おととい木曜日の「そもそも総研(玉川徹)」は、「沖縄」だった
テレ朝の「モーニングバード」の「そもそも総研・たまペディア」は、「そもそも本土と沖縄との意識の差を沖縄はどう受け止めているのだろうか」というものだった。
最初のコーナーでは、名護市長の稲嶺さん再選が報じられた、1月20日の沖縄の新聞が「大勝」と見出しをつけていたことと本土の受け止め方の温度差に触れ、稲嶺・末松両氏の得票差4155票について、前泊博盛沖縄国際大学教授(前琉球新報論説委員長)は、「保守・革新の基礎票はほぼ16000票で、これまで前2回は1500票内外の票差で勝敗を決した。今回は、革新、移設反対派が大勝したことに」なり、
さらに4000票以上の差をつけた要因は「保守が変わり始めたから」とコメントしていた。
そこで玉川リポーターは従来「保守」とされた三氏を訪ねて、話を聞いている。元自民党県連幹事長であった翁長那覇市長は、民主党政権までが沖縄の基地を容認したことをきっかけに、基地の問題を考えるときはイデオロギーではなくてアイデンティティの問題で、沖縄がまとまって動かねばの思いに至ったという。つぎに、元自民党沖縄県議、県議会議長の仲里氏は、沖縄出身の自民党国会議員や自民党県連は、本土の自民党に軸足を置いて、昨年11月には、基地容認派に転じてしまったので、自民党を離党したという。沖縄のホテルチェーン経営者の平良氏は、沖縄の経済は、米軍基地がない方が特段の経済効果が期待できる。現に、那覇市新都市開発や北谷町のショッピングセンターなどで実証され、物流の拠点になることもできる。米軍における沖縄の軍事的役割も後退してきた、とする。
また、平良氏が「石破さんが、沖縄の国会議員5人を横に控えさせ、辺野古容認させたあの場面こそ平成の<琉球処分>といっていい。絶対に許されることはない。あの写真は100年以上沖縄の人の心に刻まれる」という主旨のことを述べていたのが強烈な印象として残っている。
2013年11月29日
地元の新聞と全国紙はどう報じたか
放送後、沖縄地元2紙と手元の全国紙の名護市長選挙翌日の報道・社説を調べてみた。
琉球新報
2014年1月20日一面トップ:「稲嶺氏が大勝 辺野古移設にノー 末松氏に4155票差」
社説:1月20日 稲嶺氏再選 誇り高い歴史的審判 日米は辺野古を断念せよ
1月21日 市長選 政府反応 民意無視は許されない
1月22日 辺野古入札公告 民主国家の自殺行為だ
沖縄タイムス
2014年1月19日電子号外「稲嶺氏再選確実 辺野古移設ノー」
社説:1月20日 稲嶺氏が再選 敗れたのは国と知事だ
1月21日 強硬安倍政権 名護市民 孤立させるな
1月23日 名護市長選再論 「まっとうさ」を貫こう
「沖縄タイムス」の1月20日の一面トップは未見だが、19日の開票途中で「電子号外」が刊行された。そして、1月20日のみならず、関係の社説が続けられた。それに比べ、全国紙は以下の通りであった。
朝日新聞
2014年1月20日一面トップ「辺野古反対の現職再選 名護市長選 政権推進変えず」
社説:1月20日 名護市長選 辺野古移設は再考せよ
毎日新聞
2014年1月20日一面トップ「辺野古反対稲嶺氏再選 名護市長選 普天間移設混迷 自民系敗北
安倍政権打撃」
社説:1月20日 名護市長選 移設反対の民意を生かせ
東京新聞
2014年1月20日一面トップ「移設反対派再選 名護市長に稲嶺氏 政府に打撃 普天間難航必至」
社説:1月20日 「辺野古」強行許されぬ 名護市長選
また、「沖縄タイムス」は、次のような記事のなかで、筆者未見の読売、産経についてつぎのようにも報じていた(2014年1月21日 06:21)
「名護市長選:本土紙、関心高く1面トップ」
名護市長選の稲嶺進さんの大差での再選を、20日付の東京発行の各紙は、軒並み1面や社会面のトップニュースで扱い、全国的な関心の高さを示した。有権者の投票行動や一票への思い、政府反応、普天間辺野古移設をめぐる歴史など、関連記事を数ページにわたり多角的に報じた。
朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、東京新聞は1面や社会面で稲嶺さんや支持者の喜びの写真を使い、トップ記事で掲載した。(中略)読売は稲嶺さんの再選を伝える一方、政府の工事着工方針を報じた。「地方選を悪用するな」との評論で、国政の課題を首長選挙で問うことに疑問を呈した。
産経新聞は1面の2番手で「反対派・稲嶺氏が再選」と報じた。2、3面では移設の遅れを懸念しながら、政府の実現に向けた意思を紹介した。
「そもそも総研」は、そもそもいつから~強烈だった「野菜のタネはどこから」
玉川徹さんによる「そもそも総研たまペディア」は、「モーニングバード」の木曜のコーナーのひとつだが、私が意識的に見始めたのは去年の夏ごろからだろうか。放送開始は、2011年4月からで、前身の番組「スーパーモーニング」では「玉川総研」といっていたらしい。税金の無駄遣いや官僚制度に迫る企画が多かった。「そもそも総研」になってからは、原発事故、電力問題を盛んに取り上げていたことも記憶に新しいし、去年は、特定秘密保護法などはいろいろな角度から繰り返し取り上げていた。
TPPに関しては、横槍も入ったが、ともかくTPP
推進論者を取り入れての放送となって切り抜けたという経緯もあったが、ぜひ続けてほしいコーナーである。その頃の放送で、私にとって、二重の意味で衝撃的だったのは、2013年10月24日放送の「食料自給率も大事だけど野菜のタネの意外な現状を知っていますか」というものだった。その内容と番組統制の影だった。
日本の食料自給率は39%で、あとは輸入に頼っているという。野菜に関して言えば、外食産業用を含めて約75%の自給率だが、家庭では98%近くという。ところがその野菜のタネの9割が自家採種ではなく、購入しており、その内の8割が外国産であるというのだ。私の記憶にある野菜のタネと言えば、タネとするものだけを残して収穫していたはずである。そんな風にとったタネは「固定種」と呼ばれ、昭和30年代頃まではメインだったが、大量消費時代を迎えると、収穫や流通に便利な、固定種を掛け合わせた「F1種」を使用するようになったという。まさに高度成長期と重なる。そしてその「F1種」は、野菜の原産国の環境で採取するのが最良ということで、しかも一代限りなのでタネを採ることができない仕組みになっているそうだ。毎年、タネを原産国で作らせた、外国のタネメーカーから輸入したものを購入せざるを得ないというわけである。一代限りにする「操作」がなされているというのである。サカタのタネ、タキイのタネ・・・の大部分が外国産であるという。アメリカの巨大なバイオメーカー、ベトナム戦争での枯葉剤や遺伝子組み換え作物で有名な「モンサント」もその一つではないか。私も日常的には、生活クラブ生協に入会、市販のものでも「遺伝子組み換えでない」素材を使った商品を購入するよう気を付けていたのだが・・・。
しかし、この放送では、モンサントも、TPPも、遺伝子組み換えという言葉は登場しなかったのが不思議だった。昨年の番組への介入により、自主規制してしまったのだろうか。そういえば、この番組も、先般の「減反政策」を取り上げたときも、取材の末尾に農水省担当者の「採種農家の育成」、「農地バンク」への取り組みを紹介して、バランスを取っていた。担当者の返答は何とも頼りないものであったが。
もっとも、固定種のタネを採って販売している農家もわずかながらいて、固定種専門の「野口のタネ」のインタビューもあった。これからは、採種農家は高齢化も進み、その存在は貴重で、「固定種」がなければ「F1種」さえ作れなくなるというのであるから、深刻な問題ではある。
玉川さんはじめスタッフみなさん、どうか頑張ってほしい。経営のトップの方々、安倍首相との会食なんぞ、みんなで断ってほしい。みんなでノーと言えばコワくない、のでは。もちろんひとりでノーといえる気概を持ってほしいのだが。
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