欠陥法案、続々成立~もうこの国を愛せない(3)電気事業法改正の中身
7月17日の国会の会期最終日のどさくさに紛れて、改正電気事業法も成立した。参院本会議では、共産、れいわ、社民が反対、賛成多数(賛成227、反対16)で可決した。「原発の建て替え可能に」なった旨の小さな新聞記事は散見できたが、「改正皇室典範」報道に比べれば、雲泥の差であった。テレビなどではほとんど報じられることはなかった。
2026年7月21日、経済産業省は、ホームページの「電気事業法の一部を改正する法律案」が成立しました」の記事には、その法律の趣旨・背景を次のように述べていて、あえて「原子力発電」という言葉を避けているかのようである。
「・ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化により国際的なエネルギー情勢が変化する一方、国内ではDXやGXの進展による電力需要の増加が見込まれている。
・こうした中で、電力の安定供給を確保しエネルギー安全保障を推進するべく、大規模な地域内・地域間送電線の整備の促進や大規模電源の整備の促進等による供給 力の確保、電気事業の安定的・持続的発展のための環境整備、太陽電池発電設備等の安全性の向上等に関する措置を講じる。」
さらに、「法律の概要」を、素人なりに読んでみたところ、この法律の要は、「大規模電源の整備の促進等のために、経済産業大臣が大規模発電事業者の大規模電源の整備計画を認定し、電力広域機関が整備等に必要な資金の貸付けを行う(財政投融資等を活用)」ことにあり、 同時に、太陽電池発電設備等の安全性の向上のために規制を強化することにあるようなのだ。
これだけの文言からでは、報道にあるような「原発建て替えに公的融資が可能になる」ことまで読み取るのが、私には難しいが、さらに、経産省は、2026年6月には「原発のリプレースを2040年代までに最大5基、50年代までに最大14基」とする目標を発表している。欧米の例で言えば、一基2兆円を超えるケースもあり、電力会社が投資をためらう現実があるようだ(朝日新聞 2026年7月17日)
今回の熊本地震にあっても、被害状況が報告される際に、必ず直近の原発、川内、伊方、玄海原発の異常の有無が報告される。九州の西側に大きな活断層があるのが分かっており、未だ同様の強い地震が発生するかもしれないし、未知の活断層もあるかもしれない地震列島からなる日本である。東日本大震災における福島原発のような大事故になるかもしれないのである。
2024年1月の能登地震における志賀原発では、東日本大震災の2011年来、2機とも点検のため稼働停止中であったが、強い揺れに加えて高さ3メートルの津波が襲来した。変圧器が一部破損して大量の油漏れが発生、外部電源の一部も使えなくなり、核燃料プールからは水があふれ出たという事実を、北陸電力は、まったく損傷がなく問題ないと発表し、後に訂正したのだった。振り返れば、1999年、2号機着工の直前に起きた臨界事故は、8年間隠蔽されて来たこと、専門家から敷地内の活断層の存在が指摘された経緯もあったのである。以下の当ブログを参照ください。
能登半島地震の映像を見るたびに(2)志賀原発は大丈夫なのか(2024年1月21日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2024/01/post-32f1ea.html
東日本大震災時、原発は54基あったが、その後、21基は廃炉が決まり、残る33基のうち、15基が再稼働した。「原発の最大限利用」による40年ルールの例外として60年を超えての運転を可能にした原発もある。2024年10月には東北電力女川2号機(1995年7月稼働)が、2026年1月には東京電力柏崎刈羽6号機(1996年11月稼働)が再稼働している。5月8日には、関西電力美浜3号機(1976年12月稼働)の高温高圧蒸気漏えい事故、2025年2月、中部電力は浜岡3号機(1987年稼働)・4号機)(1993年稼働)の再稼働をめぐっての耐震データの不正発覚、調査中にもデータ隠蔽工作がなされていたとする悪質、かつ組織的な状況が規制委員会から2026年7月に報告された。
加えて、原発事故が発生した場合の住民の避難経路の不備が指摘され、廃炉で生じた核のゴミの処理・貯蔵場所債決まらないまま、再稼働、建て替えを促進するための公的融資ができるようにしたのが、今回の電気事業法改正だったのである。
国民に多くを知らせないまま、各電力会社への事故への責任をあいまいにしながら公的融資までして「原発回帰」を強行しようとしている高市政権への監視を緩めてはならない。
そういえば、岸田政権時代の2023年、閣議決定した「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」で、新たな土地での新設はハードルが高いということなのだろう、既設の原発を「最大限活用する」方針に転じ、廃炉が決まった原発の敷地内で次世代革新炉に建て替え(リプレース)を進めることを決めていた。「建て替え」を「リプレース」などと言い替えたりして、実質「新設」を可能にする、方向転換を打ち出していた。
高市政権は、すでに3月24日の電気事業法改正案を閣議決定し、「政府は24日、原発などの大規模な電源や送電網の整備を促すため、公的機関による融資を可能とする電気事業法改正案を閣議決定した。データセンターの新設などに伴い電力需要の増加が見込まれる中、電源投資を行う民間の資金調達を政府が補完する仕組みを整える。」と報道されていた(「原発に公的融資可能に 電気事業法改正案を閣議決定」時事通信 2026年3月24日)。さらに、大規模太陽光発電所(メガソーラー)については、10キロワット以上の発電設備を設置する際、工事前に第三者機関による安全性の確認を義務付ける制度も創設する規制強化策も盛り込んでいたのである。

夕方、散歩に出ようとしたら、駐車場で猫に出会う。近づいても逃げない。





































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