構想資料の推移」でもわかる通り、今治市は、20156月の特区ワーキンググループのヒアリング以来、1~2頁の資料しか公表していない。少なくとも、京都府・京都産業大学は、20161017日におけるヒアリングで、詳細な提案書を公表している。繰り返しになるが、加計学園、京都産業大学両者の提案書は、以下をクリックして欲しい。

 

〇愛媛県・今治市提案資料(提案書1頁・添付資料2頁)
ワーキンググループのヒアリング(201565日)(16分)

(提案書)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h27/150605imabari_shiryou03.pdf
(添付資料)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h27/150605imabari_shiryou02.pdf

京都府提出資料「京都産業大学 獣医学部設置構想について」(21頁)

ワーキンググループのヒアリング(20161017日)(32分)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/teian/161017_shiryou_t_1.pdf

 

 それまでは、12頁の獣医学新設構想でしか進めてこなかった今治市・加計学園側、内閣府・官邸は、かなり慌てて、焦ったに違いない。今回、国会閉会後、新しく文科省から出た1021日「萩生田副長官ご発言概要」がそれを推測させるに十分ではないか。異様な“スピード感”をもって119日の諮問会議への「加計」絞り込み作戦が、強行されたことが伺える。

加計側の新獣医学部構想は、事業者が加計学園に決まった今年の112日に、初めて公表されたことは前述のとおりである。

ワーキンググループだ、分科会だと、あたかも厳密な議論や協議がなされているかのような口ぶりで、安倍首相や内閣府や首相官邸レベルの関係者は語り、議事録を公開しているからという。だが、その実態は、会議中に配布の、あらかじめ内閣府地方創生推進事務局が作成した添付資料や参考資料の説明すらなく「異議なし」で進行する場面があまりにも多すぎる会議であったのである。

役所内で交わされる文書やメール、ある時は口頭でなされたときのメモ、すべてが公文書である。内閣府や官邸の周辺は、記録がない、記憶にないと突っぱりながら、文科省から出てきた公文書は、承知してない、虚偽だ、不正確だと言い募るのは見苦しい。

文科省では、すでに内部からの義憤で、明らかになった文書があるが、内閣府の関係者も勇気をもって、明らかにしてほしい。

閉会中の国会審議も、あるいは第三者によるチェックもぜひ実現して欲しい。6月20日、松野文科相が追加発表した後に、義家副大臣ととも、不正確な情報も混じっている文書を発表したことを「詫び」ていたが、いったい何なのか。官邸からの圧力だったのか。謎は深まるばかりである。

 

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2017年6月19日 (月)

加計問題の行方、これでいいのか~はぐらかしの安倍首相答弁、文科省に責任を振る、二転三転の菅官房長官答弁(3)

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共同通信世論調査、2017年6月18日、先月5月より不支持10ポイント上がる

 私は、必要があって、加計問題の経過年表を作ってみた。その作業の中で、今回問題になっている内閣府や文科省の内部文書やメールの一部が確認されて、その全貌や経過がかなり明らかになった。本来の「情報公開法」の趣旨に反する「黒塗り」の情報公開を許してはならないし、さらに追及を強化しなければならないだろう。

 同時に、だれもが閲覧できる、公開されている以下のような会議の「議事要旨」と配布資料を見ても、かなりの部分が浮き彫りになる。次から次へと出てくる内部文書も大事だが、すでに公開されている確かな会議録や資料を精査し、詰めて行くことも大事なのではないか。追及する野党は、感情的な、情緒的な質問ではなく、周到な準備と緻密な論理をもって、臨んで欲しい。菅官房長官の「切り捨て」、安倍首相の「イライラ」答弁の繰り返しを、すでに多くの国民の知るところとなったのだから。

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「国家戦略特区諮問会議」~誰が誰に諮問するのか

安倍首相は、「規制緩和の抵抗勢力を打ち破るには、岩盤規制に穴をあけるのには、首相の指導力で突破する」と豪語し、201312月「国家戦力特別区域法」を制定、141月「国家戦力特別区域諮問会議」を立ち上げ、みずから「諮問会議」の議長になっている。「諮問」とは、誰が誰に諮問するのか。行政府の審議会や首相の私的な諮問会議や有識者会議にしても、その成り立ちから、首相みずからが参加することはないはずなのに、特区の諮問会議には議長として、にらみを利かせるのだから、もはや、本来の「諮問」会議ではないだろう。会議終了後には、プレスを入れてのコメントで、その日の会議の成果をお披露目するのが慣例だ。そして、諮問会議の構成は、政府・内閣府の担当者と安倍首相の任命による民間有識者議員からなり、議題により、特区関係者が臨時議員として参加する。運営規則によれば、議事録は4年後に公表するとあるのが、これも納得のいかない規制である。私たち国民は、当面、「議事要旨」しか閲覧することが出来ない。それに、構成メンバーだが、第一に、前述のように首相が議長をつとめる矛盾があり、さらに、民間有識者議員の選任が恣意的であることは他の審議会と同様であると同時に、例えば、竹中平蔵議員などは、特区による規制緩和の対象事業者の役員にもなっていることから、ずばり利害関係者であって、公平性に欠けていることである(外国人材の家事、農業への導入の事業者に指定されている人材派遣会社パソナの会長でもある)。

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たとえば、第25回、2016年11月9日の諮問会議の出席者。この日に、以下の「資料3」「資料4」が添付され、「広島県・今治市」が特区指定され、「国家戦略特特区のにおける追加の規制改革事項について」の一事項として、「獣医学部の新設」が決定するが、提案者の今治市の関係者は出席していない。この前日には、すでに、この資料が内閣府から今治市に伝達されていたことは、「不適切であった」と謝罪されている。

「資料3」では第一事項で、問題の「広域的に」が挿入された文書になっている。「資料4」の「2.追加の規制改革事項について」と題して、有識者議員の意見として提出されたものだ。

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通常の諮問会議の「議事要旨」と添付資料から見えて来るものがある。地方創生担当大臣が進行役を務め、議事に係る配布資料による説明がなされる場合と資料を示すだけで、意見を求め、大方は、「異議なし」の声で進行する。「獣医学部新設」が論議されたのは、第14回(2015629日)、第18回(20151215日)、第25回(2016119日)、第27回(2017120日)の諮問会議であったが、いずれも2030分前後で終わる短い会議である。119日の第25回では、例の「広域的に獣医師養成系大学等の存在しない地域に(おいて⇒)限り」のフレーズが含む添付資料の「資料3」「国家戦略特区における追加の規制改革事項について(案)」には、二つの項目の一つ「先端ライフサイエンス研究や地域における感染症対策など、新たなニーズに対応する獣医学部の設置」という6行の文書が添付されていて、すでに、上記のように追加・修正されていた(ここでは赤字で示した)。そして、進行役の山本(幸三地方創生担当大臣)議員は、会議の最後の最後で、「それでは、「資料3」につきまして、本諮問会議のとりまとめとしたいと思いますが、よろしゅうございますか」「異議なし」の声で、決定されたのである。「資料3」の文章に即しての説明は一切なされいない。今国会の会期末の文科省側の文書再調査によって、上記の追加文言「広域的に」が萩生田光一官房副長官から藤原豊審議官にもたらされたという文書が出されると、山本幸三大臣は、参院予算委員会での質疑で、「広域的に」の文言の挿入は、自分が藤原審議官に指示したと言い出した。官邸側人物の身代わりとなって、官邸の防波堤となったことを推測させる。ならば、なぜ、先の諮問会議で、山本大臣は、「広域的に」を挿入した趣旨を説明しなかったのか。

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 もっとも、最後の「資料3」の採決に先立って、有識者会議が提出した資料4「国家戦略特区 追加の規制改革事項などについて」による「獣医学部の新設」について、代表して八田達夫議員がかなりきわどい賛成意見を述べている。前段では、「創薬プロセス等の先端ライフサイエンス研究では、実験動物として今まで大体ネズミが使われてきたのですけれども、本当は猿とか豚とかのほうが実際は有効なのです。これを扱うのはやはり獣医学部でなければできない。そういう必要性が非常に高まっています。そういう研究のために獣医学部が必要だ」と述べるが、新設であることの説明にはならないだろう。

さらに、「口蹄疫とか、そういったものの水際作戦が必要なのですが、獣医学部が全くない地方もあ」り、大学設置基準により、過去50年間、獣医学部は新設されなかったものを、文科省告示で改正できるようになることを評価した。後段では、麻生財務大臣の、法科大学院や柔道整復師の規制緩和による失敗を例に挙げ、規制緩和は大いにやるべきことだが「上手くいかなかった時の結果責任を誰がとるのかという問題」を指摘、学生や関係者に迷惑をかけることまで考えておく必要があると、クギをさしていた。ところが八田議員は、「麻生大臣のおっしゃったことも一番重要なことだと思うのですが、質の悪いものが出てきたらどうするか。これは、実は新規参入ではなくて、おそらく従来あるものにまずい獣医学部があるのだと思います。そこがきちんと退出していけるようなメカニズムが必要で、新しいところが入ってきて、そこが競争して、古い、あまり競争力がないところが出ていく。そういうシステムを、この特区とはまた別にシステムとして考えていくべきではないかと思っております」と、既成の獣医学部への攻勢が顕著である。特区とは別のシステムとして振り払っているが、既成の獣医学部は、これを聞いて怒るのではないか。

さらに、資料4の追加事項の説明で「かねてより準備を勧め具体的な提案を行ってきた自治体を中心に、具体的なプロジェクトとして、実際の獣医学部立ち上げを急ぐ」必要があると記載されているではないか。「今治市」「加計」の文字こそ出てこないが、「加計ありき」の傍証だろう。

加計学園の新獣医学部構想の詳細はいつ提出されたのか

加計問題の一連の流れを見ていて、私は、もう一つ気になることがあった。テレビの報道番組で、加計学園が提出した新獣医学部構想(今治市)と京都産業大学が提出した新獣医学構想(京都府)のボリュームと中味の違いが指摘され、前者の書類が2頁ほどなのに比べ、京産大は、20頁を超えるという、情報だった。私も調べてみると、つぎのような経過をたどることが分かった。

加計学園が、構造改革特区に名乗りを上げた時代は、以下①②のような十数頁の提案申請説明資料を提出していた。しかしどうだろう、国家戦略特区になってからは、番組指摘のように、今治市・加計学園からの新獣医学部構想が記された資料が出てこない。私たちが目にするのは、201565日の内閣府のワーキンググループのヒアリングを受けた時の資料③愛媛県・今治市の提案書と添付資料、合計3頁の資料が最初である。

国家戦略特区諮問会議に先立ち、あるいは、合間を縫って、「区域会議」が開催される。広島県・今治市特区区域会議は15330日に第1回目が開催された。以降、いくつかの特区から進捗状況の報告や提案がなされる合同区域会議として今日まであわせて3回(15930日、2017120日、516日)3回開催されているが、実施的な論議は困難な状況である。そこでの配布資料によれば、上記の③であり、その後の今治市の獣医学部新設の提案資料は⑥⑦で、いずれも12頁のペーパーに過ぎない。つぎの構想資料の推移で見るように、本格的な獣医学部構想が提案され、私たちが知り得るのは、京都産業大学は、20161017日「ワーキンググループのヒアリング」での⑧京都府提出資料「京都産業大学 獣医学部設置構想について」(21頁)であり、加計学園に至っては、2017112日に事業者が加計学園に決定した直後になって、はじめて、詳細な構想ともいえる2017112日「第2回今治市分科会」への提出の⑩「広島県・今治市 国家戦略特別区域会議の構成員の応募について」(28頁)であり、同文の⑪が提出されるのは第27回諮問会議の120日であった。23頁の提案書と若干の説明で、内閣府や文科省、農水省、厚労省などの岩盤規制を突破してきたことになる。前述の八田議員による「かねてより準備を進め具体的提案を行ってきた自治体を中心に」の根拠にはなりにくい。構造特区時代の申請提案資料は、その提案書の体裁をととのえていたが、現在からみれば、掲載のデータは古いし、定員も現在の160人より少ない既存大学並みの120人となっていた。

諮問会議の議員たちは、詳しい提案書、提案資料を見ることもなく、120日の⑪提案資料をはじめて示され、今治市の区域指定、事業者は加計学園と決定したことになる。

一方、京都府・京都産業大学は、20161017日のワーキンググループのヒアリングで「京都産業大学 獣医学部設置構想について」(21頁)を提出している。これは一体どういうことなのだろうか。私には理解に苦しむ。私の見落としがあるかもしれない。ぜひご教示願いたいと思う。

つぎに、関係者の実質的な討議がなされとされるヒアリングや区域会議、分科会の実態について検証しておきたい(続く)

加計学園獣医学部構想資料の推移~付京都府(京都産業大学)資料~(赤字)

➀愛媛県・今治市提案説明資料(構造改革特区時代20086月)

http://www.city.imabari.ehime.jp/kikaku/kouzoukaikaku_tokku/siryo13_01.pdf#search=%27%E5%8A%A0%E8%A8%88%E5%AD%A6%E5%9C%92+%E7%8D%A3%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E9%83%A8%E6%A7%8B%E6%83%B3+%E6%8F%90%E6%A1%88%E6%9B%B8%27

②愛媛県・今治市(構造改革特区時代200911月)

 http://www.city.imabari.ehime.jp/kikaku/kouzoukaikaku_tokku/siryo16_01.pdf#search=%27%E6%A7%8B%E9%80%A0%E6%94%B9%E9%9D%A9%E7%89%B9%E5%8C%BA+%E6%84%9B%E5%AA%9B%E7%9C%8C%E3%83%BB%E4%BB%8A%E6%B2%BB%E5%B8%82+%E6%8F%90%E6%A1%88%E8%B3%87%E6%96%99+2009%E5%B9%B411%E6%9C%88%27

 ③ワーキンググループのヒアリング(201565日)(16分)

愛媛県・今治市提案資料(提案書1頁・添付資料2頁)

(提案書)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h27/150605imabari_shiryou03.pdf

(添付資料)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h27/150605imabari_shiryou02.pdf

 ④特区合同区域会議・第8回関西圏区域会議(2016324日)

「新たな獣医学部・大学院研究科の設置ため」(追加規制改革事項)1/2

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/160324goudoukuikikaigi/shiryou4.pdf

 ➄定例の関係省庁への要請(20166月)京都府

「創薬分野等における新たな獣医師の育成について」2p

http://www.pref.kyoto.jp/seisakuteian/documents/280608_32.pdf#search=%273%E6%9C%8824%E6%97%A5+%E4%BA%AC%E9%83%BD%E5%BA%9C%E3%83%BB%E4%BA%AC%E9%83%BD%E7%94%A3%E6%A5%AD%E5%A4%A7%E3%81%8C%E7%8D%A3%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E9%83%A8%E6%96%B0%E8%A8%AD%E3%82%92%E6%8F%90%E6%A1%88%27

 ⑥第1回今治市分科会(2016921日)

「認定申請を行う特定事業」

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/hiroshimaken_imabarishi/imabari/dai1_shiryou3.pdf1p

「獣医師養成系大学・学部の新設について」(特別顧問加戸守行提出資料)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/hiroshimaken_imabarishi/imabari/dai1_shiryou4.pdf2p

 ⑦第2回広島県・今治市特区区域会議(2016930日)
「認定申請を行う特定事業」
「追加の規制改革事項」(加戸守行特別顧問921日分科会説明資料と同文)(合わせて2phttp://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/160930goudoukuikikaigi/shiryou3.pdf

 ⑧ワーキンググループのヒアリング(20161017日)(32分)

京都府提出資料「京都産業大学 獣医学部設置構想について」(21頁)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/teian/161017_shiryou_t_1.pdf

161017日付)

 ⑨定例の関係省庁への要請(201611月)京都府

「創薬分野等新たなニーズに対応する獣医学部の設置について」(3p

http://www.pref.kyoto.jp/seisakuteian/documents/281125_25.pdf

 2回今治市分科会 2017112日)

「広島県・今治市 国家戦略特別区域会議の構成員の応募について」(28頁)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/hiroshimaken_imabarishi/imabari/dai2_shiryou6.pdf17110日)(27回諮問会議資料と同文)

 ⑪第27回国家戦略特区諮問会議( 2017120日)
資料6「広島県・今治市 国家戦略特別区域会議の構成員の応募について」(28頁)http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/hiroshimaken_imabarishi/imabari/dai2_shiryou6.pdf#search=%27%E5%8A%A0%E8%A8%88%E5%AD%A6%E5%9C%92+%E7%8D%A3%E5%8C%BB%E5%AD%A6%E9%83%A8%E6%96%B0%E8%A8%AD+%E6%8F%90%E6%A1%88%E6%9B%B8%2717110日付)

⑫第3回広島県・今治市国家戦略特区区域会議(2017120日)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/170120goudoukuikikaigi/shiryou2.pdf

  

 

 

 

 

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2017年6月10日 (土)

加計問題の行方、これでいいのか(1)(2)

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 今年のアジサイの花の色は、鮮やかなような・・・

 

加計問題の行方、これでいいのか

~はぐらかしの安倍首相答弁、文科省に責任を振る、二転三転の菅官房長官

答弁(1)

 肝心な時に国会中継をスルーするNHK 

NHKが中継する国会質疑を見ていると、ニュース番組では、なかなかわからないことも分かって来る。たとえば、65日の参院決算委員会での加計問題の質疑を見ていて、当方もいらだつことが多かったが、近頃の安倍首相も、かなりいらだっていることは明らかだった。答弁に窮する場面では、質問には答えず、聞かれてないことを延々としゃべる。ヤジが飛べば、「静かにしてくださいよ、人が誠実に話しているのに」「落ち着いて、落ち着いてくださいよ」「○○さん、ヤジはやめましょうよ」と名指しまでする。そのくせ、人の質問中には、自分の席からは、平気でヤジったり、指をさしたり、隣の麻生大臣とニヤニヤと私語を交わしたりする。首相たるもの、ヤジぐらいでオタオタするな。これほど、マナーも、教養も備えていない首相をいただいた不幸、しかし、歎いているばかりはいられない。

 第一、NHKが、この国会中継をするかしないかの基準は、随分と曖昧で恣意的なのである。問い合わせると、返ってくる答えは、国民の関心とNHKによる総合的判断の結果であるという。番組表に、中継表示がない場合、国会中継をするのか否かは、前日の夕刻までに判断するのだという。さらに、議事が延長した場合、中継を継続するか否かは、直前までその判断が伝えられない。これは、一昨年の安保関連法案の審議の時に知った。ことほど左様に、NHKは、国会中継に消極的である。国民の関心事より政府への配慮が顕著なのは明らかである。

 さらに、中継しても、午前中の分は12時のニュースでしか報道せず、7時や9時のニュースでは省略してしまう。また、まったく中継をしなかった場合は、ニュース番組内で伝えることは、めったにない。

 もっとも、以下の衆・参議院のインターネット中継のサイトでは、会議名をクリックすれば、開会中であれば、中継が見られるし、検索により録画も閲覧できる。(続く)

参議院インターネット中継

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

衆議院インターネット中継

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php

 

加計問題の行方、これでいいのか

~はぐらかしの安倍首相答弁、文科省に責任を振る、二転三転の菅官房長官答弁(2)

NHK報道の現実

68日のNHK「ニュース7」は、以下のように、国会のニュースは皆無であった。菅官房長官の記者会見も一切報道されなかった。

その「ニュース7」のニュース項目で振り返ってみよう。カッコ内の時間は、私が録画の時刻表示によって計った。合計28分となり、そのあとの気象情報に続く。

①福岡の母子3人殺人事件(610秒)+⑦続報(120秒)

FBIコミー前長官、議会に文書提出・トランプ大統領の捜査妨害(510秒)

③日本原子力開発機構大原研究所での被ばく事故(350秒)

④イギリスの総選挙(420秒)

⑤渋谷暴動事件、容疑者の45年の逃亡生活(210秒)

⑥ホンダの自動運転技術実用化へ(110秒)

⑧宮里藍 ⑨村田諒太 ⑩プロ野球速報(合わせて350秒)

 

このNHK報道の現実を見て、どう思われるだろうか。公共放送のニュース番組なのだろうか。もともと、NHKのニュースは、必要以上に、事件・事故、災害、スポーツに関する報道に時間を取り、この日は北朝鮮のミサイル打ち上げこそなかったが、北朝鮮脅威とともに、宇宙・医療・ITなどの科学トピックスや街の話題的なネタも好んでというより、重大な政治・経済ニュースを避けたり、薄めたりするために、大々的に報道して、限られたニュース番組を占拠することもある。8日の「ニュース7」も典型的なパターンで、28分の枠の中で、730秒を殺人事件にあてた。そして⑥の自動運転技術の実用化などは、速報性もなく、この日の項目にする必然性はない。②や④の海外情報も大事ではあるけれど、国内の国会での重要な論議をすべて無視したのは、政府に不都合な情報は流さないという、「政府広報」に徹した証だろう。

世論の動向が一番だと思うが、この日の、菅官房長官の記者会見の答弁で窮地に立たされたことが、翌日69日の文科省の内部文書再調査に繋がったともいわれる重要なやり取りであったわけである。それを報道しなかったという、NHKの報道姿勢の劣化はぬぐいようもない。 

私は、この日68日、NHKの参議院国会中継がなかったので、参議院のインターネット中継で、いくつかの委員会の審議を閲覧した。加計学園問題や共謀罪が取り上げられるはずだったからであった。

 

68日、参議院インターネット中継を見た

国会では、共謀罪、加計学園問題などが、いくつかの参議院委員会で議論されていたにもかかわらず、結論的に言えば、NHKの国会中継は一切なく、上記のようにその日の夜のニュースでは一切報道されなかったのである。私は、この8日は、時間の都合もあって、午後からインターネット中継と録画で、以下のいくつかの委員会をハシゴする形となった。 もちろん断片的ではあるが、関心ある方は、録画でぜひ確かめていただきたい。これらの一部は、当然のことながら、民放の報道番組では、取り上げられていたのである。

 

内閣委員会(2017年6月8日):

山本太郎議員 昼過ぎに、参議院内閣委員会の中継を見ると、山本太郎議員が質問に立っていた。行政文書の情報公開が、民主主義の根幹であり、憲法の国政調査権に基づいての文書公開を迫っていた。後半は、「国家戦略特別区域法」がうたう岩盤規制の改革突破の名のもとに、いかに不透明な、理不尽な特区事業が実施されたことについてあらためて知ることになる。例に挙げたのは、安倍首相と加計学園ではなく、「解雇特区」とも呼ばれる労働者派遣事業の規制緩和の一つ、神奈川県、東京都で展開される家事代行サービスに外国人材導入を例に、特区諮問会議の民間議員竹中平蔵が人材派遣会社パソナの会長であることを質していた。パソナは、神奈川県、東京都でも、特区の事業者として認定されている。特区の民間議員は、首相の任命であることから、「お友達」であっても不思議はない。岩盤規制にドリルで穴をあけるどころか、首相指導の「利権特区」ではないのか。

山本議員の質問の後は散会となったので、録画で、さかのぼって、田村智子議員と桜井充議員の質問を閲覧した。こうした質疑を通して、政府関係者の答弁の無内容~記憶にありません、承知していません、差し控えさせていただきます、今治市の責任での文書でございます、などが繰り返され、山本幸三地方再生担当大臣に至っては、下を向いてボソボソと自信のない言語不明瞭な答弁が続く光景をまのあたりにする。 

田村智子議員は、201629日 今治市の市議たちが、内閣府の地方創生推進室を訪ね、藤原豊次長、審議官他と面談し、藤原次長が、今治市に獣医学部を新設しても、人口減の時代、学生が集まるのか、今治市の財政負担などについて懸念を示したという出張報告書を入手、その内容を、藤原次長に質せば、会ってはいるが、その内容は定かではない、との答弁。田村議員は、その後、119日の第25回諮問会議で特区今治市の獣医学部の事業者として加計学園が急に固まるまでに何が起きたのかに焦点を絞る。



桜井充議員も、情報公開法について質していた。審議過程に係る文書は公開できないが、審議終了後には公開しなければならないのに、なぜ公開しないのか、の質問には、佐々木基地方創生事務局長は、審議終了後であっても、検討・協議過程以外の文書であっても、それを公開することによって、国民に混乱を招き、将来同種の案件について悪影響を及ぼし、支障をきたす場合は、公開できないと、見当はずれの答弁をしていた。今や、国民の混乱を招くのは、むしろ公開しないからでであって、国民の大半は公開を望んでいる公文書ではないのか、とも思えるのだ。

今治市側から入手した複数の行政文書に「内閣主導にて不透明に進行する」「内閣府が考えているスケジュール感に対応するために」という文言がでてきたり、20184月の加計学園獣医学部開学のスケジュールが先行したりする文書の存在を示せば、それは、あくまでも今治市の責任で書いた文書で、自分たちは承知していない、その内容は不正確だと藤原次長は答える。また、201542日には、内閣府を訪ねた今治市の職員が、予定を変更して、首相官邸にいたことが伺われ、その時間帯の「首相動静」によれば、下村文科大臣と山中伸一事務次官が面談していることになっていることは何を意味するのか。特区の担当は内閣府なのに、なぜ、提案者側の今治市職員が官邸を訪ねるのか、の疑問に迫った。また、事業者が決まる前に、201610月には、今治市は、加計学園による予定地でのボーリング調査を承諾していることも不可解だとする。

さらに、中村時広愛媛県知事はこの4月の記者会見で、長年の大学誘致をあきらめていた頃「内閣府から助言があって、国家戦略特区で出したらどうかということだったので、出したら許可が下りたということですので、その国サイドのことについては、私は何があるのか、どういう議論があったのかは分かりません」の発言があり、後で、内閣府からは「誤解がある」とのクレームが付く一件も質された。答える藤原次長の痛々しい、苦しそうな姿は、財務省の佐川理財局長にも通じ、情けない。つい、それぞれのご家族の気持ちはいかばかりかと、思いを馳せてしまうのだ。どんなに出世したとしても。

 

法務委員会(2017年6月8日):

また、次に閲覧したのが、参議院法務委員会で、福山哲郎議員の「共謀罪」新設法案、「テロ等準備罪」新設法案についての質問がなされていた。政府が、盛んにいうのは、この法案が通らない以上、国際的組織犯罪防止国際連合条約=TOC条約が締結できない、締結国と組織犯罪についての情報が共有できない、従って、オリンピック開催時のテロが防止ができないという論法なのである。

福山哲郎議員は、そもそも、TOC条約は、趣旨・内容から、アメリカの911事件以前に成立し、その「立法ガイド」(解説)では、人身取引、密入国、銃器取引などを防止し、マネーロングを防止するのが目的の一つで、テロ等準備罪には触れていない、さらに、政治的な意味合いのあるテロ防止をこの条約の対象から除外するとまで記されている、というのだ。また、外務省条約局の職員が、その解説においても、「テロ防止」には一切触れていない、とも。この条約の批准のために「テロ等準備罪」を新設するのは論外だとし、法案の第62項、2項の2に見るように、集団に属していなくとも、捜査の対象になるということではないか、の質問には、金田法務大臣は答えらえず、刑事局長からは、集団に属していなくとも、周辺の者、密接な者、関わり合いのある者ものは対象になるという、驚くべき答弁であった。さらに、報道でも取り上げられていた、国連の特別報告者による今回の法案はプライバシーの見地から非常に問題があるとの安倍首相への書簡を個人的な意見だとして拒み、抗議し、安倍首相国連事務総長との懇談で、あの書簡は、国連の総意ではない、という言質を取り付けたという点に対して、その事実を問い質せば、岸信夫外務副大臣は外交上の発言なので回答は控えるとの対応であった。

 

農水委員会(2017年6月8日):

つぎに、見たのが参院農水委員会で、ここでは森裕子議員が奮闘していた。

森裕子議員は、内閣委員会の桜井議員との連携で、201542日の今治市幹部職員の内閣府・首相官邸への訪問、面談について質していた。ここでも、記録もないし、記憶もないというのが、藤原次長の答弁であった。森議員は、今治市サイドの行政文書の徹底的な情報公開をしていて、まだたくさんの文書が出てくるのではないか。また、文科省内部文書について職員の複数が命をかけて文書の存在について、上司に報告しているのに、なぜ、握りつぶすのか、部下を見捨てる気なのか、と迫っていた。相手は、常盤豊高等教育局長であり、義家副大臣である。

 

菅官房長官の記者会見

 68日の記者会見は、かなりひどいものだった。テレビ朝日の報道ステーションで、食い下がる記者たちとの質疑が長い間放映されていた。その答弁は、これまた、テープレコーダーのごとく「出所不明の文書であることには変わりなく、文科省が適切に調査して、報告した」と繰り返す。記者が、公益通報者保護法で、内部通報者はどう保護されるかを問えば、仮定の問題には答えない、というありさまだ。この質疑は、いつになく、30分にも及んだという。(続く)

 

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2017年4月22日 (土)

地域での「ボランティア」って

小学生の「交通見守り」を卒業して

 私は、小学校の通学路にあたる信号のない横断歩道で、交通見守りのボランテアをはじめて、八年になった。地元の開発業者の土地区画整理事業によって、ニュータウンを回るモノレールをまたぐ陸橋が建設され、その先にあたらしく、マンションや公園ができた。その陸橋が、道路構造令ぎりぎりの勾配があり、下った先の歩道を小学生たちは横断しなければならず、しかも、信号機が設置されなかった。そこで、地元の自治会の役員や班長、会員十数人のボランテイアによって、登下校の時間帯に毎日、二人が張り付いて見守り、<横断中>という黄色の旗を持って整理を始めたのである。

当時、その区画整理内の道路整備や宅地造成をめぐって、地元の自治会は、業者や行政と様々な協議を重ねた。周辺住宅地への環境が心配され、造成地の廃棄物の処理、盛り土の高さを制限、マンションの高度制限、建設中の振動や騒音、車両の出入りなどについてもいくつかの協定書を交わしていた。そんなこともあって、地域の新旧住民の小学生たちの通学路の安全に、少しでも力を貸すことが出来たらとの思いで、横断報道の見守りを続けて来た。後半は、ボランティアの参加者は減って、寂しかったが、曜日を決めて見守ってきた。

ほかの場所で、個人の立場で、黙々と見守りをする方もいらしたし、お孫さん二人が小学校を卒業するまで、校門前まで付き添っての送迎をし、他の児童を見守る方もいらした。朝の登校時は、PTAの保護者たちの当番制で、広範囲の幾個所かで見守りが実施されている。下校時は、青色パトロールの人たちが信号機のある横断歩道で整理をされていた。登校時、ご一緒した、若いお父さんやお母さんたちは、7時過ぎから30分ほどの時間帯なので、時計を気にしながらの人たちが多かった。思わず、「あとは私たちでやりますから」と声を掛けることもあった。下校時には、移動交番の女性警官たちと一緒になることもあった。私たちには、月末になると、小学校の教頭先生から、つぎの月の下校時一覧と行事日程が届けられた。

千葉県松戸市の小学生殺人事件で逮捕された容疑者が、保護者会の会長で小学生の登校見守りをしていたということで、保護者の見守りやボランティアによる見守りが脚光を浴びることになってしまった。少女やその家族、地域や児童たちにとっても、不幸な事件となってしまった。

私たちの地域では、この8年で、マンションから通学する小学生は、1人から始まり、今は60人以上の集団となった。今どきの小学生は、ランドセル以外の荷物が多い。さまざまな図工の作品だったり、ピアニカだったり、書道具だったりする。「きょうはプールだったんだよ」と、濡れた水着袋を提げてくる男の子、収穫物の大きなサツマイモを見せてくれる女の子、虫かごのバッタを大事そうに見せてくれる男の子、そうしたふれあいは、季節の移り変わりや遠い昔を思い起こさせてくれた。登校時も下校時も、おしゃべりに夢中な女の子たち、走ったり、ふざけあったりしながら横断する男の子には、注意する。旗を持たない手でのハイタッチ? が続くこともある。「いつもありがとうございます」なんて上級生の女の子に言われたりすると、ホロっとしたりもする。

見守りを始めたころ、1年生だった児童が、制服を着た中学生になり、ランドセルが重そうなリュックサックに代わり、挨拶をして通り過ぎてゆく。いつも図書館の本を抱えていた小学生が、わき目もふらず慎重な自転車通学をする中学生になっていた。

長いようで、短い年月だった。私は、時間の都合や体調のこともあって、この3月で辞することを決めた。協力してくれたドライバーたちに感謝しながら、ここでの事故がなかったことにほっとしている。こうした見守り活動は、その時の自治会(長)、その時のPTA(会長)、その時の校長・教頭先生により、かかわり方が随分と違うことも分かって来た。校区内の見守り個所を見まわる校長先生もいたし、ボランティアとの懇談会開いたり、行事に誘ってくれる教頭先生もいた。

こうした活動は、地域住民と小学校・行政、何よりも子供たちと大人たちとの信頼関係を大切しなければならない活動には違いない。 

これからのボランティア

高齢社会、退職者大量時代にあって、元気な退職者たちが「地域デビュー」と称して、自分探しや居場所探しのために、ボランティア活動に参加する人も多い。この頃、新聞やテレビでも、この「地域デビュー」を扱うことも多くなった。働く女性が増加する中で、濃淡はあるものの、それでも、女性の方が、子育てやサークル、日常生活を通じても、時間をかけて、地域とはなじんできていることが多い。男性たちはというと、「デビュー」するや否や、これまでの職業生活での経験や知識を「活かし」、早急に「実績」を残そうとする人たちを、私は、多く見て来たような気がする。自治会活動やサークル活動、市民運動にあっても、その行動様式に共通点が見出されるのである。たとえば、これまで、慣例や緩いルールの下で定着してきた活動に飛び込んできて、まず、組織の在り方に着目するらしく、役職固め、会則・規約づくりや改正に乗り出す。これまでは運用と知恵で何とかやってきたことが許せないらしく、細かいことをも決めたがったり、自治体との連携を強めて権威づけをしたりする。こうした傾向は、現役時代、役職者だった人に多い。現実は、そんな規則に、すぐ反応するわけもないが、「私が改革してやった」みたいなことを言う。思うようにいかないと、さらに、新しい組織や会、NPO法人を立ち上げたいとする人たちもいる。そのリーダーになれば、居場所づくり完成である。割れ窓理論とか、報・連・相(報告・連絡・相談)が要とか、シニアには、きょういく・きょうよう(今日行く・今日用)が必要だとか、そんな古めかしい話を何度聞かされたことだろう。

そうした活動が、自分の「趣味」の世界に徹していれば、比較的影響も少ないのだが、ことによったら、周辺の住民や仲間にとって迷惑極まりないことになる可能性もある。もちろん地道に、黙々とボランテイア活動にいそしむ人たちも多い。私もそんな人たちの背中を見て、自分の生き方に向き合いたい。

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2016年10月19日 (水)

日曜日は、池袋第五小学校のクラス会でした

 幹事の方々のお世話で、4年ぶりのクラス会だった。2年持ち上がりの担任のO先生の米寿のお祝いの会でもあり、ホテルの一室の壁には、幹事手づくりの「会次第」が貼られていたが、「旧池袋第五小学校」と「旧」が付いているのが、やや寂しくも思えた。すでに2005年、大明小学校との統合で「池袋小学校」と校名が変わっている。集うもの、昔の児童14人と賑やかであった。

O先生は、相変わらず絵画の制作にいそしみ、お元気そうで何よりだった。長い間所属されている「白日会」では、年会費が免除される特典に浴する年齢になられた由、感慨深げに話された。健康の秘訣はと問われ、まだ人が出歩かない早朝に、ほぼ毎日「歩く」ことではないか、とも語っていた。言うは易くしてと、わが身を振り返るのだった。

 私たちのクラスは、先生が教職について初めて送り出した卒業生だったという。先生が詰襟の学生服で写っている遠足の集合写真もある。たまたま隣になったOくんは、だいぶ前、先生の個展が地元の三越で開かれているのを知って出かけたところ、数十年ぶりの対面にもかかわらず、名乗る前に、先生から名前を呼ばれて、驚くとともに感激したとのこと。また、Sくんは、遠足で高尾山の頂上からの眺めに、隣の先生に「スゴイね、お父さん」と思わず叫んでしまってはずかしかったけれど、思うに、五人兄弟で、父親との接触が少なかったこともあって、たしかに先生は「お父さん」のようでもあったと。Tさんは、先生が風邪かで休まれたときに、放課後、何人かで、先生の住まいを訪ねて、小さな家の節穴から中をのぞいて帰って来てしまったとのこと、いや、私の記憶では、先生の家に皆で上がらせてもらった覚えがあるので、別の時だったかもしれない・・・。そんな話で盛り上がったが、まるで、『二十四の瞳』のような、と思ったものである。といっても、私たちのクラスは卒業時、55人だったので、「一一〇の瞳」ということになりそうだ。先生も、子どもたちの親たちも、苦難の時代、昭和20年代、池袋の話である。 

 

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池袋東口、パルコ(旧丸物百貨店)が途切れ、左に西口へのガードを見て、第2パルコの先が、線路沿いの池袋駅前公園となる。この公園の位置こそ変わらないが、当たりは一変している。クラス会会場は、右手の第一イン池袋だった。もちろん、こんなところにホテルがあるのも、ルノアールが入っているのも知らなかった。正面が、西武池袋スケートリンク跡に建てられた清掃工場の煙突で、これはかなり遠くからも見られる高さである。スケートリンクの手前には、人世座系列の名画専門の「文芸地下」があった。そういえば、第一インの手前の角から、池袋日活、池袋東急、池袋日勝館という映画館が並んでいたはずである。 今は、ビッグカメラとヤマダ電機が並んでいる。先生が長い間個展を開いていらした池袋三越は、今はヤマダ電機の本館である

 

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2016年1月23日 (土)

「その結論出すなら要らぬ有識者(荒川淳)」(「仲畑流万能川柳」毎日新聞2016年1月19日)~研究者は、今

 以下のエッセイは、昨年10月、日本科学者会議の知人に勧められて寄稿したものである。私は研究職に就いたことはないので、会員ではない。すでに旧聞に属する内容を含むものの、研究者や専門職の人たちが、改憲や戦争法整備に向かう安倍政権に抗議し、暴走を止めるべく、反政府運動の理論的な核となり、運動の支柱となることを信条に、かなり重なるメンバーで、あらたな会を立ち上げては記者会見などを開いている様子を目の当たりにする。しかし、これで、ほんとうに市民と一緒に安倍政権を倒す力になるのだろうかと、違和感を募らせ、焦ってしまうのである。あのとき立ち上げた会はどうなったの?と突っ込みたくもなる昨今なのである。そんな折、表題のような川柳を見つけた。私の駄文は、川柳一句に及ぶものではないが、再録しておきたい。

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             研究者は、今

    20147月、安保法案が閣議決定されたあたりから、研究者や大学人、弁護士会はじめ種々の専門家集団による法案に対する反対声明や抗議活動が活発になった。廃案運動では市民の先頭に立っての活動も顕著となり、マスメディアへの露出度も高くなっている。研究者が、研究室に閉じこもることなく、積極的に社会に向けて発信し、社会的活動をすることには大いに期待したいところである。 私自身は、11年間の公務員生活をはさんで、三つの私立大学の職員として20余年間、働いてきたが、研究者ではない。ただ、近頃、大学教員でもある夫とよく話題にもすることで、考えさせられることがある。私が大学の職員時代に、同僚とは、大学の先生の「昼と夜を知ってしまったね」と冗談を言い合ったこともある。「昼と夜」は「建前と本音」と言い換えてもいい。その落差もさることながら、時間軸で見たときの「ブレ」の在りようにも、疑問を感じることが多くなったのである。研究者たちの安保法案廃案運動やさまざまな発言の足を引っ張るつもりは毛頭ないが、最近の動向に着目したい。実名を出した方が、分かりやすいのではと思いつつ、ここでは控え、なるべく実例に沿って進めたい。

 

動員される研究者たち

 「UP」(東京大学出版会の広報誌)10月号には、「安倍談話とその歴史認識」(川島真、東アジア政治外交史)という文章があった。「安倍談話」には一言も二言もあるので、飛びついて読んでみた。執筆者は、北岡伸一らとともに「二十一世紀構想懇談会」の一員だったはずである。だから、内容的にはある程度予想はできたのだが、かなり客観的な筆致で「安倍談話」の意義と一定の評価を与えるというのが基調であった。そこでは、「村山談話」など歴代内閣の談話を「全体的に引き継い」でいるのであって、個別的には、日露戦争に高い評価を与え、満州事変以降の国際的潮流に反し国家の進むべき道を誤ったという見解は、先の懇談会の提言書に即しているといい、謝罪を子子孫孫まで引き継がせたくないとしながらも、「世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合う」とする部分があるのに、メディアは注目していない、とも指摘する。さらに国際社会の反応として、反省や謝罪が引用であり、謝罪を継承させないと印象付けたことに言及する一方、日本の「侵略」は満州事変以降とした認識については、一定程度の成果をおさめたとする。国内のメディアは、総じて肯定的な評価がやや高かったように思え、内閣支持率も一定程度回復し、政府にとっては意味があったのではとした。最後に「戦後日本政治で最も保守的とも言われる安倍政権で、最もリベラルな政権の一つとされる村山談話を引用し、継承したことは、日本政府の歴史へのスタンスの幅をほぼ決定づけることになった」と結論づけた。こうした結論に至るのは、もちろん自由であるが、執筆者は、文中においても、肩書においても、二十一世紀構想懇談会のメンバーであったことはどこにも記していない。編集者のことわりもない。懇談会のメンバーであったことは、むしろ積極的に公開した上で、私見を述べるべきだったのではないか。どこかフェアでないものを感じるのだった。

  上記懇談会は、首相の私的諮問機関であったが、行政が日常的にあるいは臨時に設ける、いくつかの審議会や諮問機関、あるいは企業が不祥事を起こしたときなどに立ち上げられる第三者機関には、有識者や専門家として、必ず研究者が起用される。そんなとき、「第三者」というよりは、大方は、設置者の意向に沿うような委員がまず選ばれ、そうではない委員も公平性を担保するかのように混入させるのが常である。設置者の事務方が作成した原案がまかり通る場合も多い。審議会行政と呼ばれる由縁である。今回の懇談会と談話作成過程の検証は今後の課題となろう。

 

時流に乗りやすい研究者たち

すでに引退した政治家が、とくに、自民党のOBの何人かが、いまの自民党の安保法制に真っ向から反対の意見を言い出すと、それをもてはやすメディアや野党にも、なぜか不信感が募るのだ。現役時代の数々を、過去を、そう簡単に水に流せるものなのか。「あの人さえ、いまは!」と時流やご都合主義になだれうっていくのを目のあたりにするのは、やり切れない思いもする。もともと、どこまで信用していいかわからなかった面々たちだからと、つい気を緩めてしまうこともある。

しかし、研究者の場合、専門性や論理性が求められているだけに、数年前に言明していたことと真逆のことを言い出したり、攻撃の対象としていた考え方に乗り換えられたりしたら、戸惑ってしまうではないか。周囲の状況が激変したからとか、自分が成長した証だと言われてみてもにわかに信じがたい。また、微妙な言い回しで、自らの立ち位置を目立たぬようにずらしてしまうという例もある。階段教室に、みんなで並べば怖くないみたいなノリで記者会見に臨んだりしているのは、いささか研究者らしからぬと思うのは、私だけだろうか。目立つところには喜々として立つが、事務方や裏方を好まず、職場や地域での地道な活動には身が入らないという例も意外と多いのがわかってきた。国際政治学専攻の知人が隣家の猫が自宅の庭に侵入して、悪さをするので困っている、と話しているのを聞いたことがある。全然話し合いにならないものだから境界に薬剤を撒いているとのことだった。国境紛争や国際政治を大局的に捉えている専門家なのにと、思ったことだった。

(『日本科学者会議東京支部個人会員ニュース』No.105<戦争法制と私>特集増刊号1110日、収録)

 

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2015年10月23日 (金)

「放送大学、政権批判の問題文削除」が問うもの

 「UP」という東京大学出版会の広報誌がある。出版会新刊書の著者によるエッセイであったり、植物や建築探索であったり、かなり幅が広い。 私が楽しみにしているのは、「すずしろ日記」という美術が専門の山口晃さんの連載マンガと、もう一つは、日本美術史専攻の佐藤康宏東大教授の「日本美術史不案内」という2頁ほどの連載である。マンガは、中年の共働き夫婦のペーソスあふれる日常が描かれていて面白い。「不案内」の方は、古今東西の美術作品・美術書・美術展や芸術家を対象に、最近のトピックスを交え、様々な切り口での「案内」は新鮮で、楽しい。ところが、10月のはじめに届いた10月号は違っていた。「日本美術史不案内78」は「政治的中立」と題され、津田清楓の「ブルジョア議会と民衆生活」(1931年)と題された議事堂の絵と山口逢春の「香港島最後の総攻撃図」(1942年)の写真が目を引いた。

 放送大学客員教授でもある佐藤教授の担当は放送大学「日本美術史」である。今回のエッセイでは、2015年度第1学期の自分の試験問題文(726日実施)の冒頭部分を、まず引用していた。

― 現在の政権は、日本が再び戦争をするための体制を整えつつある。平和と自国民を守るのが目的というが、ほとんどの戦争はそういう口実で起きる。一九三一年の満州事変に始まる戦争もそうだった。それ以前から政府が言論や報道に対する統制を強めていた事実も想起して、昨今の風潮には警戒しなければならない。表現の自由を抑圧して情報をコントロールすることは、国民から批判する力を奪う有効な手段だった。

 

この問題文に対して、試験の終了後、受験者のひとりから、「現政権への批判は審議の事案への意見は、教育者による思想誘導と取られかねない」とのメールを受けた放送大学は、大学生用のサイトから、この部分を「不適切であったため削除」した。放送大学が一方的に不適切として判断し、一部を削除したのは不当な措置だと考え、撤回を求めたが、容れられず、客員教授を辞した、という経緯が書かれていたのである。

  試験問題の冒頭部分は戦前戦中期の美術について、いまに生きる自身の問題として考えてほしいという受験生へのメッセージであったという。そして、放送大学が放送法に規制されるのはわかるが、として、最後に「政治的中立とは政権から距離を保つことであって、政権の意向を慮ることではない」と結ぶ。

私には、問題文の全容がわからない。どんな文脈の中での文章だったのかも覚束ないながら、1020日、『毎日新聞』が最初に報道した。手元の新聞とその後、調べた範囲でまとめてみる。

1020日『毎日新聞』「放送大 政権批判の問題文削除 単位認定〈試験に不適切〉」(日下部聡)

1020日 0955

― 放送大は単位認定試験の過去問題と解答を学生ら関係者だけがアクセスできるサイトに公開している。佐藤氏によると、7月28日に大学の事務担当者から「学生から疑義があった」として、学内サイト公開前に問題の削除や修正を求められた。

― 佐藤氏が大学側の求めを拒むと、該当部分の削除を通告する文書が8月上旬、宮本みち子副学長名で届いた。削除理由として「現政権への批判が書かれているが、設問とは関係なく、試験問題として不適切」「現在審議が続いているテーマに自説を述べることは、単位認定試験のあり方として認められない」と記されていた。

― これに対し佐藤氏は納得せず、昨年度から2019年度まで6年間の契約だった客員教授を今年度限りで辞めると大学側に伝えた。佐藤氏は「学生に美術史を自分のこととしてリアルに考えてほしかったので、この文を入れた」と説明した。その上で「大学は面倒を恐れて先回りした。そういう自主規制が一番怖い」と話す。

②『日本経済新聞電子版』(1020 13:00配信)(共同配信)「放送大、政権批判の試験問題文削除 「学問の自由侵害」の声も 

― 佐藤教授は「自分自身の問題としてとらえてほしいと思って書いた。試験問題まで制約を受ける

のは大変遺憾だ」と話している。

― 一方、来生新・副学長は「放送大学は放送法を順守する義務があり、放送法4条には『政治的に公平である』と定められている。意見が分かれている問題を、一方的に取り上げており不適切」としている

③『朝日新聞』(102113版)「政権批判の問題文削除 放送大〈中立性に配慮〉」(伊藤あずさ)

*デジタル「放送大学、政権批判の問題文削除 作問者〈過剰な規制〉」

10210723 

― 単位認定試験の問題に安倍政権を批判した文章が含まれたのは不適切だったとして、放送大学が学内サイトに掲載する際に該当部分を削除していた。大学側は「放送法により、政治的に公平でなければならない」と説明する。だが、総務省放送政策課の担当者は「今回のケースは法に触れず、試験まで規制対象としたのは無理がある」と指摘。

― 作問した放送大客員教授の佐藤康宏・東大教授(60)は「戦前・戦中期の美術史について、学生に自分たちの身近な問題に引きつけて考えてもらうために必要」と説明した。(中略)「学問の自由が認められず残念だ」と話した。

― 来生(きすぎ)新・副学長は「放送法の規制を受け、一般大学より政治的中立性を配慮しなければならない。試験問題も放送授業と一体。問題文は公平さを欠くと判断した」と削除理由を説明した。 

④『産経ニュース』(1021 15:30 「放送大学、単位認定試験で“偏向”問題を出題 〈現政権は再び戦争を始めるための体制…〉指摘受けサイトから削除 

― (放送大学側は)佐藤氏に対し、文書で「現政権への批判が書かれているが、設問とは関係なく、試験問題として不適切」「現在審議が続いているテーマに自説を述べることは、単位認定試験のあり方として認められない」として削除を通告した。佐藤氏は「試験問題は放送法の適用を受けないのではないか」「同意なく削除されたのは著作権の侵害」などと反論し、今年度限りで辞任する意向を大学側に伝えたという。 放送大は一般大学と異なり、放送法を順守する義務を負う。

― 放送大の来生(きすぎ)新(しん)副学長は削除理由について「政治的に公平で、意見が対立している問題は、できるだけ多くの角度から論点を明らかにしなければならない。 

⑤『NHKWebニュース』(10202211)客員教授の問題文「公平性欠く」 放送大学が一部削除

― 佐藤客員教授は、ことし7月に行われた日本美術史の単位認定試験で、戦前・戦時中に国に弾圧されたり軍に協力したりした画家に関する問題文の冒頭に、「現在の政権は、日本が再び戦争をするための体制を整えつつある」などと記しました。

― これについて放送大学は、放送法に照らして「公平性を欠き不適切だ」などとして、その後、学内のオンライン上に試験問題を公開する際に文章の一部を削除しました。

佐藤客員教授は「学生には戦前・戦中の美術について自分自身のことに引き付けて考えてほしくて文章を入れた。大学側の対応は、批判が来ることをおそれた過剰防衛ではないか」と話しています。

一方、放送大学は「意見が対立する問題について一方的な見解を伝えるのは、放送法上不適切だと判断しただけで、政権批判をしたから削除したわけではない」としています。

大学側の措置に対して佐藤客員教授は「みずからの著作物である試験問題の一部を同意を得ずに削除されたことは遺憾だ」として今年度限りで辞任すると申し出て、大学側も了承しました。その結果、平成31年度まで担当することになっていた日本美術史の講義も今年度かぎりで終了することになりました。 

これらの報道を、時系列でみると、NHKは、毎日や日経(共同配信)の報道を受ける形で、報道した形跡がある。他の報道と比べ、事実関係で気になるのは、670人のうちの1人の受験生からメールで抗議を受けたことから始まった件であったことが伝えられていないことだろうか。それに、もう一つ。1020日の夜10時過ぎにNHKオンライン上で配信されたウェブ・ニュースが上記⑤なのだが、この前後のテレビのニュース番組「ニュース7」「ニュースウォッチ9」「News Web」で放映されていないことはNHKにも確認した。明言できないが、おそらくテレビでは報じられていないだろうとのことだった(NHKには、チェックの手立てがないそうだ?!)。

ということは、ネット上の配信だけで、テレビには登場しないニュースであった。テレビやラジオには登場しない、ウェブ上だけの“お蔵入り”の「その他のニュース」が存在する。何を放送・放映するかは、編成次第なのである。

一方、「表現の自由」「学問の自由」「大学の自治」が、さまざまな形で、徐々に侵されてゆくなかで、研究者や大学人たちが、研究室に閉じこもるのではなく、社会に向かって発言したり、社会的活動をしたりする積極性は、大いに評価されるべきだろう。しかし、そこにはおのずから、専門性と倫理性が問われるべき時代にもかかわらず、いたずらに衒学的だったり、簡単に時流に乗ったりして、自己顕示や欲望に抑制を欠く研究者が目立つことも確かで、生活者たる市民の感覚を忘れないでほしい、と思う。

<参考>

放送法

(放送番組編集の自由)

第三条  放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。

(国内放送等の放送番組の編集等)

第四条  放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。

  公安及び善良な風俗を害しないこと。

  政治的に公平であること。

  報道は事実をまげないですること。

  意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること

<追記>10月25日

上記記事執筆後、以下の記事を見出しました。弁護士の金原氏とお笑いの「おしどりマコとケン」さんの3人は、いずれも放送大学大学生の現役生で、私たちのアクセスできない情報にも接し、マコとケンさんは、渦中の佐藤教授に「突撃取材」をしています。関心のある方は是非お読みください。

 

①弁護士・金原徹雄のブログ

http://blog.livedoor.jp/wakaben6888/archives/45780419.html

20151024

放送大学長「単位認定試験問題に関する件について」を批判的に読む ※追記あり

20151022

放送大学「日本美術史('14)」単位認定試験にかかわる見ごせない大学の措置について ※追記あり

 

 

OSHIDORI Mako&Ken Portal / おしどりポータルサイト 

L.C.M.PRESS Oshidori Mako&Ken mako oshidori

2015-10-24 取材最新記事

 

放送大学:政権批判を自主規制① 「政治的中立とは、政権から距離を保つこと」

 

放送大学:政権批判を自主規制筆者が学長に出した速達

 

放送大学:政権批判を自主規制 学長の説明に疑問 岡部洋一放送大学学長さま 

 

 

 

 

 

 

 

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2013年8月11日 (日)

『天皇の短歌は何を語るのか』(御茶の水書房)刊行のご案内

猛暑お見舞い申し上げます。

このたび、『天皇の短歌は何を語るのか』が上梓の運びとなりました。『短歌と天皇制』(1988年)『現代短歌と天皇制』(2001年)につづくテーマですが、店頭で手に取ってご覧いただければうれしいです。じっくり読もうと、もし思われましたら、ご購入いただければありがたいですが、なにせ 高額なものですので、近くの図書館にリクエストしていただければ幸いです。

本書には、今回初めて、索引を付しました。人名索引だけですが、面倒な作業となりました。ミスなどないか心配です。

また、短歌総合誌などに寄せたエッセイなど幾つかを、コラムとして収録しました。相変わらずながら、多くの図表や年表を作成いたしましたので、本文の補足になれば何よりと思っています。

このような表紙のカバーとなりました。若生のり子さん、ありがとうございました。菊をテーマに、重くならず、「青い花火」のような涼しさも感じられますが。

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<御茶の水書房HP>よりNEW
『天皇の短歌は何を語るのか
―現代短歌と天皇制』

         著者:内野光子
    2013年8月刊行
       定価:3990円(本体3800円+税)
    ISBN:978-4-275-01044-5

*****************

『天皇の短歌は何を語るのか―現代短歌と天皇制』 目次

Ⅰ.天皇の短歌は何を語るのか―その政治的メッセージ性

1.昭和天皇の短歌は何が変わったのか

.象徴天皇の短歌―皇統譜と護憲とのはざまで

3.天皇の短歌、福祉・環境・災害へのまなざし

4.天皇の短歌、平和への願いは届くのか 

Ⅱ.勲章が欲しい歌人たち―歌人にとって「歌会始」とは
1.勲章が欲しい歌人たち
2.芸術選奨はどのように選ばれたか
3.戦後64年、歌会始の現実
4.「歌会始」への無関心を標榜する歌人たち
.「歌会始」をめぐる安心、安全な歌人たち
6.東日本大震災後の歌会始
7.「社会詠」論議の行方                                                                     

Ⅲ.メディア・教科書の中の短歌
1.短歌の「朗読」、音声表現をめぐって 
2.竹山広短歌の核心とマス・メディアとの距離  
3.教科書の中の「万葉集」「短歌」  
.主題の発見―国家・政治・メディア
5.中学校国語教科書の中の現代歌人―しきりに回る「観覧車」

Ⅳ.『ポトナム』をさかのぼる
1.小島清、戦前・戦後を「節をまげざる」歌人
.『ポトナム』時代の坪野哲久 
.内閣情報局は阿部静枝をどう見ていたか―女性歌人起用の背景―  
4.醍醐志万子―戦中・戦後を一つくくりに
.『昭和萬葉集』に見る『ポトナム』の歌~第五巻・第六巻
  
(一九四〇~一九四五年)を中心に

コラム7件
図表・年表13件 

あとがき
人名索引

***********

家の前の駐車場側溝の根性スイカ、二つ目はかなり大きくなりそうです。三つ目がすでに向うがわに実り始めました。一つ目は、大きくならない前に、満身創痍、朽ちてしまいました。

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2012年11月 1日 (木)

小学校の「ふれあいコンサート」に招かれて

 ここ4年ほど、地元の小学校の通学路で、交通見守りのボランティアに参加している。そのためか、合唱発表会に招かれた。遠い昔の娘の合唱祭以来である。NHKの合唱コンクールの中継などを聞いても、各地区の代表校だけに、その歌声があまり整い過ぎていたり、過酷な練習風景が紹介されたりすると、興味を失いかけることもある。 
 きょうのコンサートは、ボランティアであいさつを交わすようになった児童やご近所のお子さんの顔が見えるので、親しみやすい。通学路では、いつもおしゃべりに余念のない女の子がきりりと指揮をとっていたり、また、休日は、バットを背に自転車で走り去っていく野球少年が鍵盤ハーモニカに懸命に取り組んでいたりする姿などは、微笑ましく、頼もしい。
 幕開けは、合唱部の「くじら」(谷川俊太郎作詞 松下耕作曲)「学校へ行きたい」(里乃塚玲央作詞 大田桜子作曲)だった。「くじら」はアカペラで苦労の跡が見えた。後者は、昨年のNHK合唱コンクールで歌った曲ということで、「きのうテレビのニュースで どこかの国の難民キャンプを見た 救援物資に並ぶ子供たちが カメラをまっすぐ見つめていた」の歌詞に引き込まれ、確かに力強い。各学年がそれぞれ合唱曲と合奏曲を演ずる。合唱曲の3年生「すてきな友だち」(梶賀千鶴子作詞 鈴木邦彦作曲)、5年生「夢を抱いて」(富岡博志作詞作曲)、4年生「未来へのステップ」(松井孝夫作詞作曲)、6年生「未来への賛歌」(?)は、いずれも私など初めて聴く曲だった。それらの詩を帰宅後検索して、あらためて眺めてみると、どれにも、未来・夢・明日・仲間などの言葉が頻繁に登場し、抽象的で優等生的なのが気になりだした。2年生「黄色いリボン」、5年生「カルメン前奏曲」などの合奏にはなぜかホッとしたのだった。 最後に、全校生徒が歌ったのは「地球星歌」(ミマス作詞作曲)であった。
 私の池袋第五小学校時代、なんのコンクールだったのだろう、豊島区の代表として日比谷公会堂で「花」を歌ったのを思い出す。いまでも口をついて出る「花」はアルトの部分である。指導にあたったO先生、怖い先生だった。お住まいがずーっと私の実家の近くで、義姉によれば、亡くなる直前まで、煙草を買いに来られていたそうだ。それも数年前の話になってしまったが。

 

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