2019年10月 1日 (火)

消費増税と歌会始~2019年9月30日

 9月30日は、消費増税実施の前日である。テレビなどでは、秒読みよろしく、巷の駆け込みや買いだめに走る様子やイートイン・テイクアウト、レジ対応の混乱などを伝えている。垣間見たNHKのニュースでは、女性アナウンサーがにこやかに消費税の値上がりが迫りました!と声を弾ませていた。まるで何かの世界大会で、日本のチームが優勝したかのような。NHKに限らず、消費税値上げ分増収、軽減税率ほか様々な還元対応、経過措置の期限、残る増税分が何に使われるか、現在の法人税や累進課税、分離課税の在り方など税体系自体などに切り込むことはなく、肝心な部分は、ほとんどスルーするのが、マス・メディアの流儀でもあった。野党にしても、凍結、中止、廃止、引き下げなど、その対応はバラバラである。増税ストップはかなわず、高齢者も若年層も、もはや将来へのかすかな希望も断ち切られるニュースばかりが続く。政府は、もっぱら未来志向の“やってる”パフォーマンスに終始し、10月1日発表の日銀の短観(9月調査)も四半期ごとの調査で三期連続景気悪化ということで消費増税駆け込み需要も低迷、2013年6月以来の低水準で、米中貿易摩擦などによる海外経済の減速が影響したという。私たちができることといったら「消費」しないことぐらいしかない。

 9月30日は、来年の歌会始の応募締め切り日でもあった。改元後、初めての歌会始で、題は「望」というのも皮肉なことではある。選者は、篠弘、永田和宏、三枝昂之、今野寿美、内藤明としばらく変わらないメンバーであるが、世の中や歌壇での改元フィーバーが応募状況にどんな変化を与えるのか、注視したい。

 ところで、9月のはじめ、『赤旗』の「ひと」欄(2019年9月4日)に、つぎのような記事があった。「9条守れと戦う青森の歌人」として登場したのは、小作人の長男として生まれ「劣等感と屈辱の少年時代」を過ごしたが、新憲法とともに、自分の地を耕し、基地反対運動に携わり、農協の組合長も務め、地元選出の共産党の衆議院議員の後援会会長も務めたという91歳の方だった。地道に、粘り強く活動を続けてこられた方なのだろうな、と思う。20代には、歌も小説も書いていたとのこと、文学青年だったことも書かれていた。読み進めると、記事の末尾近くに、つぎのような一文があった。

―好奇心も旺盛です。80歳の時、初めて「宮中歌会始」に応募しました。「現代の秘境を見てみたかった」と挑戦し、見事入選しました。―

 インタビューにあたった記者は、エピソードの一つとして、書き添えているという印象である。これが一般の新聞だったら、読み過ごしていたかもしれないが、革新政党の「政党紙」だったから、目に留まったのかもしれない。登場の歌人の選択には、いろいろな思いがあったことだろう。しかし、「宮中歌会始」を「現代の秘境」とのたとえを、全肯定することは、一記者の一存ということではなく、この記事が「宮中歌会始」に対して、『赤旗』は「お墨付き」を与えたと理解されても仕方がない。近年の共産党は、「天皇制」という言葉を避けて「天皇の制度」という言い方をし、現憲法下の象徴天皇制は、守るべきものとしての位置づけをするようになった。

 1947年以来、共産党は,天皇が出席する国会開会式には、「憲法の天皇の『国事行為』から逸脱する」として、出席してこなかったが、2016年1月4日開会の通常国会から、出席するようになった。その理由が、天皇の開会の言葉が「儀礼的、形式的な発言が慣例となって、定着した」からというものであったが、私などは、天皇が、議長席より高い、あの玉座で開会の言葉を読み上げること自体が、主権在民や平等主義を基本とする日本国憲法とは抵触しているので、開会式に出席しないことには、一つの抵抗の意味があると思っていた。
 さらに、『赤旗』紙上には、一般の全国紙のように文化欄の中に「歌壇」があって、週交代で、二人の選者による入選歌が掲載されている。上記、開会式出席とほぼ時を同じくして、2016年1月から、その「歌壇」選者に、今野寿美を起用した。彼女は、2015年から「歌会始」の選者を務め、現在に至っている。これら二件を、「2015年のクリスマス・サプライズ」として、当ブログ記事にもしているので、参照していただければ幸いである。結果的に、今野は、2年間「赤旗歌壇」の選者を務め、辞めている。

*ことしのクリスマス・イブは(4)~歌会始選者の今野寿美が赤旗「歌壇」選者に(2015年12月29日)https://www.jcp.or.jp/web_policy/2019/06/post-807.html

 また、今年の改元5月1日、新天皇即位の折、共産党の志位委員長は祝意を示す談話を発表し、その後、衆参院本会議での、即位に祝意を示す「賀詞」に、共産党は賛成している。2004年には「君主制廃止」の党綱領を改定し、「憲法にある制度として、天皇制と共存」することにしたのだが、一方で、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく、国民主権の原則の首尾一貫した展開のためには、民主共和制の政治体制の実現をはかるべきだ」との立場に立つ。

*天皇の制度と日本共産党の立場(2019年6月4日)
https://www.jcp.or.jp/web_policy/2019/06/post-807.html

 こうした一連の動きを見ていると、共産党の天皇制への接近は今世紀に入って顕著になったのは明らかである。ウィングを広げ、支持の拡大に努めたかったのだろうが、結果は逆だった。「国民の声」に引きずられたのか、「国民の声」に近づいたのか。政府やマス・メディアにコントールされがちな「国民の声」から、本当の声や叫びを聞き分ける力がなくなってしまったのかもしれない。不都合な事実や異なる意見を無視することによる「排除」は、多くの人の目には触れないだけに、陰湿である。「いじめ」や「モラルハラスメント」にも通じ、現在の政府や官僚がやってきたことにも似てはいないか。大同小異だからと、目の前の発言にまどわされ、ときには天皇にまで縋りつく姿に、愕然とする。

 

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2018年12月25日 (火)

2018年、「ゴーン、ゴーン」「ヘイカ、ヘイカ」で暮れるのか

1223日は、天皇誕生日ということで、皇居には、8万人以上の人たちが「参賀」に訪れたという。そして、あの「お出まし」に振られている「日の丸」の小旗は、なに?という光景が繰り広げられている。現天皇の即位以降に生れた若者たちも多かったとの報道もあった。これが、国民主権をカナメとする日本国憲法を持つ国の出来事なのか、「明治かよォ」という「化石」のようなツッコミもしたくなる。

 

新聞やテレビでは「平成三〇年回顧」にとどまらず、生誕以降の、天皇85年を振り返る企画も多い。当然、太平洋戦争をはさむ構成にはなるのだが、「815日」の皇居前広場で土下座する人たちの映像に「耐えがたきに耐え」の玉音放送をかぶせる手法は、相も変わらず、23日のNHK「天皇 運命の物語①」でも流された。あの815日の写真や映像は、「814日」のメデイアの「やらせ」ではないかとされているのにもかかわらずである。そして、「国民に寄り添い」「平和を願って」きた平成の天皇夫妻の戦争犠牲者慰霊と被災地慰問の映像ばかりが流される。19481223日は、東京裁判におけるA級戦犯7人が処刑された日でもある。昭和天皇の戦争責任論、退位論がふつうにメディアで展開された敗戦直後の緊張感を忘れてはならないはずである。

 

誕生日に先立っての天皇の記者会見の「戦争のなかった時代に心から安堵」という言葉への違和感を拭いきれないでいる。多くの災害、公害、事故、虐待、過労による犠牲者、自死などによる遺族はどう受け止めただろうか。東日本大震災の原発事故について、「原発事故による死者は一人もいない」と言った閣僚がいたのを思い出すのだった。

 

日産の前会長ゴーンの保釈予想が一転して、再逮捕されたのを受けて「ゴーン、ゴーン」と関係ニュースが騒々しい。これって、内部告発に端を発したというが、最初の逮捕直後の西川社長の会見の時、これほどの桁違いの金銭の移動があったというのに、取締役会が関与してなかったのかという疑問が頭をかすめた。後からの報道によれば、西川社長もサインしている支出であったとか、取締役会ではゴーンの名を伏せての投資決議だったとかの情報も確認されたということだった。まさに、素人の感、庶民の感ながら、なのである。

 

そして思うのは、ゴーンをかばう意図はないが、日産の日本人経営者がやりたくてもできなかった、工場の撤退や2万人余の従業員馘首をゴーンの手で行わせ、再建ができたら追い出すという構図は、今年強行採決して成立した働き方改革関連法、出入国管理法改正にも共通するところがあるのではないかと思ったのである。「深刻な人手不足」の対応と言いながら、日本人労働者の働き方の多様化の名のもとに「都合のよく」変え、結局は、外国人に安い労働力できつい仕事を担ってもらおうという、経営者や政府の発想でしかないように思う。

 

消費税増税対策って、なんのための増税か、単なるバラマキではないのか。「防衛大綱」に基づく防衛費の拡大、イージス・アショア2基、F35105機購入だけでも、それぞれ6000億、15000億に迫るともいわれている、アメリカの「言い値」での購入とはあきれるばかりである。一方で、沖縄県の民意に反しての米軍基地辺野古新設の強行、外交においても、対米・対ロでは押される一方で、中国・韓国に対しては、こじらせる一方なのだ。社会福祉予算の削減―生活保護費の段階的引き下げ、年金の抑制、診療報酬の減額、7074歳の医療費1割から2割負担などすでに高齢者の負担が拡散し、消費抑制、受診抑制で、命まで危険にさらされている。若年者にとっても、国の借金は増大し、将来へのツケも拡大するばかりなのだ。経済再生の目玉ともいわれた、東芝を初めとする原発輸出の破たん、一方で、かつてほど「世界一厳しい基準」というセリフも言い出せないまま推進する国内原発の再稼働・・・、いくつもの重要課題が国民に上にのしかかっている2018年、「ゴーン」と「ヘイカ」で終わらせてはならない。迎える2019年も、消費増税対策、天皇代替わり、2020オリンピックのフィーバーの目くらましに、だまされてはイケない。政府による、ヤルヤル詐欺、大掛かりな特殊詐欺に、だまされてはイケない!

 

 

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2018年8月26日 (日)

73年の意味番外篇 敗戦直後のクスリ屋事情(4)

  

 配給通帳と取引高税 

 

二つの配給通帳

  敗戦直後から食糧事情が劇的に改善されたわけではなく、私の手元に残っているいわば配給通帳なる「家庭用主要食糧購入通帳」(農林省発行)と「家庭用品購入通帳」(東京都発行)の数年分を見てみると、記入された数字などは乱数表にも見え、解読がむずかしいし、通帳についている引換券のようなもの意味も分からない。ただ、興味深かったのは、さまざまな広告が掲載されていることで、農林省も東京都も、印刷物や配給の諸経費を賄っていたのだろうと思う。広告からは、当時の暮しの一部が見えてくる。池袋駅付近は、まだ、白衣の傷痍軍人たちが募金箱を携え、何人も立っていたし、ガード内や駅構内には、浮浪者や浮浪児たちも多かった時期である。

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昭和23年(1948年)の「家庭用主要食糧購入通帳」農林省発行、西暦の表示がない。右肩に「砂糖通帳5枚交付済み」、左肩に「衣料切符5枚交付済」の判がおされている。下段は家族名簿となっていて、割当定量の瓦数が手書きされている

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表紙を開くとまるで乱数表にも思えるのだが、左の「世帯一日当たり配給割当量及び月別人員確認欄」には、6-10歳 1 320/16-25歳 2 810/26-60歳 2 770、とあり、我が家の家族と配給量が分かる。116-25歳2人というのは兄二人で、食べ盛りということで量が多い。この単位は瓦で、表紙の割当定量の人数分が記されている

 右の「配給明細表書」には、月日・品名・配給量実量・米換算・金額・配給済み月日・備考・印の欄がある。品名のところには、米・馬・甘・押などが並ぶ。馬は馬鈴薯、甘は甘薯、押は押し麦。サは砂糖、ミは味噌、正は醤油か。換算表の脇には、砂糖5、味噌醤油5枚交付済みとなっているので、この通帳で配給を受けていたのだろう。  価格を見ると、米5キロ133円と読めるのだが・・

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昭和23年「家庭用主要食糧購入手通帳」の裏表紙の上段の「代替え食糧の米換算表」
押し麦・丸大豆・小麦粉・脱脂大豆・高粱は、米と同量だが、食パン1斤(こっぺ3個)は米360瓦、馬鈴薯10瓩は2222瓦、甘薯10瓩は2857瓦などと細かい

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1949年の「家庭用品購入通帳」で、元号が小さく併記されている、東京都発行。左の引換券のようなものが、無秩序に切り抜かれ、虫食いのように白く写っている

石鹸のクーポン制
  配給で思い起こすのは、うちの店から石鹸を買ってくれるお客さんに登録してもらい、ある程度の登録者を確保しないと石鹸が売れない、という時期があったと思う。まだ調べ切れていないのだが、その登録者を確保するために、近くの知り合いや共同住宅の人たちを、母に連れられて、一軒一軒お願いして回わったことを断片的に思い出すのだ。なかには、学校の同級生の家もあったりして、どこか恥ずかしい思いをしたこともあった。 石鹸は、生活の必需品であったが、戦時中は配給も止まっていたらしい。19465月に3年ぶりに配給開始と、年表などには記されている。2年ほどは、年間一人45gのものが3個とかの程度だったらしく、標準価格10銭の石鹸が20円の闇値がついていた。GHQの指示で19494月石鹸配給規則により、小売りや卸売りの段階で「予約注文制(クーポン制)」が実施されることになり、上記のような予約注文のクーポン券を集めることが必至とされたのだろう。メーカーは、クーポン獲得実績により原料の量が決まるので、過剰な競争をもたらしたらしい。それも、19507月には、配給撤廃、同年12月には油脂製品価格統制が撤廃されている

(参考)
・宝子山嘉一:石鹸業界における流通の変遷12
「経営学紀要(亜細亜大学)」92号、101(2002)
https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20180825211702.pdf?id=ART0000946483
https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20180825213018.pdf?id=ART0000946358

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花王石鹸のHPより。配給当時の石鹸たち、花王、ゲンブ、ADK(アデカ)の文字、ミツワのマークなどが見える

取引高税
「石鹸配給規則」は一年半ほどで廃止したのだが、この時期、子ども心にも記憶に残っているのが、印紙騒動だった。後でわかることなのだが、消費税の一種の「取引高税」がなせるところだったのだ。これは、1948年に導入されて一年で廃止された税制だったことになる。

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こんなポスターが作られていた! 国税庁のHPより

  我が家の店先での騒動というのは、お客さんごとの売り上げ額の1%にあたる印紙に消印を押して、お客に手渡せ、というものだった。レジスターというものなどなかったので、売り上げやつり銭は、カウンター下の仕切られた箱に金額の違いごとに納め、それとは別に、あらかじめ購入しておいた印紙も金額ごとに仕切って入れて置かれた。間違いなくお客さんに印紙を手渡すのはかなり煩雑なことのようだった。それに、ちゃんと印紙を渡しているかどうか、「脱税」していないかどうか、税務署員が客を装って、店頭に現れるというのである。いつ頃まわってきそうだとか、どの店には来たらしいとか、同業同士の情報交換などもしていたらしいことも、大人たちの話から伝わってくるのだった。厄介さに加えて、何かと緊張が重なるのがわかった。

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税務署員だけでなく、お客さんからの通報制度まであった? 国税庁のHPより

 

 消費税の一種で、この時の取引高税は39業種にわたり、主食・みそ・醤油・家賃・入浴料はのぞくとなっていたという。しかし店頭での煩雑さは、予想可能であったろうに、その完全実施の困難さもあったのだろう、一年で廃止になった。シャウプ勧告がなされたのは、翌年の1949年であった。

 現代の消費税もややこしいことになっているが、非課税や軽減税率の制度もないまま、10%まで引き上げたらどうなるのだろうか。そしてその使い道も問題である。それ以前に、所得税での総合課税や累進課税の実施、法人税の税率を高くする方が先なのではないか。現在のような高所得者、法人優遇税制では、景気が良くなるはずがない、とも思えるのだ。いったい、政府と日銀は何をやっているのだろう?!

 

 

 

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2016年3月28日 (月)

駅頭でビラを配りました

  3月27日、少し日が差してきた日曜の午後、ユーカリが丘駅北口で、私が参加している「さくら・志津憲法9条をまもりたい会」は、「18歳は選挙デビュー」のチラシを配ることになりました。この日の参加者は、いつもよりやや少なめの8人でしたが、通行の方々の受け取りはよかった由。私は、なんかタイミングが悪くて、1時間弱で渡せたビラはわずかでした。二つのバージョン、合わせて5分ほどのトーク、三度繰り返し、バトンタッチしました。以下は、その時の手持ち原稿です。

****************

  皆さん、私たちは「さくら・志津憲法9条をまもりたい会」です。2006年から、活動を続けています。ちょうど今年で、10年になりますが、この大事な憲法が大きく変えられようとしています。いまニュースとチラシを配っています。今度の参議院選挙は、とても大事な選挙になると思います。(太字部分を繰り返し)

①安倍首相は本気で憲法を変えようとしています。集団的自衛権は、解釈で認められたと言っていますが、その歯止めとなるのが憲法9条です。 憲法9条が国民の間で愛され、大切されていること知った安倍政府は、いま9条改正を持ち出すのはまずい、と思ったのでしょう。まず憲法に、「緊急事態条項」というものを盛り込もうとしています。首相が閣議で「緊急事態」を宣言すると、政府が出す政令が、国会審議を経て成立する法律と同じ効力を持ち、国民には、政府の指示に従う義務が生じるのです、国民の権利が大きく侵害されてしまうのです。
  「緊急事態条項」、私も初めて知りました。 大災害やテロや武力攻撃が発生したら、いまの憲法では迅速に対処できないというのが自民党の考えです。それに、どこの国の憲法も「緊急事態条項」も持っているというのが、自民党の理由なのです。果たしてそうでしょうか。今、すでにある法律で、災害対策基本法や災害救助法、自衛隊法や警察法で十分対応できるのです。その運用さえ間違わなければ、可能なのです。これ以上政府に好き勝手をさせる緊急事態条項は不要ではありませんか。 諸外国の「緊急事態条項」には、必ず歯止めが伴っています。日本では、まったくその歯止めのない、政府がフリーハンドになってしまうのです。これほどおそろしいことはありません。憲法に「緊急事態条項」は必要ありません。
  今度の参議院選挙は、大事な選挙です。「緊急事態条項」を加速させてはいけません。 立ちどまって、よく考えてみましょう。

② このところ、安倍内閣の閣僚や政治家たちの、政治家らしからぬ、とんでもない不祥事や発言が問題になってますね。あのような政治家を選んでしまったのも、私達国民です。今度の選挙はよく立ち止まってゆっくり考えなければと思ってます。
  安倍政府は、自分たちの経済政策が何一つ成果を出さないまま、それどころ悪くなっていることを、ごまかそうと、一所懸命です。介護や年金、保育や労働の現場はどうでしょう。安心して年を取れない私達、非正規では結婚できない、安心して子どもを持てないという若者たちが急増しています。こんなとき、消費税増税の延期を持ち出して、増税延期を道具にして、選挙に臨もうとしています。ハイリスク・ハイリターンの年金運用、介護士や保育士の皆さん非正規で働く皆さんの待遇改善が進みません。その場限りの決意表明や言葉だけの約束に終わっている政府与党です。
   そもそも、消費税増税すると3.4兆円の税収があると言います。しかし、増税しなくても、他の財源が沢山あるのです。政府は法人税の値下げを加速させています。1%でも元に戻せば4700億の財源が増えるのです。オスプレイは1機103億もします。17機も買おうとしています。無駄遣いをやめればいいのです。増税延期を口実に、福祉政策がますます悪くなってきています。劣化していくでしょう。
  消費税増税延期を選挙の道具に使っている、使おうとしている自民党の続投を許してはなりません。 選挙が近づきました。ここで、立ち止まって、よく考えてみましょう。

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2015年1月 3日 (土)

「課題」と「懸念」が好きなマスメディア~「与党税制改正大綱」はどう報道されたか

 1230日、自公両党が決定した来年度の税制大綱が発表された。12月総選挙のため例年より遅れた発表となった。今年10月の消費税10%への増税は先送りになったが、さまざまな改正点が明確になった。新聞各紙は、企業向け、個人向けというくくりで、改正項目を図表にして提示していた。ここでは毎日と東京の図表をコピーした。今後は、年頭に閣議決定され、続く通常国会で改正案が提出されるはずだ。すでに11日から施行の相続・贈与にかかる税改正とあわせると、税制改正点の全貌が見えてくる。

参考:http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sozoku/aramashi/

(国税庁)

東京新聞と毎日新聞の図表

http://dmituko.cocolog-nifty.com/zeiseitaikouzuhyou.pdf

 1231日朝刊各紙は、そのトップ記事で、与党の「来年度税制改正大綱」を伝えた。以下は、関連記事の「見出し」を拾った表である。読売とはNHKはオンラインによるWEBニュースから拾い、赤旗は1231日だけ目を通した結果である。通読したところ、いずれも図表などを用い、理解しやすいような工夫をしているが、読売・NHKは、今回の改正大綱を積極的に評価し、与党・財界の意向や期待を代弁している。東京「大企業、富裕層に重点」、毎日「潤う大企業・富裕層」、赤旗「大企業減税、中小課税強化」と1面の見出しで、今回の改正のポイントを突いていると言えよう。朝日は1面以外で、同趣旨のことは強調するが、1面の見出し・記事は、バランスをとることに苦慮した紙面となっている。大多数の国民や家計へ恩恵ももたらすことがないことを「格差固定化懸念も」の小見出しで伝えるのみである。5面では二人の「識者」のコメントを載せているところからも伺われる。しかし、形式的な中立性やバランス論は、メディア本来の、読者や視聴者への論点提示、多角的な判断材料を提示するという役割をむしろ損なうものではないか。「懸念」「課題」を提示するだけで、事足れりとする風潮が際立つようになった。「懸念」「課題」のなか身こそが重要で、「懸念」「課題」の解決の道筋を示すことをはじめから投げ出して、現状肯認や体制順応を誘導しているような気がしてならない。比較表では、「懸念」「課題」を赤字としてみた。たとえ赤字がなくとも、その内容に具体性が伴わず、言葉だけが題目のように唱えられる場合もあるので、用心しなければならない。

とくに公共放送をを標榜して受信料で成り立つNHKの政府・与党の広報化は、この表でも明らかで、1230日の「ニュース7」では、自民・公明・経済界の反応にしか言及がない。朝・昼・夜の報道を使いわけながら、税制大綱が発表に至る12月30日までも、その内容の小出しに余念がない。

来年度税制大綱改正(自民・公明両党決定)についての

1231日朝刊各紙報道(見出し)比較

(内野光子作成)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/zeiseitaikoukijihikakuhyou.pdf                                   (上のPDFの方が見やすいかもしれません)                 

 

新聞

 
 

社説

 
 

第①面トップ記事

 
 

その他の頁の関係記事

 
 

朝日

 
 

税制改革「再配分」は置き去りか

 

(沖縄冷遇政府対応は大人げない)

 
 

景気刺激策優先

 

子・孫贈与優遇拡充

 

企業向けは減税先行

 

格差の固定化懸念

 
 

②(時々刻々)税制「安倍印」ずらり/財政再建派影薄く/法人税減税幅も押し切る/選挙で議論先送り次々/軽減税率案来秋にも自公

 

④全面2015年度与党税制改正大綱・大綱要旨/暮らしの中の税は/税の負担こう変わる(図表)

 

⑤税改革黒字大手に恩恵/赤字の税優遇縮小

 

「好循環の第一歩」(竹中平蔵)

 

「格差是正見えず」(三木義一)

 
 

東京

 
 

不安もあり希望もあり大みそかに考える

 
 

大企業、富裕層に重点

 

与党税制改正大綱を決定

 

安倍カラー濃く

 

格差解消重い課題

 
 

②贈与税非課税枠結婚・出産・育児最大1000

 

住宅資金上限3000

 

③法人減税恩恵3割/賃上げは一部の企業家/要件緩和も腰重く

 

④生活密着の税見直し

 

⑦全面税制改正大綱決まる/15年度税制改正大綱の詳報/エコカー免税見直し/NISA非課税枠拡大

 

「格差の固定化招く懸念」(三木義一教授に聞く)

 
 

毎日

 
 

法人税減税 国民の理解が不可欠だ

 

(アサッテ君40年分の感謝を込めて)

 
 

税制大綱決定 賃上げや消費促す

 

潤う大企業・富裕層

 

減税規模は1240億円

 
 

③(クローズアップ2014)法人減税効果偏り/自民税調「収益改善、活用を」/中小「賃上げできぬ」/改正官邸押し切る

 

④増税先送り課題残す/軽減税率難航必至 /「配偶者控除 」「ビール」未決

 

「法人減税代替財源を」(土居丈朗)

 

⑥贈与の非課税枠拡大/住宅購入最大3000万円/結婚・子育て新制度で支援/ジュニアNISA創設/消費回復を下支え/地方活性化も狙う

 
 

読売

 
 

与党税制大綱経済再生~着実に改革を進めよ

 
 

成長重視、1380億円減税…与党税制大綱

 

若者へ資産移転促す

 
 

税制改正大綱の要旨

 

法人減税賃上げ促す、1516年度2100億円負担減、経済界引き下げを歓迎

 

「家計の直接支援必要」(片岡剛士)

 

「消費税10%超も視野」(土居丈朗)

 
 

赤旗

 
 

与党税制大綱

 

大企業最優先政治のきわみだ

 
 

2年で3.29%大企業減税

 

与党「税制改正大綱」中小は課税強化へ

 
 

③国民・中小企業から吸い上げ大企業にどっさり/財界要求丸のみ/社会保障は大改悪/内部留保だけ「成長」/税制改正大綱要旨

 

「<応能負担>発揮を」(浦野広明)

 
 

NHK

 
 

 

 
 

1230日ニュース7

 

自公来年度の税制改正大綱を決定/自民野田氏「企業活動を積極的に後押し」/公明「軽減税率盛り込まれ大きな意義」/経済界の受け止め

 

記者解説税金はどう変わる 

 

1231日おはよう日本自公軽減税率めぐり調整手間取ることも

 

減税措置で経済の好循環が課題

 
 

1229日おはよう日本

 

エコカー減税 低燃費車が有利

 

1229日NHKニュース(正午)

 

自民税調法人税引き下げ幅の方針確認

 

 

 

 

 

 

 

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2013年9月20日 (金)

新しい参議院議員会館、「消費税増税 反対共同会見」へ

 「消費税増税反対」の記者会見があるというので、出かけた。久し振りの参議院議員会館は新しくなっていて、少し勝手が違っていた。20106月竣工(600億!)というから、3年ぶり以上ということになる。空港のように荷物検査をされ、紹介議員による会議室使用のための入館証はICカードとなっていた。議員の出入りにはほとんど出会わなかったが、柔道連盟の山下泰裕理事ら数人が入館するのに出会った。議員の個室は40平米から100平米に拡張されたという。何しろ廊下が広い、天井が高い。セブンイレブンも入っていて、晋ちゃんまんじゅう、タローカポネなる菓子も売っていた。

共同記者会見は「社会保障の充実なき消費税増税に反対する緊急アピール」と銘打たれ、その概要は以下の通りだった。私は2時過ぎに中途退席しているので、この報告は、あくまで配布資料とIWJの動画視聴の印象とによるものである。会見メンバーは異色の顔合わせと言えようか。植草さんは、参院予算委員会公聴会以来だし、斎藤さん、鶴田さんの話は初めて聞く。

 

日時  2013917日(火)1330分~

 会場  参議院議員会館 B109会議室(地下1階)

 出席者(五十音順)

    植草一秀(政治経済学者)

    斎藤貴男(ジャーナリスト)

    醍醐 聰(東京大学名誉教授)

    鶴田廣巳(関西大学教授/日本租税理論学会理事長

 

 

  アピール文は以下を参照してください。

   http://sdaigo.cocolog-nifty.com/shouhizeizouzei_hantai.pdf

 鶴田:アピールの趣旨説明がなされ、30分近くに及んだ。
①社会保障の充実なき消費税増税:1989年度消費税が導入された以降、年金開始年齢・保険料引き上げ、支給水準切り下げ、健康保険料引き上げ、介護保険創設・保険料引き上げなどにより後退、さらに社会保障制度改革国民会議の報告書によれば、給付の重点化と効率化により公助の抑制と自助を強調する。
②消費税導入以降10年余で、消費税増収123兆、所得税・法人税減収211兆、161兆となり、財政再建にも貢献しないばかりか「負担を将来につけまわし」た。さらに国土強靭化計画・オリンピック招致のため大型公共事業が目白押しとなる。
③消費税増税は、東日本大震災の被災者、零細業者、中低所得層への打撃は大きく、増税分を転嫁できず、損金問題に直面する事業者が増大する。低所得者への現金給付案への疑問も大きい。
④安倍内閣の経済成長戦略が、デフレ不況脱却につながるかは、世帯年収・可処分所得・消費支出低下の中では不透明なこと。また、労働移動支援型政策、限定正社員促進などが雇用の安定につながるか疑問。
⑤消費税増税の国民の信を問うてないことは、新聞各紙の世論調査結果でも明らかである。

 植草:消費税そのものを否定するわけではないが、と前置きをして、今回の増税についての反対理由を以下のように説明した。①消費税の増税の前にやることがある。②増税の理由とされる、持続可能な社会保障制度確立の道筋が示されていない。③日本財政が危機的状況にあるとの財務省の説明は虚偽である。④弱者切り捨て、バラマキ公共事業と利権拡大、逆進性の強い大衆課税依存という財政構造改革の手順に間違いがあり、消費税増税を先行するのは適正でない。⑤販売価格に転嫁できない零細業者、応能負担の後退など原稿消費税制度そのものに欠陥がある。

 斎藤:中小零細企業は、価格競争や元請けとの力関係から消費税増税分の値上げ、転嫁は現実的に困難となる問題点を指摘し、負担は弱者へ、弱者へと押し付ける税制であると強く批判した。

さらに、輸出事業者は、国内での仕入れのときには消費税を負担していながら、海外の消費者からは消費税を納めてもらえないので、仕入れの時に支払った消費税を国から「還付金」を受けている。2010年度分の推定でいえば、トヨタは2246億、ソニーが1116億円を筆頭に還付金を受けているという。机上での計算でいえば、当然の還付と言えるのだが、それは、トヨタやソニーが国内での下請け納入業者に消費税をきちんと納めている場合の話である。しかし、弱い立場の下請け納入業者が値切られ値切られしている実態を思うと、還付金を受ける根拠が曖昧となる点などを指摘した。

醍醐 :今回の消費税増税に関して、附則の景気斟酌条項が満たされているかどうかばかりに焦点が当てられ、本則(社会保障の充実のために消費税収を使う、逆進性対策を講じる、転嫁が円滑に行われるよう措置する)がことごとく満たされないまま増税が実施されようとしていることに警鐘を鳴らした。報道については、新聞各社が政府と財務省の綱引きといった政局報道に明け暮れ、国民の政治参加に必要な情報を知らせていない。「知識に課税すべきではない」という大義名分に新聞への軽減税率の適用を求めていながら、零細事業者の実質的に転嫁の困難さに触れようとしないことを厳しく批判した。

 消費税について回る「転嫁」の困難さと複雑さについて、私も少なからず、衝撃を受けた。斎藤さんが指摘する輸出事業者への「還付金」制度についても初めて認識したした次第である。

 連休明けのことで、広報期間も短く、会見場に現れた記者たちの数は決して多くはなかったが、熱心に最後まで聞き取ってくれたそうだ。ただ、どのメディアが、現実に報道してくれるのかは、非常に心もとない。大手メディアは、まるでもう、消費税増税を前提とする報道しかない中・・・。

Gedc3218

Photo

                ↑ 参議院議員会館と第2衆議院議員会館との間には、往路に見た街宣車

                    とは違う車で、別の幟が立っていた。車の横断幕をよく見ると

                 「国益を守れ!緊急国民行動 消費税反対!TPP反対!」とあり、

        幟には「頑張れ日本!全国行動委員会」(あとで、調べてみると会長は

        田母神俊雄) とあった。

 

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