2024年4月14日 (日)

天皇の被災地訪問って?

   4月12日、天皇夫妻は、能登地震被災地へ、二度目の訪問である。今回は穴水町と能登町であったが、被災地や被災者にとって、皇族たちの訪問に、いったいどんな意味があるのか。いつも考えてしまう。

  避難所で、天皇夫妻がひざを折って、被災者の何人かに声をかけている様子、その被災者たちの「うれしかった」「やさしかった」などの感想が伝えられた。犠牲者追悼の拝礼をし、避難所関係者・消防団員らを労ったという。二人のためにチャーター機を用意し、能登空港からは、マイクロバスや自衛隊のヘリコプターを乗り継いでの移動であり、能登町には臨時のヘリポートが作られた。それでなくとも、遅れがちな復旧や復興にブレーキがかからなかったのだろうか。ただでさえ、人手不足の折、警備や準備のための行政への負担を思うとなおさらである。皇族たち自身、宮内庁や石川県庁にそうした想像力はないのだろうか。

 天皇夫妻はじめ皇族たちが、被災地や被災者を心配し、早く立ち直って欲しいと願う気持ちは、理解できる。だからと言って、あたかも“災害出動”であるかのようなこのような訪問をあらためて考え直す時期に来ているのではないか。

 メデイアも、このような被災地・被災者見舞いの訪問報道は、いわばワンパターン化し、代表撮影の動画や画像のなかで、天皇夫妻は、おそらく、あらかじめ“選ばれた”被災者に、「腰をかがめて」「膝をついて」「目線を合わせて」声をかける。そして被災者たちに応答の一部を語らせ、感激ぶりが報道されるのである。

 こんなことが、皇室とメディアの間で繰り返されるが、現実の復旧や復興が早められるわけでもない。多くの国民はどう見ているのだろうか。岸田首相が、支持率最低記録から逃げるようにして訪米しているさなか、あえてこの時期に実施されたことをも記憶にとどめておきたい。

 <宮の杜公園のサクラ>

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スーパーの買い物前に、ときどき足を延ばしてのウォーキングコースの公園、なんとサクラは満開、ときは夕ぐれ。広場でキャッチボールをしている子供たちの声がするくらいで、出会う人もいない。もともと調整池だった公園の直ぐ際には、200戸ほどの中高層のマンションが建っている。地元の不動産会社によって区画整理組合方式の開発がなされたところだ。工区に置かれていた廃棄物の処理、盛り土の安全性、隣接の住宅への日照権、工事車両の交通安全、工事中の騒音・振動対策などについて、自治会内の対策協議会は、不動産会社、工事会社と連日連夜?、ときには、市役所の都市計画課や市長を巻き込んで交渉したことなどを思い出す。あの頃は、住民も若かったし、サクラもまだ若かった。

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2023年3月13日 (月)

マイナンバー制度、「合憲」最高裁判決~「漏えいの危険性は極めて低い」なんて信じられますか

 3月9日、マイナンバー制度は憲法が保障するプライバシー権を侵害するとして、宮城、愛知、福岡各県の住民らが国に個人番号の利用差し止めなどを求めた3件の訴訟で、最高裁(深山卓也裁判長)は「合憲」とする初判断をした。

 判決では、個人情報の管理については、独立した第三者機関=個人情報保護委員会が情報の取り扱いに対する監視、監督をさせるなどしているので、「個人情報がみだりに第三者に開示、公表される具体的な危険が生じているとは言えず」、漏えいの危険性は極めて低く、プライバシー権は侵害しない、としたのである。

 個人情報保護委員会は2016年1月に発足、立派な肩書の人たちが常勤・非常勤と名前を並べるが、おそらくは、幹部職員?のもとに職員たちがお膳立てをするのだろう。 

・個人情報保護委員会委員長/委員/幹部
https://www.ppc.go.jp/aboutus/mission-roles/

  彼らがほんとに、私たち国民の個人情報を守ってくれるのか。委員会発足後の2018年、私も忘れかけていたのだが、年金機構と国税局において重大な漏えい事件が発覚していたのである。

 2018年3月、日本年金機構は、年金受給者から提出された扶養親族等申告書のデータ入力の委託先業者情報処理会社のSAY企画が無断で業務を中国の関連会社に500万人分の個人情報の入力を再委託していたことが発覚し、合計で約95万2000人分の入力ミスがあったと発表した。さらに、4月には、札幌市内の情報処理会社の恵和ビジネスでも再委託が見つかったと発表した。国民年金の保険料の免除に必要な申請書など約53万6千人分のデータを別の会社に渡していたのである。

<参考記事>
「年金機構の委託先が無断で海外再委託、約95.2万人分入力ミス」
(日本経済新聞 2018年3月20日 )
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/00540/

「年金機構の業務再委託、別会社でも53万人分」
(日本経済新聞 2018年4月6日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29095500W8A400C1EA4000/

  また2018年12月には、国税局の業務委託先の情報処理会社、システムズ・デザインKKがマイナンバーを含む個人情報の入力作業を再委託していることが発覚している。

<参考記事>
「240万件のマイナンバー漏洩事件、委託先選択を誤った国税局の責任とは」
(Cyber Security com 2018年12月20日)
https://cybersecurity-jp.com/column/29079

  そもそも、マイナンバーは、社会保障と税、災害対策に限って、それぞれの情報を「分散」して管理・利用するから、マイナンバーのもとに集約されている情報が一括して漏れることは決してない、というのが建前であった。しかし、年金機構、国税庁自体が委託、違法な再委託をコントロールできない上に、個人情報保護委員会は、まったく機能しないままに、個人情報は漏れていくのである。情報漏えいは、自治体などでも頻繁に発生しており、企業や病院、大学などでも個人情報の漏えいは、日常的に頻発している。政府が、マイナ保険証、マイナ運転免許証、銀行口座紐付けはじめ、さらに民間での利活用を計画しているのだから、個人情報が拡散こそすれ、漏えい防止、保護など実現できるわけがない。

 以下のように、個人情報保護委員会やデジタル庁は、マイナンバーの「取り扱い」の注意を促すばかりで、漏えいの責任はだれがとるわけでもなく、委託会社に頭を下げさせて一件落着なのか。

特定個人情報を取り扱うさいの注意ポイント(個人情報保護委員会 2021年9月)
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/cautionary_points.pdf

デジタル庁/制度解説(更新中?)
https://www.digital.go.jp/policies/mynumber_explanation/

 マイナンバー制度は、百害こそあって、一つのメリットもなく、番号で国民を管理する前兆にしてはならない。

<参考記事>
 共通番号いらないネット
 http://www.bango-iranai.net/

 

 

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