国民投票法案、廃案に向けて、できること
「可決、先にありき」ではないか!
憲法改正手続きを定める国民投票法案が、4月13日衆院を通過した。3月15日衆院憲法調査特別委員会での3月22日公聴会開催決定、4月12日の委員会での強行採決。衆院通過の夜、私はユーカリが丘に住む知人から、この自公多数の暴挙に「さくら・志津憲法をまもりたい会」はどんな抗議をするのか、というメールをいただいた。テレビのニュースに怒るしかなかった私は返事に窮し、残念ながら、今月下旬のニュース発行と5月3日の街頭活動の計画をお知らせするしかなかった。
有効投票の過半数で改憲できるなんて?
この手続き法案の審議過程で、このような拙速をなぜ許してしまったのか。あの形式的な一日だけの公聴会ってナンだったのかと思うし、すでに今年2月には自公の国会関係幹部の間で自公の単独審議・可決もやむなしの合意があり、「可決、先にありき」があまりにも露骨であったのだ。また、その内容においても問題は多い。例えば1)将来もし憲法改正原案が両院の3分の2以上の賛成を得、国民投票に問われるとして、「広報協議会」が立ち上げられ、60~180日間の周知・広報が展開される。その協議会委員の員数も国会議員の政党分布に拠る。2)投票日の2週間前までは、ラジオ・テレビのCMには規制がないから改憲派の財力が物を言うのは必至だ。そのCMの中身だって課題は多い。3)改憲が成立するのは有効投票数の過半数を超えればよいとしているから、投票率が低い場合は絶対数が極端に少なくても改憲が可能になる。今回の法案では最低投票率の設定がないからだ。私は、60年以上守り続けた憲法なのだから、変えるとしても有権者数の過半数は必要だとさえ考える。他にも公務員の活動規制、内閣の改憲原案提出権なども重い課題だ。少なくとも参院では慎重な論議のうえ、白紙に戻し廃案にしてほしい。
廃案の意思表示を!
今回通過の国民投票法案の骨子は何かについてメディアはその問題点を事前にきちんと報道してこなかった。いつものパターンながら、通過してから、俄然解説的な報道が増したりする。おまけに、温家宝中国首相の国会演説やアメリカでの松坂・イチロー対決の日にあわせ、さらには34年前の北朝鮮拉致事件でさえこの時期に公表というのは、国民投票法案の関連報道時間・紙面を作為的に減らして、相対化させようとしているのではないかと勘ぐりたくさえなる。こうした状況の中で、今度の市長・市議選挙においても、改憲問題をどう考えるかを判断材料の一つにした。夏の参院選挙でもそうだ。市民が自由に改憲問題について語り合える場を作り出していくことが重要だと思うし、本誌もそんな役割を担いたい。 メールをくださったユーカリが丘の知人は、翌日、国会議事堂まで出かけ、抗議の意思を表示されたそうだ。私には少々耳の痛いことだった。(4月18日記)(『さくら・志津憲法9条をまもりたい会ニュース』5号 2007年 5月所収)
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