2023年11月11日 (土)

紫綬褒章の受章者はどのようにして決まるのか

「またまた、もういい加減にして」の声も聞こえるが、やはり、書きとどめておきたい。
 俵万智(六〇)が二〇二三年秋の紫綬褒章を受章した。多くのマス・メディアには、彼女のよろこびの言葉が報じられていた。短歌関係の雑誌は、どう扱うだろうか。

 紫綬褒章は、内閣府によれば、「科学技術分野における発明・発見や、学術及びスポーツ・芸術文化分野における優れた業績を挙げた方」に与えられるとある。
 1955年に新設された紫綬褒章は、これまでも多くの歌人たちが受章している。近年では、2014年栗木京子、2017年小島ゆかり、今年の俵万智と女性が続いたが、1994年の馬場あき子以来女性は見当たらず、1996年岡井隆、1999年篠弘、2002年佐佐木幸綱、2004年高野公彦、2009年永田和宏、2011年三枝昂之、2013年小池光と男性だった。女性が続いて、歌壇の現状がようやく反映されるようになったとよろこんはでいけない。
 そもそも、受章者はいったい誰が決めるのだろうか。当ブログでも、「文化勲章は誰が決めるのか」の記事を何度か書いてきた。さて、紫綬褒章はどうなのか。

 「褒章受章者の選考手続について(平成15年5月20日)(閣議了解)」によれば、根拠法は、なんと「 褒章条例(明治14年太政官布告第63号)」であって、「明治」なのである。 褒章の種類は、紅綬、緑綬、黄綬、紫綬及び藍綬で、受章者の予定者数は、毎回おおむね800名とし、春は4月29日に、秋は11月3日に発令する、とある。
 「議院議長、参議院議長、国立国会図書館長、最高裁判所長官、内閣総理大臣、各省大臣、会計検査院長、人事院総裁、宮内庁長官及び内閣府に置かれる外局の長は、春秋褒章候補者を内閣総理大臣に推薦し、文書により、あらかじめ、文書により内閣府賞勲局に協議する。内閣総理大臣は、推薦された候補者について審査を行い、褒章の授与について閣議の決定を求める」となっている。

 4月19日は、かつては「天皇誕生日」という祝日で、昭和天皇の誕生日であった。すでに知らない世代も多いのかもしれない。11月3日は、「明治節」、明治天皇の誕生日という祝日であった。 

 なお、内閣府の「栄典の手続き」によれば、その手続きは、以下のようになる。要するに、各自治体及び関係団体、各省庁、内閣賞勲局の間で行ったり来たりしながら、内示の段階でほぼ確定ということになる。つまりは、役人が選考しているので、「文書」にいくつもの押印はあったとしても責任は不問に近い。なお、「栄典に関する有識者」の会議の委員は3年任期で、年に1・2度開催して、栄典の在り方を大所高所からの意見を内閣総理大臣に届けるらしい。その委員たちは、大学教授だったり、会社の社長だったり、他の審議会にも掛け持ちのような「常連」が多い。中には、元内閣官房副長官杉田和弘の名もあった。

 以下、直近の受章者数、その中の紫綬褒章受章者、女性の割合を示し、選考過程の流れを図解してみた。

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 その点、少なくとも民間の、雑誌社やいろんな団体から、歌人に与えらる賞は、選者や選考委員が明確ではある。その先のことは知らないが。

 私は、かねてより、あたらしい憲法のもとでは、国家による勲章や褒章の制度を批判してきたし、結論的には不要と思っている。というより、法の下の平等に反するし、差別――人間のランキングを助長する害悪とも思っている。さらに、選考過程をみると、役人サイドで、綿密に審査がなされているらしいことがわかる。役人たちが、この人なら、「ハメ」を外さない、「安心安全な歌人」として、褒賞されるとみてよい。岸田内閣のような、閣僚、政務官選びの杜撰さとはわけが違うようなのだ。

 

 

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2023年4月25日 (火)

支持政党はないけれど、選びたい人を探してでも

選挙公報が遅いのは

 支持政党がない、選びたい人もいない、というときは、棄権か、白票を出したいときもある。今回は、通院のついでに、県議選も、市長・市議選も不在投票で済ませたのだが、ともに、選挙公報が届く前だった。23日の市長・市議選の公報が届いたのは4月20日だった。選挙のたびに思うのだが、公報をしっかり読んで選びたいのに、どうして遅れてしまうのか。地元の候補者の選挙カーが、何度も町内に回って来るのだが、政治姿勢や政策を伝えるのはムリで、いや、政策なるものを持たない候補者もいそうで、大方は名前の連呼で終わる。昼間は勤めに出ている現役世代は、それさえも知らずに投票することになる。何を基準に選んでいるのだろうか。

 私は、身近な議員の日常活動や事前運動のチラシなどを見るようにしている。かつては、関心のあるテーマでの質疑があるときは、議会の傍聴に出かけていたこともある。いまはその気力も失せてしまったし、いくつかの交通機関を利用しての市議会への道は遠い。

<無所属>の見極め

 県議選の千葉9区は定員3人、立候補4人で、自民、立憲、市民ネットワークの3人が当選した(自民以外は女性)。 市議選は、定員28人、立候補33人。前回の立候補は42人だったので、ある候補者は、「今回は“泡沫”がいないので、きびしい」と漏らしていた。無所属17人、自民4人、公明4人、市民ネットワーク3人、共産2人、新社会1人、国民民主1人、参政1人が立候補、無所属の5人が落選したが、他は全員当選している。当選した無所属の12人のうち、10人という保守系の最大会派さくら会は、今回の当選者が5人と半減した。2人の現職が落選、引退、元職2人が加われば7人か。自民系が2人、1人会派2人という内訳になる。保守系を寄せれば、さくら会系8人、自民系6人、公明4人合計17人、それに、参政1人が、どう動くのか。

 市民ネット3人、共産2人、新社会1人の計6人、そして、ひとり会派の2人は保守派に取り込まれることなく、頑張ってほしい。ひとつ残念なのは、つねに上位当選していた市民オンブズマンのFさんが立候補せず、後継者もいなかったことだ。

既成政党の停滞と地域政党の動向

 それでも、今回の地方統一選挙で、県議の3人の内2人が女性だったこと、市議全体28人中10人が女性であることに変わりはないのだが、当選者の上位5人がすべて女性であったこと、前回が1人であったことと比べれば、何かが少し変わるきっかけになればと期待したい。

 なお、前回と比べると、市民ネットは3人で9012票、2200票増やし、公明4人で8699票、1335票減らし、共産2人で3327票、前回は3人立てていたが、1319票減らしたことになる。市民ネットは、佐倉市特有ながら、この躍進ぶりは、かつてのように4人立候補してもよい勢いであるが、オンブズマンFさんの票が回ったのかもしれない。

 公明が減らしているのは、全国的な傾向でもあったらしい。現職の公明党議員が、支持者の高齢化を嘆いていたのを聞いたことがある。周辺を見ても、共産党の支持者の高齢化は著しいものがあり、党員のセクハラ、パワハラ、除名問題なども複合的な要因になっているのではないか。

 また市長選では、現職の西田三十五が当選したが、市民ネットと共産などが支援した弁護士の清田のり子とは185票の僅差であった。清田の善戦は、今後の市政に反映されるにちがいない。

 再選された西田市長は、市議・県議時代、「五か条御誓文」や「教育勅語」の復活などを主張していたと記憶する。現職を破って市長になったときは、どうなることかとびっくりしたが、その主張は「封印する」と市議たちには漏らしていたそうだ。コロナ対策交付金の手続きミスで、5・3億円を返還する羽目になり、介護保険の交付金でもミスをしている。図書館との複合施設「夢咲くら館」の建設にあたっても、予算をはるかに上まわった上に、このブログでも指摘ように、市民の声に耳を傾けない強引な手法で進めたこと、統一教会との濃密な関係など、この4年間の負の足跡はぬぐい切れず、不安が大きい。

 なお、選挙公報を読んでいて、これはまずいんじゃないの、という一件があった。どういうわけか、共産党の二人が横並びの枠で、名前と経歴だけが違うという以下のような誌面だったのである。ともかく他の候補者は、同じ政党であっても、少しづつ自分の政策、訴えらしきものを語っているのだが、判で押したように、とはこういうことなのだろう。同じ党なのだから、共通の政策を打ち出すのはいいが、やはり候補者なりの訴え方や個性のようなものが伺える紙面の方が親しみやすいのでは。

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右側に候補者名と党名、下段には小さな字での経歴が記されていた。

<参考>
2023年43日佐倉市議員選挙結果
https://www.city.sakura.lg.jp/material/files/group/1/20230423kaihyokekka0005_shigi_t.pdf

2019年421日佐倉市議員選挙結果
https://www.pref.chiba.lg.jp/senkan/chiba-senkyo/documents/010421sakura-gi_2.pdf

 

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2023年3月 7日 (火)

危うい佐倉市立図書館オープン~”夢咲く”どころではない「夢咲くら館」

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写真は「夢咲くら館の今」佐倉市ホームページから。屋上から飛び出す長い庇?キャノピーというそうだ。無用なだけではない、危険な長物、これだけに一億円もかけたという。
https://www.city.sakura.lg.jp/soshiki/shakaikyoikuka/286/16573.html

図書館らしからぬ??

 3月4日、新しい佐倉市立図書館が、市の複合施設「夢咲くら館」のなかに、オープンした。「佐倉」と「咲くら」のごろ合わせのネーミングもいまひとつ。写真にあるこの施設には、図書館と子育て交流センター、地域情報発信コーナーやカフェなどが併設されてのオープンだった。5年前、旧佐倉市立図書館の老朽化のために計画された新図書館なのだが、その計画から、出来上がりまでに、図書館らしからぬ数々の危険と不安が浮上してきたのである。当初より市民有志による「より良い佐倉図書館が欲しい会」が、多くの問題点を指摘してきた。

 当初、地上三階建ての15億円の予算であったのが、地下1階、地上2階となり、2022年度(令和4年度)予算の概要では、つぎのように説明する。図書館を含む複合施設は「(仮称)佐倉図書館等新町活性化複合施設整備事業、交通安全施設整備事業や橋梁維持事業等の施設整備費の増加により、普通建設事業費は全体で 37.7 億円と 26.7 億円の増加となった」として、その事業費は当初の二倍以上になったのである。これだけでも計画の杜撰さが目に余り、議会の多数会派はいったい何をやっていたのだろう。設計事務所、工事業者の選定も不明確極まりないものだった。設計事務所は、事前に市と協議をしていたり、不祥事続出、指名停止を何度も繰り返している前田建設が落札したりしている。

 地下の掘削、その土砂の処分、埋蔵物撤去の過程で軟弱地盤が判明、くい打ち工法の強化が重なり、工事費は増額していく。床の強度の必要から、地下があるならば、保管、書庫機能を置くのが普通だが、新図書館は、まるで逆なのが不思議でもあった。障がい者対応、災害対応のリスクも解決されないまま、オープンしてしまったのである。

職員の半分は司書資格がなく、非正規には司書資格を求める?!

 図書館の建物もさることながら、図書館のカナメは人と本、人材と資料である。下記の当ブログの記事でも指摘しているが、あらためて、佐倉市の最近の図書館関連予算を調べて驚いた。

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 すでに決算が出ている2021年度(令和3年度)以降で見てみると、佐倉市立図書館の「人と本」の実態はと調べてみたのだが、まことに“残念な”実態であった。正規の職員には手厚いが、会計年度任用職員は、職員の二倍ながら、その待遇は見ての通りである。最近の会計年度任用職員の募集案内によれば、図書館については、司書資格ないし図書館勤務5年以上が条件となっているが、7時間45分勤務、夕方の4時間勤務の二種類で、いずれも2~4日に限られる。いずれも時給1030円である。「千葉県の図書館2022(公開版)」というデータでは、2021年度決算によるとみられるが、当初予算で21人とあったが、23人となっていた。さらに、21人の内訳として、司書資格持つ者が11人、その他が10人となっている。会計年度任用職員に司書資格を求める一方、職員の半分は資格を持っていないことになる。もちろん、資格の有無だけで、仕事への熱意と能力が問われるはずもないことは、かつて、ある大学の司書講習会で10年ほど講師を務めた経験や講習会修了生たちと同じ職場で働いた経験からも承知はしているが、司書資格が図書館業務の入り口であることに変わりはないだろう。

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『こうほう佐倉』2022年12月15日号より。

 なお、『千葉県の図書館』の職員人数23人と予算書21人の食い違いを、市の財政課に尋ねたところ、2人は、再任用職員ではないかということであった。決算書の人件費については、すべて人数が省かれているというのも、市民には理解しがたく、実態をわかりにくくしているのではないか。
 さらに驚いたこと、市内三館合わせての図書購入費が毎年3500万ほどしかない。表で見るように、2022年度と2023年年度の図書購入費は、3526万、千の位まで同額である。これって、最初、私の見まちがいかとも思ったが、同額だった。「去年と同額にしておけ」という冗談のようにも思える。「夢咲くら館」内に新図書館もスタートするというのに、まったく「夢」のない数字に、少々あきれもした。それもそのはず、新図書館は、書架などは特注品を購入する一方、「新しい本の購入は大型絵本とヤングアダルト向けだけというお粗末さ」だというのである(岡山眞治「図書館問題から見えた佐倉市政」『さくら・志津をまもりたい会ニュース』45号 2022年12月)。「夢咲くら館」には、増額に増額を重ねて37億以上の建設費を出す一方で、図書費が3500万とは、まさに”箱もの行政“の典型ではないのか。いつまでこんなことを続けているのか、続けさせているのだろうか。責任の一端は市民にあるといってもいい。私たちは、もっともっと図書館を利用して、自分がほんとうに読みたい雑誌や読まねばならない、読んでみたい本を、子供や若者に読ませたい本をリクエストしてみてはどうだろう。
 とりあえずは、館長以下職員は、何を考えているのだろうか。館長の職員歴を知りたいものである。

学校図書館では、今

 下記の、当ブログ記事では、学校司書の実態にも触れたが、今回は、ついでながら、市立の小学校23校、中学校11校の図書購入費を調べてみると、表のようになる。それぞれを、23校、11校に分配するそうだ。生徒・児童数によるのではなく、各校の「配備率」?によって、年々額が変わると、財政課は答えていたが。いずれにしても、少ない図書購入費にも思えた。あわせて34校の図書館に11人の会計年度任用職員の学校司書が奮闘しているわけなので、ただただ頭が下がる思いである。

図書館が危ない!司書という仕事(2022年8月31日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2022/08/post-fd7d26.html

 ついでながら、昨年12月15日『こうほう佐倉』の「市職員人事・給与などの状況」によれば、2022年(令和4年)4月1日現在、職員1024人、再任用職員57人、会計年度任用職員70人となっていた。この会計年度任用職員はフルタイム勤務職員のみの数字で、その他、パート勤務の800人以上の職員がいて、合わせると900人程度の会計年度任用職員に、市政は支えられていることになる。 こうした状況のなかで、図書館への指定管理制度の導入の声が聞こえないわけでもない。「 2021年9月現在,283自治体,731館において指定管理者により管理運営が行われていることが確認できる」とする調査もある(桑原 芳哉「公立図書館の指定管理者制度導入状況 2018年度以降の動向を中心に」『尚絅大学研究紀要A』2022)。しかし、指定管理者制度導入館は漸増しているが、さまざまな不具合から、自治体直営に戻った図書館も多いのである。佐倉市にも懸命な選択を望みたい。

 

 

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2019年4月15日 (月)

違法ポスターをはずさない、現職市長候補~佐倉市では、また、こんなことが

私たちの佐倉市も、市長選、市議選の選挙が始まった。もう数週間前から気になっていたのだが、現職市長と財務大臣の顔と名前が大きいポスターが、街のあちこちにいっせいに張り出された。大臣の名前の上には「弁士」となっているから、申し訳のような演説会予定みたいなものも刷り込んではいるのだろうが、事前運動にしては半端ではない数なのだ。それも、地元の不動産会社山万のマンションや分譲地の塀にしっかりと結び付けられ、山万所有の空き地には、木枠のついた立て看板が100mいや50mごとに並ぶこともある。買い物や散歩に出るたびにいやというほど目にして、気分が悪くなるほどである。

この間、麻生・安倍の忖度道路スキャンダルもあったし、新札発行の発表を何でこのタイミング?の疑問も残る財務大臣の顔だけに、やりきれない。そのポスターは、告示日が過ぎても、いっこうに撤去される様子もない。

 

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 計画道路沿いの空き地に続く<二連>の立て看板。

 念のため、市の選挙管理委員会に電話をしてみた。そのポスターの存在は把握していて「告示日以降は完全に違法です。事前に指導はしていたのですが」と話していた。「通報もありますので、通告、指導します」とのことだった。どのくらい「本気」でやってくれるのかな。

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なかには、こんなものが。貼り忘れたのか、誰かがはがしたのか。といっても数十メートル先にはたっていました。

 その上、この現職市長候補Wと地元業者には、もう一つスキャンダラスな要素が加わるのだ。というのも、4年前の市長選の<狂騒>を知っている人から見れば、「エッ?!」なのである。4年前の市長選の折にも、ユーカリが丘駅前への順天堂大学誘致をめぐって、市に25億の助成金を伴う誘致に慎重だった現職と推進派の候補者との熾烈な醜い争いだった。誘致推進を前面に押し出した現職の対立候補の後ろ盾は、大学誘致を駅前開発の目玉にしたかった山万で、その選挙活動は、実にえげつないものだったことは記憶に新しい。その一部は、このブログでも10本近い記事にしているので、関心のある方は、参照いただきたい。

 ところがである、前回市長選で、対立候補N陣営は、現職候補についてさまざまな怪文書を街中に配布したり、山万の管理地には対立候補Nと地元の著名人?マラソン指導者Kの顔写真のポスターを張りまくったりしたのである。告示後の選挙運動中にも、そのポスターが撤去されることはなかった。なんとポスターの顔が変わっただけの今回の展開なのである。

 前回、再選された現市長に、そして山万に、「節操」というものがないの? いやはや、現代は、右も左も「節操」なんて死語になってしまった感もある。目の前の「利益」に動かされて身を処することが横行している。今回、山万がかつての攻撃対象の現市長を担ぎ出したのには、あまりにも露骨な経過があった。これもすでに、当ブログで記事にしている。

・佐倉市は、不動産屋に?山万の空きビルの一部を借り上げて、貸室業をやるらしい!
(2018年12月10日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2018/12/post-2945.html

 佐倉市が、国から補助金約5000万を引き出した上、駅前の山万のビルの空きスペースを「スマートオフィススペース」と称して、年間840万円の賃料で借り、起業家などの市民に貸し出すという計画、予算が、市民の知らない内に議会を通ってしまったのである。山万は少なくとも、佐倉市という安定したテナントを10年間確保したことになるし、市長は、地元業者の支援を確実にすることになった。その互酬関係のために、国の税金と佐倉市の税金が投入されたことになる。貸しオフィスの利用がフルに稼働しても、元が取れるのは5年先だという。もし、利用者が少なかったら・・・、なんとも心もとない計画である。納税者の市民は、もっと怒ってもよいのではないか。

 現職市長の選挙事務所に「あのポスターは公職選挙法違反ではないですか」と電話すると、「すぐに撤去します、徐々に撤去しているところです」とはいうが、前回は、投票日の翌日に撤去するまで、放置された。警察は、「適切に処理する」と、どこかの総理大臣みたいなことを繰り返している。日本は「法治国家」なんですよね。選管や警察は何をしているのだろう。

 

ご参考までに、4年前の市長選の記事の一部を紹介します。佐倉の懲りない面々・・・。

◆2015年4月25日 (土)

明日が投票日だというのに~佐倉市長選挙、あふれる違反ポスター、虚偽中傷ネット広告を取り締まらない、取り締まれない?!

ネットの広告は、煩わしく、うるさいのだが、ブログなどただで使えるのだからとスルーするし、自分の検索ワードが自動的に反映されるのも気味の悪いものだが、それも受忍してきた。

しかし、2日ほど前から、「公式佐倉市民の皆様へ 順天堂大学からの公式発表です。」という動画広告が出るようになった。「公式発表?」動画を見てみると、当ブログでも触れた「順天堂大学の誘致を実現する集い」(4月16日開催)の、佐倉市と交渉にあたったというこの3月末日、その職を退いたS学部長のスピーチだったのだ。現在は何の責任もない大学退職者のスピーチが公式見解などとはとても思えない。その“公式見解”とは、現市長の中傷に終始するものであった。これって、対立候補妨害情報なのではないか。公職選挙法でネット上の活動が緩和されたからと言って、このスポンサーは誰なのか、これほどの費用を投入しているのは誰なのか。順天堂大学の学部の担当者に尋ねてみても、いまの時期、そんな「公式見解を大学は出すはずがありません、出していません」ときっぱり言っていた。少し驚いた展開となった。大学の担当者は、さらに「S前部長は、学部スタッフのOBではあるが、個人的な発言にすぎない」と明言していた。まさに虚偽広告を流すのは、だれなのか。

それに、これも前の記事でも触れたが、佐倉市内にやたらと貼られた、新聞全紙4枚ほどの大きなN市長候補とマラソンの小出監督とのポスターは、やはり公職選挙法違反ポスターだった。小さい字で書かれた講演会通知を標榜するこのポスター、告示後は完全なる違反ポスターなのだ。市の選挙管理委員会は、4月19日告示前も告示後も、候補者にはただちに撤去するよう、警察署には取り締まるよう通知している、とはいう。警察も、民有地に貼られている以上、撤去は出来ない、という。選挙管理委員会は、「通知しかできないで、歯がゆい」とまで言う公職選挙法って?

25日朝現在、私の知る限りユーカリが丘近辺の違反ポスターは野放しだ。N候補の選挙事務所は、違反ということなので「回収中」「撤去中」というのみで、まるで蕎麦屋の出前が遅れたときのセリフ「今出ました!」ではないか。明日が投票日、事務所では、200枚中30枚回収したと言っているそうだが 

◆2015年4月28日 (火)

佐倉市長選挙余話~N候補の違反ポスター撤収は、投票日の翌日27日だった!

きのう、ある交差点で小学校の下校時交通見守りに参加していると、この記事でも何度か触れた、N市長候補の公職選挙法違反ポスターを撤去している人に出会った。「大変ですねえ、何枚くらい回収するの」と尋ねてみると、「200枚かな」とあっさり答えていた。「これって違反じゃない?」といえば否定もせず、ポスターを留めてあるテープをカットしながら、ポスターに候補者と並んだ、例の小出監督を指して「このヒゲ面と酒ヤケの顔がイケなかった」(それが敗因?)とブツブツといいつつ、車に運んでいた。支持者か業者だったのか。投票日の前日、選挙事務所が回収中と答えていたのは、方便だったのだなあ。翌日撤収の200枚という枚数は信憑性があるかもしれない。それにしてもそのポスターの下に小さく記してあった5月30日の二人のユーカリ駅前の演説会は中止なのかしら。

告示後の当ブログへのアクセス件数は、日ごとに増えて、投票日翌日の27日には普段の5倍を超えたのには驚いている。ネット上でも、違反ポスターと虚偽バナー広告の動画はかなり話題になっているようだった。どう始末をつけるつもりかしら。

 

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 2019年4月、芽吹きの良い季節なのに。東側のモクレンが頑張っていました。

 

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2019年3月14日 (木)

自治会総会の季節がやってくる~自治会の法人化は何をもたらすか

 

私の住む町内の自治会の総会は、いつもは四月に入っての日曜日なのだが、地方選挙もあってか、まさに年度末の331日に開催となった。その回覧板のリストから、お隣さんの欄に線が引かれていた。退会らしい。昨年は、東のお隣さんが退会している。寂しい限り。私たちの班は、現在、何世帯になってしまったのか。私が役員をやっていたころは、たしか22世帯であった。世帯の多い班は、回覧板を二手か三手に分けていた。自治会全員の会員名簿は、23年に1度は発行していたが、2005年個人情報保護法施行後は中止した。なので、現在は、自分の班の世帯数も把握できない状態だ。昨年、法人化されたので、役員執行部には、家族会員を含めた会員名簿が集約され、市役所にも提出されているはずだ。

   昨年、ご近所の友人から相談を受けた。お連れ合いを亡くされ、ひとり暮らしの彼女は、法人化にあたって、自治会への名簿提出の際、ひとり暮らしということも、年齢もわかってしまうので、書きたくない、でも自治会には入っていたい。やめたら回覧板とか来なくなるのでしょ?」と心配していた。私は、自治会を退会するよりは、名前だけは、仕方ないので書いて、年齢は不記入でもいいはず。自治会にとどまってはと、答えたのだった。名簿は役員限りといっても、役員は年々替わるし、名簿の類はいつ、どこで漏えいされるか予測がつかない時代なので、個人情報は最小限度でいいのではないかと思っている。

 これまでは、世帯主の名前と高齢者や要介護者がいる場合は申告によって、その人数が班長によって確認されていた。法人化されると、自治会員は、赤ちゃんまでが対象になるから、世帯全員の名前を書類で登録することを勧められる。何しろ対象区域内の全人口の3分の2をクリアするのが法人化の要件なのだ。2017年、法人化のための臨時総会が開かれた時も、世帯のプライバシーは、どう保護されるのかが問題になった。ある出席者は、子どもの名前まで書かせるのはおかしいのではないか、との疑問を投げかけていた。また、意思表示ができない子どもまで自治会員として議決権を与えるのはおかしいのではないか、という疑問もある。法人化を推進している市役所の担当課も総務省の住民制度課も、民法上、親権者が替わって意思表示できるから問題はないという。もちろん、子どもの名前を、自治会員としての名簿に登録しない選択はできるが、自治会の執行部は、ひたすら「協力」を呼び掛け、会員にならないと、会員としての利益は受けられない、みたいなことも言う。隣接の自治会の知人からは、もう決まったことなのだから、家族全員の名前を書くか、自治会を辞めるかどちらかだと迫られた、という話も聞いている。

 では、こうして、法人化された自治会のメリットは何なのだろう。強調されるのは、家族内、とくに夫婦や世代の違いで意見が異なる場合でも、その意思表示を議決に反映できる、自治会名で不動産登記ができる、住民であれば入会を拒めない点などである。

   さらに、都市部を離れると、入会地などの共同使用の山林を持つ集落の不動産登記などで明確化されることもあり、自治会執行部の恣意によって特定の住民を排除したり、村八分のような状況を避けたりできるという点で意味はあるかもしれない。

   しかし、私が一番不安に思うのは、家族まで会員にして、その議決権を個人単位で行使できるというのは、あくまで建前というより擬制であって、多くの世帯では、世帯主が家族の会員分を束ねて、議決権行使を代行しているのが実態ではないか。となると、家族会員分の複数の議決権を一人の意思で行使できることになり、その結果としての議決は、多数票が複数倍となることで、圧倒的な多数の議決になってしまう。ということは、多くの場合、役員執行部提案の議決などは、総会などに参加せずにいわば議論を経ないままの書類による議決権行使によって、あらかじめ趨勢が決まってしまうだろう。いわば「執行部へお任せ」に陥りやすく、総会などの議論の場の形骸化を招いてしまわないか。

   そして、さらに、私たちの自治会の規約のように、議決権を行使しない世帯の議決は、議長委任となると、圧倒的多数のさらなる強化になり、少数票は埋没してしまう。地域での決めごとにおける、議論の大切さや少数意見の尊重という理念はどこかに吹っ飛んでしまい、自治会自体への無関心を助長することになるだろう。この件については、私も一会員として、役員会に意見書を提出しているが、議論された形跡や報告もない。

 自治会からの退会者が増えるのは、高齢化により、班長の持ち回りや町内の一斉清掃、自治会館清掃、会費などが負担になるという理由も確かにあるだろうが、法人化による名簿の提出とその管理への不安や少数意見の切り捨てへの反発があるからではないか。現に、退会者の一人は、自分の意見や賛否がカウントされていない報告がなされていたと怒っていたのを思い出す。これからは、前述のような、めぐりめぐっての無関心層が増えていくのではないか。   法人化も、コミュニティ形成の基本を見失うと、コミュニティの崩壊にもつながりかねないと心配している。 

311の前後には、災害や事故の防災や減災が叫ばれ、公助は当てにできないから、自助や共助が大事と行政はいつも逃げ腰だが、顔の見えるコミュニティが、今こそ、必要なのではないか

 なお、当ブログへのアクセス順位のトップは、この一年、変わらず、下記の自治会法人化の記事(2017713日)であった。それに続くのが、社協や日赤、消防団への自治会の寄付を扱った記事なのである。私も不安要素がいっぱいな自治会のゆくえが心配になってくる。当ブログ閲覧の方々も各地で、悩まれているのだろうな、と思う。

 ご意見やお住いの地域での自治会の実態をご教示いただけたら幸いである。

 <参考>

◇自治会の法人化って、そのメリットは、デメリットは~自治の力を弱めないか2017713日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2017/07/post-3373-1.html

◇自治会の法人化について~総務省に尋ねました(2017715http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2017/07/post-20c9.html

◇自治会総会に出席、ふたたび自治会の法人化について(201842日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2018/04/post-9356.html

 

 

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2018年4月 2日 (月)

自治会総会に出席、ふたたび自治会の法人化について

41日は、自治会の総会があり、役員・班長さんが交代した。昨年度と言えば、私たちの自治会で、問題になったのは、このブログでも記事にしてきたが、自治会の法人化であった。

広報が行き届かないまま、役員会主導で進めてきたことが、一番の問題点だと思っている。法人化に向けて、去年の7月に臨時総会が開かれることになって、私自身も、わからないことが多いので、ご近所の班長さんの何人かに聞くと「よくわからないんです。会長に聞いてください」との答えが返ってきたし、逆に、知り合いの班長さんや会員の方から、呼び止められて「どういうことなんですか」と尋ねられることもあった。さらに、隣の自治会でも、知り合いの会員から、「法人化は、もう決まったから、家族全員の名前を書いてもらわないと困ると、班長さんに強制された」との声も聞かれた。私も、総務省の住民制度課や佐倉市の自治人権課に問い合わせをし、7月の臨時総会でも質問をした。

法人化にあたっては、対象地域の人口が分母になって、3分の2以上の住民が自治会に加入していることがまず条件となるが、運用上、これも厳密なものではないと、総務省は話していた。人口ということであれば、ゼロ歳からすべての住民を含むことになり、自治会名簿は入会者名簿となり、会員が人口の3分の2をクリアせよ、ということになる。自治会員が世帯という単位ではなく、個人単位で会員になるということ自体は、それはそれで、現代の家や家族の在り方からすれば、当然の方向なのかもしれない。しかし、当自治会では、法人化をいそぐあまり、家族全員の加入をかなり強く促していた。人口の3分の2をクリアするのに焦っていたのかもしれない。

さらに、私たちの自治会では、法人化に伴う自治会会則の変更により、総会での議決の方法を一気に簡略してしまったのはどうしたわけだろう。

従来は世帯単位、すなわち1世帯、1議決権だったものが、1会員、1議決権となった。会員名簿に登録した世帯員全員が1議席を持ち、意思表示が不能な場合も(親権者などの)代理により議決権を行使することができるようになった。

この変更が波及して

1)これまで、総会の成立要件は、総会当日の出席世帯数と議決権行使世帯の合算が会員世帯数の2分の1以上であった

⇒ 出席世帯数と議決権行使書付きの委任状提出者(参加しない会員で委任状に記名された会員)の合算が2分の1以上となった

 

2)これまで、総会当日出席せず、議決権行使書を提出しなかった世帯は棄権とみなされ、棄権としてカウントされた

⇒ 「総会への出席または議決権行使書の提出のいずれも実施しない会員は、その議決権を総会議長に委任したものとする」

以上のように変更した会則のもとに、今回の総会の議決がなされたが、かなり、不自然な結果が生じることになった。 というのは、たとえば、会則を変更して「役員は自治会費全額を免除する」するという議案については、以下の議決結果で賛成多数で承認された。

 

 会員総数           1834名(649前後?)

  (ちなみに対象区域、2月末日現在、821世帯総人口2111人)


 
出席世帯数           105世帯 反対3世帯
 
議決権行使書による委任者数  1028名  反対8

 議決権数の分母が105+10281133名、反対が11名で賛成多数という結果になったのである。ここで、棄権した世帯の会員は、この数字には入っていない。出席世帯の中には夫婦で参加しているものもいたが、議決権は、これまで通り1議決権ということであった。そこで、シンプルな疑問なのだが、出席者世帯ごとの1票とし、議決権行使世帯会員ごとの1票の意味の違いはないのか。出席者世帯における会員の議決権は、問われないことになる。議決数カウントのダブルスタンダードになっていることが分かる。
 
 こうした疑問は、法人化の臨時総会の時も出ていたし、棄権を議長委任とすることに関しは、市からのアドバイスがあったということであったが、市に確かめたところ、会員となる要件、総会などの成立要件や議決の方法は、各自治会に、特段の規定がある場合は、その限りではない、とのことであった。地方自治法260条の18に定められてもいる。

 なお佐倉市ですでに法人化した自治会は18ということで、255の自治会の一割にも満たない。全国的には、5%ほどだそうだ。そもそも、法人化のメリットは、個人単位ということであったが、赤ちゃんにまで議決権を与えるという「擬制」は、現実的ではないし、民主主義とは相入れないだろう。会員になるかならないかは、個人の自由なのだから、選挙権の有無、18歳くらいをめどに、入会の有無は各人の申告制にするなどの工夫がなされるべきであろう。

 議決の簡便化、棄権の議長委任などは、会員意識を希薄にし、自治会への無関心をますます助長することになるだろう。高齢化が進み、自治会業務のアウトソーシングなど、本末転倒の話も出てくる始末である。

<地方自治法>
 
第260条の18 認可地縁団体の各構成員の表決権は、平等とする。
 
 認可地縁団体の総会に出席しない構成員は、書面で、又は代理人によつて表決をすることができる。
 
 前二項の規定は、規約に別段の定めがある場合には、適用しない。

<当ブログにおける参考記事>
 
・自治会の法人化って、そのメリット、デメリット~自治の力を弱めないか
 
2017713日)
 
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2017/07/post-3373-1.html

・自治会の法人化について、総務省に尋ねました(2017715)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2017/07/post-20c9.html

<佐倉市の自治会法人化の手引き>http://search.yahoo.co.jp/r/FOR=uxpHkF1V3ihSU7BRJf4hHNfn9X.SFb9VXblQJS0WEhQ.M8wqhh_hSaX2HEyYQp6HZ7BS_Z1apKTbngKPmaLzPahIEke8U4_5aoftuNvpJA2P95v6qpswEefsuwiUK2lVykkjC_eF3T3Z_0cH8coeJMomUufxFOmFapAVE6L7z0UxlNBxXjKcE6jETLWq0d4X4Me1uO4L5_VRykqAZFmwHJmUZEO_eE6VUpGn3fng8jSU6ye2mP4H1s7Gs9r2tntYzZxbfuFhK6F7FKkMfKY.V_zp2QPEK7_GrosT/_ylt=A2RA0nN_fMFaawIAAY2DTwx.;_ylu=X3oDMTBtNHJhZXRnBHBvcwMxBHNlYwNzcgRzbGsDdGl0bGU-/SIG=13k39vtd5/EXP=1522730559/**http%3A//www.city.sakura.lg.jp/cmsfiles/contents/0000004/4954/jitikaichounaikai_houjinkatebiki.doc

 

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2017年7月15日 (土)

自治会の法人化について~総務省に尋ねました~

総務省での担当は住民制度課でした。あらためて、確認したことが、いくつかありました。当ブログの前の記事にも書いた私自身の疑問にも通じるのですが、次の二つが重要かと思いました。

1.法人化された自治会の構成員になるかならないかは、住民個人の自由です

自治会の法人化の際、法人の構成員になるかならないかは、住民のまったくの自由です。構成員になるかならないかは、法人の構成員の名簿に記名するか、しないかで決まります。ただ、記名しなかった、その人個人は自治会に不参加ということになります。

自治会には、これまで、世帯主の名で加入し、世帯ごとに会費を納めていますが、世帯全員が自動的に自治会員でした。

法人化した場合は、そこが違います。しかし、世帯の誰かが構成員となっていて、会費を納めていれば、他の構成員になっていない世帯員が自治会から不利益を受けることは、まずないでしょう。

法律上の意思表示ができない幼児や子供たちは、親権者の意思で構成員にならないという選択が可能であることは確かです。役所に提出する構成員名簿に記入しなければいいわけです。例えば、自治会執行部から「法人化にご協力ください」という勧めはあるものの、お子さんの名前をすべて名簿に記入することをためらう親御さん(親権者)は多いでしょう。その名簿は、当然、自治会会長(役員)を経て市役所に提出されるわけですから、個人情報の管理の問題が生じます。はっきり言って、情報漏洩の防止の担保は、官民どこにもありません。あり得ない人や場所から個人情報が流出しているのが現実です。

そのような心配をされる方は、構成員名簿に記入しない選択をすることができます。 

それにしても、意思表示が不可能な子供たちの意思が親権者の意思にプラスされることになって、本来平等であるべき議決権に、親権者故に自動的に複数の議決権が行使できることになり、一票は決して平等ではなく、制度本来の意思の個人表明、議決権の平等とは裏腹の逆の結果を生じてしまいます。総務省でも、その点を、今後十分協議して、実態に合った法改正をと、担当者には要請しておきましたが。

 

2.総会議決事項の議決の方法~世帯1議決も可能、議決権を行使しない構成員の議長委任は自治会規約の行き過ぎです

総会議決事項は、法人構成員全員の議決権行使による議決を経なくとも、従来通りの世帯による議決ができるとした特段の規約を設けることで、可能になるということでした。だから、総会に参加できず、議決権行使をしないことを以て、委任状もなく自動的に議決の賛否を議長に委任するとの自治会規約を地方自治法は要求していない。法人にかかわる重大事項には、棄権を含めての構成員の全員の意思表示が必要だが、日常的な自治会の総会議決には世帯単位の意思表示で足りるという規約を排除するものではない、というのが総務省の「地方自治法260条の18の3:の趣旨だとのことであった。

となると、「議決権を行使しない構成員の議長委任」は、これまでの、議決権行使書を含めての会員世帯の二分の一以上の参加で、二分の一以上の多数決で議決していた会則を、大きく変更するもので、会員世帯の意思表示を、より正確に反映するのでなく、おおきく歪めることに通じはしないか。議決方法の効率化のみが優先するのと、少数意見を葬る手段にもなりかねないのではないか。当自治会の一考を促したい。

<地方自治法>
第260条の18 認可地縁団体の各構成員の表決権は、平等とする。
 認可地縁団体の総会に出席しない構成員は、書面で、又は代理人によつて表決をすることができる。
 前二項の規定は、規約に別段の定めがある場合には、適用しない。

 

 

 

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2017年7月13日 (木)

自治会の法人化って、そのメリットは、デメリットは~自治の力を弱めないか

 7月の初旬に、当自治会の臨時総会が開かれた。議題というのは、自治会の法人化であった。今年の4月の定例総会で、出ていた話であったが、「法人化」についての資料が届いたのは6月中旬で、説明会もないままの臨時総会での議決だった。資料だけではわからないので、立ち話ではあったが、出会った班長さんの複数の方に尋ねたところ、「班長会でもわかる人は少ないのでは」とか「私にははっきりとわかりません」「会長さんに聞いてみては」との話だった。臨時総会の前夜、思い切って知り合いに電話したところ、自治会館の建て直しが3年後に迫り、その敷地を廻って、佐倉市と交渉している中で、市から法人化をすすめられたという。任意団体の自治会では、市から土地の提供はあっても自治会館という上物の所有権は、今のままでは、自治会の所有にはならず、市に帰属してしまいますよ、ということらしい。 法人化のための自治会の規約改正も、臨時総会の議決事項の一つだった。ざっと目を通してみると、わかりにくい上に、疑問も多いのだ。

 

法人化のメリットって 

 

 そもそも、法人化は、従来の自治会が世帯単位であるのに比べ、個人単位で、構成員になることができ、年齢・性別・国籍など問わず、その区域に住所を有すれば、だれでも構成員になれること、法人化によって、自治会としての不動産登記ができるようになることがメリットだという説明だった。 

 しかし、不動産登記に関しては、現在は、自治会館は、市の所有権で、火災保険などは市が掛けているが、管理運営は自治会の会館管理委員会が中心で、建物の管理や清掃などを実施しており、増改築や修理には助成金も出る。その利用にあたっても不自由を感じたことは、まずなかった。

 

疑問1:赤ちゃんにも議決権があるという 

 法人化した自治会の構成員は、世帯ではなく個人単位であるのが、特徴だ。現実に、佐倉市の場合は、全住民、人口の三分の二が構成員ならないと法人化できない、というルールを設けている。自治体によっては、二分の一だったり、四分の三だったりするとのことで、構成員の名簿の提出を義務付けている。そして、規約は、佐倉市の法人化の手引きによる「ひな形」に準じての改正が行われ、年齢は問わないので、赤ちゃんも構成員になれるといい、議決権は、構成員一人一票で、これは地方自治法で決まっている。となると、 意思表示ができない赤ちゃんになぜ議決権があるのかが第一の疑問だった。民法により親権者がその議決権を行使できる、ともいうのであるが、なぜそこまでして赤ちゃんを構成員にして、議決権を行使させなければいけないのか。選挙権のように、年齢制限を設ければ、その不合理は解決できると思うのだが、法律上、年齢制限はできない。 

 構成員になるかならないかは、個人単位なのだから、最初から構成員にならなければよい。世帯主による選択は可能だということは、臨時総会の質疑の中で確認された。総会参加者の一人は、子供の名前まで並べて、自治会の構成員にするつもりはない、提出する名簿の管理にも疑問を呈していた。世帯の中で、構成員に「なる」「ならない」の自由はあるのだから、少なくとも法律的に意思表示ができない家族を除く方が、住民の意思を反映するとい点では優れていると思う。 

 しかし、法人化を提案する執行部は、全住民のうちの三分の二を構成員とするためには、各世帯の全員が構成員となるよう、協力を求めていた。たしかに、自治会への加入率は、地域の高齢化に伴い、年々低下している佐倉市でもあるが、赤ちゃんを構成員にして加入率を高めて、どんな意味があるのだろう。 

 当地の従来の自治会は、各世帯全員が自治会会員であり、議決権は世帯で1票としていた。世帯内の意見の対立は当然予想できるが、それでも家族内での話し合いで、世帯としての意思決定、議決権行使が前提となっていた。これも、便宜上の「擬制」の一つであろう。それに比べ、年齢を問わず、意思表示の可否にかかわらず構成員になった以上、議決権があたえられるというのも、一種の「擬制」である。法人化後の自治会にとって、いずれが住民の意思がより正確に反映できるかといえば、私は前者の方が、ベターだと思ったのだ。

 

疑問2:総会に参加せず、議決権行使をしなかった構成員は、自動的に議長委任になるという 

 構成員全員の議決権行使を義務づけるということは、先の赤ちゃんの議決権行使をも前提とする法人化ルールと共通する考え方ではないか。いわゆる「棄権」、意思表示をしないことを選択する自由がないことになる意味を考えておきたい。例えば選挙権を行使しない「棄権」を認めないことと同じではないか。このように、法人化による自治会内の意思決定の安定性や効率性を優先することと、法人化本来の個人単位の自治会構成、個人単位の意思表示を重視する方向性とは、相反するのではないか。意思決定の安定性と効率化は、通常の世帯内の合意形成過程や自治会への主体的な参加意識を損ない、多数の言いなり、自治会役員主導、トップダウン、「おまかせ」や「あきらめ」を助長しないか、結果的に、自治会への無関心を助長することになって、自治会の「自治」の力を弱めることになるに違いない。

 

 私は、以上二つの理由を以て、今の時点での法人化には反対の意思表示をしたのだが、自治会世帯数約650中、臨時総会参加者50人弱であったが、参加者の中で反対は2名だった。不参加者の議決権行使により、執行部提案は、多数で可決された。一度の説明会もなく、班長さんたちも理解不足のまま、大事なことが決まってしまう、いまの自治会への不信感が強まった。少数者、少数意見が尊重されるべき地域社会において、本来の住民自治、行政からの自律から遠のくことのないように、暮らしていくにはどうしたらよいか。 

 

 いまだに、疑問は去らず、市役所の人権自治課にも、問い合わせてみたところ、疑問の1については、制度上、たしかに問題はあるが、とりあえず、赤ちゃんはじめ意思表示がでができない家族を構成員にしないという選択肢があるので~とのことであったが、制度改革への意欲は感じられなかった。 

 

法人化する自治会は、行政に構成員の名簿を提出し、規約を改正し、総会の議事録を提出する。これまでさえも、自治会等の行政の下請け機関的な要素が色濃くなる中で、住民の種々の要望を行政に的確に伝えるという自治会の重要な役目を十分果たせるのだろうか。自治会の意思決定の安定化、効率化を趣旨とする法人化によって、そのパイプは、劣化してしまわないのか、大きな不安の一つとなった。

なお、佐倉市の場合255の自治会・町内会があるが、法人化しているのは15自治会に過ぎないとのこと、。全国調査では、5%程度というのを聞いたことがある。あらためて、総務省に問い合わせたところ、一番新しい2013年度の調査で認証地縁団体としては44000が確認されているとのことで、自治会などの法人化は一割程度ではないか、とのこと。

 

 

 

「佐倉市 自治会町内会の法人化の手引き」↓

 

http://www.city.sakura.lg.jp/cmsfiles/contents/0000004/4954/houjinkatebiki.pdf#search=%27%E4%BD%90%E5%80%89%E5%B8%82+%E8%87%AA%E6%B2%BB%E4%BC%9A%E3%81%AE%E6%B3%95%E4%BA%BA%E5%8C%96%27

 

 

 

 

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2016年11月19日 (土)

きょう「順天堂大学誘致の現状と真相」がポストに

「順天堂大学誘致の現状と真相」と題する『わがまち』臨時号(山万KK企画部編集・発行)がポスティングされていた。いつものタブロイド判の裏表の2頁だった。 いつもと違うのは、臨時号、いわば号外なのだろうけど、日付がない。発行・編集がいつもの「わがまち編集委員会」ではなく、「山万株式会社 企画部」となっていた。

『わがまち』は「地域の有志の方々と山万が協同で制作しているタウン情報誌」という触れ込みながら、まぎれもなく山万の広報誌なのだから、今回はそれがはっきりしたわけだ。日付がないのはどうしてかな。まだウェブ上には登場していなかった。

内容は、一面が、新聞報道を受けて、問い合わせが多く、不正確な報道でもあるので、「現状に至った経緯」を市民・住民に伝え、正確な理解を頂く、という趣旨で、「『こうほう佐倉』では語られていない真実」「断腸の思いでの取り下げ」の見出しで記されていた。裏面は「順天堂誘致に向けたこれまでの経緯(概要)平成17年10月~平成28年10月」と題して年表風な説明となっていた。しかし、その書きぶりは、昨年の市長選での「怪文書」めいて、その内容以前に、不快感が漂う。

最後は「順天堂大進出が白紙」という『千葉日報』の記事があったが、区画整理組合・山万・順天堂大学は、「白紙」との認識は持っていない、ユーカリが丘における順天堂キャンパス誘致の実現に向けた重要性の認識と熱意は変わっていない旨の文章で結ばれていた。

私は、地権者でもない、直近の住民でもないけれど、これまでの山万の井野東の開発手法を見てきただけに、不安だった。地元への説明会に参加したり、議事録を読んだりした。市議会や「大学等誘致に関する懇話会」の傍聴もした。説明会の資料がなかったり、後手になったり、かなりの情報操作をしているのも分かった。今回の経緯の中からすっぽり落ちている、市長選での誘致推進だけを争点とするような候補者陣営の露骨な選挙運動は、目を覆いたくなるほどだった。

「あきらめていない」というのだが、私たち住民にとっては、ユーカリが丘駅北のイオン撤退の跡がどうなるのかの方が、先決なのではないか、の思いも強い。肝心の駅周辺の既存の商業施設と駅から離れた、新しいイオンタウンの行方も心配だ。

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2016年11月18日 (金)

ユーカリが丘への順大誘致、白紙へ

 16日の夜遅く、知人からのメールで、1024日付で、順大誘致のための「都市画案の取り下げ」、区画整理組合設立のための「事前協議の取り下げ」がなされた、との一報が入っていた。京成ユーカリが丘駅北への順大誘致は、一帯の開発業者である山万が、かねてより強引に進めてきた計画だった。この数年間、周辺の地権者を巻き込み、自治会や市議会議員を巻き込み必死であった。昨年の佐倉市長選では、ほぼ順大誘致だけを公約に掲げた候補者を立て、実に醜い選挙戦を展開したが、敗退した。

 佐倉市ユーカリが丘駅北土地区画整理組合準備会(代表田中一雄)は、佐倉市が誠意ある対応をしないので、信頼関係を失ったとして、今年の14日付「土地区画整理組合の設立認可申請に係る事前協議」、24日付「都市計画提案書」を取り下げたことになる。山万は、土地を無償提供し、佐倉市からは負担金を出させるからと順天堂大学に進出を持ち掛けたのが事の始まりだろう。佐倉市は、負担金を出す以上は計画や費用の詳細を求めたが提出されないことを以って、進めなかったいきさつもある。少子社会で、大学キャンパスの都心回帰が強まる中、順大も踏み切れなかったのだろう。最大の地権者、山万の、そうした読みの浅さが、今回の結果を引き起こしたのだろう。それにしても、振り回された地権者、周辺住民、行政の経済的負担は計り知れない。あわせて市長や行政の優柔不断な姿勢も否定できなかったのではないか。 

 なお、「取り下げ書」の文書は、以下の藤崎良治市議会議員のホームページで見ることができる。

藤崎良治のHP

http://www.asahi-net.or.jp/~pn8r-fjsk/contentFrame.htm16/11/16) 

ユーカリが丘北 都市計画提案取り下げ書

  また、11月17日の朝刊では、若干のニュアンスの違いはあるが、つぎのような見出しだった。ネット上での掲載時間が一番早いのが『千葉日報』だったと思う。

千葉日報11/16 0500

順天堂大進出が白紙 佐倉市、誘致不透明に 地権者ら申請取り下げ

東京新聞11/17 0800

佐倉市の順大誘致が白紙に 地権者ら申請取り下げ

読売新聞11/17 1025

地権者と市の信頼崩れ、大学誘致が暗礁に

朝日新聞1117

佐倉にキャンパス 順大の計画中断 地権者ら都市計画案など取り下げ

 佐倉市のホームページでの昨年までの関連記事は、以下にまとめられている。

http://www.city.sakura.lg.jp/0000011401.html

 さらに、これまでの経過については、本ブログでも何回か記事にしているので、関心ある方は、あわせて以下をお読みいただければと思う。

(新着順)

順天堂大学「誘致ありき」のユーカリが丘駅前再開発はどうなる!説明会に参加 ~「誘致」が決まらないのに、強引に進める不可解 15/09/29

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/09/post-5850.html

佐倉市の市長選での順天堂大学誘致問題とはなんだったのか~また新しい情報に接して(15/06/05

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/06/post-ab09.html

・佐倉市長選挙、違反ポスター・虚偽ネット広告は放置のままだ~候補者も、スポンサーもここまで堕ちた(15/04/27

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/04/post-224d.html

・市長・市議選の争点は「大学誘致」ばかりではない~やっぱり出た”怪”文書「順天堂大学誘致の会ニュースレター」(15/04/18

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/04/post-7056.html

・佐倉市、順天堂大学誘致をめぐる「選挙戦」 ~誘致の効果は机上の空論、得をするのは誰なのだろう(15/04/14

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/04/post-5c84.html

・ユーカリが丘、順天堂大学キャンパス誘致、見送り?(15/02/09

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/02/post-fea7.html

・ユーカリが丘駅前の大学誘致をめぐるおかしな動き、やっぱり、山万が ~第3回「大学等の誘致に関する懇話会」(20141010日)傍聴から振り返る(2)

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2014/10/320141010-ebd5.html

・ユーカリが丘駅前の大学誘致をめぐるおかしな動き、やっぱり、山万が~第3回「大学等の誘致に関する懇話会」(20141010日)傍聴から振り返る(1)

14/10/14

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2014/10/post-7e2b.html

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