2023年4月16日 (日)

"軽老”の時代に生きる

 4月14日の朝日新聞を広げて、え?敬老の日?いや9月だったはず。最初に目に飛び込んだ全面広告が、「音で、認知症に挑め。」という、塩野義製薬と「ピクシーダストテクノロジーズ」とかいう会社とのコラボ広告らしいが、文面を読んでも認知症に音がどうかかわるのかわからなかった(5頁)。

 全面広告は、イエローハットのタイヤ、ホームミュージック全集、コンサート案内と続く。つぎに、現れたのが「デュオセーヌ」船橋高根台の所有権型シニア向け分譲マンション(20頁)、グラクソ・スミスクラインKKの「50歳以上の皆さん!」として帯状疱疹予防(22頁)、「80代でも「シャキッ」と歩けています」というサントリーロコモア(24頁)、「ラビドール御宿」介護付き有料老人ホーム(26頁)の全面広告だったのである。

 この日の朝日は36頁、そのうち全面広告に限っても8頁、その半分の4頁がシニア向けの広告だったといえる。新聞はもはやシニア世代が支えているのかもしれない。若者の新聞離れも著しく、スマホやテレビで用が足りてしまうのだろう。テレビをよく見るのは前世紀?生まれの者たちなのか。電車内で新聞を読んでいる人自体めったに見かけなくなった。全面広告以外でも、「薬に頼らず血圧を下げる」「健やかな暮らしに生薬の力」「朝までぽかぽか」「腎機能改善」などの文字が大きい。

 発行部数も激減、物価高騰の中、朝日は、来月から1カ月の購読料が4500円から4900円になる。値上げをするからには、広告収入もぜひ公開してほしいものである。* わが家も、かつて、日経や日本農業新聞、琉球新報などを購読している時期もあって、5~6紙が郵便受けにあふれんばかりの時代があった。いまは、4紙となり、3紙の夕刊をとめている。最近は、もう1紙減らそうかと話している。新聞販売店には申し訳ないが、引き落としではなく、集金をお願いし、家計費から支払い、金額を確認、意識するようにしている。

 上記のシニア向けの分譲マンションは、販売価格が2500~5000万、管理費だけでも4~6万、修繕積立金やその他もろもろ経費が上乗せされ、もちろん生活費は別となると、いったいどんなシニアが購入するのだろうかと思う。介護付き老人ホームの方は、入居金2590~5590万、管理費81400円、食費が65400円、光熱費、リネン代、おやつ代、介護にかかる消耗品・・・。いずれも、全面広告の割には極端に小さな文字でぎっしり書かれているのである。どちらの場合も、よほどの年金をもらっているか、貯えのある人たちにちがいない。夫婦二人で長生きしたら!?なおさらのことである。

 同じ日の新聞には、13日には「高齢者の医療保険料の負担増」にかかる健康保険法ほかの改正案が衆院を通過した、とのニュースがあった。これによれば、75歳以上の4割にあたる人が負担増になる。昨年の10月に続いての負担増である。さらに14日には、保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化する法案改正が衆院本会議で審議に入った。同時に、マイナンバーカードの利用拡大、マイナンバーと預貯金口座の紐づけが盛り込まれるが、個人情報満載の一枚のカードを持ち歩くのは、高齢者にとってはかなりの負担とリスクがあるばかりでなく、現在でも、医療機関や高齢者施設の現場ではかなりの混乱を招いている。(「保険証廃止 根強い懸念」『朝日新聞』2023年4月14日)

 財源の確保がないまま、“異次元”の少子化対策といって、増税、国債、社会保険料からの捻出をもくろんでいる。得体のしれない”経済学者“成田某の発言ではないが、高齢者は、早く死ねと言わんばかりである。増税というならば、法人税増税、富裕税新設、所得税の累進性の徹底の実現と税金使い方―予算の見直し、防衛費の削減が先だろう。

  うやまってもらわなくてもいい、当たり前の暮らしができればいい。

*
《新聞社の経営関連調査》広告収入の構成比2割切る 総売上高は1兆6619億円(日本新聞協会)
https://www.pressnet.or.jp/news/headline/191126_13250.html

新聞社の総売上高の推移(日本新聞協会)
https://www.pressnet.or.jp/data/finance/finance01.php

新聞業界全体の総売り上げが2兆円を割ったのは2010年、販売収入が1兆円を割ったのが2017年、総売り上げの60%から徐々に減って2021年は56%になっている。広告収入が5000億を切ったのは2009年、20%を割ったのは2018年、2021年は18%であった。

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数日前に、ご近所の菜園をなさっている方からいただいた、たくさんの菜の花。おひたし、みそ汁の具、炒めもの・・・、何でも使える重宝な野菜。今晩は、てんぷらにしてみました。冷蔵庫の中で、花が咲かないように。

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2023年4月 7日 (金)

フランスでは、大規模な年金改革反対デモが続いている~日本人は勤勉なのか

 3月28日、フランスでは、年金改革反対の大規模な反対デモが繰り広げられた。日本での報道は、ネットや新聞で見る限り、かなり控えめ?であった。フランスでのデモは、今年の1月以来、年金の受給開始年齢を62歳から64歳に引き上げる法案をめぐっての10回目のデモだった。これまでの経過は、下記の当ブログでも触れている。11回目のデモも4月6日に予定されている。

どうする高齢者!立ち上がるのは誰か(2023年2月13日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2023/02/post-5d21d1.html

どうする高齢者!どうすればいいのか~ルーブルや大英博物館職員がストできるのは(2023年2月18日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2023/02/post-3ba626.html

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3月28日、年金制度改革への反対を唱えながらパリ市内をデモ行進する人たち。(『東京新聞』4月4日)。かつて、私の学生時代、両手を広げて手をつないだ、道路いっぱいのデモ行進を、フランスデモと呼んで、穏やかな抗議手法だったのだが。

 

 年金改革法案は、3月20日、僅差で、すでに成立しているのだが、3月23日の9回目のデモは、フランス内務省の発表でさえ、1月に始まって以来、過去最多となる109万人が参加し、3月28日の10回目の抗議運動にも93万人が参加したと報じている。(谷悠己「フランスで年金改革反対デモが激化 「62歳定年」を死守したい国民…実は欧州随一の高い生産性」『東京新聞』 2023年4月4日)法律が成立した後も、抗議運動の勢いが衰えないのが頼もしい。

 それでは、なぜ、多くの市民が、これほどまでに持続して、抗議を続けるのか。
 フランス在住のジャーナリスト安部雅延は、マクロン政権が安全保障や社会保障で緊急性、重大性が認められる場合、議会審議の投票を省略して法案を可決させられるとする、憲法49条3項を適用し、国会の審議がないまま、一方的に法案を可決成立させたことをまずあげる。二つ目の理由として、反対派を見下す態度を国のトップ、マクロンが取ったことが、国民の怒りに火をつけた、と分析する。さらに、年金改革案に反対を表明しながらも、デモには参加しない市民の声として、「16歳から働いている人や肉体的に重労働の人たちへの配慮が足らない」「いかにも超エリート家庭で育ち金融機関で高給を取っていたマクロン氏の庶民感覚のなさが露呈した」とも伝える。(「パリがゴミだらけ、仏年金改革「反対スト」深刻背景受給年齢の引き上げに怒りを爆発させる理由」東洋経済オンライン 2023年4月1日)

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AFPBB-newsより

 そういえば、もう四半世紀ほど前になるが、退職して通っていた大学の社会学のゼミで、ピエール・ブルデューの報告があったとき、「ハビトゥス」とか「ディスタンクシオン」とかの言葉が行き交っていた。人間は、気づかないうちに、生まれた時から、自らが属する社会的階層によって教養や学歴、社会的地位などが決定づけられるという理論がなぜもてはやされるのだろうと、戸惑っていたことを思い出す。いまの日本では「親ガチャ」なるイヤな言葉を聞くのだが。

 続くフランスのデモについて、日本では暴徒化する抗議デモと報じられることが多いが、先の安部雅延は、「デモ隊に紛れ込んで警官や憲兵隊に暴力を振るい、公道に面した店の商品の略奪やバス停の破壊行為を行う、通称<ブラックブロック>と呼ばれる暴力グループに警察は頭を悩ませている」という。(同上。 東洋経済オンライン 2023年4月1日)

 また、欧州連合(EU)の統計では年金受給はドイツやイタリアが67歳で始まる一方、フランスの62歳は最も低い。そのため年金財政は苦しく、2020年の支出は国内総生産(GDP)比15.9%と、加盟国で3番目に高い。その一方で、フランスの専門家は、「フランスの生産性は欧州随一だ」とし、週35時間の制約がある中で業務量は変わらないため、従業員が同じ時間内でこなすべき業務量は逆に増えた、という。(前掲『東京新聞』2023年4月4日)決して働きたがらないわけではないと。

 なお、マーサーの「グローバル年金指数ランキング」によると、「十分性」「持続性」「健全性」の三つの指標での評価で、フランスは43か国の中で22位、ちなみに日本は35位である。

マーサーの「グローバル年金指数ランキング」(2022年度)(2022年10月12日)
https://www.mercer.co.jp/newsroom/global-pension-index.html

 かなり劣悪な年金制度の日本では、65歳になっても、70歳になっても、働け、働け、と言わんばかりの風潮である。働かないにしても、年金や医療、介護の不安から、せめて健康寿命だけは延ばしたいと、高齢者は、歩け、歩けと街中を歩いている光景は見かけるが、年金制度の不安解消や改革に向けての抗議デモというのを、最近聞いたことがない。国家公務員に限っても、諸外国の近年のストライキの事例が、人事院の資料からも見て取れる。Img649
諸外国の国家公務員制度の概要(人事院)より。クリックして拡大してみてください。

  もう20年も前のことになるが、初めてのパリで、ロダン美術館の帰りだったか、官庁街を通り抜けたのが、午後4時半ごろだった。ちょうど退勤の人たちの群れに出会ったのである。誰もが、さまざまなファッショナブルな着こなしで、実にいきいきとした表情で家路へと急いでいるのが印象的であった。日本の官庁街ではあまり見かけない光景であった。

<参考資料>

主要各国の年金制度の概要<日本年金機構)
https://www.nenkin.go.jp/service/shaho-kyotei/kunibetsu/20131220-01.html

主要国の年金制度の国際比較
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000941410.pdf

諸外国の国家公務員制度の概要(人事院)
https://www.jinji.go.jp/kokusai/syogaikoku202202.pdf

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2023年3月13日 (月)

マイナンバー制度、「合憲」最高裁判決~「漏えいの危険性は極めて低い」なんて信じられますか

 3月9日、マイナンバー制度は憲法が保障するプライバシー権を侵害するとして、宮城、愛知、福岡各県の住民らが国に個人番号の利用差し止めなどを求めた3件の訴訟で、最高裁(深山卓也裁判長)は「合憲」とする初判断をした。

 判決では、個人情報の管理については、独立した第三者機関=個人情報保護委員会が情報の取り扱いに対する監視、監督をさせるなどしているので、「個人情報がみだりに第三者に開示、公表される具体的な危険が生じているとは言えず」、漏えいの危険性は極めて低く、プライバシー権は侵害しない、としたのである。

 個人情報保護委員会は2016年1月に発足、立派な肩書の人たちが常勤・非常勤と名前を並べるが、おそらくは、幹部職員?のもとに職員たちがお膳立てをするのだろう。 

・個人情報保護委員会委員長/委員/幹部
https://www.ppc.go.jp/aboutus/mission-roles/

  彼らがほんとに、私たち国民の個人情報を守ってくれるのか。委員会発足後の2018年、私も忘れかけていたのだが、年金機構と国税局において重大な漏えい事件が発覚していたのである。

 2018年3月、日本年金機構は、年金受給者から提出された扶養親族等申告書のデータ入力の委託先業者情報処理会社のSAY企画が無断で業務を中国の関連会社に500万人分の個人情報の入力を再委託していたことが発覚し、合計で約95万2000人分の入力ミスがあったと発表した。さらに、4月には、札幌市内の情報処理会社の恵和ビジネスでも再委託が見つかったと発表した。国民年金の保険料の免除に必要な申請書など約53万6千人分のデータを別の会社に渡していたのである。

<参考記事>
「年金機構の委託先が無断で海外再委託、約95.2万人分入力ミス」
(日本経済新聞 2018年3月20日 )
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/00540/

「年金機構の業務再委託、別会社でも53万人分」
(日本経済新聞 2018年4月6日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29095500W8A400C1EA4000/

  また2018年12月には、国税局の業務委託先の情報処理会社、システムズ・デザインKKがマイナンバーを含む個人情報の入力作業を再委託していることが発覚している。

<参考記事>
「240万件のマイナンバー漏洩事件、委託先選択を誤った国税局の責任とは」
(Cyber Security com 2018年12月20日)
https://cybersecurity-jp.com/column/29079

  そもそも、マイナンバーは、社会保障と税、災害対策に限って、それぞれの情報を「分散」して管理・利用するから、マイナンバーのもとに集約されている情報が一括して漏れることは決してない、というのが建前であった。しかし、年金機構、国税庁自体が委託、違法な再委託をコントロールできない上に、個人情報保護委員会は、まったく機能しないままに、個人情報は漏れていくのである。情報漏えいは、自治体などでも頻繁に発生しており、企業や病院、大学などでも個人情報の漏えいは、日常的に頻発している。政府が、マイナ保険証、マイナ運転免許証、銀行口座紐付けはじめ、さらに民間での利活用を計画しているのだから、個人情報が拡散こそすれ、漏えい防止、保護など実現できるわけがない。

 以下のように、個人情報保護委員会やデジタル庁は、マイナンバーの「取り扱い」の注意を促すばかりで、漏えいの責任はだれがとるわけでもなく、委託会社に頭を下げさせて一件落着なのか。

特定個人情報を取り扱うさいの注意ポイント(個人情報保護委員会 2021年9月)
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/cautionary_points.pdf

デジタル庁/制度解説(更新中?)
https://www.digital.go.jp/policies/mynumber_explanation/

 マイナンバー制度は、百害こそあって、一つのメリットもなく、番号で国民を管理する前兆にしてはならない。

<参考記事>
 共通番号いらないネット
 http://www.bango-iranai.net/

 

 

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2023年2月18日 (土)

どうする高齢者!どうすればいいのか(2)ルーブルや大英博物館職員がストできるのは

 どうする家康、どころではない。
 前の記事で述べたように、年金支給開始を段階的に62年から64年にしようとするフランスのマクロン政権は、大規模な反対運動に立ち往生している。反対運動を続ける市民たちに、私は少なからず心動かされている。そして、ストを実行し、デモに参加する多くの公務員がいることにも衝撃を受けている。さらに、ともに参加し、見守る市民がいることにも。

 そういえば、数年前に、パリの国立ルーヴル美術館の職員たちが突如、ストライキに入り、美術館が閉館となったニュースにも驚かされたことを思い出す。当時、組合側は、「2018年には1000万人以上がルーヴル美術館を訪れている。来場者数は2009年から2割以上増えたが、一方で職員数は減少している」と指摘、人手不足がストの理由だったのである(「ハフポスト日本版」2019年05月28日)。

  そして、この2月1日、 記録的な物価高が続くイギリスで、省庁の職員や教師などを含む50万人が賃上げを求めてストライキを実施したというニュースにも接した。大英博物館も臨時休館となり、観光客は戸惑っているが、職員は、ギリギリの生活の中での最後の手段としてのストだと語っている(TBSテレビ 2023年2月2日)。スナク政権の支持率は12%と低迷。不支持は70%にもなっているという。

 この大規模なストに先立ち、昨年の12月下旬には、救急隊員と電話の応答業務の人たちが、昇給を求めるストライキを実施したニュースも記憶に新しい。さらに、昨夏には、鉄道労働者による、30年ぶりとも言われる大規模な、断続的なストライキが続いた(さかいともみ「いつまで続く?英国「30年ぶり」の大規模鉄道スト激しい物価上昇で全国鉄道労働者が賃上げ要求」『東洋経済(オンライン)』2022年8月11日)

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202212月21日、クリスマスを前に、英イングランドとウェールズの大半の地域で、救急隊員や緊急電話の応答係などが昇給を求めるストライキを行った。BBC news Japan(2022年12月23日)より

 

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看護師のストライキ、2022年6月 BBC news Japan(2022年12月2日)より

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地下鉄の24時間ストライキ 2022年6月21日、さかいともみ撮影、東洋経済オンライン(2022年8月11日)より

 ところで、フランスやイギリスの公務員たちは、なぜこれほどストライキを続けることができるのかといえば、下記の表を見てみると、一目瞭然である。要するに、国家公務員の労働基本権のうち団結権は、表中の各国に認められ、協約締結権については英仏で分かれるが、争議権については、英仏ともに認められており、日本では争議行為は禁止されている。 Photo_20230218174801
諸外国の国家公務員制度の概要(2022年4月2日更新)
https://www.jinji.go.jp/kokusai/syogaikoku202202.pdf

  そして、日本の国家公務員は、下記の表をみると、「労働組合」とは名付けられず「職員団体」としての位置づけであって、その加入率が省庁別に記されている。復興庁、外務省と文部科学省には、そもそも職員団体=労働組合自体が存在していないことも驚きであるが、組合加入者数の加入しうる在職者総数に対するの割合、加入率は、2021年(平成3年度)で37.0%、2020年の38.3%から下がり、組合数自体も減少していることがわかる。なお、ILOは、日本政府に対して、公務員全般に団結権や争議権に制約があることを問題視し、特に消防職員と刑務所職員には直ちに団結権を付与するよう求め続けてきたが、いまだ、実現されることがない。

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  「第6章「職員団体」『令和3年度人事院年次報告書』より
https://www.jinji.go.jp/hakusho/pdf/1-3-6.pdf

  また、下記の表の全国の労働組合数、組合員数、推定組織率をみると、組織率は、近年17%前後を推移している。一方、2022年6月30日現在、雇用者数は微増しているが労働組合数は確実に減少を続けているし、直近の組織率も下がり、16.5%となっている。国家公務員の組織率も2022年3月31日現在37.0%で、前年の38.3%から下がっていることがわかる。

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令和4年労働組合基礎調査の概況(厚生労働省 2022年12月16日https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/roushi/kiso/22/dl/gaikyou.pdf

    諸外国の労働組合組織率について、同じ年のデータというのが見当たらなかったが、以下のような資料が出てきた。2019年現在で揃った数字はつぎの通りであった。
 アメリカ:10.3%、ドイツ:16.3%、イギリス:23.5%、韓国:12.5%
(「諸外国の労働組合組織率の動向」(2023年1月11日更新)『主要労働統計』独立行政法人労働政策研究・研修機構https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/shuyo/0701.html

 日本は2019年では16.7%、フランスは別のデータで10.3%ということがわかった。
(「フランスの労働組合加入率、2019年に10.3%まで低下」『日刊メディアダイジェスト』2023年2月3日)

 こうしてみると、ノルウェーなど北欧諸国の組織率は60~70%なのだが、英仏と比べては、日本の組織率は決して低くはないけれど、着実に成果を上げている英仏の労使交渉、労働運動の高まりの違いはどこから来るのだろうか。
 前述のように、一番の理由は「産業別」組合でなく、「企業別」組合であることだろうか。日本も戦前は職業組合的な争議も見られたが、1900年治安警察法、1925年治安維持法などにより弾圧され、敗戦直後は、産業別労働組合が結成され、40~50%台の組織率だったが、GHQによるに二・一ゼネスト中止指令などを経て、企業別組合が定着してしまうのである。日本企業の終身雇用、年功序列は、いま崩れつつあるが、企業別組合からの脱却が、当面の課題となった。企業別組合とて正社員、大手企業が中心である。大手企業の春闘の妥結額が報じられはするものの、非正規やパート従業員は、蚊帳の外である。連合の会長が自民党の党大会に出席するとか、しないとか、いや招待されているとかいないとか、なんと情けない姿であろう。その一方、非正規やパート従業員の一部は、必要に迫られて、横断的なユニオンなどが結成され、部分的ながら成果を上げつつあるのではないか。 

 私たち高齢者は、どうすればいいのだろう。途方に暮れるのだが、企業別組合から産業別へのみちのりは遠いかもしれないが、少なくとも連合体の組織がもう少し強くなって欲しいし、未組織の人たちの応援をし、できれば一緒に活動したいのだが・・・。かつての職場の組合の「国会職連」「私教連」はどうなっているのだろう。前者では、組合に入って当たり前、7~8割の職員たちが加入していた感覚だった。私立短大では、教員を含めて7割くらいは入っていたと思う。たしかに事務局の職員は組合員ではなかったし、職員では図書館職員だけが入っていたことなどを思い出す。最後の職場の新設大学は、一族経営の感が強く、組合はなく、私が退職した後に組合結成の動きがあり、犠牲者が出たとも聞く。30年近くも前の話だが・・・。

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ことしは、ハトも時々迷い込んでくる。1月5日

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広いエサ台に頑張るヒヨドリ。2月18日

 

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2023年2月13日 (月)

どうする高齢者!立ち上がるのはだれか(1)

 「どうする家康」 どころではない。
   高齢者には、ガラガラと坂を転げ落ちるように生きづらい社会になってゆく。内閣支持率下落のさなか、「閣議決定」で、何もかも決まっていってしまう現実を目の当たりにし、国会は形骸化するばかりである。

 2月10日の閣議で、75歳以上の健康保険料引き上げのための健康保険法改正が国会に提出される。昨年10月には、医療費が倍額になった。週一の通院、二カ月、三カ月ごとの定期診療に通わなければならない身には、大打撃である。今回の保険料値上げの対象は、後期高齢者の四割あたるという。コツコツと働いてきて、年金生活者になってからは、医療や介護への不安が募るばかりで、老後を楽しむどころではない。コロナ対策にしても、死者のほとんどが高齢者で、増加のさなかに、対策を緩和したり、感染者の受け皿の医療体制が整わないまま、5月には5類にしたりするというのだから、いわば、高齢者を置き去りするに等しいのではないか。

 こんな仕打ちをされている高齢者を横目で見て、国会では、与党はもちろん、野党もまったくと言っていいほどアテにならない。政権の敵失ばかりを責め立てるばかりで、自らの政党の選挙対策に余念がなく、連携だの共闘などと騒がしく、党内外の批判にさらされ、慌てふためいて反撃している党もある。

 どうすればいいのか。本来ならば、自ら立ち上がらねばならないはずの高齢者だが、その核になる組織がない、リーダーがいないと、あきらめてしまいそうになる。いや、リーダーや組織が華々しい運動は、大方は、しぼんで、挫折してしまうのが、通例ではなかったか。だったら、ひとりでも、片隅からでも叫びたい。その声が重なり合うときが来る日まで、とも思う。

   2018年11月から数カ月にわたって展開されたフランスの「黄色いベスト」運動を想起する。当初、私は、ガソリン税値上げ反対の、トラックの運転手たちによる抗議行動と思っていた。一部暴徒化する様子も報道されていた。ところが、どうだろう、毎週土曜日の抗議デモは、地方から都市へ、サラリーマンや自営業者、高齢者や女性へと多くの市民による運動となった。その結果、マクロン政権は、ガソリン税値上げの完全撤回、富裕税課税の不動産限定を中止、購買力向上ための減税、国民との大討論会の約束などをとりつけるに至ったのである。

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『毎日新聞』2018年12月17日、より

フランスでは、いま

 それにつけても、フランスやイギリスの労働者たちの大規模な集会やデモの報道を目にして思うのは、なぜ、日本人はこれほどおとなしいのだろう、従順なのだろうかと。

 フランス政府は、今年の1月10日に、年金の支給開始を62歳から段階的に64歳に引き上げるという改革案を発表した。1月19日には、労働組合が中心となって、改革案に反対する大規模なストや抗議デモが各地で行われ、 内務省は、  112万人が参加したと発表した。一方、主催者側は、ストやデモの参加者は200万人を超え、公共職の参加率が高かったとする。国民教育省によれば、全国で四割の教員が参加小学校の休校が相次ぎ、一斉ストでは、パリの地下鉄などダイヤが大きく乱れた、と報じた。(「フランス、反年金改革デモ112万人 政府に逆風強まる」『日本経済新聞』2023年1月20日、「仏年金デモ100万人超」『東京新聞』2023年1月21日)

 さらに1月31日には、「全国で280万人、パリ50万人。1995年の社会運動より大きい歴史的な動員だ。労組に一般市民が大勢加わり若者も多く、大学や高校での封鎖も始まっている」と報じるメディアもあった(「年金改革反対デモ広がる〜1995年を超える歴史的動員に(飛幡祐規)」『れいばーネット』 2023年2月1日)。「1995年の社会運動」とは調べてみると、やはり年金改革の問題で、公共交通、電気・電気・ガス・学校など大規模なストが約1カ月にも及んだときのことらしい。そして、2月7日にも大規模なストライキが実施され、公共交通機関や学校、製油所などの運営がストップし、国民の反対は根強いと、ロイターは伝える(「仏で3度目の大規模スト、年金改革巡り 交通機関や学校にも影響」 2023年2月8日)。さらに2月11日にも、大規模ストライキを予定しているというが、どうなったことだろう。

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『朝日新聞』2023年1月20日 、より

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年金制度改革案に反対する抗議デモに参加し、警官隊に拘束された男性=パリで2023年1月31日、AP。『毎日新聞』2023年2月1日、より

 こうしたストライキやデモをする人たちの意思とエネルギーは何に由来するのだろうか。今回の大規模な運動は、最大の労働組合「労働総同盟」(CGT)を含め、八労働組合が呼びかけている。と言っても、フランスの労働者の組合組織率は8.8%だというが、団体交渉適用率が98%という高さなのである。組合員でなくとも、団体交渉で得た成果は、非組合員にも適用されている(「日本の労使問題」『東京新聞』(サンデー版大図解シリーズ)2023年2月5日)。そして何より、その組合というのは、業種別、産業別組合なのであって、日本の企業内組合とは性格を異にする。日本の組合の組織率は日本の組合の組織率は、「厚生労働省のまとめによると、2022年6月時点の労働組合員数は999万2000人と前年に比べて0.8%減った。雇用者に占める組合加入者の割合(推定組織率)は16.5%」(「労働組合加入率22年は16.5%で過去最低」『日本経済新聞』2023年1月4日)で、日経のこの記事では、加入率の減ったり理由として、正社員の加入が減ったことと、働き方の多様化、労組への期待低下を上げていた。日本の企業内組合は、いわゆる「御用組合」が多くを占め、本来の組合の役割を果たしていないといってよいだろう。(続く)

 

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2019年10月 2日 (水)

10月1日、「赤い羽根共同募金」の使い道、ふたたび

 当ブログをおたずねくださりありがとうございます。昨日10月1日から、赤い羽根共同募金運動が始まりました。共同募金って何?という関心を持つ方や自治会や町内会で、募金集めをする羽目になった方、募金を迫られた住民の方々からのアクセスが重なったのだと思いますが、いつになく、にぎわって?います。
  なかでも、10年ほど前の「赤い羽根共同募金の行方~使い道を知らずに納めていませんか1~3」へのアクセスが多かったのです。関心のある方はご参照ください。最近は、やや遠ざかっているテーマですが、自治会や町内会へ要請される種々の寄付が、会員への強制になっていないかについて書いた記事などへのアクセスも多くなっています。

*赤い羽根共同募金の行方~使い道を知らずに納めていませんか1~3
(2009年12月7日、9日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2009/12/post-2f90.html

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2009/12/post-dd38.html

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2009/12/post-8c19.html

 基本的には、記事を書いた当時の状況は、現在と大きく変わることはありません。私の住む佐倉市の私が属している自治会では、これまでも何度か紹介しているのですが、社会福祉協議会会費、日本赤十字社社資、いくつかの募金については、寄付をするか否かの自由、いくら寄付するかの金額の自由をとりあえず確保するということで、自治会の班単位で、手渡しの募金袋を回し、定着しかけています。寄付というならば、私は、個人の自由意思によることが基本と考えていますので、自治会・町内会への寄付依頼自体がなされてはならないものと考えています。自治会の中途半端な対応には不満もあるのですが、脱会などは考えず、総会などの機会に、「寄付は個人の自由」の観点から意見を言い続けていきたいと思っています。ご参考までに、9月下旬に我が家に回ってきた「募金袋」です。

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 ちなみに、久しぶりに、中央共同募金会のHPを訪ねてみました。敗戦直後の1947年から始まった共同募金ですが、つぎのようなグラフがありました。余分のことながら、この間まで、中央共同募金会の会長を務めていたはずの高校同期の元参議院議長が、「顧問」になっていました。天下り?名誉職?なのかなあ。

*中央共同募金会統計データ
https://www.akaihane.or.jp/bokin/history/josei-data/

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敗戦直後の混乱期に発足してから、2017年には、70年になった。阪神淡路大震災までは、ある程度着実に募金総額は伸びているが、その1995年の266億円をピークに、減少の一途をたどり、2017年には179億円となった。その間、2011年の東日本大震災ほか、数々の事故や災害に見舞われたが、増えることはなかった。「共同募金」という寄付ではなくて、特定した災害の義援金などの形で、目的の明確な、かつ自発的な様々な募金活動やボランテイア活動の方が定着しつつあるのではないか。

 千葉県共同募金会のHPでは、自治会では、すでに回覧された2019(令和元)年度の募金のお願いとお礼のパンフが、まだ掲載されていない。前年度のパンフのままで、更新されていないことがわかった。といっても、今年度の手元のパンフと比べてみると、変わっているのは、「募金の使い道」の円グラフの数字が異なるだけで、目標額も二年連続して7億円と同額で、さらに、パンフの文章が一字一句まるで同じで、前年度のコピペだろう。熱意も誠意も感じられない仕事ぶりとみてしまう。

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自治会からの回覧パンフから千葉県共同募金会のHPには、まだアップされていない!

 千葉県共同募金会佐倉市支会のHPはどうでしょうか。独自のHPは持っておらず、佐倉市社会福祉協議会が支会の窓口となっています。佐倉市の社協は、民間の社会福祉法人ですが、市役所内に設置されています。この自治体との関係にも、社会福祉行政のゆがみのひとつがあるように思います。

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10月1日新聞折り込み配布の『社協さくら』の1面が、「赤い羽根共同募金」の広報であった。

<参考資料>

*(千葉県)共同募金概要

https://akaihane-chiba.jp/publics/index/3/

*はねっと佐倉市(共同募金の使い道)

https://hanett.akaihane.or.jp/hanett/pub/homeTown?data.jisCd=12212

 

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2019年5月25日 (土)

自治会と寄付・募金について、やはりおかしくないですか(3)日赤と皇室の関係も改めて考えたい(続)

 日本赤十字社には、年間にして、どのくらいの社資が集まっているのだろうか。平成29年度(2017年度)で日赤本社、千葉県支部、佐倉市地区の単位で調べてみると・・・。

 いずれも決算が出ている平成29年度の数字である。佐倉市地区に関しての歳出歳入などの詳細な数字は、公開されていないことがわかった。

・佐倉市地区では臨時職員を一人置いて、社会福祉課地域福祉班職員がその事務を行っている。なぜ、地方公務員が日赤の業務を行わなければならないのかも大いなる疑問である。佐倉市で集めた社資や寄付金はすべて県支部に送り、県は、毎年、全体の11%ほどを市町村に還元していることがわかった。かつては2200万以上の社資や寄付金が集まっていたが、いまは、1700万円台を推移しているようだ。人口減や自治会組織率が低迷していることも大きく影響しているだろう。

・千葉県支部では、歳入の77~78%が社資となる。前述のように歳出の11%は地元還元、13%程度が日赤本社に収められている。いわゆる運営費は、管理業務、各事業共通管理運営費などを併せてみると1億5000万円前後、歳出総額の20%程度を占める。

・一方、日赤本社では、一般会計歳入の三分の二が社資である。これが、年々確実に減少しているので、広報に努めるとしているが、足元の、地元での社資の集め方に、「自由意思」を標榜しながら、「強制」が伴っている現実を直視し、改革しなければならないはずだ。一般会計歳出を見ると、人件費・事務費などの科目では出てこない。各事業の中に組み入れているのかはわからない。総務管理費45億と、資産管理費12億などを合わせると運営費ということになるのだろうか、20%前後になることがわかった。なお、病院、血液、福祉事業は独立の特別会計とし、退職給与資金特別会計では、平成29年度は288億の積立金、264億の交付金、基金残高は465億を超えていた。

 災害への義援金は、運営・事務費などは差し引かないということであった。団体や個人からの義援金の受け皿になっているのが日赤だといえる。そもそも、戦場で、敵・味方なく負傷者の救護にあたった「博愛」精神を社是とする、1952年に厚生省の認可法人となった民間団体である。現代にあっては、政府を、国を、ひたすら「補完」するのではなく、本来の寄付文化を育て、根付かせてほしいと、願うばかりである。さらに、皇族たちの名誉職は必要なのだろうか。しかも「公務」というではないか。

日本赤十字社HPより作成

一般会計歳入決算のあらまし(平成29年度事業報告及び歳入歳出決算概要・一般会計)

・歳入総額  312億円(←平成28年度351億円)

 社資収入  209億円(←平成28年度228億円)

日本赤十字社千葉県支部HPより作成

千葉県支部の事業・活動(平成29年度事業報告書)

・歳入総額  763,166,654円(←平成28年度783,331,516円)

 社資総額  586,181,949円(←平成28年度613,994,940円)

佐倉市のHPより

平成29年度赤十字事業資金(社資)募集実績報告

・社資総額   17,531,766円 (←平成28年度17,864,541円)

 一般        16,913,966円 (←平成28年度17,249,341円)

 法人          617,800円 (←平成28年度   615,200円)

 皆さまからお預かりした赤十字活動資金(社資)につきましては、全額を日本赤十字社千葉県支部へ送金を行いました。

<問い合わせ>
 日本赤十字社千葉県支部 電話:043-241-7531
 日本赤十字社千葉県支部佐倉市地区 電話:043-484-6135
 (佐倉市福祉部社会福祉課地域福祉班内)

 

 

 

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2019年5月23日 (木)

自治会と寄付・募金について、やはりおかしくないですか(2)日赤と皇室との関係も改めて考えたい

 昨日5月22日、明治神宮会館で開かれた全国赤十字大会に出席した皇后は「皇后雅子さま初の単独公務」などの見出しで報じられた。皇后は、日本赤十字社の名誉総裁に位置付けられている。日本赤十字社は、その前身「博愛社」を経て、発足したのが1887年なので、名誉総裁は皇后五代により引き継がれていることになる。さらに女性皇族たちが、役職に就き、今回の報道写真にも、何人かの女性皇族の姿が見られた。また、日赤の現在の赤十字社社長は、2005年から近衛忠煇(旧近衛公爵家出身、妻は三笠宮家長女)が就き、1996年からは宮内庁長官だった藤森昭一が務めていたことからも、皇室との関係は深められている。

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 その日赤から、まもなく、私たち自治会員宅に「赤十字活動資金(社資)へのご協力のお願い」という文書が回覧されるはずだ。前記事の社協会費の場合と同じように、当自治会の「補足説明文書」が回覧されるだろうか。この日赤の「社資への協力」も、私たちの自治会は、社協会費、赤い羽根共同募金と同様の扱いで、手渡し回覧袋での集金が行われ、自由意思が維持されている。

 千葉県、佐倉市において、大方の自治会は、強制徴収や自治会会計からの一括納入や自治会費への上乗せによる徴収が実施されている。県の日赤支部や佐倉市地区からの協力依頼の回覧文書のどこかには、必ず協力は「強制ではなく個人の自由意思による」と申し訳のように記されていて、一方では「年500円を目安として」「年に500円以上を目安にして」などとも書かれている。さらに、日本赤十字社のHPには、<よくあるご質問>として次のような質疑を掲載する。

会費の募集に、なぜ町内会の人などが来るのですか? 

赤十字の活動は、地域福祉やボランティア活動など地域に根ざした活動を行っており、また、災害が発生すると、自治体や地域住民の方々と協力して救護活動を展開するなど、赤十字の活動は地域と密接なかかわりを有しています。

こうした活動を支えていただくため、地域の皆さまには、会費へのご協力をお願いしているのですが、その際、赤十字ボランティアが直接お宅を訪問しお願いに伺うほか、それが困難な場合には、自治会・町内会の方々にご協力をお願いする場合があります。

  回答の前段は、建前で、本来、赤十字のボランティアがなすべきことを、自治会・町内会に丸投げをしていることを、自ら宣言し、それを自治体が公認しているのが実態である。その町内会や自治会が強制や自治会費への上乗せなどで徴収していることについては、当ブログでも何回も触れているように、最高裁の決定で違憲とされているにもかかわらず、町内会・自治会の総会決議などで、決定した方法ならば違法ではないという見解を表明していることへの異議申し立てには、どの政党も、どの自治体も、どのメディアも深くかかわろうとしない。「福祉」や「皇室」が絡んでいることをもって、いわばタブー視しているかのようである。

 この天皇代替わりの、異様なほど狂騒のなかでは、皇室情報は選別され、皇室批判が葬られていくことに気づく必要があるのだろう。

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昨年、各戸に配布された「日本赤十字社千葉県支部」のチラシ。上段矢印の箇所には「一人ひとりの自由意思で・・・」、下段の箇所には「年500円以上を目安として…」の文言が見える。

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日本赤十字社佐倉市支会のチラシ。矢印の箇所には「強制ではなく、個人の自由な意思、判断にもとづく・・・」、「年500円以上を目安として・・・」とあった。

 

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自治会と寄付・募金について、やはりおかしくないですか(1)社協会費の徴収、「自由」定着への歩み

 年度が替わって4月に入ると、私のブログの自治会と各種「募金」に絡む記事へのアクセスが激増?!する。新しく自治会役員になったり、班長になったりして、多分、募金徴収の仕事がわが身に降りかかってきて、疑問を持つ人が多くなるからではないかとも考えられる。私たちの自治会でも、かつては、役員や班長になって最初の仕事というのが、自治会費の徴収と5月の社協への募金500円の徴収であった。

当ブログでも、何回か触れている、自治会と寄付・募金の問題は、新聞紙上などでもよく記事にもなり、テレビのバラエティ番組の話題になることもあった。各地の自治会・町内会での強制的な寄付集めの実態やそうしたことへの疑問や改革の取り組みが紹介されることもあるのだが、全国的な動きには連動しないのが現実である。

私たちの自治会では、もう20年も前のことになるが、あることがきっかけになって、600世帯規模の10人の役員のうち6・7人が女性であった年が続いた。私もその中の一人だったのだが、社会福祉協議会が「会費」、日本赤十字社が「社資」と称して、500円を強制的に徴収するのっておかしくない?!という声が、役員からも班長からも飛び出した。私も、寄付集めを請負うのは自治会本来の仕事ではないという思いから、とりあえず、「強制」だけはやめて、社協の会員になる、日赤の社資に協力する、共同募金をするのは、あくまでも「自由」であるべきではないかと提案して、運営協議会と呼んでいる班長会の大多数の賛成で決定した。「強制」とならないためにと考えられたのは、B5の茶封筒の右肩の切れ目するから、会員・社資・寄付の希望者は、氏名を記入の上、500円を入れた小袋を、投入方法をとった。あとで、班長さんが、会員証や領収書を届けるという方式であった。封筒には、現金が入っているので、用心のため、郵便受けではなく、必ず手渡しで、ということにもなった。当初は「この町内は、なんと福祉に冷たいのか」などの声も聞かれたが、この20年間で定着した。ときには、社協や日赤の支部の人が、役員会に説得に来たこともあったという。年度初めには、市の自治人権課主催の自治会・町内会長を集めた地区代表者会議が開かれ、相変わらず、社協や日赤の支部スタッフによる協力要請の時間が設けられている。自治体が、こうした民間団体の寄付集めに全面的に協力していること自体も問題なのだが。

Img202_1

私たちの自治会の方式は、むしろまれで、ほとんどの自治会は、ほぼ強制的に一定額を徴収しているか、それが面倒ということで、自治会会計から、世帯分の会費や社資、募金額をまとめて拠出しているところもかなり多いというのが現況である。

 ところが、昨日回ってきた、その手渡しの集金袋には会長名で「社会福祉協議会(会費募集)に関する補足説明」、という回覧文書が付いてきた。そこには、以下の文章とともに、「社会福祉法第109条」にもとづく、地域福祉の推進役を担う民間法人であることが付記されていた。

Img201_1

 「まず、当自治会としましては、社協の会費募集に際し、お手伝いはしますが、自治会員に社協会費を強制するものではございません。あくまで、社協の活動趣旨にご賛同いただけた方のみ会費を納入頂き、当自治会はその際に回覧ネットワークを提供するのみとの姿勢です。くれぐれも誤解の無き様、よろしくお願いします」

  前述のように、私は、個人的には、本来、自治会が民間団体への寄付や民間団体の募金を請け負うべきではなく、協力する必要もないと思っているものの、現況にあっては、とりあえず、上記のように、「会費の強制」をきっぱり否定し、確認する文書を回覧に付したことは、至極まっとうなことだと思ったのだった。

 全国各地で悩まれている皆さん、自治会・町内会による社協の会費徴収について疑問を持ったり、戸惑いを感じたりしたときは、寄付や募金の基本に立ち返り、ぜひ「自由意思」によるべきとする改革を提案してみてはどうだろう。

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2017年10月 6日 (金)

これ以上<希望>をばらまかないで~「赤い羽根」募金を通して考える 

102日に東京へ出た。最寄りの駅の構内では赤い羽根の募金が始まっていた。国立国会図書館に調べ物があって出かけたのだが、議事堂近辺は、集会の声もなく、人通りも少なく、いたって静かなものだった。等間隔に立つ警官の姿、なぜか路上の何カ所かに置かれた蛇腹の鉄柵だけが目立っていた。すでにギンナン落果の季節は過ぎたのか、足元を気にしなくてもいいようであった。

今年の10月は、とんでもない10月になりそうだ。臨時国会の開催を3カ月も放置した挙句、9月末日に冒頭解散をした安倍内閣。臨時国会を開催しないのも、憲法7条解散もそれ自体が憲法違反ではないのか。議会軽視もはなはだしい。こじつけたような解散理由が「大義なき解散」といわれる所以である。一方、「野党共闘」に「期待」するあまり、「積み上げ」というよりは、ゆずりに譲ってしまった共産、小池新党の国政進出、民進党の希望の党への合流、はしごを外された「野党共闘」は「野党と市民の共闘」と言い換えたりしている。民進党リベラル派新党立ち上げで、少しばかり、選択肢が増えたかもしれないが、なし崩し的に選挙モードに入ってしまった。

これからいったいどうなるのだろう。日本は、近隣諸国との関係でも軍備強化、原発輸出・再稼働推進、雇用・消費が一向に伸びず、「全世代型」の福祉切り捨てなどによる危機が目前に迫り、私たち、高齢者にとっては、“命がけ”で病院や施設に入るか、そうでなければ、家族を疲弊させる在宅医療・介護に甘んじなければならない時代に入り、「絶望列島」になりかねない。「国民の命と財産を守る」と叫びながら、軍備増強によるリスクや国の借金を増やすばかりの自民党、「希望がゆきわたる国へ」とのポスターを街角に掲げる公明党、「希望の党」と名付けた小池新党・・・。不安や失望が渦を巻いているからこそ、政党は「希望」や「期待」という実のない、口あたり、聞こえのよい言葉だけをばらいてはいないか。

国にあっては、優先度をつけて、実施して欲しい施策がある。憲法改正などはまず不要で、現憲法下ですぐにでも実施できることは、山ほどある。「消費税の使い道を変える?!」って、自公は得意げではあるが、法人税のわずかな増税、内部留保税の導入、所得税の総合課税や累進性を高めれば、消費税増税などまったくもって不要にもなる。教育の無償化や補助は、憲法を改正しなくても立法により十分対応できるはずである。メディアは、政局内の攻防を面白おかしく伝えるばかりだし、登場する専門家という人たちは、素人でもいえそうなことしか口にしない。 

地域に押し寄せて来る数々の危険

この度の選挙にしても、私たち市民には、どんな選択肢があるのだろう。地域では、治安というだけの名目で、監視カメラがめぐらされ、自治会を中心に、社協、PTA、子供会、商店会、さまざまなNPOなどを束ねた「まちづくり協議会」、自治会の「法人化」、募金・防犯・防災というボランティアの強制など、いずれも自治体の行政下請け化、自治会の弱体化を図る目論見である。共謀罪新設と相まって、相互監視社会へと突入する。自治体が直面する危機~人口減少、商店街の衰退、学校の統廃合、交通困難、空き家問題など過疎化の問題、私の住む千葉県では、行政にも議会にも、羽田・成田空港の拡張に伴う環境被害、木更津基地へのオスプレイ配備の危険性、拙速な開発・再開発による弊害などについては、住民の切実な声が届かない、聞こえないふりをしているのが現実ではないのか。地元佐倉市でも、市からの24億円助成を前提にした順天堂大学学部誘致で揺れに揺れた。地元の不動産業者が暗躍、誘致の一点で市長選に候補者を立て、あくどい選挙戦を繰り広げた。消極的な市長も選挙戦後半には、その攻勢にフラフラしだしたのだ。誘致は今、白紙状態となったが、胸をなでおろしている人たちも多いであろう。

駅頭での赤い羽根募金は、あまり目にしなくなったのも、ボランティアの高齢化が進んだからであろう。自治会からはもう先月には、募金袋が回ってきていた。私たちの自治会では辛うじて、募金は、するもしないも、金額も、世帯の自由になっている。赤い羽根募金は、中央共同募金会が自治体の社会福祉協議会に募金業務を委託し、社協は、自治会や町内会に丸投げしているのが現状だ。自治会などがまさに集金マシンとなっている。本来ならば自由な寄付が、強制に近い形で集金される現状は、各地で問題を起し、裁判にもなった。このブログ記事でも何回か記事にしている。だいぶ古くなってしまったが、基本はいまだに変わっていない。

赤い羽根共同募金の行方(1)(2)

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2009/12/post-2f90.html

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2009/12/post-dd38.html

 集められた募金は、年々減少の一途をたどる。中央共同募金会のデータによれば、赤い羽根共同募金は、70年前、1947年、約6億程度でスタートし、1851年に10億、1980年に100億、1998年の261億をピークに、減少し始めたのである。2015年には184億にまでになっている。自治会等を通して集められる「戸別募金」は、歳末助け合いなどを含むと、募金全体の70%以上占めることも、ほとんど変わっていない。街頭や学校での募金は、合わせても5%にも満たないのが現状である。以下の図をご覧いただきたい。これが募金の入り口と出口で、2015年度では、募金総額184億、助成総額160億、差額が経費とみてよいだろう。

Img328

出典:中央共同募金会 年次報告書平成27年度(2015年)
http://www.akaihane.or.jp/organization/pdf/annual_h27.pdf 

では、これらの募金は、どう使われているのか。たとえば、千葉県では30%が広域で使われ、70%が地元に還元されているという。最後はどこに行き着くのかは、地元の佐倉市のデータベースに詳しいが、少し立ち入ってみると、疑問も多い。

佐倉市赤い羽根データベース<はねっと>

http://hanett.akaihane.or.jp/hanett/pub/homeTown.do?data.jisCd=12212 

たとえば、2016年度(平成28年度)で、歳末助け合いを含めての募金の配布先を見ると、14ある地区社協に各10万、各施設に3.5万、施設の催事に3万など合わせて80件、大口の配分先を含む個所を複写するとこんな具合だ。各行の【表示】をクリックすると、その詳細が現れる。各地区社協は10万をどのように使用しているかも見ることが出来る。

下記の大口の例では、支援金配分事業がほとんどで、対象の利用者数の延べ人数と使用目的~見舞金・祝い金の記載があるのみである。まさに、配分のための配分、機械的なバラマキの感がぬぐえない。募金会は単なる配分機関となり、配分を受けた事業主体や施設がまた配分機能を果たし、募金が配分されるたびに、人件費や経費がかさんでいく仕組みである。福祉の対象の人たちに届く時点では、わずかな見舞金や茶菓子代になってしまっていないか。これって福祉なのだろうか。

 

22

 
 

広報雑誌「社協さくら」発行

 
 

赤い羽根

 
 

2,858,000

 
 

表示

 
 

23

 
 

在宅福祉(いきいきサロン・食事サービス等)

 
 

同上

 
 

1,039,000    

 
 

表示

 
 

24

 
 

福祉総合相談事業

 
 

同上

 
 

1,044,000  

 
 

表示

 
 

27

 
 

要支援世帯に対する支援金配分事業

 
 

歳末助け合い

 
 
  

2,040,000   

 
 

表示

 
 

28

 
 

母子・父子世帯に対する支援金配分事業

 
 

同上

 
 

5,013,000 

 
 

表示

 
 

29

 
 

ひとり暮らし高齢者世帯に対する支援金配分事業

 
 

同上

 
 

1,680,000

 
 

表示

 
 

30

 
 

寝たきり高齢者世帯に対する支援金配分事業

 
 

同上

 
 

94,000

 
 

表示

 
 

31

 
 

心身障がい児・者世帯に対する支援金配分事業

 
 

同上

 
 

424,000    

 
 

表示

 

 

  身近な福祉に目を向けていくと、国における福祉政策が透けて見えてくる。年金記録問題や年金支給漏れなど、原因や責任の解明が済まない先の不祥事は後を絶たない。根っこには、寄付文化やボランティア精神が根付かないまま、「絆」とか「共助」、「家族愛」まで持ち出し、福祉や災害復興政策の補完が強制されている現実を見失っていないか。足元の地域で何が起こっているかも知らずして、国の政治は語れないと思うのだ。

 

活動の対象

 

活動の対象

 
 

件数

 
 

金額

 
 

高齢者

 
 

32

 
 

2,889,00013.2%

 
 

障害児・者

 
 

15

 
 

1,559,000円 7.1%

 
 

児童・青少年

 
 

9

 
 

  5,273,00024.1%

 
 

課題を抱える人

 
 

2

 
 

2,052,000円 9.4%

 
 

その他

 
 

22

 
 

10,106,48846.2%

 
 

合計

 
 

80

 
 

21,879,488

 

  活動の目的  

 

活動の目的

 
 

件数

 
 

金額

 
 

日常生活支援

 
 

16

 
 

   11,745,00053.7%

 
 

社会参加・まちづくり支援

 
 

51

 
 

   9,224,48842.2%

 
 

社会福祉施設支援

 
 

2

 
 

70,000円 0.3%

 
 

その他の地域福祉支援

 
 

11

 
 

840,000円 3.8%

 

合計

 

80

 
   21,879,488 

 

    図書館からの帰り道、議員会館の方から、なにやら黒いスーツの一団が渡ってきた。この時期に陳情団でもないし、地方議員の見学でもないだろう。よく見るとまだあどけない青年たちだった。そう、近辺の役所の新人たち、どうも内定者たちなのか、101日は休日だったから、今日が内定式解禁日ということなのか。先頭に、これも若い案内役が「今年は女子が少ないんですよ」との声、その後はよく聞こえなかったが、「ヴァレンタインデーが・・・」の声のあとでは、若者たちの小さな笑い声が起きていた。総勢145人だったろうか、茱萸坂を下って行った。決して佐川長官のようにはなるな、初心を忘れるな、と見送るのだった。

 

 

 

 種類 助成額 

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