2026年8月12日 (水)

欠陥法案、続々、もうこの国を愛せない(4)~国会閉会後はというと

 高市首相の熊本地震の被災者避難所の視察が「3分」に過ぎなかったと報じられ(「田中龍作ジャーナル」2026年8月3日)、拡散されると、氷川中学校の滞在時間は五十何分だと、内閣広報官が反論する羽目になった。https://tanakaryusaku.jp/2026/08/00033801

 朝日新聞8月4日の「首相動静3日」によれば、避難所の氷川中学校到着3時13分、視察が午後3時21分から34分、35分から54分までが被災者との意見交換をしたことになっている。実際に、避難所になっている氷川中学校の教室に滞在したのはかなり短かったことは推測できる。その前には、校長室で地元住民との意見交換が行われていたらしい。また、首相官邸からは、BGM付きの首相の「熊本視察動画」が発信されたことも批判されている。たしかに、真新しい防災服を着て、走るように移動する動画は、子どもが燥いでいるのようにも見える。6日経っての視察先での「激甚災害指定」の宣言といい、予備費からの200億円で「国ができることはすべてやる、先手、先手で」との発言は、失笑をかった。電気、水、道路を断たれ、家を失い、瓦礫の中で暮らす被災者や車中泊を余儀なくされている人たちをさかなでしないか。災害の政治利用、パフォーマンスといわれても仕方がない。
 折も折、8月1日、2024年1月の能登地震の復興計画の一環での公営住宅整備3100戸のうち、2棟14戸が七尾市に完成し、入居した旨の報道がなされた。2年半以上がたってもこんな状況であることを知らなかった私は驚いた。この事態を、物々しく、いかにも復興が進展しているかのように報道する方もおかしい。遅れているのはなぜなのか、何がネックなのかことこそ深堀りするのが報道ではないのか。能登半島地震、今回の熊本地震の復旧・復興対策一つをとっても、後手、後手の結果ではないのか。

 6月末には「日本成長戦略概要~「強い経済」の構築による、強く豊かな日本列島の実現~」が明らかになった。https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/pdf/jgs2026gaiyou.pdf(内閣官房)

 また、7月21日、政府は「骨太方針」を閣議決定した。その中の「安全保障の強化」という項目には「5年以内の防衛力の変革を明記。その一環として、有事に備えて弾薬などの生産ラインを維持するため、工場を国が保有し運営は民間に委託する「公設民営化」の検討を盛り込ん」でいる(東京新聞7月22日)。

 さらに、政府は8月4日の閣議で、2026年版「防衛白書」を了承したのである。無人機や人工知能(AI)を活用した「新しい戦い方」の出現を踏まえて1章を創設した。「新しい戦い方」って、いったいどこと戦うというのか。中国と太平洋進出や中国とロシアの動向を念頭に置いているという。すでに今年の3月、熊本市の健軍陸上自衛隊駐屯地に、住民の反対を押し切って、中国の沿岸部や北朝鮮が射程に入る長距離ミサイルが配備された。10年かけて、各地に配備、反撃能力(敵基地攻撃能力)を高めるというのだ。防衛費の総額は、9兆353億円(対前年度比+3.8%)で、長距離ミサイルを含むスタンド・オフ防衛能力分野では、総額の約1割の9733億円で、2023年度から5年計画で毎年1兆円近くが計上されて来た。重点分野の内訳は、以下の通りである。

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【参考】

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jijicom 2025年12月26日より

 物価対策の一環としての食料品消費税減税のはずであったが、8%を1%に下げたところで、生鮮食品を含む食料品の物価上昇はすでに、7%をとっくに上回っていることは、多くの国民はスーパーや生協での支払いで実感済みである。来年4月からの2年後に8%に戻すという。8月5日、財源を示さないままの閣議決定であるが、8月6日の首相の記者会見では、2年後には「私が責任をもって、8%に戻す」覚悟?が確認されている。

   8月7日には、農林水産省は、食料自給率を公表した。図表に見るような長期推移を以下のように分析している。
「食料自給率は、長期的に見ると、米の消費が減少する一方で畜産物や油脂類の消費が増大する等の食生活の変化により、低下傾向が続いてきましたが、2000年代に入ってからは概ね横ばい傾向で推移しています」

 たしかに、横ばい状態が続いているが、カロリーベース37%というのは過去にもあったが最低である。カロリーベースの自給率の計算式は以下の通りとなる。

カロリーベース 食料自給率 = 国産供給熱量÷ 国内総供給熱量
= 1人・1日当たり国産供給熱量÷ 1人・1日当たり総供給熱量
= (830kcal/人・日)÷(2,237kcal/人・日≒37%

   この食料自給率は先進7カ国(G7)の中で最も低い水準で、食料供給のうち、国産で賄えない63%分は米国(26%)やカナダ(11%)、豪州(10%)などからの輸入に頼る。自給率が下がれば紛争や為替変動などの影響を受けやすく、食料安全保障上のリスクとなるわけである(jiji.com 2026年8月7日)。 品目別の自給率はでは、米が96%、野菜73%、魚介類46%、砂糖類33%と続くが、果実28%、大豆25%、小麦になると17%となる。相当危ういことになってはいないか。知っているようで、この数字を目にするとあらためて驚いてしまう。物価上昇に歯止めがかからないのは、ここにも原因の一つがあるようだ。

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jiji.com 2026年8月7日より

 【参照】 
農林水産省(2026年8月7日)
令和7年度食料自給率(カロリーベース・生産額ベース)
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/attach/pdf/012-20.pdf

 こんなことを調べたり書いたりしていると、心はますます萎えてくる。この辺でやめたいと思う。

 

 

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2026年7月19日 (日)

欠陥法案、続々成立~もうこの国を愛せない(1)

 毎日新聞の栗原俊雄専門記者が、日本国旗損壊罪法案が基本的人権を侵害するものとして強い反対をよそに成立を急いだことについて「≪国を愛さない自由≫」もある」との見出しで解説している(毎日新聞朝刊 7月17日)。いまの私の「もうこの国を愛せない」という心境にぴったりだった。近頃の国の内外の政情を見るにつけ、「鬱」を通り越して「憤死?」への道をたどることになるのだろうか,と。

「皇室典範」については、野党の結束ならず、途方もなく珍妙な改正案が成立した。当ブログでも何度か書いて来た。全体会議を経て、両院正副議長のとりまとめから、政府提出の条文案に至る過程で、先の取りまとめになかった「養子縁組の子が皇位継承権を持つ」という森衆院議長の“失言”を政府提出の改正案条文に盛り込み、それを「立法府の総意」というアクロバット的なすり替えをおこなったのである。この間、木原官房長官、高市首相は、国民の代表である議会の両院正副議長の「取りまとめ」に沿った条文であるといい続け、木原官房長官と共に「将来の検討を先取りしたり縛ったりする趣旨ではない」との答弁を繰り返し、「立法府の総意」であることを強弁した。中道はこともあろうに「将来の検討を先取りしたり縛ったりする趣旨ではない」によって賛成に回ったという経緯がある。

  今回の「国旗損壊罪」を創設する法案は、7月17日、参院の本会議での可決をもって成立した。この法律の守る法益は「国旗を大切に思う国民感情」であり、処罰対象は「人に著しく不快または嫌悪の情を催させるような方法」で「公然と国旗を損壊、除去、汚損する行為」なのである。「人間の感情」はさまざまで、簡単に「≪国民≫感情」などと一括りに出来るものではない。しかも、「不快感」や「嫌悪感」などとて千差万別で「著しいかどうか」など何が基準になるのだろうか。素人が考えても、「国旗」に対するさまざまな感情や表現活動は、憲法の思想・内心の自由、表現の自由で保障されているもので、損壊罪の創設は、違憲と言わねばならないだろう。

 法案の審議過程で、法案提出者の維新の議員は、この法律によって「愛国心の醸成」にもつながると発言している。そもそも、この法案は、自民と維新との連立合意にあたって、維新からの提案であったという。立法事実にも乏しく、両党の“お約束”実現に振り回された形だった。さまざまな場合分けをして、処罰の対象になるか否かとかしましい。処罰に至るにはかなりハードルが高いが、国民の国旗への扱いについて、牽制する効果を期待したいのだろう。スポーツや官公庁、教育現場でのイベントなどでの国旗の扱いに、規制や強制が強化されないか不安である。現に、教育現場では、国歌「君が代」伴奏や歌唱の強制をめぐって裁判が続いている。一般家庭や個人ではどれほど国旗への関心があるものだろうか。皇族たちの出先での歓迎の日の丸は、ほとんどが、日本会議や神社本庁が配布しているのが現状である。

(つづく)

 

 

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2026年7月15日 (水)

男女を問わず、皇族たちの人権は?「愛子天皇待望論」って何だったのだろう

   

 前記事と重なる部分もあるのだが、「皇室典範改正案」が成立する見込みが確実になったので、今一度整理しておきたいと思った。地元のミニコミ誌への寄稿も兼ねて。
 「皇室典範改正案」が6月30日に閣議決定されると、大方のマス・メディアは、旧宮家の男系男子を養子とする案への疑念を呈し始めた。たしかに、養子案は荒唐無稽な時代錯誤も著しく、非科学的な「万世一系」に根拠はなく、多くの国民も受け入れ難いのでないか。同時に、新聞などは、自社の世論調査結果を踏まえて女系・女性天皇への期待を、強調するようになった。

 7月10日、衆院での質疑もそこそこに即日、賛成多数で可決したことを受けて、7月11日の三大全国紙の社説は、一斉に、国会運営の強引さと野党国民民主と中道の従来の主張と異なる改正案に賛成したことを糾弾した。与党の恣意的な国会運営、質疑における詭弁、答弁不能、テープレコーダーのような繰り返しにも近い政府答弁に呆れもした。
 きょう7月15日、参院特別委員会審議入りし、16日には委員会採決、17日には本会議で成立の運びという筋書きで、国民そっちのけの国会軽視も甚だしい。しかも、見直しは30年をめどとされ、だれが責任をとると言うのだろう。なんでこんなに息苦しいことになってしまったのか。

 これまでの新聞等の論調を見てみよう。

 朝日は、7月10日「皇室典範改正の暴走」を非難、養子の男性子孫は皇位継承資格を持つという規定は、女性・女系天皇への道を塞ぐものだとし、翌11日には、衆院で改正案に賛成した中道や国民民主などの野党の拙速な対応を追及した。
 毎日も、7月1日、「養子の子に皇位継承権を付与する」という改正案は「女系・女性天皇を封じる意図」することへの疑念を示した。
 読売は、4月16日の社説で「皇位継承の安定 女性・女系を排除せず論じよ」と明言して以来、世論調査を踏まえて、7月1日にも「女性・女系を排さず議論し直せ」と訴えている。女系・女性天皇を容認しないのは、憲法の男女平等に反するという論調から「愛子天皇待望論」が週刊誌やネット上などで噴出した。「改正案」からは、実現に程遠い議論ながら盛り上がりを見せ、まるで、ガス抜きをさせているよう気がした。一方、NHKテレビの15日7時のニュースは、改正案成立が確実になった途端、急になにやら、こまごまと解説を始めるという、いつもの悪質なNHKの手口に終始する。

 現憲法下では、皇族たちは男女を問わず姓を持たず、さまざまな基本的人権を奪われている。改正案の「女性皇族は結婚後も皇族として残る」ということは、基本的人権を奪われたままで、法的な根拠を持たずに増やし続けた「公的行為」「公務」の人材要員となるにすぎない。配偶者や子どもの処遇、住所や生活費はどうなるのかも不明に近い。また、仮に女性天皇が実現したとすると、従来、天皇が背負ってきた義務や重圧を女性皇族までに拡大することになる。女性天皇の配偶者は、子孫はどういう処遇になるのか。いずれも、基本的人権を認めない人間をふやすことになるのではないか。

 本来、皇族といえども、憲法上は、男女を問わず、皇籍を離れる自由、非婚・結婚の自由、子供を持つか持たないかの自由があるはずである。また、天皇は政治的権能を有しないはずだが、果たしてきた役割を省みれば、政権との密接な関係は否定できない。天皇の外国訪問、戦死者・被災者慰霊、皇族たちの種々のイベントへの参加によって、政権の施策の欠落部分を補完する機能を強いられ、利用され続けている現状に着目する必要がある。

 朝日新聞が先の10日の社説で、「象徴天皇制と、法の下の平等や個人の尊重など<人類普遍の原理>という異質なものが憲法に同居しており、完全に整合させることは難しい」とやや踏み込んだ一文あったことに私は注目したのだが、どうなることか。憲法の基本理念と天皇制は相容れないはずである。

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2026年6月26日 (金)

「皇室の存続」や女性天皇の議論を認めず、天皇制廃止求める院内集会のご案内

 昨日、「女たちの戦争と平和資料館」から、つぎのような集会案内が届きました。私が「友の会会員」になったのは、数年前に「wamセミナー天皇制を考える」の第3回集会(2021年2月23日)で、「歌会始」について報告したことがきっかけでした。当ブログでも、幾度となく、今国会で決まりそうな皇室典範改正の2案が、憲法の基本理念たる基本的人権と平等に違反するものであることを言い続けてきたつもりです。

 今回、アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)と「ふぇみん婦人民主クラブ」の呼びかけで、以下の集会が開催されます。私もどんな集会になるのか出かけてみたいのですが、帰りが遅い時間になるので参加は難しく、賛同署名だけはしたところです。関心のある方は、以下をご覧ください。

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7.3院内集会
<「皇室の存続」や女性天皇の議論を認めず、私たちは天皇制廃止求めます>

日時:202673日(金) 18:20-19:30
場所:参議院議員会館(東京メトロ・永田町駅) 地下1階 B107会議室 (定員80人)
※ 18:00から入館証の配布を開始します。

プログラム(予定)
1. 呼びかけ団体挨拶
2. 声明の趣旨説明
3. 賛同団体・個人によるリレートーク

声明のPDFこちら625日、若干の字句修正を入れました)。
個人・団体賛同を求めています。賛同フォームはこちらFramaForms、締切:202673日正午)。

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2026年5月 5日 (火)

憲法改正、急ぐに及ばず~憲法記念日の世論調査にみる

  5月3日の朝日新聞は「高市政権で改憲 賛否拮抗 本社世論調査 賛成47% 反対43%」、毎日は「改憲《賛成》37% 本社世論調査 首相人気 機運押し上げ」と一面で報じている。憲法記念日恒例の世論調査である。この日のための世論調査の結果報道、社説や特集が組まれ、市民団体による意見広告も散見できる。

  この頃、「世論調査」というのに疑問を持ち始めている。まず、思うのは設問・回答の在り方と回収率の低さと調査方法である。最近、ケータイや固定電話に、何か所からかのさまざま「世論調査」らしき電話を受けるようになったが、私自身、警戒心の方が強く切ってしまうので、回答者が世論を反映しているかな、と思ってしまう。かつて、新聞社の文書による世論調査を受けたことがあり、その時はもの珍しさもあって、じっくり考えて記入したものである。

朝日新聞の見出しになっている賛成47%というのは、
・「高市首相は憲法改正を目指すことを明言しています。高市政権のもとで憲法改正を実現することに、賛成ですか、反対ですか。」

  という設問の回答だったのである。正直、この質問には、私だったら回答できない。この設問の直前の二問の問い方とその回答も付してみた。

・「自民党は、憲法9条の1項と2項をそのままにして、新たに自衛隊の存在を明記する憲法改正案を提案しています。こうした9条の改正に賛成ですか、反対ですか。」賛成52%、反対40%
 賛成の理由:明記することで、海外活動がしやすくなる21%
   反対の理由:明記することで、自衛隊の海外活動拡大の恐れがある25%

・「いまの憲法を変える必要があると思いますか。変える必要はないと思いますか。」必要がある49%、必要はない44%

 これらの設問の幾つか前には、つぎのような設問もある。

・「以下は、憲法第9条の条文です。(条文略)憲法9条を変えるほうがよいと思いますか。変えないほうがよいと思いますか」 変えるほうがよい30%、変えないほうがよい63%

 9条に関しては、二つの設問があって、一つは、条文をあげて、1・2項の変更の有無を問うもの、一つは、その後に設けられていて、1・2項はそのままに、(3項として)自衛隊の明記の可否を問うものであった。回答から見えてくるのは、現行9条の「戦争の放棄」と「戦力及び交戦権の否認」はそのままに、自衛隊を明記するというのが大きな流れのように読み取ることができる。

以下の画像は、いずれも拡大て読めます。

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朝日新聞2026年5月3日朝刊、「世論調査」結果の一部

 他の新聞、NHKを見てみよう。憲法改正という設問は共通しているが、毎日が高市首相在任中という条件を付けているが、憲法改正の賛成・反対はたしかに拮抗していると言える。読売とNHKは、改正賛成は、反対をかなり上回っている。もっとも、NHNの世論調査は、「どちらとも言えない」が賛成と同様38%を占めている。NHKの世論調査では、「どちらとも言えない」の選択肢を設けるのが「得意技?」と言ってもよい。ときには「どちらかと言えば賛成」「どちらかと言えば反対」の選択肢を設けることもある。今回は「どちらとも言えない」の選択肢によって、賛成、反対の差を広げたようにも思える。「どちらかと言えば・・・」の回答を用意していたら、賛成・反対の差は縮まるのではないか。

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 朝日と読売は、今回、憲法改正問題だけでなく設問は多岐にわたっているのが、他と異なる所であり、憲法9条についても、両者は、同様である。「自衛隊明記」といういわば「加憲」に特化した設問もNHK以外は用意しているが、いずれも明記に賛成する方がかなり上回っていることがわかる。その理由を問うている朝日の結果によれば、明記賛成の理由で多いのが「海外での活動がしやすくなる」で、反対理由で多いのが「海外での活動が拡大する恐れがある」という真逆の理由であった。

 なお、読売は「今後、9条はどうあるべきか」の設問の回答の選択肢として、つぎの三つを用意していたが、その結果から、①+③を「改正しない」とカウントした。

①これまで通り解釈や運用で対応する43%
②解釈や運用で対応するのは限界なので改正する38%
③9条を厳密に守り、解釈や運用で対応しない12%

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読売新聞2026年5月3日朝刊、「世論調査」結果の一部

 なお、今回調査の対象としなかったが、日本経済新聞の世論調査で「高市首相に優先的に処理してほしい課題」として、憲法改正は8つの選択肢の最下位で、11%に過ぎなかった。また、NHKの設問はいささか異なるが、今国会において、「憲法改正以外の課題を優先すべき」だとする回答が、52%も占めていた。

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日本経済新聞デジタルニュース、2026年5月2日より

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NHK2026年5月3日、
news7より

 世論調査自体は、その回収率からしても、どこか頼りないのだが、各社の結果を総体的にみると、要するに、国民の大半は、いま、憲法改正を望んではいないということではないか。なぜ、そんなに急ぐのか。「法の支配」と「自由と民主主義」を標榜する国のやることかと、不安は増すばかりである。

 

 

 

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2026年5月 3日 (日)

「昭和100年記念式典」、まるで昭和歌謡ショー?ではなかったか

   腹立たしいのを通り越して、あきれて、ばかばかしくもなるが、やはり、書き留めておかねばと思う。テレビのニュースや翌日の新聞記事からは全貌が見えにくい。4月29日、さすがに、テレビ局の中継はなかったが、YouTubeで閲覧した。首相の挨拶は、官邸のホームページで確認した。注1

注1)昭和100年記念式典配信ページ 
https://youtube.com/live/JeNNacZ08e4

首相挨拶(首相官邸)
https://www.kantei.go.jp/jp/105/actions/202604/29showa100shikiten.html

  入場が済んで静まり返った武道館、あちこちに空席も目立つ。読売新聞によれば参列者約5600人の由。司会進行は、元NHKアナウンサーの青山祐子、着席からだいぶ時間が経過していたらしい。式典の進行について、天皇夫妻の入退場の際の起立・着席などについての説明から始まった。それから、天皇夫妻入場までの「しばらくお待ちください」と、7・8分前後の沈黙の時間が経過、天皇夫妻入場、木原官房長官の開会、国歌斉唱の後、首相の式辞7・8分、三権の長の挨拶が併せて10分ほどか。そして、その後の30分間がなんと、下のような流れで、海上自衛隊東京音楽隊の伴奏による男女隊員の歌唱だったのである。最初は誰が歌っているのかわからなかったが、最後に、指揮者と歌い手の名前が発表されていた(植田哲生二等海佐、三宅由佳莉二等海曹、橋本晃作二等海曹)。6曲の選曲は、首相なのか、イベント会社なのか不明だが、いずれにしても、懐メロの昭和戦後版といてもいい。自衛隊員に熱唱されても、時代の雰囲気は伝わらないだろう。官邸の動画では端折られていたが、天皇夫妻が退場してからも長い間、沈黙の着席の時間が長かった。

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「産経新聞」2026年4月29日、より

 以上のような流れだったのだが、私は、つぎのいくつかの点に大いなる疑問を持たざるを得なかった。

1.「昭和100年」という区切り方にどんな意味があるのか。

この式典については、超党派議員連盟の麻生太郎会長(自民党副総裁)が2024年、当時の岸田文雄首相に要請し、政府は「『昭和100年』関連施策推進室」を設置し、昨年11月に閣議決定している。注2
 注2内閣官房「昭和100年」関連施策推進室による「「昭和100年」関連施策について」https://www.soumu.go.jp/main_content/000990655.pdf

  式典の主旨として、「<昭和100年>を契機に昭和を顧み、先人の躍動に学び、昭和の記憶を共有すること」をうたっているが、ここには、日中戦争、太平洋戦争への反省が捨象されている。この点については以下の過去記事をご覧いただければと思う。注3
注3)4月29日は祝日だった~「昭和の日」はどのようにして決まったのか。(2025年5月 2日 )
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2025/05/post-e63d11.html

 2.高市首相の「式辞」って何だったのか。

その内容に、大いなる疑問が生じたのだ。今回の言葉を聞いていて、「?」、どこかで聞いたような言い回しと思ったのが、ふりかえれば、首相の年頭所感だったのである。まさに、焼き直し、コピペに近い。注4
注4)高市首相年頭所感
https://www.kantei.go.jp/jp/104/statement/2026/0101nentou.html


式辞:昭和は、戦争、終戦、復興、高度経済成長といった、未曽有(みぞう)の変革を経験した時代でした。
年頭:昭和は、戦争、終戦、復興、高度経済成長といった、未曽有(みぞう)の変革を経験した時代です。


式辞:令和の現在、日本と世界は大きな変化を迎えています。日本においては、静かな有事とも言うべき少子化・人口減少の進行、長期にわたるデフレから一転しての物価高、潜在成長率の低迷、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境。そして、世界を見渡せば、国家間の競争が激化・複雑化・常態化し、私たちが慣れ親しんできた自由で開かれた安定的な国際秩序は大きく揺らぎ、政治・経済の不確実性が高まっています。
年頭:令和の現在も、日本と世界は大きな変化を迎えています。 日本においては、静かな有事とも言うべき人口減少や、長期にわたるデフレから一転して国民の皆様が直面されている物価高、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境。そして、世界を見渡せば、我々が慣れ親しんできた自由で開かれた国際秩序は揺らぎ、覇権主義的な動きが強まるとともに、政治・経済の不確実性が高まっています。


式辞:今年初めて投票してくださった18歳の若者も、生まれたばかりの赤ちゃんも、その多くが、22世紀を迎えることができるでしょう。その時に、日本が安全で豊かであるように。『インド太平洋の輝く灯台』として、自由と民主主義の国として、世界から頼りにされる日本であるように。若者たちが、日本に生まれたことに誇りを感じ、『未来は明るい』と自信を持って言える。そうした国を創り上げていく。『日本列島を、強く豊かに。』日本に希望を生み出していくことを、改めてここに決意いたします。
年頭:今年初めて投票する十八歳の若者も、生まれたばかりの赤ちゃんも、次の時代を担っていかれる方々です。彼らに、日本の未来を信じてほしい。「希望」を抱いてほしい。今の時代をお預かりしている私達には、「日本列島を、強く豊かに」して、次世代に贈る責任があると考えています。

 「日本列島を、強く豊かに」は、先の衆議院選挙の自由民主党のキャチフレーズであり、総裁メッセージであったのである。また、ちなみに、「年頭所感」と4月29日「式辞」の間にあたる2月20日「施政方針演説」にもつぎのような一節がある。注5

「「挑戦しない国」に、「未来」はありません。「守るだけの政治」に、希望は生まれません。「希望ある未来」は、待っていてもやって来ない。誰かがつくってくれるものでもない。私たち自身が、決断し、行動し、つくり上げていくものです。」
注5)第221回国会における高市内閣総理大臣施政方針演説(令和8年2月20日閣議決定)https://www.kantei.go.jp/jp/105/statement/2026/0220shiseihoshin.html

  さらに、4月12日の自民党大会での首相の挨拶にはつぎのようなくだりもあった。注6
「今年初めて投票して下さった18歳の若者も、生まれたばかりの赤ちゃんも、その多くが、22世紀を迎えることができるでしょう。その時に、日本が安全で豊かでありますように。「インド太平洋の輝く灯台」として、自由と民主主義の国として、世界から頼りにされる日本でありますように。そのために、日本の「成長のスイッチ」を押しまくり、日本の可能性を解き放ちましょう。「日本列島を、強く豊かに。」 挑戦しない国に「未来」はありません。守るだけの政治に「希望」は生まれません」
 注6)第93回党大会 高市早苗総裁演説(全文)
https://www.jimin.jp/news/press/212972.html

 「インド太平洋の輝く灯台」という唐突なフレーズは、2月8日の衆院選挙で圧勝した直後の2月18日に出された「大臣指示書」に登場する。前年のそれを大幅に変更して、内閣全体の基本方針に「日本列島を、強く豊かに」「インド太平洋の輝く灯台」を加えたというのだ。

 以上見てきたように、中身を伴わない、強い口調の同じキャッチフレーズが何回でも使われていることがわかる。身近で聞く議員たち、ひいては有権者、国民も、なめられたものである。野党は細って内輪もめばかりで、きちんと質すことをしない。NHKはじめメディアも気づきながら、毎回、適当に概略しか報じない。つまらない、些細なことなのだろうか。

 そして、この間、高市政権は、すでに、閣議で殺傷能力のある武器輸出を解禁することにした。また、インテリジェンス機能を強化するとして「国家情報局設置法案」は、野党も巻き込んで、4月23日衆院で可決させ、連休明けには参院での審議が始まる。
「昭和100年記念式典」は式典と称して、なんと、自民党、高市内閣、高市首相の広報、パフォーマンスの場であったのである。

3.天皇の臨席は何のためだったのか。

 天皇夫妻は、式典の半分以上、30分以上にわたって、昭和の歌謡曲6曲を披露されるとは思わなかっただろう。どことなく戸惑っている表情も伺われた。式典を権威づけ、重々しい雰囲気を醸成するなかで、首相のメッセージを際立てるために利用したことが明確になったのではないか。天皇としては、政治的活動の一端を担わされ、違憲の疑いさえ生じる。加えて、天皇を壇上に迎え、日頃の言動を牽制するような内容の「式辞」ではなかったか。

4.重光葵の短歌の登場、なぜ短歌を持ち出すのか。

  首相の「年頭所感」の冒頭では、昭和天皇のつぎの一首を引用して、以下のように述べている。 
「『山やまの 色はあらたに みゆれとも 我(わが)まつりこと いかにかあるらむ』御即位後初の歌会始での昭和天皇の御製です。昭和は、戦争、終戦、復興、高度経済成長といった、未曽有(みぞう)の変革を経験した時代です。まるで昭和が激動の時代となることを見通していたかのように、移り変わっていく山々の色を詠まれています。」

 昭和天皇の短歌は、1928年(昭和3年)、歌会始の題「山色新」のもと詠み、公表された一首である。首相は、どこから引用したのか、宮内庁侍従職が編纂した昭和天皇の歌集『おほうなはら』(読売新聞社 1992年)の表記とは、漢字や濁点などの表記が異なる。1928年といえば、2月に第1回普通選挙が実施されたが、大陸政策を強行するなか、関東軍による張作霖爆殺事件が起こり、内務省に特別高等警察が新設され、思想弾圧の強化が始まった年でもあった。「まつりこといかにかあるらむ」を首相は自分事のように読んだのかもしれない。となると。

 今回の式典の「式辞」では、重光葵の辞世とも言われる一首を引いて、つぎのように述べた。
「『霧は晴れ 国連の塔は 輝きて 高くかかげし 日の丸の旗』、同じ年(1956年)、日本は国連に加盟します。重光葵(まもる)外務大臣は、ニューヨークで高らかに詠い上げています。国際社会への復帰は、日本の悲願でした。」

  重光の短歌をあげて、国連復帰の功績をたたえるというより、「日の丸の旗」を強調したかったのではないか。式典の中で「国歌斉唱」の前に、司会者は、ことさらに参列者に「国旗」への注目を促していた。これって「国旗損壊罪」を新設したい首相の「悲願」の伏線?にも思わるのだった。昭和に学ぶといっても、たとえば、国連復帰を称える前に、1933年、なぜ国際連盟を脱退するに至り、日本は世界から孤立していったのか、を学ぶ方が有効だし、先だと思う。

「昭和100年記念式典」は式典と称して、なんと、自民党、高市内閣、高市首相の広報、パフォーマンスの場であったのである。肝心なところから目を反らされるようなことばかりが続く。

「戦争の足音」が近づき、抗議デモへの参加者や集会は、各地で確実に増えているが、メディアは、なぜか伝えようとしない。事件や災害報道、スポーツや皇室報道には熱心だし、物価高やホルムズ海峡封鎖による業界や暮らしへの影響、株価の乱高下などは盛んに報道されるが、その拠って来たるところには分け入らない。そして、その分、いま国会でどんな審議が行われているか、何が論点なのか、などの報道量は、確実に細っている。上記で触れなかった「国論を二分する」と豪語する高市政権の公約は、以下のように目白押しなのである。

スパイ防止法、非核三原則を見直し、憲法9条改正、緊急事態条項新設、防衛力強化、皇室典範改正、旧姓使用法制化、外国人政策の厳格強化・・・。

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池の端の一本の梅、長い間花を楽しんだと思ったら、もう大きな実をつけていた。子どもの日を前にいつのまに賑やかになったコイたち。親たち3匹は、屋根のついた避難所でお昼寝中だったが、餌をやり始めると、がぜん動き出した。(5月2日)

 

 

 

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2026年3月 9日 (月)

「女性の日」というけれど、高市首相と担当大臣のメッセージのむなしさ

 3月8日は「国際女性の日」で、高市首相のこの日にちなんだメッセージが公表された。記者会見でも同様の内容を話す映像を、NHK7時のニュースで見た。それを聴き、また首相官邸のHPで見て、「なに?それ!」という違和感を覚えた。というのは、とくに強調していたのが「女性の生涯にわたる健康支援」というものだった。具体的に何を支援するのか。「メッセージ」では、以下のような段落がある。

高市内閣は、性差に由来した健康課題への対応を加速すべく、診療領域を横断した対応策の整理や診療拠点の整備を進め、特に女性の生涯にわたる健康支援を強化します。女性に特有の健康課題の解決に向けて、職場や地域において理解を深める取組を全国に展開していきます」。

 これでも、何が言いたいのかよくわからないが、乳がんなどの検診促進、出産支援などが思い当たるが、どうなのか。 女性活躍・男女共同参画担当という黄川田仁志大臣もメッセージを出しているのを知って、のぞいてみると、どうでもいい挨拶に続いて、女性初の首相へのオマージュについで、以下のような段落があった。

「日本政府においては、希望する働き方を選択でき、その能力を十分に発揮できる社会の実現に向けた取組を進めてまいります。また、社会のあらゆる意思決定に女性が参画することを官民共通の目標として取り組んでまいります。」

 首相の「健康支援」とはつながらない、これまた大雑把な話であった。役人が書いた文章であったのだろう。

 そこで、「女性の生涯にわたる健康支援」なることばは、何を指すのか、これまでにもそんな発言があったのかを調べてみると、「男女共同参画白書」(令を和6年度版)に登場していた。それによれば、女性の共同参画拡大の施策を以下のように11分野に分け、その第7分野に該当するらしいことがわかった。

第1分野 政策・方針決定過程への女性の参画拡大
第2分野 雇用等における男女共同参画の推進と仕事と生活の調和
第3分野 地域における男女共同参画の推進
第4分野 科学技術・学術における男女共同参画の推進
第5分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶
第6分野 男女共同参画の視点に立った貧困等生活上の困難に対する支援と多様性を尊重する環境の整備
第7分野 生涯を通じた健康支援
第8分野 防災・復興、環境問題における男女共同参画の推進
第9分野 男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備
第10分野 教育・メディア等を通じた男女双方の意識改革、理解の促進
第11分野 男女共同参画に関する国際的な協調及び貢献

 「白書」だから、各省庁の横断的な課題なども総花的に記述が続くが、「第7分野 生涯を通じた健康支援」の内容は「妊娠・出産に対する支援」がほとんどで、それに「年代ごとにおける取組の推進」として「学童・思春期/成人期/更年期/老年期」に分けての課題が数行ほど示されていた。たしかに、女性の生涯において「妊娠・出産」は大事で、少子化対策の一環として、その支援も重要である。しかし、以下の分野においては、それぞれ、つぎのような大きな積み残された課題があることを忘れてはならない。

第1分野 政策・方針決定過程への女性の参画拡大
第2分野 雇用等における男女共同参画の推進と仕事と生活の調和

第5分野 女性に対するあらゆる暴力の根絶
第6分野 男女共同参画の視点に立った貧困等生活上の困難に対する支援と多様性を尊重する環境の整備

 あらゆる分野で、女性の意見が政策・方針過程に反映されないこと、非正規雇用のうちの7割が女性であること、職場や地域・家庭におけるパワハラやセクハラの横行、さまざまな業界における性加害の頻発、いくつかの要因が重なっての女性の貧困の問題こそが喫緊の課題で、政府は、すぐにでも、その一つでも真剣に取り組んでほしいのだが。

「皇位継承は男系男子」と言ってみたり、「選択的夫婦別姓」には反対で、旧姓併記いや単記とか言ってみたりの認識の首相には無理だろう。私たち高齢者、老年期にある者に、「攻めの予防医療」といいながら、医療費の実質的値上げ、OTC薬の保険外しをやってのけるのだから、絶望的でもある。

 ちなみに、女性活躍・男女共同参画担当という黄川田仁志大臣は、正式には、
「内閣府特命担当大臣」(沖縄及び北方対策、消費者及び食品安全、こども政策、少子化対策、若者活躍、男女共同参画、地方創生、アイヌ施策、共生・共助)、女性活躍担当、共生社会担当、地域未来戦略担当だそうである。これが務まるから不思議?

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3月8日のミモザ、ハクモクレン、施設内に木々にも春が近い

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2026年2月 7日 (土)

選挙戦は始まったが~嘆いて、嘆いて、嘆いて・・・(5)スパイ防止法はどうなる。

 2025年10月20日のことになるが、自民党と維新の会との合意文書全文を一読することをお勧めしたい。あらためて読んでみると、実に、おそろしく、こわいことが書いてある。

自由民主党と日本維新の会の合意文書
https://storage2.jimin.jp/pdf/news/information/211626.pdf

 あす、2月8日の選挙では、自民党単独で過半数、維新を合わせるとその議席は「3分の2をうかがう勢い」だという調査もある(『毎日新聞』2026年2月6日)。となると、合意文書の大方が、その気さえ出せば、国会の議論を短縮して、各種の法律が成立してしまう可能性が高い。以下は、8頁ある文書の「インテリジェンス政策」と「エネルギー政策」の部分である。

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 エネルギー政策では「原発推進」をうたうが、廃炉、使用済み核燃料の処理については何も語ることはない欺瞞性が露わである。
 インテリジェンス政策においては、「内閣情報調査室」を「国家情報局」に格上げし、国による「インテリジェンス(情報収集・分析などの情報活動)」を拡充する構えである。

 昨年11月には、参政党と国民民主党が「スパイ防止法案」を議会に提出している。いずれも具体性に乏しいだけに、どんな内容になるのか、国会での議論が尽くされるのか、不安が募る。昨年に提出された国民民主党と参政党の「スパイ防止法案」と今回発表された中道の政策は以下を見て欲しい。

国民民主党(2025年11月26日)
https://new-kokumin.jp/wp-content/uploads/2025/11/4969eb4a0762a37935114707329c942b.pdf

参政党「スパイ防止法案を提出(特定秘密保護法改正案も含む)」(2025年11月25日)
https://sanseito.jp/news/n6108/

中道改革連合「2026衆院選主要政策」
https://craj.jp/election2026/policies/

 これらを要領よくまとめた記事や図表などを探したが、見当たらなかった。自分で作成すべきだが今はとりあえず、東京新聞の以下の図表をお借りする。これは昨年の11月段階のものなので「中道改革連合」の政策が見当たらないが、中道改革連合「2026衆院選主要政策」の中の「インテリジェンス政策」には「横断的なインテリジェンス体制を強化します。」の一行しかない。人権・プライバシー侵害のリスクがある「スパイ防止法」制定を目指す勢力にどう向き合うのか、不安にもなる。

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「急浮上した<スパイ防止法>制定 自民・維新は早期成立出合意 野党には賛否<監視社会>に拍車がかかる」(『東京新聞』2025年10月28日)より。

 ところで、必要があって、神奈川大学非文字資料研究センターの『国策紙芝居から見る日本の戦争』(「戦時下日本の大衆メディア」研究班編著 勉誠出版 2018年2月)を繰っていたら、つぎのような紙芝居「スパイ御用心」を見つけた。解説によれば、1941年12月20日公開、日本教育紙芝居協会によって東京市内の国民学校で巡回実演された作品という。日本が真珠湾攻撃をした12月8日直後の作品である。前年の40年11月10日には紀元2600年記念式典が国を挙げて行われ、12月6日には内閣情報部が「内閣情報局」に格上げされていた。この紙芝居には、以下のような背景があった。1941年に入ると3月7日には「国防保安法」が成立、太平洋戦争開戦の直前の10月15日はゾルゲ事件で尾崎秀実が逮捕され、10月18日には東条英機内閣が成立しているのである。

 紙芝居では、頁の左下の絵のように「宣伝に乗るな、謀略にかかるな、情報は漏らすな」と「少国民」に訴えているわけだ。現代の情報環境は大きく変化し、ネット社会での個人レベルの情報は、ほぼ全国民、全開にひとしいと思われるが、スパイ防止法では、さらに監視の対象となりかねない危惧がある。また、与党のみならず、一部野党からも声高に叫ばれている「外国人対策」とも相通ずるところがある。この紙芝居をわらって通り過ぎることができなくなったのである。

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2025年8月18日 (月)

8月15日、天皇と首相の「言葉」の過大評価を考える

天皇の「語り継ぐ」とは

 8月15日、「全国戦没者追悼式」に臨んだ天皇の「おことば」の「戦中・戦後の苦難を今後とも語り継ぎ、私たち皆で心を合わせ、将来にわたって平和と人々の幸せを希求し続けていくことを心から願います。」の一文をとりあげて、翌8月16日の各新聞は社説や記事で一様につぎのように評価していた。 

読売新聞社説:「戦中・戦後の苦難を、語り継ぐ必要性にも初めて触れられた。」

日本経済新聞社説:「『語り継ぐ』という新たな要素を加えられた。上皇さまの平和への願いを受け継ぎ、次世代に継承することへの強い思いがうかがえた。」

毎日新聞:「天皇陛下、記憶の継承に言及」の見出しで「『戦中・戦後の苦難を今後とも語り継ぎ』の一節を新たに加えられた。記憶の継承に明確に言及。」

朝日新聞:「天皇陛下 次世代に託す思い」の見出しで「『戦中・戦後の苦難を今後とも語り継ぎ』という新たな表現で、継承への思いを示すものとなった」

 またNHKの15日の夜7時のニュースでは、「戦後生まれの天皇陛下は、戦争の記憶と平和への思いを、戦争を知らない世代に継承していくことの大切さについて、記者会見などで繰り返し語られていて、今回の追悼式のおことばにも『語り継ぐ』という表現が、初めて盛り込まれました。」また、「深い反省とともに」という表現を「深い反省の上に立って」と変えたことを報じている。 

 そして、ノンフィクション作家保阪正康のコメントとして、
「『語り継ぐ』というのは、かなり主体的な意味の強い言葉で、主体的に戦争のことを語る、苦しかった人たちの思いをつないでいくという強い意思を感じる。」さらに「戦中・戦後の苦難」という言葉については「戦争は昭和20年8月では終わっていない、原爆で傷ついている人が今もいるように、戦争の傷はずっと残っている。苦難と闘っている人がいるということを、私たちは忘れてはいけないと、おっしゃっている。天皇陛下の人生観や歴史観が凝縮されていて、戦争の傷あとに対する思いが深いと感じた」と語らせている。
 さらに、天皇の「おことば」が基本的な内容は変わらないことについては、「変わらないということは、祖父・昭和天皇、父・平成の天皇の気持ちを継いでいくと、戦争に対する反省や心の痛みを継いでいくということをおっしゃっていると思う。それが天皇家の強い意思」と感じたとする。

  以下は私の素朴な感想であるが、「語り継ぐ」を盛り込んだとする一点を、これほどことごとしく揃いも揃って、高く評価する点が不思議であった。すでに多くの戦争体験者や遺族は、必死の思いで語り継いできたことは、多様なドキュメント、映像や図書などでも残されてきた。それを、いまさら「おことば」にその言葉が登場したからと言って、大げさに報道するメディアもメディアだという思いである。これまでのメディアの営為に自負はないのかとも思ったのだが。

 

石破首相の「反省」とは

 NHKは8月15日当日のニュースで「全国戦没者追悼式での総理大臣の式辞で「反省」ということばが使われたのは2012年以来となります。」と伝えた。他のテレビニュースも13年ぶりの「反省」を強調するものが多かった。

 新聞にあっては、
東京新聞社説(8月16日):「首相の「反省」 個人でなく政府が示せ」の見出しで「近年の首相は、所属政党にかかわらず戦没者追悼式の式辞で、アジア諸国に対する加害への反省を表明してきたが、安倍晋三氏は2013年以降、反省の表現を使わず、菅義偉、岸田文雄両氏も踏襲した。石破氏が反省の文言を復活させたことをまずは評価する。ただ、石破氏も何を反省するのか、具体的には示していない。」

読売新聞社説(8月16日):「終戦の日 80年続いた平和を次の世代に」の見出しで「石破首相は式辞で、2012年の野田首相以来となる、先の大戦の「反省」に言及した。」

毎日新聞社説(8月16日):「首相は反省と教訓明示を」の見出しで、戦後80年の首相談話を見送った経緯に触れた後「大戦の『反省と教訓』に言及した。『反省』は村山氏の時から式辞に盛り込まれたが、2013年の安倍氏以降は消えていた。13年ぶりに復活させた形だ。しかし、何を反省し、教訓とするのかについては、『進む道を二度と間違えない』などと曖昧に述べただけだ」

朝日新聞社説(8月16日)「終戦の日と首相 平和国家未来像語る時」の見出しで「首相式辞は、93年に細川首相がアジア近隣諸国に『哀悼の意』を表し、翌年の村山首相が『深い反省』を加えた。その後、自民党政権時代を含め、長らく踏襲されてきたが、第2次政権下の安倍首相が13年に言及をやめ、その後は使われなくなった。『反省』が13年ぶりに復活したが、アジア諸国への加害責任には触れておらず、何を反省し、教訓とするのかは明確でない。短い式辞で意は尽くせない。戦後50年の村山談話、戦後60年の小泉談話、戦後70年の安倍談話と同様、首相談話を出すべきだった」

  ここでは、13年ぶりに復活した「反省」に着目している点が共通している。「評価」すると明言するのは、上掲のなかでは東京新聞だけである。戦争を知らない、戦争体験者でもない、当事者でありえない第三者が「反省」するって、どうなの?という突込みもある。今年の天皇の「おことば」にあって、「深い反省とともに」という表現を「深い反省の上に立って」に変えたことは、その辺のことを配慮してのことだろう。
 石破首相の式辞に寄せられた「反省」の中身がないことを、いずれの新聞も指摘しているが、これは、天皇の「おことば」にも当然言えることではないか。首相には、指摘して、注文するが、天皇の「おことば」を称揚することはあっても注文をつけないのが、いまも変わらぬメディアなのである。

 首相の式辞について、朝日新聞の社説で「アジア諸国への加害責任」に触れていないことに言及するが、そもそも首相の式辞には「300万余の同胞の命」の「御霊安かれと、心より、お祈り申し上げます」であって、「植民地やアジア各地での加害責任」、そこで犠牲になった「同胞」以外への追悼は読み取れなかったのである。                     

 参考 10年前に『女性展望』(2015年11・12月号)に寄稿した文章です。
戦後70年、二つの言説は何を語るのか(2016111日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2016/01/70-6a1c.html

資料1.天皇の「おことば」全文
 本日、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦においてかけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来80年、人々のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、誠に感慨深いものがあります。戦中・戦後の苦難を今後とも語り継ぎ、私たち皆で心を合わせ、将来にわたって平和と人々の幸せを希求し続けていくことを心から願います。
 ここに、戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。

資料2.首相の式辞
 天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、戦没者のご遺族、各界代表のご列席を得て、全国戦没者追悼式を、ここに挙行いたします。
 先の大戦では、300万余の同胞の命が失われました。 祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦場に斃(たお)れた方々。広島と長崎での原爆投下、各都市への空襲並びに艦砲射撃、沖縄での地上戦などにより犠牲となられた方々。戦後、遠い異郷の地で亡くなられた方々。今、すべての御霊(みたま)の御前(おんまえ)にあって、御霊安かれと、心より、お祈り申し上げます。
 今日の我が国の平和と繁栄は、戦没者の皆様の尊(とうと)い命と、苦難の歴史の上に築かれたものであることを、私たちは片時たりとも忘れません。改めて、衷心より、敬意と感謝の念を捧(ささ)げます。
 未(いま)だ帰還を果たされていない多くのご遺骨のことも、決して忘れません。一日も早くふるさとにお迎えできるよう、全力を尽くします。
 先の大戦から、80年が経(た)ちました。今では戦争を知らない世代が大多数となりました。戦争の惨禍を決して繰り返さない。進む道を二度と間違えない。あの戦争の反省と教訓を、今改めて深く胸に刻まねばなりません。
 同時にこの80年間、我が国は一貫して、平和国家として歩み、世界の平和と繁栄に力を尽くしてまいりました。 歳月がいかに流れても、悲痛な戦争の記憶と不戦に対する決然たる誓いを世代を超えて継承し、恒久平和への行動を貫いてまいります。未だ争いが絶えない世界にあって、分断を排して寛容を鼓(こ)し、今を生きる世代とこれからの世代のために、より良い未来を切り拓(ひら)きます。
 結びに、いま一度、戦没者の御霊に平安を、ご遺族の皆様にはご多幸を、心よりお祈りし、式辞といたします。    
  令和7年8月15日      内閣総理大臣 石破茂                                                                                                        

                                                                                                                        

 

 

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2025年5月28日 (水)

きょう、朝日新聞がようやく社説「皇室制度のあり方」を掲載したが。

 朝日新聞は、今日、ようやく、「皇室制度のあり方 女性・女系将来の道閉ざさずに」を掲載した。社説で「皇室制度のあり方」が論じられるのは、昨年の5月7日以来である。これで、全国紙3紙と産経、東京(中日)新聞の社説が出そろった。産経は別として、読売新聞の女性・女系天皇容認を論じた記事や社説は、保守系の「読売」がと話題にもなった。以下の当ブログの記事もご参照ください。

皇室情報氾濫の中で、見失ってはならないもの(2025年5月23日)
http://dmituko.cocolog-nifty.com/utino/2025/05/post-98bae1.html

 朝日新聞は、与野党協議の結論にはまだ至ってないが、中間報告についてまとめ、所見を述べているので、やや長文となっている。中間報告では、①秋篠宮の長男までの皇位継承の流れ、にはおおむね賛同、②女性皇族の結婚後も身分を保つ、 には共通認識があり、③皇統に属する男系男子を養子に向かえる、には積極論も反対論もある、とまとめている。②については、本人の選択を尊重する、にはおおむね一致したとする。一方、女性皇族の配偶者と子供の身分については、意見が分かれている。男系男子を主張する自民は皇族の身分を与えてはならないとし、立憲は、身分を与えないと政治的な中立性など保てないとする。

 社説としては、②の本人の選択を尊重した点を評価、③の配偶者に皇族の身分付与する道を閉ざしてはならない、としている。また、旧宮家の男系男子を養子にする案は、幅広い国民の理解を得ることの困難と門地による差別にもあたるとしている。

 ただ、今回の社説で、他社と若干異なるのは「根本の論理深めたい」としている点である。これまでも、朝日の紙面では、識者等による、同様の論調はなされてきたが、社説として以下のように述べていることである。

象徴天皇制と、「個人の尊重」や「法の下の平等」など憲法全体に流れる「人類普遍の原理」と。憲法には異質なものが同居しており、完全に整合させることは難しい。
 新しい制度が、その不整合を逆に大きくしないか。国民統合の象徴としての天皇を支えるためのよりふさわしい方向なのか。現憲法のもと培われてきた現代社会の価値観に合致するのか。根本的な論点を、深めてもらいたい。

  なんとも慎重な、まどろっこしい文章に思えた。 「女性・女系将来の道閉ざさずに」という新しい制度が実現したとしても、その「新しい制度」が、「その整合性を逆に大きくしないか」という問いかけこそが、みずからの社説への問いかけではないのか。

 産経を除いた他紙の社説も、「国民の総意」や世論調査の結果などを盾として「女性・女系天皇」へと傾いているが、「国民の総意」「世論」ほど作られやすいものはない。日本の戦時下のメディアの翼賛体制、安保闘争報道における1960年6月15日直後の「在京七社共同宣言」などから学んでは来なかったのかと、振り返るのであった。

 

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