2016年8月14日 (日)

マイナンバーその後 、保険会社からマイナンバー申告書類が届く

 8月の中旬に入って、私のところに生命保険会社から、次のようなマイナンバー申告の「ご案内」の書類と「お願い」のチラシが届いた。もちろん申告は任意で不要なのだが、下記の「ご案内」と「お願い」の中の文言が気になり、問い合わせ先に電話した。

 

「個人番号(マイナンバー)・法人番号申告のご案内

その冒頭はあいさつ文だが、上記のタイトルのもと「個人番号(マイナンバー)・法人番号申告のお願い」の題のもとに、次のように記されている。

「このたび、『社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)』が導入され、生命保険会社は税務署などに提出する支払調書にお客様の個人番号(マイナンバー)・法人番号を記載することが定められました。つきましては、個人番号(マイナンバー)・法人番号の申告をお願いいたします 

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②「個人番号(マイナンバー)・法人番号申告に関するお願い

これは①の『ご案内』の説明チラシの位置づけのようである。最上段には次のように記され、申告方法や利用目的などが続き、裏面には、「個人のお客様の番号申告の流れ」が大きく図示されている。

「社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の導入により、生命保険会社では税務署等に提出する支払調書にお客様の個人番号(マイナンバー)・法人番号を記載することが義務づけられています。つきましては、お客様の個人番号(マイナンバー)・法人番号を当社あてに申告ください

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  善良な市民だと、手続きの流れに沿って、マイナンバーの通知書、マイナンバーカードのコピーを張り付け、本人確認の写真付き証明書か写真がないものは2種類の証明書のコピーを貼付することになるだろう。これって、マイナンバーと個人情報満載の証明書情報もあわせて、保険会社はゲットできることになる。これらのセキュリティの甘さは、これまでも、なんど頭を下げられてきたことか。IT社会における情報漏れ防止の担保の難しさを、私たちは学んできたはずである。 安易に個人情報をばらまいてはいけないと思う。

 ところで、この二つの①「ご案内」と②「お願い」文書の文章の微妙な違いに着目してほしい。①「ご案内」では、「生命保険会社は…記載することが定められました」「申告をお願いします」となっているのが、②チラシ「お願い」では「生命保険会社では・・・記載することが義務付けられています」「申告ください」と②チラシ「お願い」の方が強い口調になっている。「義務」は、どう読んでみても生命保険会社の「義務」としか読めないのであるが、一読、いかにも保険加入者に「義務」づけられているから「申告ください」と促しているようにも読める。ウカウカと誘導に乗ってはいけない。

 あらためて、問い合わせ先に、確認してみる。

Q 私たち顧客には、義務はないはずですが、いただいた文書には、紛らわしいところがありますね。

A 申し訳ありません。会社には「支払調書」にマイナンバーの記載が義務付けられていますが、お客様の義務ではありせん。

Q マイナンバーの申告は、お客の任意であって、義務でないということがどこにも書かれていませんが、書類には、しっかりと明記してほしいです。

A 申し訳ありません。そのようなご意見があったことは上司に伝えます。

Q 確認ですが、マイナンバーを申告しなかったことにより、サービスに支障がありますか。

A まったくございません。

  なお、ネット上で調べてみると、私のかかわる保険会社ではなかったが、他の保険会社の「マイナンバー申告のお願い」にあたるお知らせの中に、例えば、「よくある質問」としてQ&Aのコーナーを設けて、つぎのような問答が記されていた。これとて、必ずしも正確な情報ではないが、こうした問答を載せることによって、 お客には、マイナンバーについて考える時間や余裕が生じるはずである。

<エヌエヌ生命>https://www.nnlife.co.jp/aboutmynumber

Q.マイナンバー(個人番号)を申告しないとどうなりますか?

A.マイナンバー(個人番号)をご申告されない場合でも、年金やその他の保険契約に基づくお支払手続きに支障はございませんが、保険会社には支払調書にマイナンバー(個人番号)を記載する義務がございますので、なにとぞご理解のうえご協力をお願い申し上げます。

<日本生命>

Qマイナンバー(個人番号)を申告しない場合、支払手続きはしてもらえないのですか?

Aマイナンバー(個人番号)を申告いただかなくても、保険金等をお受取りいただくことはできます。なお、保険会社は支払調書にマイナンバー(個人番号)を記載する義務がございますので、ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

  なお、マイナンバー制度の普及率、7月上旬時点で、マイナンバーカードの申請数が636万枚で、通知を出したのが1億2000件というから、約5%というわけである(週プレnews 2016年7月18日)。政府は利用拡大のロードマップができているというが、国民の制度自体への不信感と利便性に欠けることが、やはりネックになっているのはないか。

また、マイナンバー制度導入前後の私のレポートに以下の記事がある。合わせてご覧いたければと思う。

◇マイナンバーに法的根拠はあるのか~内閣官房も自治体も、その説明に苦慮している! 16/01/15

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2016/01/post-7a6d.html

◇マイナンバー通知、到着、どうしますか、「ニューデンシャ」って、何?! 15/12/05 

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/12/post-8d52.html

◇「マイナンバー制度」は、日本だけ!? 先進国の失敗からなぜ学ばないのか 15/11/25

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/11/post-afb2.html

 

 

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2016年1月15日 (金)

マイナンバーに法的根拠はあるのか~内閣官房も自治体も、その説明に苦慮している!

 下の過去記事にあるように、内閣官房の担当の“お勧め”で、私は、昨年127日に下記のような、住民票に付記されたマイナンバーの削除届を佐倉市長あてに提出した。マイナンバー実施への抗議と阻止の意思を示したかった。年末の御用納め1228日付で別添のような回答が届いた。関心のある方は、過去の記事とあわせてご覧いただければと思う。さらに、ご意見もいただければ幸いである。

2015125
マイナンバー通知、到着、どうしますか~「ニューデンシャ」って何?
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/12/post-8d52.html

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 2015127

佐倉市市長 蕨和雄様

                    ****

  

住民票に付与された個人番号

削除届

 去る1122日に、個人番号の通知を受けたものですが、つぎの理由により、個人番号の削除を届けますので、速やかな措置をお願いします。

1.法律第5条は、地方公共団体の責務として、個人番号の取り扱いの適正と利用に関して、国との連携と自主的・主体的な施策の実施を求めているのみである。適正な取り扱いに関して、具体的な法律上や条例上の担保がないままでは、私の個人番号の業務利用を希望しませんので、住民票に付与された個人番号をただちに削除してください。

①なお、123日に「内閣官房社会保障改革担当室・内閣府大臣官房番号制度担当

室」に問い合わせたところ、住民票のある自治体に、削除を申し出ることができ

るとの指導を受けた。

 ②別表その他は、利用する場合の指標であって、住民個人が自治体の個人番号の利用を許容しなければならない義務の根拠にはなりえない。

③住民個人が自治体の個人番号利用を希望しない場合、自治体が削除することを拒む法律上の根拠が見当たらない。

2.個人番号の通知は、世帯ごとに配布され、世帯内の各個人番号は、世帯内の家族間では、知りうる情報となる。その時点で個人番号の情報は世帯内で漏えいしていることになる。生計を一にする同居人においても同様で、その同居が解消されたときの情報漏れを担保する明文がない。少なくとも私の個人番号は、いかなる目的にも利用することができないように住民票から削除してください。世帯内の「信頼関係」の有無云々について、法律は介入することは不可能なはずである。

 3.事業者において、従業員が個人番号を提出しない場合でも、それによって、公共サービスなどを受けることに何ら支障がないことが明文化されている以上、 一般個人においても、個人番号付与を希望しない場合でも何ら支障がないこと、現状の社会保障・税制度において不便を来してないので、私の住民票に付与された個人番号は直ちに削除してください。

4.総務省がマイナンバーの管理を委託している地方公共団体情報システム機構からの情報漏えい防止対策が明確に示されておらず、過去の年金機構の大量情報漏れの原因が調査中の段階での運用開始は、情報漏れリスクへの担保や漏れたときの責任をだれがとるかの保証が不明確なので、私の住民票に付与された個人番号は直ちに削除してください。

5.マイナンバー制度が、行政の効率化・国民の利便性を目的としながらも、現実には、制度スタートの段階で、通知遅配、通知未達、通知誤配、カード交付ミス、マイナンバー関連詐欺事件が続発していることは、運用後の情報漏れのリスクとあわせ、プライバシーの侵害、不平等と公共の福祉に反し、憲法に反するので、マイナンバー離脱の任意性は、当然の帰結である。よって、私の住民票に付与された個人番号は直ちに削除してください。

  以上の理由による削除届への措置を直ちに実施してください。上記の理由各項に従って、条文などを丁寧にたどれば、実施を受ける理由はあっても、拒む理由はないはずです。今回の法律の個人番号利用にあたって、佐倉市長は、独自の、主体的な取り組みが要請されているわけですから、条文を精査し、責任を持って、市民の要請に真摯に取り組み、少なくとも、届けを受理の上、上記届けに明記した理由の各項別に検証と説明の上、個人番号削除のお知らせをくださるよう、誠実な対応をお待ちしています。

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 上記「削除届」への回答の全文は、別添の4頁にわたるものだが、その内容は、読めば読むほど、説得力に欠けるものであった。が、とりあえず、そのポイント部分を紹介し、私の感想を記しておこう。回答書の構成が、削除届と対応しておらず読みにくいのだが、どちらも通覧の上、お読みいただくとありがたい。回答書の中の要注意の文言を太字に、私の結論部分を太字にし、マーカーを付した。

1.総論部分

市の回答の前半で、番号法では個人番号を通知することは、「市区町村の法的義務」としている点は、その通りだ。しかし、後半で、住民基本台帳法の「住民票への個人番号を記載されることとされております」を根拠に「以上のことからして、お申し出にございます個人番号を削除することにつきましては、それ自体、法律の予定するところではなく当市に、裁量は認められていないものと判断」した点である。
 住基法でも、たしかに個人番号を「記載する」ことまでは規定されている。さらに、職権による「消除」規定が細かく規定されているにもかかわらず、住民からの「削除」についての規定がない。ということは、「法律の予定するところではない」からこそ、裁量が可能なのではないか、と思う。


2.番号法第5条について~回答2.指摘事項の(1)

番号法第5条は以下の通り短い条文だが、市の回答は、末尾の「個人番号の利用に関し、国と連携を図りながら、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を実施するものとする」を素通りし、その上「自治体の責務」とされている「(個人番号の取扱いの)適正を確保するために必要な措置を講ずる」具体的な施策をとらないまま、「講じずるから」担保しているというが、無回答に等しい。なお、「法律上、適正な取り扱いを担保しているものと認識しております」の一文にいたっては、無策のまま、何を「認識」しているのか、不明である。

参考:「(地方公共団体の責務)第五条  地方公共団体は、基本理念にのっとり、個人番号その他の特定個人情報の取扱いの適正を確保するために必要な措置を講ずるとともに、個人番号及び法人番号の利用に関し、国との連携を図りながら、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を実施するものとする。」

 3.「削除届」1-②自治体の個人番号利用を住民が許容しなければならない根拠~回答(1)-②

 今回の「削除届」において、私がもっとも明確な回答を求めたい核心部分であった。

回答の冒頭に「番号法第3条における規定からして、行政事務処理において、市区町村が番号法を遵守しないことを想定はしておりません。」とあるが、第3条は、法律の主旨・目的を明示した部分で、要は、個人番号の推進と拡張の「必要」がうたわれている。法律の成り立ちから当然の記述ではある。また、別表に掲げられた個別の法令には「個人番号を記載する義務が明記されている。」というが、たとえば、健康保険法や雇用保険法にあたってみると、社会保障関係の事務手続きにおいて必要なのは、「個人番号又は基礎年金番号」、「個人番号(個人番号を有する者)又は被保険者番号」であることが明示されていて、あくまでも選択が可能であることが分かった。個人番号の記載が義務化されているわけではない、としか私には読めなかった。

 回答の後半部分は、内閣府大臣官房番号制度担当室の回答が引き写されている。回答文を繰り返せば、以下の通りだが、この一文の中にも、法解釈上の大きな矛盾を抱えているのではないか。すなわち「『個人番号を利用できる』と規定されているが『番号法の趣旨に鑑みれば』、自治体の裁量に委ねるということではなく」とか、「別表第一」を根拠として「すべての自治体において個人番号を利用すべきであると解される」というが、「別表第一」というのは、法令ごとに、上段に「個人番号を利用することができる者」、下段に「個人番号を利用することができる事務」が記載されている表である、番号制度担当室による「逐条解説」に明記してあるではないか。「番号法の趣旨」とは、第三条に並列しているような行政の効率化・国民の利便性・給付及び負担の公平化・適正な取り扱い・活用の可能性に資するなどを示すのであれば、この条文を義務規定と読むことはまず不可能であり、担当室が「すべての自治体において個人番号を利用すべきである」と解する根拠とはなりえない。いや、むしろ、条文からは義務規定とは「読むことができないような」構成になっている。義務規定ではないと「言い訳できる」ような、細心の配慮をした条文になっていることがわかる。だから、担当室も「利用すべきであると解される」としか言いようがなかったのだと思う。

 参照:内閣府大臣官房番号制度担当室 番号法逐条解説 154http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/pdf/chikujou.pdf#search='%E5%86%85%E9%96%A3%E5%BA%9C%E5%A4%A7%E8%87%A3%E5%AE%98%E6%88%BF%E7%95%AA%E5%8F%B7%E5%88%B6%E5%BA%A6%E6%8B%85%E5%BD%93%E5%AE%A4++%E9%80%90%E6%9D%A1%E8%A7%A3%E8%AA%AC' 

4.「認識」だけで、法律の解釈や施行ができるのか 

 「自治体が住民票から個人番号を削除することはできないと認識しております」というのが、佐倉市の私の「削除届」への結論であった。回答書に、目立つのが「認識」という文言であった。法律用語でもない「認識」、「認識」って何だ?ということになる。認識には、当然個人差がある。「時代認識」「歴史認識」といった熟語で使われることが多いし、「共通認識」という言葉もある。今回の市長の回答書には「認識」満載なのである。市民としては市長の「認識」だけで、法律を施行してもらっては困るのだ。

 その最たる一文が、上記の結論にいたる回答書(1)-②の以下の文章であった。

「住民基本台帳法第78号の②において、住民票の記載事項として、個人番号が規定されており、また、住民票の記載事項を個別に削除する規定もないことから、自治体が住民票から個人番号を削除することはできないと認識しております」

 要するに、住民基本台帳法は、自治体として「個人番号を記載するものとする」と規定するが、その「削除」については規定がないことが「削除」できない根拠にはなりえないのではない。私の結論から言えば、自治体が市民の求めに応じて「住民票から個人番号を削除」しても罰則はない。むしろ、その要望に応えることは、個人情報が付せられることにより発生している、さまざまな不安やリスクから、市民を守ることに連なるはずである。

かつてと住民基本台帳自体と「住基ネットワークシステム」と接続しなかった自治体もあったほどである。すでに記入された個人番号を「自分の住民票から削除してください」という、ささやかな「願い」が、なぜ実現できないのか。ささやかではあるが、個人の尊厳、プライバシーにかかわり、重大な憲法問題であることから、これからも、国や自治体の対応を注視したい。

そもそも、「削除届」を提出したのは、上記担当室から、「お住まいの自治体に提出できます」と言われたことに端を発している。今回、佐倉市の問い合わせに、担当室は「(そのような)指導はしていない」との回答がなされたらしい(回答書(1)-①)。しかし、私は、担当室の一員から、名前まで聞いて確認している。ということは、回答に窮しての対応であったか、あるいは担当室の中でも、法律への共通の理解ができていない証左でもあるのだろう。欠陥だらけの番号制度、番号法を認めるわけにはいかない。不要なのである。

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2015年12月 5日 (土)

マイナンバー通知、到着、どうしますか、「ニューデンシャ」って、何?!

 マイナンバー制度の基本的な欠陥
  友人たちの中には、簡易書留のマイナンバー通知の受け取りを拒否したという人も多い。我が家では、確認の意味もあって受理はしたのだが、もちろんカード交付申請をするつもりはない。いずれにしても、もう、住民票にはマイナンバーが付記されてしまっているのだから、いずれの場合も実質的な効果にさして変わりがない。しかし、受領拒否が「未達」としてカウントされ、増大すれば、これから先、制度運営に何らかの影響を与えるだろう。
  そもそも、私は、住民の意思に関係なく、個人番号を付与し、社会保障・税・災害などに使用すること自体、プライバシーの侵害により憲法に違反していると考えている。 しかし、マイナンバー通知を受領して、開封してみて、あらためて明確になったことがある。マイナンバーは、決して「個人番号」ではなく、「世帯番号」であるということである。カードの個人番号部分を隠して、その利用の拡大を狙っているようだが、そんなことはあまり意味がない。個人番号や個人情報が守れる保証は、もはやない。私は、そこが疑問であった。「世帯」の概念も曖昧だ。
  マイナンバーの無料問い合わせ番号は、いまだに通じないことが分かったので、「内閣官房社会保障改革担当室・内閣府大臣官房番号制度担当」(03-6441-3457直通)に問い合わせてみた。「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」という長たらしい法律は、とりあえず「マイナンバー法」と呼ぶ。その法律自体より、内閣官房HPの逐条解説の方が日本語としてまだ通じやすい。それを見ながら、以下の問い合わせをした。12月3日のことである。

ナンバーの削除は、市役所に申し出ることができる!
  私の問い合わせに対して、内閣官房の担当者がたしかに答えたのである。

:第5条で、地方公共団体は、可能な限りマイナンバーの利用推進をする、独自的、主体的な取り組みを求めているが、マイナンバーの利用を市民に義務付けてはいないので、私は利用してほしくないということで、住民票からの個人番号を削除してほしい。
担当(Uさん):自治体などが利用するまでには、個別の法律や条例や改正が必要なので、自治体に住民票からの削除を申し出ることできる。

   そういうことだったのである。いろいろなやりとりはあったが、結論的には、意外とあっさりとした回答だった。逆に、判断を自治体に振ったという無責任さも垣間見られる。各地でマイナンバー法の違憲性に伴う損害賠償請求の民事裁判が提訴されている。それはそれとして大事だが、とりあえず、今すぐ、市民たちができることは、住民票に付与されている個人番号の削除を申し出ることではないか。カードを受け取った人も受け取ってない人も、自治体に個人番号を使用させないための手立てとして、他にどんなアイデアがあるか、知恵を絞ることが大事だろう。 

「世帯」って、「家族」って、何? 
 内閣官房の担当に、もう一点確かめたことがある。

:マイナンバーの通知は、「世帯」ごとに届けられている。簡易書留を開いてみて驚いた  のは、家族分の個人番号が明示されているカードがむき出しのまま入っていて、家族間では、個人番号は、お見通しというかオープンの中で、一生変わらないという個人番号の情報は守られるのか。
担当(Uさん):いえ、家族には、信頼関係がありますから。
: 家族の間、一世帯住人の間の信頼関係の有無など、法律が介入することではないと思うが。現に家族間のトラブルや不祥事、殺人までが多発しているではないか。「世帯」となると、もっと拡大されるのではないか。
担当:住民票の「世帯」は、あくまで「生計を一にする」同居人から構成されている。住民票は、世帯主の申請により作成されるものだから、問題がない。

  たしかに、家族一人一人に、それぞれに乱数まがいの12ケタの個人番号ではあるが、赤ちゃんのとき付せられた個人番号が一生ついて回ることになるのに、世帯内だからと言って、こんなにも無防備でいいものだろうか。使用目的によって、個人情報は分散管理され、個人番号だけで個人情報全てが漏れないシステムといい、委託、再委託先からの情報漏れは、適正な管理、第三者機関の保護委員会のチェックもあるというが、これまでの個人情報管理すら機能していないのにと、不安は募るばかりである。

「ニューデンシャ」って、何?
  内閣官房の担当と話し合っていて、何度も発せられる「ニューデンシャ」なることば、新しい電車?がどうしたの?と、さえぎって尋ねてみた。皆さん分かりますか?私は初めて聞くことばだったが、聞いてびっくり、役所言葉にもほどがあり、笑い話にもならない。そのときの一問一答・・・。

:「ニューデンシャ」って、何なのですか。
担当(Uさん):「入電者」と書いて、電話をいただいているお客様のことを言います。
:? 私は、内閣府のお客様ではありません。一度聞いてもわからないような、日常使われていない「入電者」なんて、通じませんよ。
担当:「お客様」と呼んで、何度も叱られたことがあります。
:「あなた」でいいではないですか。
担当:役所に「あなた」と呼ばれたくないという人もいて、「俺・お前」「あなた」の関係ではないとおっしゃる方もいまして・・・。 

   「入電者」なんて、いったい、だれが考えたのだろう。「あなた」でも、「そちら様」でも何でもいいではない か。 ほかに、もっと考えることがあるでしょうに。

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2015年11月25日 (水)

「マイナンバー制度」は、日本だけ!? 先進国の失敗からなぜ学ばないのか

日本のマイナンバー制度は、国民の利便性や行政の効率化を考えてのことなのか

「マイナンバーのお知らせ」、 皆さんのお手元に届いただろうか。私の家には11 22日に届いた。全国から簡易書留の配達ミスや自治体の窓口での交付ミスが連日続いていて、関係者があちこちで頭を下げている映像を目にする。とくに千葉県内の件数が多いとか。情報漏えいについては万全を期しているという法律ながら、スタートの時点でなんとも基本的なミスが続くではないか。他人のマイナンバーがいとも簡単に知られてしまうリスク、その無防備さが露呈した。

マイナンバー制度について、内閣官房は「マイナンバー 社会保障・税番号制度 国民生活を支える社会的基盤として、社会保障・税番号制度を導入します。」、総務省は「マイナンバー制度は行政の効率化、国民の利便性の向上、公平・公正な社会の実現のための社会基盤です。」と、そのホームページのトップで説明する。果たして、ほんとうなのだろうか。

マイナンバー法とは「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の略称で200頁以上にも及ぶ。関連法合わせて四法を指すこともあり、すでに2013531日に公布され、来年20161月から運用が開始される。さらに、今年、201593日には、マイナンバーの利用範囲を預金口座や特定健康診査(メタボ健診)、予防接種にも拡大する改正法が成立した。日本年金機構の個人情報流出問題を受け、マイナンバーと基礎年金番号の連結は延期した。預金口座へのマイナンバー登録は、いまは、預金者の任意としているが、義務化が検討されている。義務化により、税務当局や自治体は、脱税や生活保護の不正受給を減らせると見込んでいるがほんとうにそうなのか。それより先にやることがあるのではないか。

どの先進国も、進めている「マイナンバー制度」というが、その実態は

10月の終わりに、テレビ朝日の玉川さんの「そもそも総研」で、一部外国での「マイナーバー」実施状況を知った。私も、ネット検索などで調べていくと、いろいろなことがわかってきた。いわゆる「先進国」で、日本のような、「マイナンバー制度」(国民共通番号制度)を採用している国は、見当たらないのだ。国民共通番号制を採用したが撤廃したイギリス、社会保障番号の民間利用を拡大したため「なりすまし被害対策」に必死のアメリカ、納税者IDカードとして税務以外の利用は一切禁止するドイツ、税と健康保険に留まるフランス・・・。いったいどうなっているのか。資料もいろいろ出てきたが、以下のようにまとめてみた。とくに、経過と課題の欄に注目してほしい。日本における、やがて連結される年金情報、健康保険情報などが民間にも開放されたとすると、保険会社や製薬会社などにとっては、格別の情報になってしまうのではないか。

 

諸外国の個人識別番号の現況           

 国名 

人口

 導入状況 

導入時期・対象 

 経緯と課題 
 アメリカ 

3億人

 

社会保障番号 

1936 

任意・民間へ拡大

 

大不況後の対策として社会保障番号制度(年金など)を導入、本人の申請による 

公的医療保険制度はなく、識別番号制度は保険提供者・保険者・雇用主に導入、患者にはない 

民間への利用を拡大したため、なりすまし被害が激増中 

ドイツ 

8000万人

 

納税者ID番号 

2009 

民間禁止

ナチスの体験から、番号を付することが人権侵害で憲法違反とし、情報管理の一元化・データ保護に非常に敏感 

2003~課税の公平性のため税識別番号導入へ(自治体ごと)

フランス 

6500万人

 

健康保険番号 

1998 

任意

1973~紙媒体から電子化、1978~税徴収のみに利用 

1998~健康保険IDカード、医療情報の制限 

日常生活カード、国家身分証明カードは未実施 

イタリア 

6000万人

 
 納税者番号 

民間一部利用

 
 2000~納税はすべて電子申告、現在は社会保障番号としても利用 

本人確認番号として利用拡大 

イギリス 

6300万人

 

国民保険番号 

1948~

 

2006~テロ対策として国民IDカード法成立 

2007 2500万人分のデータROMを紛失 

2010~に保守党に政権交代、国民IDカード法、すべてのカード情報を廃棄 

カナダ 

3000万人

 
 社会保険番号 

1964 

任意 

民間一部利用 

 社会保険料の徴収・受給者管理・給付。身分証明番号として利用 

データ保護意識高い 

オースト 

ラリア 

2150万人

 

納税者番号 

1989~ 

任意

 

1984~税方式による公的医療保障制度、1989~納税者番号取得は任意、カードの発行はない 

2010~保健医療識別番号導入、2012~患者・医療提供者の自主的参加、患者の情報選択が可 

デンマーク 

560万人

 

住民登録番号 

1964 

民間有料で可 

住所・氏名限定

 1968~住民登録制度による税・社会福祉など全行政サービスに利用される個人識別番号制度へ 

1990年代~家庭医登録制度、医療機関相互による効率化へ 

日常的な利用拡大 

日本 

12000万人

 

マイナンバー 

2016 

住民票への番号自動的付与 

民間へ随時拡大 

 基礎年金番号、健康保険被保険者番号、パスポートの番号、納税者の整理番号(旧、法源番号)、運転免許証番号、住民票コード、雇用保険被保険者番号などの一元化へ 

住民票に、氏名・住所・生年月日・性別・個人番号付与。カード配布申請任意  

  (末尾資料により、内野光子作成。201511月現在、未完)

 上記の表は、以下のPDFでもご覧になれます。
http://dmituko.cocolog-nifty.com/syogaikokunokojinsikibetu.pdf

 なぜ「マイナンバー制度」の導入を急いだのか
20161月から運用開始といい、当初は、法律をところどころ、また解説などを読んでいくと、マイナンバーが「行政の効率化、国民の利便性、公平公正な社会」のためにというけれど、今までの役所の縦割り、役所の杓子定規による市民の不便さ、生活保護費の不正受給、富裕層や法人への税優遇が、一挙に解決するとも思われない。相変わらずの役所仕事は続くだろう。ともかく番号一つで国民の個人情報をたばねて、何にでも運用し、国民のひとりひとりの人権に踏み入ろうという狙いは明らかだ。情報漏れに関しては、だれが責任をとることもなく、第三者機関による調査と再発防止をうたって、管理職が頭を下げれば、一件落着である。さらにいえば、役所や法人からのマイナンバー事業の委託や管理事業という、巨大な利権が動く。いわば「コンクリート」公共事業の頭打ちのあおりをIT産業に振り向けるための政策であったのである。 

生活保護費の不正受給や医療費の不正請求を取り締まることは、今のシステムだってできるはずで、やらなかっただけではないのか?軽減税率をどの範囲に決めるか?などはいわば、財政上から見ればむしろ些末的な案件であって、それよりも、法人税率を1%でも下げないこと、所得の分離課税から総合課税へ、 逆進性の税制を改めること、内部留保税の新設・・・など、「決める政治」ですぐにでもできる財源確保ではないか。それらを財源に、福祉予算の大幅増額によって、貧困、病苦、非正規雇用、少子などの悪循環を止めることができるのではないか。政府雇いの有識者からは、そんな意見がさっぱり聞こえてこない。

安保法制によって得をするのは誰なのか、危険にさらされるのは誰なのか。防衛予算や基地の増強は誰のためなのか。原発再稼働によって得をするのは誰なのか。安心安全な暮らしを奪われるのは誰なのか。同じような構図が見えてくる。

この1週間、一日2・3回、マイナンバーの問い合わせ番号0120950178に電話しているが、通じない。もうそれだけでも、私などは、先行きの不安を覚える。たださえ、高齢者をターゲットにさまざまなサギが横行する昨今、民間への利用を推進しようとする「マイナンバー」が、まるで、怪獣のように私たちに襲いかかってくるような恐怖を感じてしまうのだ。

<参考文献>
・「マイナンバー制度」が利権の温床に「IT公共事業」に群がる白アリども『選択』20133
・巨額血税「浪費」のマイナンバー大手IT企業が「談合」でぼろ儲け『選択』20155
・近藤倫子「医療情報の利活用をめぐる現状と課題」『情報通信をめぐる諸課題』国立国会図書館 2014

・黒田充(自治体情報政策研究所のブログ)
「先進国は全てマイナンバーのような制度を入れている」のウソ (1)http://blog.jjseisakuken.jp/blog/2015/04/post-d673.html
「先進国は全てマイナンバーのような制度を入れている」のウソ (2)
http://blog.jjseisakuken.jp/blog/2015/04/post-5cda.html
・玉川徹ほか「そもそもマイナンバー制度は海外ではうまくいっているの?」(約
17分)『そもそも総研』(テレビ朝日、20151029日)
http://www.at-douga.com/?p=14841
・猪狩典子(
GLOCOM国際大学グローバルコミュニケーションセンターのHM)「ICT利用先進国デンマーク」
http://www.glocom.ac.jp/column/denmark/igari_1_1.html
・高山憲之「フランスの社会保障番号制度について」(
200711月)http://cis.ier.hit-u.ac.jp/Common/pdf/dp/2007/dp344.pdf#search='%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9+%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BF%9D%E9%9A%9C%E7%95%AA%E5%8F%B7'
・「国家情報システム(国民ID)に関する調査研究報告書―英国、フランス、イタリアなどにおける番号制度の現状」(国際社会経済研究所 20113月)http://www.i-ise.com/jp/report/pdf/rep_it_201010.pdf#search='%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2+%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BF%9D%E9%9A%9C%E7%95%AA%E5%8F%B7'
・「諸外国における国民ID制度の現状等に関する調査研究報告書」(国際大学グローバルコミュニケーションセンター 20124月)http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h24_04_houkoku.pdf#search='%E3%83%BB%E3%80%8C%E8%AB%B8%E5%A4%96%E5%9B%BD%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%9B%BD%E6%B0%91%EF%BC%A9%EF%BC%A4%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E7%8F%BE%E7%8A%B6%E7%AD%89%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E7%A0%94%E7%A9%B6%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%E3%80%8D%EF%BC%88%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC+2012%E5%B9%B44%E6%9C%88%EF%BC%89'

 

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