2023年9月10日 (日)

図書館を支える人々~非正規と障がい者の方々の待遇の実態(1)

 図書館勤めが長かったため、さらに、いま、日常的に図書館を利用していることから、図書館関連のニュースが目に留まる。昨年8月、今年の3月に、末尾にあるような記事を書いた。今回も、図書館の非正規職員、国立国会図書館のデジタル化作業に携わる障がい者の人たちの記事に着目した。

1)図書館職員の4人に3人が「非正規」

 日本図書館協会は、今年の5月1日付で「▽非正規職員の賃金と労働条件を、専門性の観点から改善する▽会計年度任用職員の雇用を更新する際は、勤務実績を最大限評価する」などを求める文書を全国の都道府県と市、東京特別区の首長に送付した。

 協会の調査によれば、全国の公立図書館の職員の76%が非正規なのである。

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図書館職員4人に3人が「非正規」処遇改善を日本図書館協会が要請(2023年6月7日)
東京新聞 https://www.tokyo-np.co.jp/article/255085

  私が利用しているもっとも近い市立図書館は、分館で(数年前、学童保育所の拡張で狭くなった!)、実用書と小説類・児童書が申し訳程度に配架されているにすぎず、リクエストした図書を市内や他市、県立図書館から取り寄せてもらうことがほとんどである。それもコロナ禍以降は、50センチ四方の小さな窓口でのやり取りで、職員の顔も見えない。もはや図書館とは言えない施設である。

 先の記事でも書いたように、佐倉市の中央図書館は、新設の「夢咲くら館」という総合施設の中に移設され、オープンした。全体の建設費は40億近くにもなったが、職員は会計年度任用職員で補い、わずかな資料購入費でのスタートであった。車を持たない我が家では、モノレールと電車で行くしかない。距離的には近い図書館となると、モノレール、電車、1時間に1本くらいしかないバスに乗り換えての道中となる。立派でなくともよい、駅近のビルの空フロアでもよい、大型商業施設の一画でもよい。特に大型商業施設の閑散ぶりとテナントの出入りが激しく定着しないこの街に、市は思い切って、なんなら床を補強して開放的な図書館をつくったらよいのにと思う。図書館の命は入れ物でなく、人と資料にお金をかけて欲しいのである。

 また、公共図書館でなく、現在、大学図書館でも同じようなことが起こっている。

田 和恵「非正規31歳男性が憤る<大学図書館の働かせ方> 民間への業務委託が進むことによる<悪影響>  ボクらは<貧困強制社会>を生きている」『 東洋経済オンライン

2023年525日)  https://toyokeizai.net/articles/-/673423?

 

  かつて私も、私立大学図書館職員として働いた身である。正規・非正規の割合は、今の方がもちろん悪化している。名古屋で78年働いていた頃、連れ合いの転任で、転職先を探していた。ある人の伝手で、たった一つ、非正規ならば雇用するという大学図書館があった。条件を聞くと、正規の職員と勤務日数、勤務時間が全く一緒で、当時の月収の三分一近い金額を提示され、情けない思いをしたことがある。連れ合いには申し訳ないが、単身赴任をしてもらうことにした。そして、3年後、連れ合いは東京に転任、またの転職先探しである。その後の顛末は、当ブログの以下の記事にも書いた。女性の転職の難しさ、女性が非正規の受け皿になっていることをいやというほど知らされた。

 <当ブログ参考記事>
図書館が危ない!司書という仕事(2022831日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2022/08/post-fd7d26.html

・危うい佐倉市立図書館オープン~“夢咲く”どころではない「夢咲くら館」
 図書館らしからぬ??(202337日)http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2023/03/post-f768c4.html

 

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2023年6月14日 (水)

川村記念美術館「芸術家たちの南仏」へ

 梅雨入り直前の晴れ間、6月8日、佐倉市内の川村美術館に出かけた。企画展の「南仏」が気になったといっても、私たちは、かつて、エクス・アン・プロバンスから日帰りのニース、マルセイユを訪ねたというレベルのことである。先日のマティス展に続いて、マティスにも出会うことができるかもしれない。

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 カタログの表紙も、チラシもマティスの切り紙絵「ミモザ」(1947年)だった。入館料、シニアは200円引きの1600円であった。

  今回、はじめて、午後2時からの学芸員による常設展、企画展をふくめてのガイドツアーに参加した。常設展は、印象派のルノアールから20世紀のアメリカ美術に至るまで、バラエティに富んでいるが、ふだんなら、通り越してしまいそうなマーク・ロスコの壁画やフランク・ステラの部屋での解説を聞いて知ることも多かった。ロスコの壁画はニューヨークのレストランからの注文であったというが、彼は、その店の雰囲気が気にいらず、納めなかったものの一部が、川村美術館に収蔵されたというエピソードも興味深い。ステラの作品の自在さと多様性には驚きつつ、美術館入り口近くのモニュメント「リュネヴィル」(1994年)という彫刻?には、職人たちとの苦労が偲ばれるのであった。

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ステラ「リュネヴィル」(1994年)、八幡製鉄所の職人さんたちとの汗をも思う。

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セザンヌ「マルセイユ湾、レスタック近郊のサンタンリ村を望む(1877-78)

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アルベール・アンドレ「マルセイユのプティ・ニース」(1918年)。プティ・ニースは、1917年にできたばかりのレストランであったが、現在では高級ホテルとレストランとして健在である。アンドレは、上記のセザンヌとは親子ほど年も違うが、親しく交流し、多大な影響を受けた。1918年はセザンヌの没年でもあった。

 マティスやシャガールには癒される作品も多いのだが、ピカソの前では、どうしても構えてしまう。しかし、今回は、以下のようなわかりやすいメッセージ性の高いポスターや広告もあって、心和むのだった。

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ピカソ「平和のための世界青年学生祭典(東ベルリン)」(1951年)。こんなスカーフがあったとは。この祭典は、第1回が、1947年プラハで開催され、第3回が東ベルリンであった。以後、中断もあったが、共産圏の都市を巡回して開催され、ソ連崩壊後も続いている。

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ピカソ「リュマニティ(日曜版)挿絵」(1953年12月27日)。ピカソの「ゲルニカ」(1937年)は有名であるが、彼は、フランスがドイツナチスから解放された1944年に、フランス共産党に入党、1973年亡くなるまで党員だった。しかし、スターリンの死去の折、描いたスターリンの肖像画はソ連から拒否されている。1949年以来、鳩は何度か
描かれ、平和のシンボルとして、定着し、世界に広がっていった。

 ピカソの女性遍歴は目まぐるしいが、最近、愛人の一人フランソワーズ・ジローの訃報が、小さな記事となっていた。抽象画家として活躍、6月6日、101歳で、ニューヨークのでなくなっている。1943年、1881年生まれのピカソが、1921年生まれの画学生ジローと出会い、二児をもうけたが、1953年の破局後は、ピカソはかなり未練がましかったらしい。

 なお、これまでまったく知らなかった、ラルフ・デュフィの「花束」の里芋の葉がなぜ青なのか、気になる作品だったし、また、マティスやピカソ、ボナール、シャガールらの作品で飾られた「ヴェルヴ」(1937年12月~1960年)という文芸美術雑誌の表紙にも興味をそそられたのだった。

 川村記念美術館は、DIC(旧大日本インキ)が所蔵する美術品を中心に、1990年に開館、3万坪の庭園は、みごとに整備され、折々の自然を楽しめる。京成佐倉・JR佐倉を巡回する無料のシャトルバスがありがたい。

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美術館の渡り廊下から。

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ツツジ、藤の花の季節は終わってしまったが。

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藤棚から美術館を望む。

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いまは、アジサイが見ごろ、ガクアジサイの下にひそむカタツムリ。

 

 

 

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2023年3月 7日 (火)

危うい佐倉市立図書館オープン~”夢咲く”どころではない「夢咲くら館」

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写真は「夢咲くら館の今」佐倉市ホームページから。屋上から飛び出す長い庇?キャノピーというそうだ。無用なだけではない、危険な長物、これだけに一億円もかけたという。
https://www.city.sakura.lg.jp/soshiki/shakaikyoikuka/286/16573.html

図書館らしからぬ??

 3月4日、新しい佐倉市立図書館が、市の複合施設「夢咲くら館」のなかに、オープンした。「佐倉」と「咲くら」のごろ合わせのネーミングもいまひとつ。写真にあるこの施設には、図書館と子育て交流センター、地域情報発信コーナーやカフェなどが併設されてのオープンだった。5年前、旧佐倉市立図書館の老朽化のために計画された新図書館なのだが、その計画から、出来上がりまでに、図書館らしからぬ数々の危険と不安が浮上してきたのである。当初より市民有志による「より良い佐倉図書館が欲しい会」が、多くの問題点を指摘してきた。

 当初、地上三階建ての15億円の予算であったのが、地下1階、地上2階となり、2022年度(令和4年度)予算の概要では、つぎのように説明する。図書館を含む複合施設は「(仮称)佐倉図書館等新町活性化複合施設整備事業、交通安全施設整備事業や橋梁維持事業等の施設整備費の増加により、普通建設事業費は全体で 37.7 億円と 26.7 億円の増加となった」として、その事業費は当初の二倍以上になったのである。これだけでも計画の杜撰さが目に余り、議会の多数会派はいったい何をやっていたのだろう。設計事務所、工事業者の選定も不明確極まりないものだった。設計事務所は、事前に市と協議をしていたり、不祥事続出、指名停止を何度も繰り返している前田建設が落札したりしている。

 地下の掘削、その土砂の処分、埋蔵物撤去の過程で軟弱地盤が判明、くい打ち工法の強化が重なり、工事費は増額していく。床の強度の必要から、地下があるならば、保管、書庫機能を置くのが普通だが、新図書館は、まるで逆なのが不思議でもあった。障がい者対応、災害対応のリスクも解決されないまま、オープンしてしまったのである。

職員の半分は司書資格がなく、非正規には司書資格を求める?!

 図書館の建物もさることながら、図書館のカナメは人と本、人材と資料である。下記の当ブログの記事でも指摘しているが、あらためて、佐倉市の最近の図書館関連予算を調べて驚いた。

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 すでに決算が出ている2021年度(令和3年度)以降で見てみると、佐倉市立図書館の「人と本」の実態はと調べてみたのだが、まことに“残念な”実態であった。正規の職員には手厚いが、会計年度任用職員は、職員の二倍ながら、その待遇は見ての通りである。最近の会計年度任用職員の募集案内によれば、図書館については、司書資格ないし図書館勤務5年以上が条件となっているが、7時間45分勤務、夕方の4時間勤務の二種類で、いずれも2~4日に限られる。いずれも時給1030円である。「千葉県の図書館2022(公開版)」というデータでは、2021年度決算によるとみられるが、当初予算で21人とあったが、23人となっていた。さらに、21人の内訳として、司書資格持つ者が11人、その他が10人となっている。会計年度任用職員に司書資格を求める一方、職員の半分は資格を持っていないことになる。もちろん、資格の有無だけで、仕事への熱意と能力が問われるはずもないことは、かつて、ある大学の司書講習会で10年ほど講師を務めた経験や講習会修了生たちと同じ職場で働いた経験からも承知はしているが、司書資格が図書館業務の入り口であることに変わりはないだろう。

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『こうほう佐倉』2022年12月15日号より。

 なお、『千葉県の図書館』の職員人数23人と予算書21人の食い違いを、市の財政課に尋ねたところ、2人は、再任用職員ではないかということであった。決算書の人件費については、すべて人数が省かれているというのも、市民には理解しがたく、実態をわかりにくくしているのではないか。
 さらに驚いたこと、市内三館合わせての図書購入費が毎年3500万ほどしかない。表で見るように、2022年度と2023年年度の図書購入費は、3526万、千の位まで同額である。これって、最初、私の見まちがいかとも思ったが、同額だった。「去年と同額にしておけ」という冗談のようにも思える。「夢咲くら館」内に新図書館もスタートするというのに、まったく「夢」のない数字に、少々あきれもした。それもそのはず、新図書館は、書架などは特注品を購入する一方、「新しい本の購入は大型絵本とヤングアダルト向けだけというお粗末さ」だというのである(岡山眞治「図書館問題から見えた佐倉市政」『さくら・志津をまもりたい会ニュース』45号 2022年12月)。「夢咲くら館」には、増額に増額を重ねて37億以上の建設費を出す一方で、図書費が3500万とは、まさに”箱もの行政“の典型ではないのか。いつまでこんなことを続けているのか、続けさせているのだろうか。責任の一端は市民にあるといってもいい。私たちは、もっともっと図書館を利用して、自分がほんとうに読みたい雑誌や読まねばならない、読んでみたい本を、子供や若者に読ませたい本をリクエストしてみてはどうだろう。
 とりあえずは、館長以下職員は、何を考えているのだろうか。館長の職員歴を知りたいものである。

学校図書館では、今

 下記の、当ブログ記事では、学校司書の実態にも触れたが、今回は、ついでながら、市立の小学校23校、中学校11校の図書購入費を調べてみると、表のようになる。それぞれを、23校、11校に分配するそうだ。生徒・児童数によるのではなく、各校の「配備率」?によって、年々額が変わると、財政課は答えていたが。いずれにしても、少ない図書購入費にも思えた。あわせて34校の図書館に11人の会計年度任用職員の学校司書が奮闘しているわけなので、ただただ頭が下がる思いである。

図書館が危ない!司書という仕事(2022年8月31日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2022/08/post-fd7d26.html

 ついでながら、昨年12月15日『こうほう佐倉』の「市職員人事・給与などの状況」によれば、2022年(令和4年)4月1日現在、職員1024人、再任用職員57人、会計年度任用職員70人となっていた。この会計年度任用職員はフルタイム勤務職員のみの数字で、その他、パート勤務の800人以上の職員がいて、合わせると900人程度の会計年度任用職員に、市政は支えられていることになる。 こうした状況のなかで、図書館への指定管理制度の導入の声が聞こえないわけでもない。「 2021年9月現在,283自治体,731館において指定管理者により管理運営が行われていることが確認できる」とする調査もある(桑原 芳哉「公立図書館の指定管理者制度導入状況 2018年度以降の動向を中心に」『尚絅大学研究紀要A』2022)。しかし、指定管理者制度導入館は漸増しているが、さまざまな不具合から、自治体直営に戻った図書館も多いのである。佐倉市にも懸命な選択を望みたい。

 

 

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2023年2月27日 (月)

マイナンバーカード申請に並ぶ人たち

 先週の金曜日2月24日、駅に近いビルの一画にある佐倉市出張所の前を通りかかると、いつになく人が立て込んでいる。入口の外に長机を置いて、マイナカード申請専用の受付を行っていたのである。出張所の外かべにそって、椅子も並べられていて、多くの高齢者が、ひとりで、あるいは夫婦で、順番を待っているようだった。受付には二人いて、20000円の文字が大きいのぼりが見えた。

 のべつまくなく流されるテレビや新聞のコマーシャルで、あるいは周辺からの口づてで、せかされてやって来た人たちだろう。さまざまな情報が盗み取られるリスク、持ち歩くことのリスクを覚悟しているのかしら。マイナ保険証とても、あちこちからのシステムの不具合、現場の混乱が報道されているではないか。

 2月22日は、東京保険医協会の医師ら計274人が、健康保険証の代わりにマイナンバーカードで保険資格を確認できるオンラインシステムの導入を国が医療機関に義務付けたことは憲法違反だとして、国を相手取り、義務化に従う必要がないことの確認などを求める訴訟を東京地裁に起こしている。当然の訴えである。

 総務省の発表によれば、2月19日現在、全人口の69.8%がカードを取得したという。資格証明だとか、更新はどうするなど・・・、中途半端なことばかり。マイナカードを健康保険証代わりにして、マイナカード取得を義務化しようとする先に、何をしようとするのか。銀行口座の紐づけ、運転免許証代わり、民間での利活用促進・・・などとなったら、リスクは果てしもない。「持ち歩けば便利」の先にあるものは。

  以下の当ブログ記事も併せてご覧下さい。

「マイナンバー制度」は、日本だけ!? 先進国の失敗からなぜ学ばないのか
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2015/11/post-afb2.html

  ちなみに、1月末日現在ながら、交付率は、全国で60.1%、千葉県59.9%、千葉市64.7%、佐倉市は57.4%であった。そんな中、千葉市の交付率が、2月21日現在、66.9%となり、政令指定都市20の内の中で1位だそうで、松本総務相が2月23日視察に現れている。

 なぜそれほど必死なのか。佐倉市は、2月末日まで、何パーセントまで伸びる?

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2023年1月 6日 (金)

きのうから、旋回の自衛隊機、なぜ?!

 5日、10時すぎ、ベランダで洗濯ものを乾していると、数機の自衛隊機が旋回している。下総海上自衛隊基地の離着陸調整のため旋回しているのかな、と思ってしまった。訓練機は館山沖での訓練のための離着陸は、ほぼ定時であるのをかつて調べたことがあるのを思い出していた。

 ところが、きょう6日の午前中の航空機騒音はいつもと違う。窓を開けて見上げると、かなりの低空で機体を斜めにして東へと向かう。我が家の真上、ユーカリが丘方面へ、一機、二機と・・・。それが、何回も、何回もめぐってくるのである。下総基地の広報、かつて控えていた内線に電話して、いま飛んでいるのは、そちらの基地の飛行機か、いつもの飛行と違うがどういうわけか、いずれにしても、住宅地をあれほどの低空で飛ぶのは危険ではないかなど、問うのだが、「担当者がきょういないのでわからない」と、ぼそぼそと繰り返すばかり。佐倉の上空を飛んでいる航空機がそちらのものかどうかだけでもと尋ねれば、どんな機種か、どんな形かわからないかとの質問、軍事オタクならともかく、素人が見上げただけでわかるわけがないのに。とにかく今日の午前中の飛行についてわからないはずはないしょうから調べておいて欲しい、また電話すると切る。

 二時間ほどあとに、電話すると、今回はバカに明るい声で「あの自衛隊機は習志野空挺団の<コウカクンレンハジメ>の予行演習です」という。聞き直して「降下訓練始め」とわかる。

 さっそく、習志野空てい団の「地域振興課」に電話すると、1月8日が本番で、「<降下訓練始め>と言って、パラシュートで降下するのをみなさんに見ていただくんです」という。宣伝広報の訓練のために、住宅街をあんなに低空で長時間飛んでいいのですか、といえば「申し訳ありません、ご迷惑おかけします」の一点張り。イベントのためだけの不要な訓練はやめにしてほしい、見直してほしい旨、検討してください、と伝えておいたが、まだ、本番は1月8日、あしたも続くというわけだ。

 自衛隊にパフォー-マンスは不要である。オリンピックのときの飛行演技、航空祭や今回のようなイベント自体が不要ではないか。

 習志野空てい団のHPを開いてみると・・・。訓練日程表も出て来た。

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<1月8日付記>

以下のニュースによれば、3年ぶりの大規模なイベントで、多国籍軍による訓練が実施されています。恐ろしいことがすでに進んでいるようです。

陸自第1空挺団の年頭行事「降下訓練始め」日米英豪の4か国で実施

https://news.nifty.com/topics/traffic/230108621431/

 

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2022年8月31日 (水)

図書館が危ない!司書という仕事

 もう、終活の方が迫っているのだが、たまに外出して、車内で就活スーツの女子学生に出会うと、「頑張ってね」との思いが募る。かれこれ60年前の就活について思い出しては、危ない橋を渡ってきたものだと、思い返す昨今である。

 つい最近、ネット上で、つぎのような見出しの記事に出会った。神戸新聞の「まいどなニュース」である。

「手取り9万8000円では暮らせない」非正規図書館員の訴え 知っていますか図書館の“現実”
8/26(金) 19:30配信
https://www.kobe-np.co.jp/rentoku/omoshiro/202208/0015586692.shtml

 30年近く、図書館職員として働いていてきた身としては、やはり気になる見出しだった。最近、古巣でもある国立国会図書館の資料はデジタル化されて、検索や遠隔複写、個人配信の資料も増えたので、よく利用する。買ってもいいかな、と思う本は、まず、地元の公共図書館の所蔵を調べて、なるべく借りて読むようにしている。新刊のベストセラーものは、ブームが去ってからでないとまず借りられない。所蔵してない古い図書や学術書を読みたい場合は、相互利用制度によって他館から貸し出してもらい、多くは自宅に持ち帰って利用する。現代詩歌文学館などは、雑誌などでも貸出してもらえるが、自宅には持ち帰れず、館内閲覧・コピーしかできないながら、大いに助かっている。 
   こうして、近くの市立図書館を利用していて思うのは、カウンターの女性がよく変わることだった。市の広報で、一年限りの、いわゆる「会計年度任用職員」募集の記事のなかに、保育士、栄養士、看護師、保健師などとともに図書館職員の募集も見かけたことがある。「任期付き職員」の募集もあって、こちらの方は2年とやや長期で、待遇も職員並みとあるが、図書館職員の募集記事は見かけない。

   冒頭の「まいどなニュース」によれば、日本図書館協会の統計では、全国の公共図書館3316館の専任職員(いわゆる正規職員)の数はここ20年、減少傾向にあり、2001年には1万5347人だったのが2021年には9459人に減少、逆に、非正規職員は、職員全体の7割を占め、その9割が女性だというのである。
   30年近く前ながら、私の最後の職場だった千葉県の新設大学の図書館では、退職時、私を含めて職員二人に、アルバイト三人だった。その後どうなったか。その前に、11年間働いていた名古屋の短大図書館では、職員四人、バイト二人であった。ここは、すでに四年制大学になって久しく、新館も完成、学部新設でキャンパスは二つなったが、その後の状況はわからない。国公立大学の図書館でも、非正規職員の激増が伝えられている。

  地元の佐倉市立図書館の場合、2021年、「令和3年度の当初予算」で見てみよう。図書館としては分館を入れて4館の職員の21人分の給与・手当・共済費併せて人件費総額約1億8972万円、会計年度任用の図書整理員42人分の報酬・手当・共済費は、図書館の一般事務費のなかに約6638万円計上されている。総額を人数で割れば、ざっくり、職員856万、非正規158万と待遇の差は、信じられないほど歴然としていた。税金や共済費が天引きされるわけだから、冒頭の記事にある「手取り9万8000円」という実態に近いのではないか。
   市立図書館のみならず、学校司書の場合も、状況はかなりきびしい。佐倉市は小学校23校、中学校11校あるが、「学校図書館活性化事業/令和3年度」の説明書によると、会計年度任用職員は11人、1校当たり年間勤務数平均50日、月平均25時間という数字が示されている。報酬・手当などを合わせて1177万円になる。1人が1週間で3校を回るという目まぐるしさ、佐倉市は各校の司書配置などは念頭にないらしい。

 また、佐倉市の2021年6月市議会での質疑によれば、2021年4月1日現在、佐倉市の市職員が1006人、会計年度任用職員は63種職、819人に及ぶという(6月16日、萩原陽子議員)。図書館は、21人の職員、非正規42人なのだから、正職員は3分の1ということで、全国平均でもある。非正規職員採用を通り越して、図書館の民間委託が隣の印西市で検討を始めているという。全国的には、すでに、ツタヤが委託されて運営する公共図書館もある。佐倉市においても、学校用務員、学童保育所は、すでに、民間委託が定着してしまったようだし、近くの学童保育所は、まとめて地元開発業者のグループ会社が指定管理者になっている。政府は、「働き方改革」、「人への投資」とかを口にするが、家庭や学校でのいじめや虐待の対応の無責任さ、教員の超過勤務・人手不足、奨学金返済困難者の激増、若手研究者の任期付き採用などが引き起こすさまざまな悲劇が明らかになると、具体的な解決策が示されないまま「再発防止」とか「第三者機関設置」とかでやり過ごすことが多い。「人への投資」というならば、国民の健康・福祉、教育・研究が基本であろうに、行政の手抜き・無為無策とさえ思われる事案、企業の都合が優先されてしまう無力感に苛まれる昨今である。

 司書として働く人たちは、熱心で使命感をもっている人が多い。箱モノとしての図書館ではなく、蔵書構成、整理、選書、レファレンス、出納業務などを利用者目線でこなすためには、暮らしのできる報酬とともに、安心して、長期展望のもとで働き、研鑽できる環境が必要で、ときには他館の利用者となってみる余裕があってもよいはずである。

 新町にある佐倉図書館が、移転新築されて、来年3月には開館予定であるというが、その建設費25億が30億に膨らみ、総額37憶5000万円になるという。総合施設の中の地下スペースが図書館になるとして、市民団体が反対運動をする過程で、様々な問題が浮上、いま裁判にもなっている。そして、こともあろうに、新館の新規購入は、ヤングアダルト用と大型絵本に限るという方針が打ち出されていることがわかった。何を考えているのか、図書館は崩壊の道を歩んでいる。

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「佐倉図書館等新町活性化複合施設実施設計」のパースの一枚。この入り口のキャノピーだけでも5000万円、いまでも、必要性と安全性を問い続けたい。

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「よりよい佐倉図書館が欲しい会」の会報53号には、姿を現したキャノピーの写真が右下に収められている。なんときゃしゃな造りで、風雨に耐えられるのだろうか。城下町?佐倉に似合いそうもないではないか。

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2022年6月19日 (日)

今、「自治会と寄付金」はどうなっているのか~日赤、社協、消防団、地域の祭り・・・、佐倉市は?!

 定着しつつあった「寄付は個人の自由」

 昨年度、十数年ぶりで、地域の自治会の班長の役が回ってきた。コロナ禍のため、活動は極端に縮小し、月一回の班長会の参加とそのときに手渡される会報と行政からの配布や回覧物を班の人たちに届けるのが仕事だった。
 その中には、日本赤十字社、市の社会福祉協議会への寄付へのお願いのチラシと当自治会が用意した集金袋もある。当ブログでも、相当しつこく?自治会が会費以外に、他団体への寄付を募るのは違法だと言い続けてきたし、もう20年前にもなろうか、私が自治会長を務めていたとき、役員会での協議の末、班長の戸別訪問による一律500円会費(日赤の場合は「社資」)の集金を廃し、自治会員の自由意思による寄付ということで、集金袋の回覧方式に変更し、定着しつつあった。
 私たちの自治会では、集金袋を回す際に、集金袋には、寄付は強制はでなく自由意思によるもので、会費(社資)として一口500円以上収める者は小袋に住所氏名を記して入れることになり、領収書は後で発行、届けるという仕組みとなって久しい。何回か当ブログでも紹介したが、その上、近年には、自治会長名による「補足説明」が集金袋といっしょに回覧されるようになり、寄付は自由意思によるとの念押しもされて、「進化」してきたなと思っていた。私としては、さらに自治会が「募金」に協力すること自体、止めにして欲しいと願うばかりなのだが。
 さらに、いつからか自治会が拠出するようになった「消防団協力金」、また、地域のNPO法人となったボランティア団体へ団体会員として納めている会費、地域の商店会などによる広域の祭りへの協力金が自治会財政から支出されていることも気になっている。これまでも、消防団員が特別地方公務員であることからその違法性が問われ、あとの二者についても、会員の意思にかかわらない自治会としての支出は、適切ではないとする意見書や要望書を佐倉市や自治会にも提出してきたが、改まる気配はない。

 先日、佐倉市が、毎年、年度初めに、市内の自治会長、町内会長・役員を集めて実施する説明会に配布する「自治会等役員の手引き」を、久しぶりにホームぺージで確認したところ、「手引き」の曖昧な文言は、相変わらずではあった。ところが、これはいつからホームページに載せるようになったのか不明だが、問答式の「自治会等問題解決の手引き」というものが掲載されていた。「令和3年4月改訂」版に「募金の収集で悩んだら・・・」①という頁に行き当たった。拡大して読んで欲しい。

朱文字で、コピーしてみると・・・。
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問 募金の収集で悩んだら・・・
事例 (前略) A自治会長は、募金を自治会費にあらかじめ上乗せして集めることを考え、総会にかけることとした。
一つの解答案
1.募金の一律収集は危険
 自治会費から寄付金や募金等を出すことは危険です。寄付金や募金は、本来、個人の自由な意思のもとに行われるものです。一方、自治会費は、会員に対して金額の差が生じる場合があっても会員であることを理由に一律に課されるものです。特に事実上自治会が抜けられない等の状態にある場合には、思想・信条の自由を侵害する可能性が高まります。この様な募金の収取を定める総会決議は無効となる可能性が高いです。

裁判例としては以下のものがあります(略)

2.会費からの募金への振り替えも危険
 上記の裁判例の趣旨は、一律徴収というやり方の問題ではありません。また、自治会からの制裁的な対応があることを問題にしたものでもありません。ポイントは会員の意思に反するような方法で募金を集めてはいけないということです。したがって、会員の同意もなく自治会費の一部を募金へ流用してしまうようなことも危険です。
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 上記の文書①「1.募金の一律収集は危険」の後略部分の「裁判例」は、2008年8月31日最高裁決定により上告棄却となったので、大阪高裁2007年8月24日確定した判決の要旨である。判決文というのは、いつ読んでも、何回読んでも、意味がとりにくいし、判決独特の言い回しがあるので、まさに要注意なのである。とくに、佐倉市が要約した上記下線部分「一方、自治会費は、会員に対して金額の差が生じる場合があっても会員であることを理由に一律に課されるものです。」などは、どういう状況を指しているのかわかりにくい。しかし、見出しは「募金の一律収集は危険」と警告しているのである。
 また、「2.会費からの募金への振り替えも危険」の下線部分以降の「ポイント」部分は明快だが、前段は、「一律徴収も可」、「自治会の制裁的な対応も可」とも読めないか。しかしここでも、会員の意思に反する方法での募金集め、「自治会費の募金への流用が危険」であることを警告していたのである。これまでの、「手引き」などでの曖昧表現や文言に比べると、ともかく「募金の一律徴収」と「自治会費の募金への流用」が自治会としては危険なことを明言するようになったとの感慨もある。

 佐倉市は、なぜ後退したのか

 ところで、この記事を書くにあたって、もう一度、市のホームページににアクセスすると、6月1日付で、「自治会等役員の手引き」の令和4年度版と「自治会等問題解決の手引き」が掲載されていた。あらためて、両者の必要個所を確認してみると、前者の「手引き」の内容は前年度とほとんど変更はなかった。後者の「問題解決の手引き」の表紙には「令和3年4月改訂」と記されていたので、これも昨年度と変わりはないだろうが、念のため、同じ28頁の「募金の収集で悩んだら・・・」②を見ると、設問も変わりがないまま、下記のように変更されていたのである。

 裁判例はまったく同じながら、その前後を拡大して読み比べて欲しい。
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2022

一つの解答案
〇募金の一律収集は注意が必要です
募金を自治会費に上乗せして集める場合は注意が必要です。募金は自治会費に上乗せして強制的に徴収するとした決議は無効であるとした裁判例があります。

裁判例としては以下のものがあります。(略)

〇自治会内で募金について様々な意見が出た場合
募金は任意であり、強制力を伴わないものです。会員から募金について様々な意見が出た場合は、総会や役員会等で十分話し合ってください。
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 最初に、ホームページで閲覧した日は、何日だったのだろう。5月下旬だったようにも思う。「問題解決の手引き」の方は「令和3年4月改訂」と銘打って、何の変更もないような体裁ながら、少なくとも、28頁に限っては、重大な改変がなされていたのである。昨年度の「警告」は何であったのかの思いが強い。「警告」は、いつの間にか?実にどうともとれる短い文章に変更されていた。「自治会と寄付金」の佐倉市のスタンスは確実に後退したのである。昨年度分も、一昨年度分も、過去のものはホームページ上では確かめることができない。これって、もしかっしたら、公文書改ざん?!

 一律に集めて欲しい、上乗せして集めて欲しい募金団体からのクレームでもついたのか、そうした団体に関係のある会員のいる自治会やいささかでも手間が省けると考えた自治会役員たちから抗議があったのか。いや、行政内部で異議が出たのか・・・。

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上記は、拙稿「私の視点/自治会と寄付金~一律集金に異議を唱ええよう」『朝日新聞』2014年3月17日。2016年には、TBS『白熱ライフビビット』の「自治会特集」コーナーに出演?したり、『朝日新聞』の「自治会は、今」シリーズの取材を受けたりしました。

なお、当ブログの関連記事の主なものをまとめてみました。その他の関連記事は、ブログのカテゴリー「寄付・募金」の検索で見ることができます。

自治会費からの寄付・募金は無効」の判決を読んで―自治会費の上乗せ徴収・自治会強制加入はやっぱりおかしい(2007年8月31日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2007/08/post_6d09.html

赤い羽根共同募金の行方~使い道を知らずに納めていませんか1~3(2009年12月7日、9日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2009/12/post-2f90.html

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2009/12/post-dd38.html

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2009/12/post-8c19.html

自治会の募金・寄付の集金の問題点~やっぱりおかしい、全社協や共同募金会の考え方(2010年11月8日)

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2010/11/post-1838.html

消防団・社協・日赤などへの寄付を強制されていませんか~自治会の自治とは(1)(2)(2017年4月9日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2017/04/post-8f66.html

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2017/04/post-7804.html

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2010/11/post-1838.html

赤い羽根共同募金」の使い道、ふたたび(2019年10月2日)

http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/cat20187440/index.html

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2022年3月31日 (木)

佐倉市のニュータウンは、いま~お花見がてら、街の今昔を思う

 今日を逃すと、散ってしまうような気もして、ご近所の桜を見てみようと散歩に出た。

 近くの調整池辺りは、土地区画整理組合と言っても地元の開発業者「山万」によって、公園として整備され、接した工区に、いまは、戸建て、マンション、高齢者施設、小ぶりの商業施設が並ぶ。四半世紀も前になるが、自治会館建設をめぐって、住民を二分するような事態が起こって、夫婦ともども、この地区の住民自治会とかかわることになった。開発に伴う「自然環境の保全」「地区計画」「住居地域の安全」「道路整備」・・・などをめぐって、業者、市役所、県庁などとの交渉が続いた時期もあった。街のあちこちに、さまざまな思い出がまつわるのだった。

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  正面が井野村の鎮守「八社大神」と井野城跡の森。浅間神社の小さな鳥居も見える。この北部調整池が作られる前は、八社の森を囲むように田んぼだったそうで、近くの井野中学校辺りが、腰までつかるほどの一番深い田んぼだったという。いま宮の杜公園となり、森の向こう側に、マンション、手前左側に戸建て住宅が並ぶ。この写真を撮っている私の背後は、木々に囲まれるように井野の集落が残されている。竹林に沿った坂道を上ると三叉路の左手に井野の自治会館があり、その前の桜の木には「井野の辻切り」として有名なワラで作った龍が昇っている。いまは八か所の辻、辻でこの龍が集落の安全を守っているという。毎年1月に新しい龍と替えられ、家家の門にも小さな龍が掲げられている。Img_0883

 三叉路を左に行けば、豊山派の千手院があり、まっすぐ進めば志津へ。引っ越してきた1988年には、まだ、志津駅から千手院前が終点の路線バスが走っていた。

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 さらに、進むと、右手に庚申塚がある。大小五つの庚申塔が並ぶ。小さめの手前が、一番古くて寛政4年(1792年)とあり、まさに寛政の改革の時代である。奥にあるのが天保8年(1837年)、一番奥に見えるのが、万延元年(1860年)で、手前の正面に石像の姿がある塔と蔭にある2基が大正年間とある。

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   再び、八社大神に戻る。このあたりはイノシシが出ることもあるらしく警告の看板が出ている。左手の八社の森の切り株が何本か見える。この木々の伐採については、いろいろあった。開発業者が、八社の井野の氏子たちからの依頼で、八社の森の枯れ木・古木などの伐採と参道・駐車場整備の工事を開始すると、突然、近辺の住民に知らされた。八社の森の環境が気に入って住宅を購入したばかりという人たちは、最後の一戸売れた途端に工事を始めるとはと、怒り心頭であった。自治会・住民有志と何回かの交渉の末、200本伐採予定が70本で済んだし、参道の変更や駐車場の台数・運用変更などを経て落着した。

 そういえば、この工区の造成時には、産廃の捨て場にもなっていた雑木林から、トラック800台分が搬出されたことが確認された。そこに盛り土がなされ、その危険性に加えて、マンションや高齢者施設建設に伴う日照時間の減少、工事中の振動・騒音、通学路の安全性など近隣の住宅に与える影響などをめぐっても、さまざまな交渉が長期間なされた。マンションの階数と戸数自体を減らし、高齢者施設の階数や部屋数を減らすことで、日照時間を延ばすことができた。盛り土については、工事中、大雨で植栽ごと流されたこともあった。マンションの目の前の商業施設をめぐっては、24時間営業を売りにするスーパーを招致したものの、営業時間はどんどん短縮、10年で撤退していった。いまは、10時~18時の生鮮食品に限っての店が入ってホッとしているところだが、続いてくれることを願うばかりである。
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 ゆっくり、ゆっくり歩いて4800歩、近くの公園に戻った。この公園には、新しい自治会館が完成、オープンを待つばかりとなった。そもそも、地域にかかわるようになったきっかけが自治会館建設問題だった。ニュータウンながら、昔のムラ意識丸出しの自治会の役員会から、突如、いまある他の自治会と共用の自治会館に加えてもう一つ近くに建設するから、その資金の一部として、各戸3万円を徴収するとの回覧がまわってきたのである。それに怒った主婦たちが調べていくと、その建設に至る手続き、建設費予算の杜撰さ、建設予定地の立地の悪さ、開発業者との関係など次々に問題が浮上し、情報合戦もすさまじく?住民を二分するような状況の中、臨時総会では150対300という大差で、会館建設自体が否決されたという経緯があった。その後、地域住民の高齢化に伴い、近いところに自治会館が欲しいという要望も多く、近隣二つの自治会の協力のもと、建設委員会の粘り強い交渉で、公園内の建設が決まったのだった。公園内の施設建設は公園緑地法などのハードルが高いことは承知していたが、ともかく完成に至ったことはありがたく、大いに利用したいものと思っている  Img243_20220331105601

 上記自治会会館問題が落着した後、いささか機運が盛り上がったこともあったのだろう、知り合った主婦たち4人で、ミニコミ誌を出すことにした。1998年1月、その創刊号の「創刊のことば」は、いま読むと気恥ずかしいばかりではあるが、まだ、当時はみな若かった。新川和江の「わたしを束ねないで」の一節になぞらえて「わたしを束ねないでください、主婦という名で」で結んでいる。拡大して読んでいただけるとありがたい。また、小さな記事「宮ノ台むかしばなし」には、きょうの散歩コースの辺りにも触れている。また、1999年度には、佐倉市の「夢のまちづくりさぽーと事業」の助成(16万円)を受けて、自然観察会などの行事や地域の要人?のインタビューなど行い、ミニコミも毎月のように出していた奮闘の時期もあった。

 なお、「すてきなあなたへ」の47号からは、このブログの左欄から読むことができる。1~70号まで、ミニコミ誌の収集・利用を進める立教大学の共生社会研究センターで保管していただいている。2015年、スタッフの事情により、70号をもって終刊となったが、「終刊のことば」はない。<3月30日記>

 

 

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2021年11月 3日 (水)

退職シニアの「地域デビュー」~長い話はまっぴらです

 『朝日新聞』の日曜日に「男のひととき」という欄がある。伝統ある女性の「ひととき」の男性版である。最近、「地域デビュー」と題した投稿が目についた(10月24日)。72歳の男性が、一念発起して自治会の役を引き受けて、広報担当にでもなったのだろうか。型通りの会報の回覧版を工夫すると、ご近所さんから声をかけられたり、仲間を募りハイキングを楽しんだりして、地域デビューを実感しているという主旨だった。

 この方の場合は、穏やかな地域デビューのように見受けられたが、なかには「老害」とも思えるような振る舞いをする人たちがいる。これは男女、関係がないようだ。
 かれこれ、20年前ほど前のことになるが、私たちの自治会は、500世帯規模ながら、長い間同じ人が自治会長を続け、その“お友達”で役員を固め、総会も名ばかり、かなり杜撰な運営が続いていたらしい。もちろん、そこには女性の名はなかった。いわば「オヤジサロン」だったのである。その自治会から、突如、新しい自治会館の建設費用が足りないから、一世帯3万円を徴収するとの回覧が回ってきた。会館の用地も、設計図も、建設費もその全容がほとんど知らされていなかったこともあって「どうして、3万円?おかしくない?」という、ご近所の女性たちが、異議を唱え、署名を集めているのを知って、私たち夫婦もその活動に参加した。当時、「3万?ゴルフの1回分じゃないか」という男性役員の言が物議をかもしたりしたが、会館建設は臨時総会の圧倒的多数で中止となった。 
 それからは、私自身も、自治会役員、会長、地域の開発をめぐっての対策委員、防災委員、通学児童の見守りなどの自治会活動に従事してきた。この数年は、総会に出席する程度だったが、その総会も、コロナのため書面によるものとなった。その矢先、今年度、班長の役が回ってきたので、冒頭の投稿にも気づいたのかもしれない。
 この間、多くの地域男性、シニアと一緒に仕事をしてきたことになる。地域の自治会の20ほどを束ねた連絡協議会というのがあるのだが、そこへメンバーとして出席をしようとしたところ、「あんたが来ると、面倒なんだワァー」と面と向かって言われたことがある。その連絡協議会は地域の開発業者の下請け機関の様相を呈していた時代である。また、私たちの自治会には、防災委員会というのがあるのたが、東日本大震災の際、ほとんど機能を果たさなかった。私は友人に誘われて、防災委員になって、驚いたことがある。従来からの女性委員が、会議の始まる前に集合して、お茶や茶菓子の用意をしていた。そして忘年会の会費まで委員会の予算から出ていることも知った。友人と二人で、思い切って異議を唱え、改まったこともある。 ともに活動してきた男性たちの中には、現役時代の肩書や体験をかざして、行政や開発業者と交渉に及んだりする。ともかく話が長い、場所を“わきまえない”発言が延々と続き、イライラすることもあった。いまだに「報・連・相」とか「破れ窓理論」を説いたりする。
 最近は、団塊の世代の高齢化に伴い、やや若い第二のお勤めシニアや現役世代の男性たちが役員やリーダーを担うことも少なくない。すると、判で押したように、「会則」なるものをイジリ始め、そして新しいことを何かやり始めたいらしい。
 たとえば、少子化が進む中なので、自治会の会員世帯で赤ちゃんが生まれたら「誕生祝い」を出したい、地域であたたかく祝ってあげたいものだとか、会員による地域に寄与するグループ活動や趣味のサークル活動に助成金を出して、地域の活性化を促したいとかが提案され、前者は、生む・生まないは個人事情によるものだから祝い金はなじまない、里帰りして出産した場合はどうするかなどの意見が出て、沙汰ヤミになった。後者は、自治会会則まで改正したが、それ以来一件の申請もないというのが現実である。
 さらに、自治会の役員などを経験すると、退職の前後にかかわらず、<地域の活性化を目指して>行政が推進する「自治会協議会」「まちづくり協議会」、NPO法人の立ち上げなどに参加、その中心に収まりたいらしい。いまだにおなじみの人間が会長に収まったりしているのを会報などで知ることになる。それも、イベント写真満載だけの“会報”だったりする。
 そんな現状を前に、なまっじか地域に“貢献”していただかなくとも、放送大学に入学したり、俳句やカメラ、ゴルフなど趣味の世界や同窓会活動、あるいは孫育てなどに没頭したりして、力を発揮していただけないだろうかとも思う。
 また、現役時代にあっても、地域の問題や回覧板には見向きもしない「世帯主」が、家の前にマンションが建って日陰になりそうになったり、宅地造成の振動で家の壁にひびが入ったりすると、俄然、頑なに絶対反対を叫ぶことになったりする。

 「地域デビュー」「公園デビュー」「PTAデビュー」などとはいわず、ふだんから地域の問題に目を向けて、家族やご近所とコミュニケ―ションを取っておく必要があるのではないか。回覧板のみならず、自治体の広報や議会報告などのも目を通しておくことが重要ではないか。これは男女を問わないだろう。私の現役時代の自戒をこめていうならば、家事や子育てに精一杯だったし、ご近所とは生協の班会、娘のソフトボールチームのお母さんたちとの付き合いぐらいだった。地域や自治体の一員として自覚は、たしかに希薄だったのである。

 

 

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2021年4月20日 (火)

自治会、住民の高齢化とコロナ禍の中で、どうなっていくのか

 新年度、自治会の班長の番が回ってきた。私たちの自治会は、かつての新興住宅地、三つの丁目が併さっての650世帯、35班ほどがある。私たちの班は、17世帯。かつては20数世帯だったのが、ぽつぽつと自治会自体を脱ける世帯も現れた。そして、高齢化に伴い、さまざまな事情で、班長は引き受けられないという世帯が数軒あって、回ってくる順番が少しづつ早くなっているのは確かである。 
 三月の末、まず、新年度の班長会があり、10人の役員を選んだ。班長は何とか引き受けられるが、役員はどうしても引き受けられないという世帯と過去に役員をしている世帯はパスできるというルールがある。我が家は、十年前に、班長から役員にもなっているし、今世紀?初め前後に、夫婦のどちらかが会長や役員をしていた時期があったので、もちろんパスをした。私たちの丁目には14班あって、世帯も多いので、5人の役員を出すことになっていた。役員は引き受けられないという理由をめぐってはひと悶着あったが、先のルールで半分の7世帯が役員候補から外れ、7世帯から5人の役員を出すという厳しいことになった。あみだくじで5人が決まり、ほかの丁目も同じように決まったらしい。あわせて10人、住民 の世代交代もあったのだろうか、比較的若い世代の方、女性も多く、一安心であった。 
 その後、役員の担当も決まり、役員選出の班は、新たな班長も決まり、最初の班長会が週末に開かれた。班長35人と役員10人が集まるのだから、三自治会共用の狭い自治会館では、「密」ということで、前回の役員決めの班長会と同様、近くのコミュニティセンターの大会議室での開催であった。机も並べず、椅子だけでも、かなりの「密」となった。昨年度は、流会となった班長会もあったらしいが、丁目ごとに3回に分けて自治会館で開いていた。役員は3回、同じことを繰り返さなければならず、かなりの負担であったろう。さらに、昨年度は総会も書面だけの評決だったし、防災訓練、餅つき大会、福祉まつりなどが中止だったし、側溝清掃も延期になった。広域で行われる地元の祭りが中止になったのは、各自治会の負担が大きかっただけに、かえってよかったのではないか。今年も中止ということなので、私個人としては、自治会の祭りへの自動的な参加は、ぜひ見直してほしいと思っているところである。

 今回、これからの班長会の会場をどこにするかが議題となった。3回に分けてとなると役員負担は大きい。コミセンにすると、歩いたら20分以上はかかるので、やや遠いのが難点だが、一堂に会する班長会となり、駐車場も広いというメリットもある。車のない我が家では、往復400円のモノレールを利用しなければならない。雨さえ降っていなければ、自転車 ということも考えられるが、夜間となると、少し不安でもある。自治会費3500円よりかかってしまう。自治会活動はボランティアには違いないが、思いはやや複雑。車の人はガソリン代がかかるとも言っていたが、これももとをただせば、新型ウイルスの感染を抑え込めなかったためだろう。 
 また、近く の公園に二つ目の自治会館が立つ計画があるのだが、なかなか進まない。開発業者の協力も得られず、当初は、用地難であったが、三自治会による建設委員会と市役所公園緑地課との交渉でようやくたどり着いたのが公園内の建設だった。ところが、公園と接する自治会に反対する会員がいるということで市役所は及び腰になったらしい。市役所は、自治会の法人化と引き換えに、公園内建設を認めたフシもある。私は、自治会の会員として赤ちゃんにまで、議決権があるとする法人化が自治会本来の姿なのか、弱体化、形骸化につながる のではないかと考えているので、なおさら心配でもある。今年度に何とかしないと、市からの建設費補助が出ないことになってしまい、建設が見送りになったら 、元も子もなくなってしまうのではないかと。近い公園に新しい自治会館が欲しいという願いが、早く実現するよう、班長としてできることがあれば、努力もしたい。 
 
自治会の様子も、いつもよりはわかる、せっかくの機会なので、自治会のレポートも続けたいと思っている。なにせ、私のこのブログで、常にアクセス数が多いのは、記事としてはかなり古いのだが、自治会の社会福祉協議会、日本赤十字社などとの関係、とくに寄付、募金の可否に触れた記事、開発と環境、街づくりに関する記事なのである。自治会の、古くて新しい問題でもあるのだと思う。

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今年もウラシマソウが健在である。写真下の、紫の可憐な花はなんだろう、図鑑と首っ引きで調べてみたが、エンゴサクのなかま?か、わからなかった

 

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