2017年2月14日 (火)

冬の沖縄、二つの目的をもって~「難しい」と逃げてはならないこと(1)

沖縄、屋我地島、愛楽園を訪ねる

出発の前、数日間は、那覇の気象情報が気になっていたが、この季節の気温は、千葉より10度は高い。朝、着ていくものに迷ったが、セーターに薄いコートにマフラーで家を出る。羽田1030分発ANA469便、修学旅行の高校生も乗っていて、ほぼ満席ながら静かな機内であった。あの重量の航空機が空を飛ぶこと自体信じがたい私は、いつも無事の着陸を祈るしかないのだ。夫は5回目、私は3回目の沖縄行きである。

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屋我地島は、1953年に屋我地大橋が架けられ本島と結ばれ、1960年にはチリ津波で損壊し、1963年に再建、現在は1993年建設の三代目。2005年古宇利大橋、2010年に今帰仁の天底からワルミ大橋が架けられた

 

今回の最初の目的地は、沖縄本島中部の名護市澄井出、屋我地島の沖縄愛楽園なので、空港前からの高速バスで、名護バスセンターに直行、タクシーに乗り継いでの長距離移動である。高速バスとはいえ、各所の高速道路を乗ったり降りたり、停留所の多い路線バスなのである。最後の高速道路を降りて、終点までのあとわずかのところで、道路工事のため対面交通の個所があり、世富慶(よふけ)辺りの海岸道路の渋滞には参った。本土より日没が遅いとはいえ、不案内な愛楽園構内は明るいうちに回りたいと思っていた。

 

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愛楽園航空写真。右手上の岬の手前の赤い屋根の建物が交流会館、資料室が2015年新設された。左手上の橋が古宇利大橋

 

この日、朝720分に家を出て、愛楽園に着いたのが5時近くだったから、10時間近い移動時間を要したことになる。すでに閉館時刻をすぎていたが、交流会館の受付で案内図をいただく。会館の前には、「高松宮・同妃殿下」(1985年)、「三笠宮寛仁親王・同妃殿下」(1992年)来園記念植樹の掲示があった。地図を頼りに歩き始めると、建物の番号は付されているものの案内板らしきものがない。出会う人は親切に教えてくれるのだが、似たような建物が多く、道路も微妙に曲がりくねっていて、迷ってしまうのだ。そんなとき、広場の隅に何かモニュメントのようなものがみえたので、近づくと、そのモニュメントの脇には、大きな碑と台座が横倒しになっていた。覆うブルーシートが、ところどころ破れていて、「貞明皇后」(大正天皇の皇后、18841951)と読めたので、訳が分からないながら、いささかの衝撃が走った。

なお、「愛楽園」は、現在「国立療養所沖縄愛楽園」となったが、そこには苦難の歴史があった。沖縄ではハンセン病者の療養所設置が各地での反対でなかなか進まない中、自らも16歳の時に発病した、クリスチャンの青木恵哉(18931969)がこの屋我地島北東の小さな岬に土地を求め、1935年末に病者とともに上陸、開園したのが、愛楽園の前身であった。愛楽園発行の案内によれば、1938年沖縄県告示により「国頭愛楽園」と命名、1941年国立に移管、19441010日米軍空襲以降、赤十字の標識が掲げられていなかったため兵舎と間違われ、幾度かの爆撃や機銃掃射により施設は壊滅状態となる。米軍、琉球政府の所管を経て、1972年日本復帰とともに厚生省に移管された。敷地約10万坪、201612月末現在、入所者数164人、園内物故者1348人という。私が関心を寄せたのは、「沖縄における天皇の短歌」について調べていて、現天皇の皇太子時代、沖縄海洋博開会式に出席するために訪れた1975年に、ここ愛楽園を訪ね、琉歌「だんじよかれよしの歌声の響 見送る笑顔目にど残る」と詠んでいたことを知ったときだった。

 

*青木恵哉『選ばれた島~沖縄愛楽園創設者の生涯』(聖公会沖縄教区祈りの家教会 195810月)

 

 

さらに、案内図を見ながら、この辺りに「早田壕(はやたごう)」があるはずと、渡り廊下を給食の配膳台を押してきた女性に尋ねると、しばらく間をおいて「ソウダ壕かしら」と、屋根付きの渡り廊下の奥に走って行って、手招きをしてくれる。「ここですよ」と廊下の右側のガラス戸のカギを開けて「向かいにもありますから、済んだら両方ともカギをかけておいてくださいね」と足早に仕事に戻られた。壕の入り口には格子が嵌められていて、中には入れないが、傍らには「早田壕」の説明パネルがあった。

 

「早田壕」とは、19443月に愛楽園に着任した早田晧(19031985)園長は、入所者避難のために横穴式の壕を掘らせた。貝殻の多い硬い地層のため、約一年で、怪我をした人も多く、病状の悪化、栄養失調、マラリアなどで288人が亡くなっている、とあった。

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結局、この日は、日も暮れてきたので、名護市内のホテルに向かい、明日また訪ねることにした。すでに沖縄各地でのプロ野球キャンプ入りが始まり、このホテルにも、間もなく、日ハムの一同がやって来るそうだ。近くの名護球場は、もっぱら夜間練習などで使用するとのことだった。

 

翌日の愛楽園再訪で、交流会館内の資料室をゆっくり見学することができた。資料室は一昨年オープンしたばかりであるが、時系列での展示とテーマごとの展示もあって、多くを教えられた。

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とたん屋根が暑い、かまぼこ型の居室

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澄井出小中学校の年表、1951年開校、1981年閉校の歴史

  また、皇室とハンセン病については、片野真佐子『皇后の近代』(2003年)原武史『皇后考』(2015年、いずれも講談社)に詳しいが、その皇室とハンセン病との関係は、戦前の救ライ事業における、貞明皇后の短歌「つれづれの友となりても慰めよ ゆくことかたきわれにかはりて」と療養所への下賜金が、象徴的に表しているような皇室による「慈悲の心」が、強制隔離や差別を助長したとされる。らい予防法は、1996年に廃止されたが、小泉純一郎内閣時、国家賠償裁判で、2001年の熊本地裁の病者差別違憲判決を受けて政府は謝罪した。2005年には「検証会議最終報告書」が出され、そこにおいても、皇室とのかかわりによって「隔離強化という国策を支持する世論を喚起したのである」と結論づけている。資料室の展示パネルにも、そうした事実が明確にされていた。

 

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復帰1972年を経て1974年再建されたという

ところで、昨夕、探すことができなかった「青木恵哉頌徳碑」、強制断種や堕胎によって葬られた子どもたちの「声なき子供たちの碑」、愛楽園で亡くなった人々の慰霊碑に手を合わせることができた。今でこそ、屋我地島と本島には橋が架かり、これらの慰霊碑は、リゾート地として名高い古宇利島との長い橋も望める地となった。私は、波打ち際に出て、思わず白い砂を掬い、小さな貝殻を拾って小さな箱に収めたのであった。

 

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小島の間に見えるのが古宇利島

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青木恵哉頌徳碑

 

 

 

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2016年10月 6日 (木)

いま、なぜ、「情報公開」の後退なのか~佐倉市社会福祉協議会がやっていること~予算・決算の広報に見る(2)人件費の内訳、正職員・嘱託職員・非常勤職員別がわからないしくみは、どうにかならないのか

 佐倉市社会福祉協議会の予算・決算についての下記の記事を書いてから、だいぶ日が経ってしまった。前回は、予算・決算の広報の仕方が例年と異なりグラフ化などされて、情報量自体が大幅に減らされた上に、実に分かりにくくなったことを伝えた。広報で円グラフ化された数字の元をたどろうと思って、社協のホームページや送ってもらった冊子体の予算書や決算報告書、事業報告書と照合しようにも、該当する表が作成されていないのだ。担当者によれば、広報の事業活動別の数字は、複数の表から数字を拾って作成している、数字の総計には間違いはないというが、市民としては、そんな操作を確かめようがない。

いま、なぜ、「情報公開」の後退なのか~佐倉市社会福祉協議会がやっていること~予算・決算の広報に見る2016820 ()

101日、広報紙『社協さくら』 の最新号189号には、「佐倉市社会福祉協議会の人事・給与などの状況」(平成27年度)という記事がでた(とんでもない単位のミスがあって仰天!)。

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これとて公表され始めたのはここ数年のことである。職員数、正職員14名、嘱託職員18名合わせて32名、今、2010年(平成22年度)からの推移を見ているが、2013年から正職と嘱託の数が逆転し始めた。記事の中央には、諸手当の正職と嘱託の差は事細かく示される。しかし、記事の右端の3(1)(2)の表で職員32名の人件費17570万円とその資金源は、正・嘱の別が示されていないし、自主財源の内容も分からない。これは、当方からの8月の問い合わせで、別途送ってもらった資料で分かるのだが、自主財源には、事業収入ほか障害者福祉サービス等・介護サービス・収益事業による収入があるはずだが、そこに配置された人数もわからない。資金源の方に合計欄はないが、私が加えてマーカーをした。合計額は、当然のことながら一致する。行政からの委託事業による受託金の人件費は、理解できるが、佐倉市からの人件費補助金の根拠は相変わらず不透明で、一社会福祉法人に過ぎない「社協」のみが、人件費の補助を受けるのか、が問題のはずだ。他の社会福祉法人との公平性に欠け、受託に拠る人件費と補助金の人件費は人件費の2重どりではないか、とする指摘もある。

さらに、ここには、現場で、大半のサービス業務に苦労されている多くの非常勤職員の人件費は、この数字から抜け落ちている。これも問い合わせで分かったのだが、昨年度、非常勤職員給与は、総計で約5964万円であった。さらに、その内訳、実態のわかる数字、人数配置と時間数、支払額など、これまでの資料からはわからないので、質問を続けている。

3職員の人件費と補助金(平成27年度)

1)職員の人件費                          

 

職員数

 
 

32

 
 

給料・諸手当

 
 

給料・諸手当

 
 

112691千円

 
 

期末・勤勉手当

 
 

 29768千円

 
 

社会保険料

 
 

 24611千円

 
 

退職掛金

 
 

 8648千円

 
 

合計

 
 

175708千円 

 

 2)人件費の資金源                        

 

区分

 
 

金額

 
 

佐倉市補助金(人件費)

 
 

32957千円

 
 

佐倉市受託金(人件費)

 
 

46650千円

 
 

県社協受託金(人件費)

 
 

 9568千円

 
 

自主財源

 
 

86534千円

 
 

合計

 
 

175708千円

 

 『社協さくら』の記事で、最大の難点は

さらに、この広報記事の難点は、左側の「(2)平均給料月額など」の欄の数字である。これはなんと、正職員・嘱託職員込みの平均給料(基本給)24万8443円と平均給与(諸手当含む)26万3389円だったのである(平均年齢45・7歳)。この一緒くたにした平均に意味があるのであろうか。限りなく意味のない「平均」というマジックに、市民や読者は惑わされるに違いない。これは、上記の表の人件費・資金源と同様、まさに「正職員給与・給料」を意図的に不明確にする常套手段ではないのか。この点は改めるよう、担当者に申し入れの際「趣旨は分かりました」と言っていたが、来期実現すかどうか見守りたい。

ほかの社協では、どうなのか

お隣のほぼ同規模の千葉県八千代市社協の広報『ふくし八千代』はどうだろう。最新号196号(20167月)で、昨年度の事業報告と決算報告が2頁にわたって掲載され、去年の佐倉市『社協さくら』と同様に財務諸表が公表されていた。倍の規模の東京都府中市社協の場合は、広報『ふちゅうの福祉』年6回の発行で、5月1日号に予算、7月1日号決算の収支が報告される。項目別の割合が出ているのはわかりやすい。会費は収入総額の3.6%(広報では不明、佐倉市社協5.2%)に過ぎず、市からの受託金収入が41.7%(広報では不明、佐倉市社協47.6%)を超え、人件費については別途、正職員に関してのみ、以下のように公表している。豊中市社協はドラマ「サイレント・プア」で有名にもなったが、どうだろう。広報『みんなの福祉は』は年3回、佐倉市社協はこんなところだけまねたのだろうか。決算は収支決算報告のみとあっさりしているが、事業計画・予算にあっては歳入歳出の円グラフながら、内訳の数字が明記されているし、別にサービス区分別の予算も付されているので、佐倉市社協よりはわかりやすい。社協職員は、私たちよりも、各地社協の情報が集まるだろうし、研修もしているはずだ。わかりやすい広報を目指してほしい。

 ・八千代市社会福祉協議会事業報告・収支決算書(平成27年度)

     file:///C:/Users/Owner/Desktop/yatiyosi196.pdf

・府中市社会福祉協議会職員の給与・職員数等について

(平成2741日現在)

http://www.fsyakyo.or.jp/img/about/27syokuin.pdf

・豊中市社会福祉協議会『みんなの福祉』

117号(201610月)116号(201661日)

http://www.toyonaka-shakyo.or.jp/nav/nav_toyosyakyo/paper

  さらに、非常勤職員の実態について、問い合わせてもいるので、分かり次第報告したい。

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2016年8月20日 (土)

いま、なぜ、「情報公開」の後退なのか~佐倉市社会福祉協議会がやっていること~予算・決算の広報に見る

 これも、やや旧聞に属するのだが、気になっていたことがある。615日の新聞折り込みで届いた佐倉市社会福祉協議会の広報紙「社協さくら」(188号 2016年6月15日)の2頁目を見て、一瞬「?」と思った。今年度の「事業計画・予算概要」と昨年度の「事業・決算報告」が、なんと一緒に1頁に収められていた。例年は、5月に事業計画・予算が、7月に前年度の事業・決算が報告されていたはずだったが。今回の予算・決算は、その情報量が極端に少ないし、肝心の計算書や内訳書はすべて省略されて、円グラフが登場していたのだ。内訳部分が、まさに「墨塗り」状態となってしまったのである。

「社協さくら」188号 http://www.sakurashakyo.or.jp/koho/koho_188.pdf

詳しく見てみよう。ご覧のように「予算概要」が「事業活動収入」「事業活動支出」が二つの円グラフでしか示されていない。決算も同様である。

1頁分を「予算」と「決算」に分けてコピーした。
 

<2016年度 事業活動収入>  「社協さくら」188号2p

http://www.sakurashakyo.or.jp/koho/koho_188.pdf

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<2016年度事業活動支出>上記 「社協さくら」188号2p

http://www.sakurashakyo.or.jp/koho/koho_188.pdf

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  例年だと、年度初めの最初の号(51日号)に、事業計画と共に「(法人全体)資金収支当初予算書」が、1頁を使って掲載されていた。夏の号(71日号)には前年度の事業報告と共に「事業別資金収支計算書」「「貸借対照表」「財産目録」が掲載されていたのである。昨年の5月と7月号の該当頁は以下のとおりであった。

「(法人全体)資金収支当初予算書」(「社協さくら」183号)http://www.sakurashakyo.or.jp/koho/koho_183.pdfImg201
「事業別資金収支計算書」「貸借対照表」「財産目録」(社協さくら」184号

http://www.sakurashakyo.or.jp/koho/koho_184.pdf
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   私が今回、問題にしたいのは、例年「社協さくら」で、わずかながらでも公表してきた上記の会計情報が、今年は、すべて落とされていたのである。予算も決算も、広報紙「社協さくら」に収録できる情報は、その紙面の制約を受け、限られるだろう。詳細な数字は、それぞれ、分厚い予算書や決算書、下記の社協のホームページのサイトで見るしかない。確かにたくさんの数字を並べても、市民には分かりにくい。だから、市民に分かりやすい言葉と数字で公表するのが、広報の役割のはずだ。

こともあろうに、スペースを圧縮した上、事業活動の収支を事業活動別に円グラフで示されても、その中身がさっぱりわからなくなってしまった。ホームページを探してみても、この円グラフの元になっている資料が見当たらないのである。円グラフだけとなった今年の予算と決算、例年と比べての問題点を探ってみたい。

1)自治体からの「補助金収入」が明示されなくなったこと


 
今年度の予算の収入事業活動収入(法人全体)の円グラフにある「法人本部」に入る収入源は何なのかがわからない。昨年まで、「法人本部」というくくりはなく、上記昨年の「(法人全体)資金収支当初予算書」には、主要な収入源である「会費収入」2329万円(万以下切り捨て)、「経常経費補助金収入」6610万円、「受託金収入」19809万円であることがわかる。ここで「経常経費補助金収入」とは、何のことかわからないかもしれないが、佐倉市と千葉県からの補助金の合算で、昨年度の予算では6600万円というのがわかる。

2)佐倉市からの人件費補助の実態が相変わらず不明確なこと

調べてみると、この大部分は、佐倉市からの人件費の補助金で、2013年度(平成25年度)までは、長い間、1億円を超えていた。市や県、自治体からの補助金、つまり税金によって社協の人件費が賄われていることになる。これは他の社会福祉法人との大きな違いであり、公平性を欠くことは明らかでありながら、今日まで続いている。佐倉市からの指定管理による事業や受託事業を受ける場合の人件費もあり、法人全体への人件費補助との関係の不明確さが、監査のたびに指摘されながら、その措置がなされずに放置されていた。それがようやく、平成26年度(2014年)から、若干修正がなされているようだが、その不明確さは、依然として解明されていない。にもかかわらず、「経常経費補助金収入」の勘定科目すら、「法人本部」とくくられてしまったのである。

(佐倉市の佐倉市社協への人件費補助については、以下の記事を参照して下さい。
*2014年6月6日 佐倉市社協への人件費補助は大幅に減額されたのか~その背後を探る
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2014/06/post-b3b6.html

 3)「会費」収入の占める割合が分からなくなったこと

 いわゆる、多くは自治会などを通して、各世帯から集められる「会費」も、「会費収入」として勘定科目にあげられることなく、今年度の円グラフでは「法人本部」にくくられてしまっている。私は、この「会費」という存在自体に、大きな疑問を持つので、注視を続けている。

「社会福祉協議会」は法律上自治体に設けられる「社会福祉法人」だとされるが、他の社会福祉法人と同等のはずである。それが、社協だけは、「会費」と称して、多くは自治体公認、支援の下に自治会などを通して、いわば「半強制的に」集金するシステムを作り上げている。本来は一社会福祉法人への個人の「寄付」であるべきものである。法律的な根拠もなく、こんな集金方法が横行することに対してはすでに司法的判断が出ているのにもかかわらずなのだ。すなわち、社協に限らず日赤や神社その他への寄付金が自治会を通じて集められたり、自治会費に上乗せされたりすることに対しては、「違憲」であるという「最高裁決定(滋賀県甲賀町希望が丘自治会)」が出ているにもかかわらず、各地の社協や自治体は、いまだ野放し状態なのである。

(「会費徴収」についての判例については、以下の記事も参照ください。  

*2013年10月24日「赤い羽根募金、社協の会費って、個人の自由ですよね!「希望が丘自治会の最高裁判決」の勉強会に参加して 

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2013/10/post-3888.html

 

  私たち市民は、そうして集金された「会費」が、社協の収入源として持つ意味合いを常に認識するためにも、会費収入の額は示されていなければならない。全国にに各地の自治会では、「寄付の強制は違憲」との認識で闘っている人々も多い。佐倉市社協も、ようやく、上記「最高裁決定」を自治会長の説明会資料などに小さく報告するようになったが、いまだ、「寄付のお願い」という形で、自治会を通じて「会費」を集めることを続けている。こうして、佐倉市の傘のもと、他の社会福祉法人との差異化を目指し、佐倉市からの人件費補助を受け、佐倉市からの膨大な受託事業を請け負っているのである。かつては、社協が佐倉市の定年退職者の天下り先であった時代もあったが、いまは、「嘱託職員」の採用実態などに、癒着がないかは、注視する必要があるだろう。職員の採用は、独自の試験によるというが、佐倉市職員待遇に準じている。

 4)「社協さくら」の発行が、年4回から3回に減ったこと

 そもそも、「社協さくら」の188号(2016年615日)に今年度予算と昨年度決算資料が、例年になく簡略化されて、一度に掲載されたのはなぜか、を問い合わせてみた。今年の事業計画により、「社協さくら」の発行は、経費費削減のため、これまで4回発行していたのを3回にしたというのである。「ホームページも充実させましたし・・・」というのがその理由である。しかし、予算・決算報告については「情報公開」の流れには完全に逆行するものだろう。そのホームページにも、今回、私が何回か閲覧しているうちにも、不備はみつかり、いま、修正を申し入れている。

 

なお、各年度のデータは、次のサイトで知ることができる。

佐倉市社協事業計画・予算・事業報告・決算

http://www.sakurashakyo.or.jp/m0102_page01.html

しかし、開いてみればわかる通り、諸表の羅列で、表自体の説明や表相互の関係が全く示されていないので、表題だけで、その表の意味を理解するのは難しい。今回188号の円グラフの下にも、「詳細につきましては本会ホームページをご覧ください」との注意書きが記されているが、このサイトにたどり着いても、前述のように、そもそも円グラフのもとになっている数字を示す資料(表)が作成されていない。担当者は、「今回の円グラフは、収入・支出のおおきなくくりによる割合を示しているので、勘定科目とは一致するものではない。各くくりの扇形の数字や内訳は、各種の複数の表から寄せ集めているが、総計の数字に間違いはない」という。市民は、「広報」の読者は、根拠となるべき数字を求めようにも、数字の海を前に途方に暮れるばかりだろう。まずここであきらめよと言わんばかりに。(つづく)

なお、当ブログにおける、社協の会費、日赤の募金などについての記事は、カテゴリ「社会福祉協議会」「寄付・募金」をクリックしていただくと、見ることができます。

 

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2016年3月28日 (月)

駅頭でビラを配りました

  3月27日、少し日が差してきた日曜の午後、ユーカリが丘駅北口で、私が参加している「さくら・志津憲法9条をまもりたい会」は、「18歳は選挙デビュー」のチラシを配ることになりました。この日の参加者は、いつもよりやや少なめの8人でしたが、通行の方々の受け取りはよかった由。私は、なんかタイミングが悪くて、1時間弱で渡せたビラはわずかでした。二つのバージョン、合わせて5分ほどのトーク、三度繰り返し、バトンタッチしました。以下は、その時の手持ち原稿です。

****************

  皆さん、私たちは「さくら・志津憲法9条をまもりたい会」です。2006年から、活動を続けています。ちょうど今年で、10年になりますが、この大事な憲法が大きく変えられようとしています。いまニュースとチラシを配っています。今度の参議院選挙は、とても大事な選挙になると思います。(太字部分を繰り返し)

①安倍首相は本気で憲法を変えようとしています。集団的自衛権は、解釈で認められたと言っていますが、その歯止めとなるのが憲法9条です。 憲法9条が国民の間で愛され、大切されていること知った安倍政府は、いま9条改正を持ち出すのはまずい、と思ったのでしょう。まず憲法に、「緊急事態条項」というものを盛り込もうとしています。首相が閣議で「緊急事態」を宣言すると、政府が出す政令が、国会審議を経て成立する法律と同じ効力を持ち、国民には、政府の指示に従う義務が生じるのです、国民の権利が大きく侵害されてしまうのです。
  「緊急事態条項」、私も初めて知りました。 大災害やテロや武力攻撃が発生したら、いまの憲法では迅速に対処できないというのが自民党の考えです。それに、どこの国の憲法も「緊急事態条項」も持っているというのが、自民党の理由なのです。果たしてそうでしょうか。今、すでにある法律で、災害対策基本法や災害救助法、自衛隊法や警察法で十分対応できるのです。その運用さえ間違わなければ、可能なのです。これ以上政府に好き勝手をさせる緊急事態条項は不要ではありませんか。 諸外国の「緊急事態条項」には、必ず歯止めが伴っています。日本では、まったくその歯止めのない、政府がフリーハンドになってしまうのです。これほどおそろしいことはありません。憲法に「緊急事態条項」は必要ありません。
  今度の参議院選挙は、大事な選挙です。「緊急事態条項」を加速させてはいけません。 立ちどまって、よく考えてみましょう。

② このところ、安倍内閣の閣僚や政治家たちの、政治家らしからぬ、とんでもない不祥事や発言が問題になってますね。あのような政治家を選んでしまったのも、私達国民です。今度の選挙はよく立ち止まってゆっくり考えなければと思ってます。
  安倍政府は、自分たちの経済政策が何一つ成果を出さないまま、それどころ悪くなっていることを、ごまかそうと、一所懸命です。介護や年金、保育や労働の現場はどうでしょう。安心して年を取れない私達、非正規では結婚できない、安心して子どもを持てないという若者たちが急増しています。こんなとき、消費税増税の延期を持ち出して、増税延期を道具にして、選挙に臨もうとしています。ハイリスク・ハイリターンの年金運用、介護士や保育士の皆さん非正規で働く皆さんの待遇改善が進みません。その場限りの決意表明や言葉だけの約束に終わっている政府与党です。
   そもそも、消費税増税すると3.4兆円の税収があると言います。しかし、増税しなくても、他の財源が沢山あるのです。政府は法人税の値下げを加速させています。1%でも元に戻せば4700億の財源が増えるのです。オスプレイは1機103億もします。17機も買おうとしています。無駄遣いをやめればいいのです。増税延期を口実に、福祉政策がますます悪くなってきています。劣化していくでしょう。
  消費税増税延期を選挙の道具に使っている、使おうとしている自民党の続投を許してはなりません。 選挙が近づきました。ここで、立ち止まって、よく考えてみましょう。

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2016年2月28日 (日)

佐倉市社会福祉協議会の現況~コメントの返信に代えて

  知恵 カモメさん、コメントありがとうございます。具体的なご報告ありがとうございます。コメントの返信は、少し長くなりましたので、記事といたしました。最近の社協の広報誌から、簡単な報告をしたいと思います。 佐倉市社会福祉協議会の広報誌『社協さくら』186号(2015年12月1日、データは、同年4月1日現在)の「社協の人事・給与などの状況」によれば、人口18万弱の佐倉市社協の職員は、正規職員15人、嘱託職員18人。人件費(手当・社会保険料・退職掛金含む)は、1億9079万、その資金源は、以下の通りですが、広報誌では「平均月額給与」「同給料」しか発表されていません。約1億9079万円を職員数で割って、年俸額を見て驚きます。正規職員の諸手当は市職員に準じています。採用試験の実態は、となると・・・。

<人件費の資金源>
佐倉市補助金:       3935万円
佐倉市受託金:       5934万円
県社協補助金・受託金 1070万円
自主財源:           8140万円
合計             1億9079万円

    また、平成26年度(2014年度)決算報告(『社協さくら』184号、2015年12月1日)の「事業別資金収支計算書」によれば、事業活動支出計4億3213万の内人件費は2447万、57%を占めています。事業活動収入の方では、会費収入2221万は、収入計4億0572万の5%にも満たないことになります。社協は、自治会を通じて、大方は1世帯500円を収めると300円が地区社協に還元されるという触れこみで、必死で会費徴収させているのが実態でしょう。年度初め、自治会長を集めての地区代表者への説明会では、自治会ごとの会費納入額を発表するという、社員の営業成績を競わせるようなことをしているのです。そもそも、善意による寄付金は競われるものなのでしょうか。

    それでは、地区社協では何をやっているかというと、広報誌ではイベントの写真と役員や福祉委員の名前は、ものものしく掲載されるけれども、数年前から、決算報告が掲載されなくなってしまったようです。市社協から還元される補助金や佐倉市からの配分金で実施される最大のイベント敬老会やその他の事業への参加者は少なく、敬老会ですら、市内、どの地区社協も参加者は30%内外に過ぎないことは、佐倉市ホームページで高齢者福祉課も公表しています。 これからもこんなイベントを続けていくのでしょうか。コメントの知恵 カモメさんがおっしゃるように、住民の税金、社協募金が、一部の住民の恣意的な福祉(リクレーション)になりかねません。佐倉市では、かつて評判の悪かった記念品に代えて、敬老の日前後に後期高齢者に千円分の「地域敬老商品券」なるものをばらまいています。本当に必要なところに届ける福祉への努力が見えてきません。

   規制緩和、民間委託、指定管理者制度などによる、政府と自治体の手抜きによる質の劣化が日増しに露わになる福祉事業です。もし、とりあえず社会福祉協議会を存続させるのであれば、正規職員を丸ごと自治体の補助金でまかない、市民は半ば強制的な会費納入を横行させているようでは、ほんとうのボランティア精神にはつながらないと思います。一民間の社会福祉法人として、自治体との蜜月を断って、自立した社会福祉法人となるべきだと思っています。自治体は、厄介な事業を人件費で釣って丸投げしているようでは、福祉の質の向上は望めません。

    一市民として理不尽なことがあれば、一つ一つの自治体、一つ一つ社会福祉協議会、自分の属している自治会に向けて、異議を申し立てなければと思うのです。同じような考え方を持つ人は必ず、身近にいるに違いないと私は信じながら、仲間と動くことができればと思っています。一昨年の朝日新聞「私の視点・自治会と寄付金」や先日の「自治会は今」の記事を見たという方からの新聞社を通じての問い合わせを受けたり、ブログのコメントを通じて、各地の実態を知ったりすることもあります。

 各地で声を上げる多くの方々と情報交換をし、少しづづ共感の輪が広がればと思います。先日も市内の、来年自治会長を務める羽目になったという方からの問い合わせがありました。役員会や班長会議での丁寧な話し合いや合意形成ができればいいな、と思ったところでした。

・平成27年度佐倉市社会福祉協議会事業計画(簡易版は『社協さくら』183号(2015年5月1日) http://www.sakurashakyo.or.jp/kokai/H27jigyouan_yosan.pdf

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2015年12月10日 (木)

「自治会と寄付金」問題がなかなか改善されないのはなぜか~自治会が共同募金や社協会費を集める根拠がないのに?

 

「赤い羽根募金」が終わったら、「歳末助け合い募金」 が始まる・・・

  私の住む佐倉市でも、自治会や町内会(以下自治会)では、年中と言っていいほど、寄付金集めをしている。毎年、年度初めに、市役所が自治会長を集めて、その寄付のお願いをしている状況は変わらない。その際に配られる自治会が集めるとしている会費・募金など「寄付金」一覧である。その要点は以下の通りである。

ご協力いただく会費・募金等一覧表

                                           
 

種類・納入期間

 
 

内容

 
 

使途

 
 

問い合わせ先

 

日本赤十字社資  

5月~6  

社費:500円以上  

寄付金:500円未満

 

災害救護・健康安全知識の普及・その他の赤十字活動  

佐倉市社会福祉課

 

愛の一円募金  

6月中旬~7

 

法務省主唱「社会を明るくする運動」活動資金  

街頭広報・講演・音楽会・作文コンテスト 

佐倉市社会福祉課

社会福祉協議会会費  

4月~6

 

社会福祉法109条に基づく「地域福祉団体」 

世帯一般会費:1500  

個人賛助:11000  

法人:110000円など 

地域福祉推進  

地区社協活動ほか  

法人運営事務費など

 

社会福祉協議会

 

共同募金・赤い羽根

10月~12

社会福祉法112条に基づく国民助け合い運動、目標額と市使途を事前設定

 

6割:佐倉市内 

4割:県内の施設、団体、災害見舞金など  

共同募金会佐倉支会(社会福祉協議会内)

 

共同募金・歳末助け合い  

12  

要支援世帯、高齢者、児童、障害者へ支援金

  先の自治会長たちへの説明会で手渡される「自治会・町内会・区役員の手引き」(佐倉市のホームページで閲覧できます*)によれば、日赤の募金は、どういうわけか、佐倉市と自治会との委託契約に基づく業務となっている。自治体からの文書回覧、民生委員の推薦、会員の要望の取りまとめなどと並んで、「その他市長が必要と認めた事項」に入っている。一方、そのすぐ下に「社協が行う募金は、委託業務には含まれていません」との注意書きがある。それは当然のことながら、日赤が、日本赤十字社法により厚生労働省管轄の認可による「一般社団法人」ではあるが、日赤の募金が、なぜ佐倉市が自治会に委託する業務になるのかがわからない。日本赤十字社のHPにはつぎのようなQ&Aがあったが、地域の 日赤のボランテイアの方の存在など知る由もなく、自治体を介しての自治会の集金が当たり前のごとく横行している、その由縁を説明したことにはならないだろう。

http://www.city.sakura.lg.jp/cmsfiles/contents/0000004/4954/27jichikai.tebiki.pdf 

よくあるご質問 (← 寄付する ← 日本赤十字社)

社費の募集に、なぜ町内会の人などが来るのですか?

赤十字の活動は、地域福祉やボランティア活動など地域に根ざした活動を行っており、また、災害が発生すると、自治体や地域住民の方々と協力して救護活動を展開するなど、赤十字の活動は地域と密接なかかわりを有しています。

こうした活動を支えていただくため、地域の皆さまには、社費へのご協力をお願いしているのですが、その際、赤十字ボランティアが直接お宅を訪問しお願いに伺うほか、それが困難な場合には、自治会・町内会の方々にご協力をお願いする場合があります。

また、上記の表であたかも募金の根拠規定のように記されている社会福祉法109条は、社協が会費や寄付金の募集をすることができる規定にはなっていない。社会福祉法112条は、共同募金会が募金をすることができるとはなっているが、社協との関係が不明確な上に、なぜ、自治体が、自治会の共同募金への協力を推進ないし便宜を図っているのかも不明である。社協も共同募金会も一つの「社会福祉法人」に過ぎない位置づけなのに。


寄付は「個人(自治会員)の自由意思」をなぜ徹底させないのか

自治会を通して、寄付を集めること自体に法的根拠はなく、むしろ寄付の自由を阻害することがわかっていても、現在、全国のかなりの自治会で問題になっているのはなぜなのだろう。この件に関しては、昨年、私は、「私の視点・自治会と寄付金」と題して『朝日新聞』(2014317日)に寄稿している。それ以前にも当ブログでは、寄付の集め方自体とその背景となっている募金の主催団体たる社会福祉協議会、日本赤十字社などの成り立ち、募金の使われ方、さらに自治体との関係など、10本近い記事で言及している。その記事へのアクセスが、年度初めと赤い羽根募金が始まる10月から年末にかけて、かなりの数にのぼり、初めて自治会長や役員になられた方々や募金の自治会費上乗せや強制について常々疑問を持っている方々からのコメントが多くなるのも恒例である。

 そんな折、『朝日新聞』が9月から「どうする?自治会・町内会」と題して特集が連載された(97日、26日、104日、11日、18日、25日)。反響が大きく、読者アンケートや各地域の関係者への取材をもとに構成され、かなりの問題点が浮き彫りにされたのではないかと思う。たんなる「ご近所の底力」的な、行政へのお助け、多くは思い付きの域を出ない、持続性が危ぶまれる自己満足的な活動の礼賛に終わらなかったのがよかった。なかでも、私が注目していたのは、やはり、第3回(104日)の中心テーマであった「自治会の会計」であり、「募金の自動徴収」であった。前者では、自治会予算は、前年度踏襲になりがちで、会員の意思が反映しにくい点、後者にあっては、強制募金や自治会費上乗せ、自動徴収などが横行している点を指摘していた。2008年、滋賀県甲賀市希望が丘自治会の住民が各種募金の自治会費上乗せを違法とする最高裁決定(大阪高裁判決2007824日判決)を勝ち取ったにもかかわらず、募金のチラシなどに、小さな字で「寄付は個人の自由な意思によります」などと書き添えたりする程度で、自治体も、自治会を通じての強制募金や会費上乗せ、自動徴収などを見て見ぬふりをし、協力しているのが実態ではないか。 

 なぜ、改まらないのかといえば、その要因は、募金の主催団体が自治会を集金組織としか考えていない傲慢さと怠慢にあるからだと思う。自治体は、それらの集金団体が福祉や医療など人道的な活動の一端を担っていることから、自治体行政がそれらに依存したり、補完させたりしている関係があるからでもある。しかし、そこには善意のボランティア精神をないがしろにするように、各団体の運営費、とくに人件費や広報費の割合が高いことはよく指摘される点である。寄付をしても、直接、福祉や医療の現場に届くまでには時間がかかり、目減りが著しいという現実がある。さらに全国組織になると、国の役人の天下り先になったりする現象もある。

ともかく、自分の自治会で、募金の集め方がおかしいぞと思ったり気付いたりした人が、何人か相寄って、異議を申し立てることが、スタートではないかと思う。あわせて、自治体の自治会担当、社協や日赤などから「寄付の任意性」を明言させることが大事なのではないか。 

佐倉市では、私たちの自治会では・・・

佐倉市では、前述の自治会長などに配る「手引き」の「自治会との委託契約業務とする日赤の募金の注記に、昨年から次の記述、矢印部分が加わった。しかし、私が昨年参加した説明会では、この件についての口頭での説明は、市からも、募金団体からも一切なかったのも現実である。さらに、前年度の各自治会の寄付金額一覧を配る悪弊が続いていることも確かである。

〇募金などは、個人の自由意思に基づくものです。募金等を自治会費に上乗せして徴収するとした総会議決は無効であるとの判例(*H19.824 大阪高等裁判所)もございますので、自治会等におかれましても、募金等の取り扱いについてご配慮いただきますようおねがいいたします。

Img104

 また、私たちの自治会では、毎年、各募金ごとに、つぎのような募金袋を各班の回覧ルートにのせて回ってくる。ポスティングではなく、必ず手渡しで回し、班長さんに戻る仕組みになって10年余を経た。ともかく、寄付の任意性が維持されてはいる。最近、回ってきた集金袋の表書きである。百均のファスナーのついた透明な袋に入れられているから、かなりの重さ?にも耐えられるだろう。 

Img105


 しかし、自治会が、毎年、地域の自治体連合会に「消防団協力金」(50円×世帯数)、周辺の自治会・商業施設などを中心とする実行委員会形式でのまつりの参加費(700×世帯数)、防犯パトロールなどのNPO法人への協力費が一括で納入されているのも実態である。「消防団」関連への寄付は、消防団員が準公務員であることからや強制募金の性格が強いことから、法廷でも問題になっている。祭りに関しては、現実の参加者数、会場との距離、開発業者主導、参加費の高さなどから、一括納入は問題が多い。さらに「お世話になっているから」と特定のNPO法人のみへの協力金は、拡大への懸念が課題になるだろう。

ああ、問題が多すぎる!まずは、気づいた人からの、自治会、募金団体、自治体へ切り込む力が必要である。

 

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2015年11月25日 (水)

「マイナンバー制度」は、日本だけ!? 先進国の失敗からなぜ学ばないのか

日本のマイナンバー制度は、国民の利便性や行政の効率化を考えてのことなのか

「マイナンバーのお知らせ」、 皆さんのお手元に届いただろうか。私の家には11 22日に届いた。全国から簡易書留の配達ミスや自治体の窓口での交付ミスが連日続いていて、関係者があちこちで頭を下げている映像を目にする。とくに千葉県内の件数が多いとか。情報漏えいについては万全を期しているという法律ながら、スタートの時点でなんとも基本的なミスが続くではないか。他人のマイナンバーがいとも簡単に知られてしまうリスク、その無防備さが露呈した。

マイナンバー制度について、内閣官房は「マイナンバー 社会保障・税番号制度 国民生活を支える社会的基盤として、社会保障・税番号制度を導入します。」、総務省は「マイナンバー制度は行政の効率化、国民の利便性の向上、公平・公正な社会の実現のための社会基盤です。」と、そのホームページのトップで説明する。果たして、ほんとうなのだろうか。

マイナンバー法とは「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の略称で200頁以上にも及ぶ。関連法合わせて四法を指すこともあり、すでに2013531日に公布され、来年20161月から運用が開始される。さらに、今年、201593日には、マイナンバーの利用範囲を預金口座や特定健康診査(メタボ健診)、予防接種にも拡大する改正法が成立した。日本年金機構の個人情報流出問題を受け、マイナンバーと基礎年金番号の連結は延期した。預金口座へのマイナンバー登録は、いまは、預金者の任意としているが、義務化が検討されている。義務化により、税務当局や自治体は、脱税や生活保護の不正受給を減らせると見込んでいるがほんとうにそうなのか。それより先にやることがあるのではないか。

どの先進国も、進めている「マイナンバー制度」というが、その実態は

10月の終わりに、テレビ朝日の玉川さんの「そもそも総研」で、一部外国での「マイナーバー」実施状況を知った。私も、ネット検索などで調べていくと、いろいろなことがわかってきた。いわゆる「先進国」で、日本のような、「マイナンバー制度」(国民共通番号制度)を採用している国は、見当たらないのだ。国民共通番号制を採用したが撤廃したイギリス、社会保障番号の民間利用を拡大したため「なりすまし被害対策」に必死のアメリカ、納税者IDカードとして税務以外の利用は一切禁止するドイツ、税と健康保険に留まるフランス・・・。いったいどうなっているのか。資料もいろいろ出てきたが、以下のようにまとめてみた。とくに、経過と課題の欄に注目してほしい。日本における、やがて連結される年金情報、健康保険情報などが民間にも開放されたとすると、保険会社や製薬会社などにとっては、格別の情報になってしまうのではないか。

 

諸外国の個人識別番号の現況           

 国名 

人口

 導入状況 

導入時期・対象 

 経緯と課題 
 アメリカ 

3億人

 

社会保障番号 

1936 

任意・民間へ拡大

 

大不況後の対策として社会保障番号制度(年金など)を導入、本人の申請による 

公的医療保険制度はなく、識別番号制度は保険提供者・保険者・雇用主に導入、患者にはない 

民間への利用を拡大したため、なりすまし被害が激増中 

ドイツ 

8000万人

 

納税者ID番号 

2009 

民間禁止

ナチスの体験から、番号を付することが人権侵害で憲法違反とし、情報管理の一元化・データ保護に非常に敏感 

2003~課税の公平性のため税識別番号導入へ(自治体ごと)

フランス 

6500万人

 

健康保険番号 

1998 

任意

1973~紙媒体から電子化、1978~税徴収のみに利用 

1998~健康保険IDカード、医療情報の制限 

日常生活カード、国家身分証明カードは未実施 

イタリア 

6000万人

 
 納税者番号 

民間一部利用

 
 2000~納税はすべて電子申告、現在は社会保障番号としても利用 

本人確認番号として利用拡大 

イギリス 

6300万人

 

国民保険番号 

1948~

 

2006~テロ対策として国民IDカード法成立 

2007 2500万人分のデータROMを紛失 

2010~に保守党に政権交代、国民IDカード法、すべてのカード情報を廃棄 

カナダ 

3000万人

 
 社会保険番号 

1964 

任意 

民間一部利用 

 社会保険料の徴収・受給者管理・給付。身分証明番号として利用 

データ保護意識高い 

オースト 

ラリア 

2150万人

 

納税者番号 

1989~ 

任意

 

1984~税方式による公的医療保障制度、1989~納税者番号取得は任意、カードの発行はない 

2010~保健医療識別番号導入、2012~患者・医療提供者の自主的参加、患者の情報選択が可 

デンマーク 

560万人

 

住民登録番号 

1964 

民間有料で可 

住所・氏名限定

 1968~住民登録制度による税・社会福祉など全行政サービスに利用される個人識別番号制度へ 

1990年代~家庭医登録制度、医療機関相互による効率化へ 

日常的な利用拡大 

日本 

12000万人

 

マイナンバー 

2016 

住民票への番号自動的付与 

民間へ随時拡大 

 基礎年金番号、健康保険被保険者番号、パスポートの番号、納税者の整理番号(旧、法源番号)、運転免許証番号、住民票コード、雇用保険被保険者番号などの一元化へ 

住民票に、氏名・住所・生年月日・性別・個人番号付与。カード配布申請任意  

  (末尾資料により、内野光子作成。201511月現在、未完)

 上記の表は、以下のPDFでもご覧になれます。
http://dmituko.cocolog-nifty.com/syogaikokunokojinsikibetu.pdf

 なぜ「マイナンバー制度」の導入を急いだのか
20161月から運用開始といい、当初は、法律をところどころ、また解説などを読んでいくと、マイナンバーが「行政の効率化、国民の利便性、公平公正な社会」のためにというけれど、今までの役所の縦割り、役所の杓子定規による市民の不便さ、生活保護費の不正受給、富裕層や法人への税優遇が、一挙に解決するとも思われない。相変わらずの役所仕事は続くだろう。ともかく番号一つで国民の個人情報をたばねて、何にでも運用し、国民のひとりひとりの人権に踏み入ろうという狙いは明らかだ。情報漏れに関しては、だれが責任をとることもなく、第三者機関による調査と再発防止をうたって、管理職が頭を下げれば、一件落着である。さらにいえば、役所や法人からのマイナンバー事業の委託や管理事業という、巨大な利権が動く。いわば「コンクリート」公共事業の頭打ちのあおりをIT産業に振り向けるための政策であったのである。 

生活保護費の不正受給や医療費の不正請求を取り締まることは、今のシステムだってできるはずで、やらなかっただけではないのか?軽減税率をどの範囲に決めるか?などはいわば、財政上から見ればむしろ些末的な案件であって、それよりも、法人税率を1%でも下げないこと、所得の分離課税から総合課税へ、 逆進性の税制を改めること、内部留保税の新設・・・など、「決める政治」ですぐにでもできる財源確保ではないか。それらを財源に、福祉予算の大幅増額によって、貧困、病苦、非正規雇用、少子などの悪循環を止めることができるのではないか。政府雇いの有識者からは、そんな意見がさっぱり聞こえてこない。

安保法制によって得をするのは誰なのか、危険にさらされるのは誰なのか。防衛予算や基地の増強は誰のためなのか。原発再稼働によって得をするのは誰なのか。安心安全な暮らしを奪われるのは誰なのか。同じような構図が見えてくる。

この1週間、一日2・3回、マイナンバーの問い合わせ番号0120950178に電話しているが、通じない。もうそれだけでも、私などは、先行きの不安を覚える。たださえ、高齢者をターゲットにさまざまなサギが横行する昨今、民間への利用を推進しようとする「マイナンバー」が、まるで、怪獣のように私たちに襲いかかってくるような恐怖を感じてしまうのだ。

<参考文献>
・「マイナンバー制度」が利権の温床に「IT公共事業」に群がる白アリども『選択』20133
・巨額血税「浪費」のマイナンバー大手IT企業が「談合」でぼろ儲け『選択』20155
・近藤倫子「医療情報の利活用をめぐる現状と課題」『情報通信をめぐる諸課題』国立国会図書館 2014

・黒田充(自治体情報政策研究所のブログ)
「先進国は全てマイナンバーのような制度を入れている」のウソ (1)http://blog.jjseisakuken.jp/blog/2015/04/post-d673.html
「先進国は全てマイナンバーのような制度を入れている」のウソ (2)
http://blog.jjseisakuken.jp/blog/2015/04/post-5cda.html
・玉川徹ほか「そもそもマイナンバー制度は海外ではうまくいっているの?」(約
17分)『そもそも総研』(テレビ朝日、20151029日)
http://www.at-douga.com/?p=14841
・猪狩典子(
GLOCOM国際大学グローバルコミュニケーションセンターのHM)「ICT利用先進国デンマーク」
http://www.glocom.ac.jp/column/denmark/igari_1_1.html
・高山憲之「フランスの社会保障番号制度について」(
200711月)http://cis.ier.hit-u.ac.jp/Common/pdf/dp/2007/dp344.pdf#search='%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9+%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BF%9D%E9%9A%9C%E7%95%AA%E5%8F%B7'
・「国家情報システム(国民ID)に関する調査研究報告書―英国、フランス、イタリアなどにおける番号制度の現状」(国際社会経済研究所 20113月)http://www.i-ise.com/jp/report/pdf/rep_it_201010.pdf#search='%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%82%A2+%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BF%9D%E9%9A%9C%E7%95%AA%E5%8F%B7'
・「諸外国における国民ID制度の現状等に関する調査研究報告書」(国際大学グローバルコミュニケーションセンター 20124月)http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h24_04_houkoku.pdf#search='%E3%83%BB%E3%80%8C%E8%AB%B8%E5%A4%96%E5%9B%BD%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%9B%BD%E6%B0%91%EF%BC%A9%EF%BC%A4%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E7%8F%BE%E7%8A%B6%E7%AD%89%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E7%A0%94%E7%A9%B6%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%E3%80%8D%EF%BC%88%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC+2012%E5%B9%B44%E6%9C%88%EF%BC%89'

 

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2014年7月31日 (木)

自治会の自立性と自治体・開発業者~男性たちの「地域デビュー」って、居場所探し?

 私の住む地域での各種団体によるユーカリタウンネットワークが、この5月に特定非営利活動法人として認証されたそうだ。この団体の成り立ちと、それへの疑問は、このブログでも何回か取り上げた。そこには、この町の開発業者「山万」が大きくかかわり、地域の自治会を取り込むために、自治会の連合体の地区自治会協議会の業務を横取りするようなことまでして何とかNPO法人認証までこぎつけた感がある。

*ユーカリが丘地域まちづくり協議会は、なぜ不認証になったのか(1)http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2011/12/post-673d.html(2011年12月6日)

*ユーカリが丘地域まちづくり協議会は、なぜ不認証になったのか(2) http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2012/02/post-a456.html(2012年2月8日)

*「ユーカリタウンネットワーク」って、いったい何をしたいの?
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2014/04/post-8e24.html(2014年4月10日)  

   私が、なぜこうもこだわるのかと言えば、自治会活動に数年かかわった経験から、住民自治会の行政や開発業者からの自立性が大事だということを自覚したことと、住民の多くが深く考えないまま、「市民協働」とか、市民・行政・ディベロッパーの「三位一体」とかの言葉に踊らされている実態が見えてきたからである。  

  それに、ごく最近、電車の中でかわされている会話を耳にして、その感を一層強くした。最寄りのユーカリが丘駅で京成に乗ったところ、同じ駅から乗ってきた初老の男性二人が隣席に座った。その会話を聞くともなく聞いていると、お互いの近況報告のなかで、その内のひとりが、「こんどユーカリタウンネットというのが、出来ましてね。その会議も結構あるんだが、会議に出ていると、アタマも使うから、ボケ防止になるかなとも思って・・・」と言い出した。 正直と言えば正直だが、そんな意識の人が多いのは確かだと思う。ユーカリタウンネットワークの発起人、後の理事たちの名簿を見ていると、半数以上を占める、ディイベロッパー関連企業、商店会関係の人間たち、それぞれ思惑があるのだろう。他には、自治会協議会の、むかし「顧問」とか称されていた自治会会長OB、社協役員OB、PTA会長、老人会、子供会、ボランティア団体などの役職の名が連なる。そして、彼らをして、自治会を取り込み、自動的に構成メンバーにしたい構想なのである。

    自治会には、もともと地区ごとに自治会協議会があって、そこには、佐倉市からも補助金が出ている。さらに佐倉市は、「地域まちづくり協議会」の立ち上げを積極的に進めて、ここにも年間90万円の補助金を出そうというわけである。この「地域まちづくり協議会」についても、私は何回か、このブログの記事にしている。詳しくは、それをご覧いただきたいが、これが、自治会や地区社協の屋上に屋を重ねるような、曖昧な趣旨の上に、自治会を取り込もうとしているのだ。これって、自治会の力を結集するのではなく、むしろ弱体化、相対化をもくろみ、自治体の業務を補助金と一緒に丸投げしようとする魂胆なのではないか。いずれにしても、本来自治体がなすべき業務の責任を拡散、無化するに等しいのではないかとさえ思えてくるのだ。

    前 にも書いたが、わが自治会にも、この「地域まちづくり協議会」の参加をめぐっての議論があった。その過程で、準備委員会の一人は、「お金も出るし、みんなで楽しくワイワイやればいいじゃないか」とさえ言い出したのである。

*「まちづくり協議会」、住民はどこに
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2014/04/post-6afc.html(2014年4月10日)

  最近、「団塊世代の地域デビュー」とか「シニアの出番」とかのキャッチフレーズで、自治体や社協が躍起になって「シニアの皆様の経験と知識」を活かしてくださいみたいな動きが盛んである。そこで、リーダーとなって達成感を味わえるのはほんの一部の人たちであって、それが誇張され、喧伝されているのが現状であろう。7月27日(日)NHK「サキどり」でも、放映していた。要するに、行政の「応援団」育成と自分の居場所探しが合致したとしても、それによって、シニアを含めた市民の生活環境が良くなるとは思えず、むしろ阻害している部分もあるのではないか。シニア自身のほんとうの意味の自立や福祉につながるのだろうか、というのが私の疑問なのである。

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2014年6月 6日 (金)

佐倉市社協への人権費補助は、大幅に減額されたのか~その背後を探る

 市内の友人から、「ことし、社協の人件費補助が大幅に減額されている!」とのメールが入った。「ほんと?」との疑問から調べてみると、たしかに、千万単位で減額されているのがわかった。しかし、結論的に言えば、それは単なる費目の付け替えだったのである。

自治体は地方自治法により、毎年10月、財政援助団体などの監査結果報告とその報告に基づいて講じた措置を公表することになっている。いま、市のHPでは平成1925年度の監査結果と措置結果を閲覧することができる。そこでは、佐倉市の社会福祉協議会への「人件費補助」については、毎回、毎回、法人経営の見直し、職員の意識改革の必要が指摘されながら、いっこうに変わる気配がなかったのである。以下の表には、社協への経常経費補助、人件費補助、事業費補助などのその他の補助金の額を時系列でたどってみた。

近年の佐倉市から佐倉市社会福祉協議会への人件費補助の推移

http://dmituko.cocolog-nifty.com/syakyojinnkennhisuii.pdf

佐倉市でも1996年、行財政改革という時代の流れにのって、7年後に補助金のすべてを白紙に戻すという「大綱」が決定されたものの、一年延長、その間、2001年には個々の補助金の価値性・公平性・効率性などのチェックシートによる全体的な再点検を行うことした。2003年から第三者委員会、補助金検討委員会が立ち上げられ、全136件についての審査が行われた。という流れの中でも、社協への人件費補助の一件は、相変わらず、抜本的な改善がみられないまま、社協内部での不透明感や他の福祉関係団体との不公平性が引き継がれていた。チェックシートも第三者委員会も機能せず、2013年度まで、ほぼ同じ状況が続いていた。監査委員による「監査結果」のポイントは表にも記しているが、もう少し、詳細にたどってみると、監査結果の報告を受けた市長名による「措置結果」の記述に大きな変化が見られるのがわかるだろうか。以下のとおりである。

平成19年年度(2007年)には、つぎのようなに監査結果が出た。

「事業運営については、人件費をはじめとする多額の市補助金が充てられています。(中略)昨年度も指摘しましたが、抜本的な法人経営の見直しと市および法人職員の意識改革をはじめとする体質改善が不可欠です。平成18年度においては『検討すべき案件がなかった』として経営検討委員会が一度も開催されませんでした。市民の負託にこたえるためにも、さらなる使命感および緊張感をもって経営を行ってください」

これに対して、市長名の措置結果は「平成19年度の5つの重点実施事項が着実に実施されるよう指導してまいります。また、経営検討委員会の開催により法人経営の見直しが図られるように併せて指導してまいります」といった、まるでオウム返しのような文面であった。

 

平成23年度(2011年)の監査結果に、つぎのように、先進他市に学べと付け加えられた。

「佐倉市は、市社会福祉協議会に対して、人件費をはじめとして多額の市補助金を充てています。また、自治会・町内会に頼る会費収入にも限界があります。このための抜本的な法人運営の見直し及び市社会福祉協議会役職員の意識改革をはじめとする体質改善が不可欠です。引き続き、先進市の社会福祉協議会の運営状況などを参考にして経営改善方策を検討し改善を進めてください。」

措置結果として「佐倉市と同等かそれ以上の規模の他市(県外)の先進市社会福祉協議会の運営状況を参考にして、人事考課制度の有効活用や役職員の意識改革等経営改善が図られるように指導してまいります」と応えている。

 平成24年度(2012年)においては、つぎのように、やや具体的な監査結果が出された。

「佐倉市社会福祉協議会事業推進費補助金の人件費分については、市の関係部署等と協議し、さらに対象となる職務内容や社会情勢についても考慮した上で、検討してください。社会福祉協議会が行う社会福祉事業は、市民からの会費と市の補助金が主な財源です。『社協さくら』やホームページ等に、市からの補助金の内容や職員給与についても掲載するなど、一層の情報公開に努めてください。」

市長名による措置結果の文面が変わった。すなわち、「社会福祉協議会に対し、措置結果を照会したところ、次のとおり報告がありました」とあり、従来の文言の主語は市長であったのに反し、「・・・協議してまいります」「情報公開に・・・努めてまいります」の主語は社協に変わった。これは何を意味するのだろう。市長は、行政の長としての「指導」を放棄し、財政援助団体に「丸投げ」をしたことになったわけである。

 最も新しい、平成25年度(2013年)では、さらに具体的に「人件費の算定資料には、委託事業に係る人件費も含まれていることから、対象経費の見直しに努めてください」と指摘している。

 これに対して、市長名による措置結果では、つぎのように社協からの報告という形式は前年度を踏襲し、「佐倉市社会福祉協議会事業推進費補助金につきましては、委託事業に係る人件費も含まれていることから、市の関係部署と協議しながら、委託事業に人件費を含めるよう見直しを進めてまいります

 そして、平成26年度の(2014年)の予算に行き着き、前年度の予算における人件費補助の7415.7万が今年度予算では一気に3935.0万に減額されている。なぜ?人件費補助金はすべて正職員に充てられていたので、職員が半減?そんなわけはない。今年度予算が掲載された「社協さくら」5月号では、何の説明がないので、社協に問い合わせてわかったのだが、従来の人件費補助には、委託事業の人件費も含まれていたので、それを「受託金収入」に入れることにした、というのである。上記、平成25年度の「監査結果」に見るように、「人件費の算定資料には、委託事業に係る人件費も含まれていることから、対象経費の見直し」の指摘に従って、「措置結果」では、委託事業の人件費は「受託金収入」繰り入れたことになる。

 ということは、受託金収入における人件費を算定しなければ、平成25年度以前の人件費補助金との比較はできないことになる。ちなみに、参考までに「委託金」(平成24年度以降は「受託金収入」)の額を付記しておく。市から社協への委託事業は、昨年度から一挙に増え、受託金収入は、昨年が14000万円、今年が20300万円となった。たしかに、佐倉市社協は、成年後見支援センター、昨年10月から生活困窮者自立促進支援モデル事業の受託をしている(参考「社説・生活困窮者支援 お役所仕事ではできぬ」『毎日新聞』201429日、「困窮者の自立・就労支援」『朝日新聞』201464日)。

 「成年後見支援」も「生活困窮者支援」も、どちらも個人や家庭のプライバシーに最も深く立ち入らねばならぬ仕事である。いわゆる「お役所仕事」ではできないことはもちろんだが、本来ならば「役所」がしなければならない仕事ではないか。安倍政権は生活保護費を削減しているので、生活保護に至る手前の支援に重点を置こうというものだが、相談者は社協の相談窓口で、ほんとうのことが話せるだろうか。担当者は、社協の正規職員なのか、嘱託職員なのか、非正規の専門職なのか。プライバシーはほんとうに守れるのか。各地で問題になっている生活保護受給申請の回避や不正受給者というレッテル張りによる受給申請への抑止につながらなければいいと思っている。最近の補助金検討委員会(2014219日)でも議論されていて、社協職員採用基準が佐倉市職員と違うのに同様の待遇を受けるのはおかしいのではないか、人件費補助と委託事業の人件費がどうなっているのか、5月のヒヤリングまでには資料を作成してほしいなどの素朴な疑問が相次いでいた。

 上記の表でもわかるように、社協への人件費補助は、何十年来、問題を指摘されながら、まるで既得権のように手離そうとはしない様相が明らかだ。そして自治体の方は、委託事業、指定管理者制度などのもとに社協を勝手よく使いまわすことによって、他の社会福祉法人や多数のNPO法人との差別化を図り、福祉において最も丹念に対応しなければならない人々を遠ざけてはいないか、不安なのである。

 

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2014年6月 5日 (木)

ドラマ「サイレント・プア」が終わった~現実とのギャップ

NHK火曜のドラマ10「サイレント・プア」が終わった。社協職員の深田恭子が、弱者には根気よく寄り添い、前向きに生きる力を引き出すという役柄で、自らも阪神淡路大震災の折、弟の手を離したので死なせてしまったという自責の念に苛まれているという設定だ。全回を見たわけではないが、その主人公は、ごみ屋敷にこもる老齢の女性、引きこもりの青年、認知症の母を抱える主婦、余命を知ったホームレス男性、東日本大震災の折、施設の職員として高齢者を助けられなかったと、これも自分を責める避難者である男性とその家族、一話、一話、どれも明るい兆しが見えて完結する。こんなにうまくいくのかな、現実はこんなものではないだろう。べテランの助演者に囲まれての深田の演技は、やはり単調さが目立った。繰り返されるクローズアップの表情には、心の葛藤が見えにくい・・・。ドラマの舞台は東京だが、豊中市の社会福祉協議会の全面的な協力をあおいでいるという。ドラマでは、社会福祉協議会の組織や業務、行政との関係、その位置づけが曖昧だし、職場の人間関係は図式的である。いま、ほとんどの社協の現場でその職務を担っているのは非正規・非常勤職員であり、地区社協のボランテイアである。

豊中市と言えば、2011年1月、当時の報道によれば、元資産家の60歳代の姉妹が唯一の所有となってしまったマンションの自室で、数十円の小銭しか残っていない、餓死状態の遺体で発見され、死後2週間以上経っていたという事件、が思い出される。相続した不動産の運用に失敗―その不動産に付け込まれ、多額の借金、相続税の滞納、差し押え、無収入への道をたどり、電気やガスもすでに止められていたという。裁判所執行官が豊中市役所担当課に連絡、相談するよう何回か張り紙やポスティングをしたものの、双方、それ以上のことはしなかった、という。豊中市男女共同参画推進センター「すてっぷ」初代館長でありながら、不当解雇事件で市や市議会と闘い、最高裁で勝訴が確定(2011120日)した三井マリ子さんも、当時、このニュースを聞いて、自身のブログ「三井マリ子の世界」で「救命力世界一宣言の豊中市で孤独死」(2011111)で次のように記していた。

「姉妹の住まいの周辺には病院もいくつもあり、駅も近い、市役所だって1駅だ。そんな環境にいて、なぜ餓死するまでほおっておかれたのか。市の福祉担当者や市議会議員は、死に至る前に、なぜその徴候を嗅ぎとれなかったか。電気ガス会社はなぜSOSを発しなかったのか。個人情報云々で善意のサポートが入り込めない事態を招いてはいなかったか・・・。」

「とよなか このまちいいな 救命力世界一宣言」というのが、20101月、豊中市のキャッチフレーズになったそうで、市役所や公用車にはこの標語の幕が付されていたそうだ。現実とのギャップは大きい。豊中市社協のコミュニティ・ソーシャル・ワーカーCSWで、いまは管理職となっている勝部さんという方が「CSWの星」のような形で活躍中のようであるが、社協をめぐる課題は、まだまだ不透明で重いはずだ。

ひるがえって、地元の社協だが、かねてより注視していた、佐倉市からの人件費補助について若干の動きがあった。次の記事でまとめたい。

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関東梅雨入りの6月5日、アマリリスが開いた

 

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